JPS6311931B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は、スプレーガン本体に着脱可能に取付
けられるスプレーノズル、特に高速の噴出流体に
対する安全ガードを有しかつスプレーチツプ部材
が噴霧位置と被洗浄位置とに方向変換可能なスプ
レーノズルに関するものである。また、安全ガー
ドが取外されれば、スプレーノズルは容易に分解
されてしまうので、安全ガードなしでは使用でき
ない構成である。

1974年12月12日発行の、「スプレーチツプの安
全ガード」と称する米国特許第3952955号には、
塗料のスプレーガンにおいて、人体が高圧のスプ
レーに偶然触れることのないように保護するため
の安全ガード装置が開示されている。この安全ガ
ードは、現在使用されているスプレーガンに対
し、スプレーガンとしての実用性を損うことなく
かつその吹付けパターンに適応させてスプレーガ
ンの先端部にばねクリツプによつて取付けられる
扇状のものである。この安全ガードは、スプレー
チツプ付近に開口した狭いスロツト部によつて通
常、上下に分離され、前方へ傾斜状に突出した２
枚の危害防止板を有している。

1976年５月11日発行の、「回転可能なスプレー
ノズル」と称する米国特許第3955763号には、直
径方向の通路内にスプレーオリフイスを有する回
転可能な球状部材と、その１部として一体的に突
出されたハンドルとを含んでスプレーガンに取付
けられるノズル装置が開示されている。この装置
には、さらに、球状部材を取囲むとともにハンド
ルを突出させるノズルホルダと、ホルダ内に嵌入
されて球状部材と緊密に接触するシール部材と、
これらのノズルホルダ、球状部材及びシール部材
をスプレーガンに固着させるねじ式の取付具とが
設けられており、ハンドルによつて球状部材が回
転されると、オリフイスがスプレーガンに関して
噴霧位置又は被洗浄位置へ移動するようになつて
いる。

高圧にさらされる回転可能なスプレーノズルの
設計における第１の問題点は、スプレーノズルを
繰返し回転させたり、ノズルを洗浄等の目的でス
プレーガンから定期的に何度も外したりした後も
流体漏れを防ぐことのできる効果的なシール手段
を開発する必要があるということである。回転可
能なスプレーノズルのまわりの流体漏れを防ぐた
めに、非常に強い締付力でスプレーノズルをスプ
レーガンに対して締付けるクランプ手段がしばし
ば利用されて来ている。しかし、締付力が強すぎ
るためにスプレーノズルの回転が妨げられたり、
内部のシール用部品があまりにも早く損傷を受け
たりすることが頻繁であつた。

高圧流体の吹付けに関する第２の問題点は、少
なくともオリフイス前方の短い距離の範囲内での
人体と吹付け流体との接触を避けるための保護手
段が必要だということである。オリフイスから放
出された液体の粒子は、一瞬高速の薄板状を成す
が、すぐに大気中で分散されて、細かく霧化され
た粒子になる。前述の米国特許第3955763号は、
前記第１の問題点を解決するためのシール手段を
提供することを目的とし、また、米国特許第
3952955号は、第２の問題点を解決するための、
オリフイスの前方における人体との接触を避ける
防護手段を提供することを目的としている。本発
明はこのような２つの手段を有効に組合わせ、さ
らに改良を加えたものである。

すなわち、本発明の目的はオリフイスを有する
スプレーチツプが噴霧位置と被洗浄位置とに簡便
に方向変換可能で、かつそのいずれの作用時にも
高圧噴流に対するガード部材がスプレーノズルに
確実に装着されており、しかも各組合せ部材の形
状が比較的簡単で、従つてその間のシール部材が
数少なく常時密封作用を十分に保つように構成さ
れたスプレーノズルを提供することにある。

本発明によるスプレーノズルは、軸方向に設け
られた第１の通路と、第１の通路を横断してこれ
と整合する第２の通路とを有するほぼ筒状のハウ
ジングと、このハウジングをスプレーガン本体に
取付ける締付け手段と、ハウジングの第２の通路
に密接して回転可能に挿通され、前記第１の通路
より小径のその横断貫通路内にスプレーチツプ部
材を嵌着しかつ一方端面に位置決め孔を有し他方
端面に凹溝を有する円柱状回転部材と、この円柱
状回転部材の他方端面の凹溝と係合する突出端部
と突出端部に隣接する張出し肩部とを基部に有す
るハンドル部材と、ハウジングの前部及び円柱状
回転部材の両端部分に組合わされかつハンドル部
材の張出し肩部を収容するスロツトを含む開口を
後向きに有する基端部とこの基端部から前記のス
プレーチツプ部材を中央にして前方へゆくほど上
下に広がるように延出された２枚のガード板とで
形成されかつ前記円柱状回転部材にその一方端面
の位置決め孔に達するボルトによつて組付けられ
る安全ガードと、ハウジングと円柱状回転部材と
の間及びハウジングとスプレーガン本体との間に
それぞれ設けられる流体シール部材とを含んで構
成されることを特徴とする。

