JPS629700B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は、発泡樹脂のスクリーデイング壁面塗
工法に関し、更に詳しくは、壁躯体面に発泡合成
樹脂層を高能率に、しかも驚く程面一な状態に直
接的に塗工することができる新方法に関するもの
である。

近来、ビルデイングや住宅などの建物の内壁に
発泡樹脂層を設けて屋内の断熱保温や騒音遮断
（防音）を行うことが多くなつてきている。とこ
ろで、これら建物の内壁に発泡樹脂層を施す施工
技術としては、従来、壁躯体面と壁板との間に発
泡ポリスチレンボードや発泡ウレタンボードなど
の発泡樹脂板を介在せしめる方式と、壁躯体面と
壁板との間に発泡ユリア樹脂の如きペースト状の
発泡樹脂を注入充満せしめる現場発泡方式とに分
けられるが、前者の方式にあつては工事現場で発
泡樹脂板を必要なサイズに切断する手間がかかる
うえに、工場で量産された嵩高の発泡樹脂板を一
定の箇所にストツクしておき、工事に際してこれ
を現場にまで運搬しなければならない不便があつ
た。

このようなことから、最近では後者の現場発泡
方式が優勢になつているのであるが、この方式に
ついても次のような難点が指摘されていた。

発泡樹脂ペーストを壁板に設けた孔隙から見
当で注入するため、形成される発泡樹脂層に不
完全な部分が生じても、外部からは察知するこ
とができず、寒冷地方の断熱壁に適用した場合
には結露を生じさせることがある。

桟材配設部分に発泡樹脂層が形成されず、寒
冷地においては其処に位置する壁面に線状の結
露が生じ易い。

本発明は、従来現場発泡方式における上記の難
点を解消すると共に、更に一歩進んで、壁躯体面
に凹凸があつたとしても其処に理想的な状態の発
泡樹脂層を高能率に形成することができる発泡樹
脂のスクリーデイング壁面塗工法を提供しようと
するものである。

即ち、本発明を図示の実施例に基いて説明すれ
ば、壁躯体Ａ面へ配列固定されたアジヤストボル
ト式固定具１，１…の固定面１１，１１…に、桟
材２，２…をその表面２１，２１…のレベルが面
一に並ぶように前記固定具１，１…をそれぞれレ
ベル調節しながら所要の一定間隔で平行に配列し
て桟材列Ｆ，Ｆ…を形成した後、相隣合う桟材列
ＦとＦとの間に、面状放出口３１を有する発泡樹
脂放出ノズル３を差し当て、前記面状放出口３１
から発泡樹脂ペーストを放出させながら当該桟材
列Ｆ，Ｆをナライ定規面として放出ノズル３をス
ライド移動させていくことにより、放出ノズル３
のスライド面３３で面一状態に均らされた発泡樹
脂層Ｂを作出せしめることを特徴とする発泡合成
樹脂のスクリーデイング壁面塗工法に係るもので
ある。

上記について更に詳細に説明すると、本発明工
法が対象とする壁躯体Ａは、ビルデイングや住宅
などの建物において空間を上下方向に仕切る面状
構造体であり、本発明にあつては特にコンクリー
ト壁躯体の場合に有効であるが、他の材質（例え
ば、鋼板、木造）の壁躯体にも適用が可能であ
る。

壁躯体Ａ面に配列固定すべきアジヤストボルト
式固定具１としては、例えば図示の如きペデイス
タルナツト部１２と、このナツト部１２にアジヤ
スト可能に螺合される頭部固定面１１が平担なボ
ルト部１３とからなるボルトナツト形式のものを
使用することができる。固定具１，１…を壁躯体
Ａ面に配列固定するにあたつては、上記のペデイ
スタルナツト部１２を接着剤あるいはコンクリー
ト釘等の止着手段を用いるものとし、壁躯体Ａ面
に適当な間隔に分布せしめて各固定具１の固定面
１１がすべて面一に並ぶようボルト部１３をネジ
回し操作することによつてレベル調節する。この
場合、固定具１，１…は、後記の桟材を一定間隔
で縦あるいは横方向に平行に配設できるよう分布
しておくことが必要である。

固定具１，１…のレベル調節が出来たならば、
これらの固定面１１，１１…に桟材２，２…を例
えば釘等の止着手段Ｓで取り付けて一定間隔で平
行な桟材列Ｆ，Ｆ…を形成する。この場合、桟材
２，２…は厚さが全て同一なので、その表面２１
のレベルは当然同一となる。しかして、ここに用
いる桟材１としては、通常木製のものが用いられ
るが、その表面の滑りをよくしておくのが好まし
く、したがつて、所望によりその表面２１に第２
図に示される如き滑面コーテイングを施すことも
あるのである。

発泡樹脂放出ノズル３としては、第３図に示さ
れる如き、下面に面状放出口３１を備えたモツプ
形のものが用いられる。この放出ノズル３は、相
隣合う桟材列ＦとＦとの間に差し渡せるに足るだ
けの幅を有しており、面状放出口３１から発泡樹
脂ペーストを放出することにより、桟材列ＦとＦ
との間に発泡樹脂層Ｂを形成していくことにな
る。図示例においては、放出ノズル３の面状放出
口３１に網材が張設されているが、これは発泡樹
脂ペーストを均一に放出せしめるためであり、ま
た第３，４図において面状放出口３１の両側にそ
れぞれガイド板３２，３２が設けられているのは
当該放出口３１を桟材列Ｆ，Ｆ間に正しく位置さ
せて其処へ発泡樹脂ペーストを適正に放出せしめ
るためである。もつとも、ガイド板３２，３２に
代えて、溝車３２ａ，３２ａをノズル３の下面に
装着することも可能であり、この場合には桟材１
として表面２１に溝２２を開設したものを用いる
のがよい。この放出ノズル３から放出させる発泡
樹脂ペーストとしては、例えば発泡ユリア樹脂
（三菱瓦斯化学株式会社製：商品名「ダイアフオ
ーム」）が用いられる。同発泡ユリア樹脂は、20
℃の温度下で粘度が11〜15cp程度のユリア樹脂
液と起泡液と硬化剤液とを混合し、これを発泡倍
率80〜100程度に膨張させたものであり、比重0.1
〜0.14（発泡直後）のペースト状物である。

かくして、壁躯体Ａ面に配設された桟材列Ｆ，
Ｆ…の相隣合う桟材列ＦとＦとの間に、上記放出
ノズル３を差し当て、面状放出口３１から発泡樹
脂ペーストを放出させながら当該桟材列Ｆ，Ｆを
ナライ定規面として放出ノズル３を辷り動かして
行けば、放出ノズル３の面状放出口３１が通過し
た後には、スライド面３３によつて恰もコテ当し
たような面一の美しい発泡樹脂層Ｂが順次形成さ
れていくのである。発泡樹脂層Ｂが壁躯体Ａ面に
形成されたならば、その乾燥硬化を持つて壁板４
を張付ければよいのである（第６図参照）。

本発明塗工法は以上のように施工するものであ
るから、凹凸の多い壁躯体面にも高能率に面一の
発泡樹脂層を理想的な状態に形成することができ
るのであつて、従来におけるように壁板の小さな
孔膜