次に添附の図面を参照して本発明一実施例の説
明を行なう。

第１図は本発明によるスプレーノズル１０の平
面図を示し、このスプレーノズル１０の後部には
ガン本体１５への締付け手段としてのスプレーチ
ツプナツト１２が係着されており、その前側には
安全ガード１４が突出している。スプレーノズル
１０には、さらに、回転可能なハンドル部材１６
が安全ガード１４の基端部によつて保持されてい
る。すなわち上側の安全ガード１４の基端部内に
は弧状のスロツト２１が設けられていて、ハンド
ル部材１６の肩部１７が回転できるような溝を形
成している。肩部１７はその外周面がスプレーチ
ツプナツト１２の前部フランジ１８に隣接して設
けられており、その外周が部分的に半円形なの
で、ハンドル部材１６はスプレーチツプナツト１
２の前部フランジ１８に対して約180゜の範囲で自
由に回転運動を行なうことができるが、肩部１７
外周の半部２９が角形になつているため、ハンド
ル部材１６はスプレーチツプナツト１２の前部フ
ランジ１８に角形肩部を接触して完全に一回転す
ることはできない。

第２図はスプレーチツプナツト１２がスプレー
ガン本体１５に螺着されたところを示す断面図で
ある。スプレーチツプナツト１２の前部フランジ
１８は、内側の筒状ハウジング２０の後部フラン
ジと係合している。ハウジング２０とスプレーガ
ン本体１５との間には弾性を有するシール部材２
２がナツト１２の螺着によつて圧着されていて、
スプレーノズル１０をスプレーガン本体１５に取
付けるに際して流体密閉を行なう役割を果してい
る。

ハウジング２０には、円柱状回転部材２４を回
転可能に密接して挿通できるだけの大きさに設定
された横断通路１１が上下方向に設けられてい
る。円柱状回転部材２４には、ハンドル部材１６
の下方突出部２３と係合する凹溝を形成している
第１の端面２８と、下側の安全ガード１４に挿入
されたボルト１９の先端部を受承する位置決め孔
３０を有する第２の端面３１とが設けられてい
る。ハウジング２０後部には嵌められた弾性シー
ル部材２２には軸方向通路３２が設けられてお
り、また、円柱状回転部材２４には、この軸方向
通路３２とほぼ同径でこれと整合可能に通路３５
が設けられている。この円柱状回転部材２４の通
路３５の一端には、オリフイスのあるスプレーチ
ツプ２５が嵌着されており、他端にはそらせピン
２７が取付けられている。円柱状回転部材２４の
外周の一部に対して密着するように形成された金
属製の環状シール部材２６が、ハウジング２０の
内腔に嵌まりかつ弾性シール部材２２によつて後
方より保持されている。金属製シール部材２６
の、円柱状回転部材２４と接触している面は、円
柱状回転部材２４の外周面と同じカーブを有する
ように加工されてこれと密着しているが、その反
対側の面は円錐状の凹面３４になつていて弾性シ
ール部材２２前端の円錐状凸面と係合している。
弾性シール部材２２には前記円錐状凹面３４との
係合部位からハウジング２０の後端面までの距離
よりも少し長いネツク３６が設けられているた
め、ハウジング２０後面と弾性シール部材２２の
肩部との間には当初、小間隙３８が形成されてい
る。スプレーノズル１０をスプレーノズル本体１
５に固着させるべくスプレーチツプナツト１２が
締付けられると、ネツク３６の前端部が円錐状凹
面３４と緊密に接触し、他方小間隙３８も閉鎖さ
れ密封が保たれる。さらに、軸方向通路３２内の
高い流体圧力のため、弾性シール部材２２のネツ
ク３６部分は半径方向に拡張されるので、その外
周側の部材との流体密閉性が良好になる。軸方向
通路３２内の流体圧力は、円錐状凹面３４にも作
用して、金属製シール部材２６と円柱状回転部材
２４との間の流体密閉をより緊密なものにする。

金属製シール部材２６は、円柱状回転部材２４
よりもいくらか柔らかい材質の金属で製造するこ
とが望ましい。このように異なつた素材を使用す
るのは、シール部材２６と円柱状回転部材２４と
が互いに摺接しても摩耗を軽減しかつ緊密に接触
して良好な流体密閉性を得るためである。

このようにして軸方向通路３２内の流体圧力が
弾性シール部材２２、円柱状回転部材２４及び金
属製シール部材２６それぞれのシール機能を向上
させるので、スプレーチツプナツト１２の機械的
締付力は僅かでよい。さらに、金属製シール部材
２６を円柱状回転部材２４に押付ける機械的な力
は、弾性シール部材２２の中間ネツク部３６によ
つて緩和される。このような構成により、金属製
シール部材２６及び円柱状回転部材２４の耐久性
が増し、また、円柱状回転部材２４は所要の流体
密閉力のもとで容易に回転することができる。

ハンドル部材１６の上端部は握り部分になつて
おり、また下端部は円柱状回転部材２４の第１の
端面２８の凹溝と係合する一文字状突出部２３を
形成している。ハンドル部材１６の肩部１７は、
円柱状回転部材２４の上端面に隣接しており、ま
た安全ガード１４のスロツト２１内に挿入されて
いる。肩部１７は平面形が半円形の部分とこれに
隣る長方形の部分とを有し、従つてハンドル部材
１６をほぼ180゜回転可能にしているが、その長方
形部分２９がチツプナツト１２のフランジ１８前
面に接触するので、ハンドル部材１６はそれ以上
には回転することはできない。即ち、肩部１７
は、ハンドル部材１６を、180゜という一定の範囲
に限つてのみ回転させる。

第３図はスプレーノズル１０の幾つかの部品の
組立て方を示す分解図である。まず、金属製シー
ル部材２６は軸方向内腔の前端部からハウジング
２０内へ挿入されて、その円弧状前面ををハウジ
ング２０の上下横断通路１１の後側周面と整合さ
れる。次にスプレーチツプナツト１２がハウジン
グ２０外周面に案内されつつ後退してその前部フ
ランジ１８をハウジング２０の後部フランジと接
触させる。それから、円柱状回転部材２４がハウ
ジング２０の横断通路１１に挿入される。弾性シ
ール部材２２はそのネツク３６前端が金属製シー
ル部材２６に接するまで、ハウジング２０内へ後
方から挿入される。

第４図はさらにハンドル部材１６、安全ガード
１４等の部品の組立て方を示す分解図である。前
述のようにスプレーチツプナツト１２がハウジン
グ２０後部と係合し、各シール部材２２，２６が
それぞれ挿入され、円柱状回転部材２４がハウジ
ング２０の上下方向横断通路１１へ挿入された
後、ハンドル部材１６の突出部２３が円柱状回転
部材２４の第１の端面２８の凹溝と係合するよう
に載せられる。次に安全ガード１４が前方から組
合わされて、ハンドル部材１６の肩部１７がガー
ド１４のスロツト２１に挿入され、下方ではボル
ト１９が安全ガード１４に螺入されて、円柱状回
転部材２４の第２の端面３１にある位置決め孔３
０内に係合される。以上のように組立てられたス
プレーノズル１０は、スプレーチツプナツト１２
によつてスプレーガン本体１５の突出したねじ部
に螺着される。

スプレーノズル１０の作用について述べると、
ハンドル部材１６が第１図、第２図に示す位置に
回転されて、一方の回動極点に達すると、スプレ
ーチツプ２５が安全ガード１４の上下の扇形板の
間で前方へ向けられている。かくてスプレーノズ
ル１０から塗料等の液体材料を噴射することがで
きる。ハンドル部材１６が逆の極点まで回転され
ると、スプレーチツプ２５は後方へ向き、そらせ
ピン２７が洗浄液を安全に分散するために前方へ
移動する。この配置でスプレーチツプ２５の狭い
オリフイスに溜まつたかすが後方からくる洗浄用
の圧力流体を受けてスプレーノズル１０から除去
される。そらせピン２７は、スプレーチツプ２５
を逆に通つて放出される高圧の洗浄流体を分散さ
せて、粗い噴霧状に変える役割を果たす。

本発明は以上に述べたとおり、筒状ハウジング
の横断通路に密接状に挿通された円柱状回転部材
を、これに係合されたハンドル部材によつて回転
させ、回転部材内部のスプレーチツプを塗料噴霧
位置と被洗浄位置とに簡単に方向変換させ、この
いずれの作用時にもガード部材がスプレーノズル
に装着されているように組合わせてあるので、高
圧噴流に対する防護が確実であり、またチツプの
目詰まりを容易に解消することができる。また、
回転部材は円柱状であり、シール部材も数少な
く、シール面の形成も容易であるので、長期にわ
たつて密封性を十分に保つことができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明によるスプレーノズルの平面
図、第２図は第１図のスプレーノズルの一部破断
の縦断面図、第３図はスプレーノズルの部品の一
部を示す分解図、第４図はスプレーノズルのさら
に別の部品を示す分解図である。 １０……スプレーノズル、１２……スプレーチ
ツプナツト、１４……安全ガード、１５……スプ
レーガン本体、１６……ハンドル部材、２０……
ハウジング、２２……弾性シール部材、２４……
円柱状回転部材、２６……金属製シール部材。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ スプレーガン本体に着脱可能に取付けられる
   スプレーノズルであつて、軸方向に設けられた第
   １の通路と、第１の通路を横断してこれと整合す
   る第２の通路とを有するほぼ筒状のハウジング
   と、このハウジングをスプレーガン本体に取付け
   る締付け手段と、ハウジングの第２の通路に密接
   して回転可能に挿通され、前記第１の通路より小
   径のその横断貫通路内にスプレーチツプ部材を嵌
   着しかつ一方端面に位置決め孔を有し他方端面に
   凹溝を有する円柱状回転部材と、この円柱状回転
   部材の他方端面の凹溝と係合する突出端部と突出
   端部に隣接する張出し肩部とを基部に有するハン
   ドル部材と、ハウジングの前部及び円柱状回転部
   材の両端部分に組合わされかつハンドル部材の張
   出し肩部を収容するスロツトを含む開口を後向き
   に有する基端部とこの基端部から前記のスプレー
   チツプ部材を中央にして前方へゆくほど上下に広
   がるように延出された２枚のガード板とで形成さ
   れかつ前記円柱状回転部材にその一方端面の位置
   決め孔に達するボルトによつて組付けられる安全
   ガードと、ハウジングと円柱状回転部材との間及
   びハウジングとスプレーガン本体との間にそれぞ
   れ設けられる流体シール部材とを含んで構成され
   ることを特徴とする高速の噴出流体に対する安全
   ガードを有しスプレーチツプ部材の向きを可変の
   スプレーノズル。 ２ 前記筒状ハウジングはその後端に外フランジ
   を有し、前記締付け手段が該外フランジと係合す
   る内フランジを前端に有するナツト状で、スプレ
   ーガン本体の突出ねじ部にねじ込まれてハウジン
   グの第１の通路をガン本体の流体通路出口に整合
   させてハウジングを固定する特許請求の範囲第１
   項記載のスプレーノズル。 ３ 前記円柱状回転部材がその横断貫通路を一直
   径方向に横切つて取付けられた１本のそらせピン
   を含む特許請求の範囲第１項記載のスプレーノズ
   ル。 ４ 前記ハンドル部材はその張出し肩部の外周面
   の半分を円弧状とし、残る半分をほぼ角形とな
   し、かつ同外周面を前記ナツト状締付け手段の内
   フランジ前面に隣接しており、ハンドル部材がそ
   の肩部によつて円柱状回転部材の回転を180゜に限
   定することにより、前記スプレーチツプ部材が噴
   霧位置と被洗浄位置とに方向を変換されることを
   特徴とする特許請求の範囲第２項記載のスプレー
   ノズル。 ５ 前記安全ガードは２枚のガード板をほぼ扇形
   として高圧噴霧に対する防護を果すとともに、ハ
   ウジング、円柱状回転部材及びハンドル部材より
   成る組合せ体に前記ボルトによつて最終的に組付
   け固定されるように構成されたことを特徴とする
   特許請求の範囲第１項記載のスプレーノズル。 ６ ハウジングと円柱状回転部材との間に設けら
   れる前記の流体シール部材は金属製で、ハウジン
   グの第１の通路内に嵌装される環状体をなし、円
   柱状回転部材に接してその外周面の一部に適合す
   る第１の曲面と、内周面を円錐状に開いた入口の
   第２の面とを有し、第１の面と第２の面との間に
   流液の通路を形成している特許請求の範囲第１項
   記載のスプレーノズル。 ７ ハウジングとスプレーガン本体との間に設け
   られる前記の流体シール部材は弾性材より成り、
   その円筒ネツク部分を前記ハウジングの第１の通
   路内に配置され、ネツク部分の基端に続くフラン
   ジ部分をハウジングとスプレーガン本体との間に
   挟着され、円筒ネツク部分の先端が外周面を円錐
   状として前記金属製シール部材の円錐状に開いた
   入口の第２の面に圧着される特許請求の範囲第６
   項記載のスプレーノズル。 ８ 前記円柱状回転部材が前記金属製のシール部
   材よりも硬度の高い金属で製造されている特許請
   求の範囲第６項記載のスプレーノズル。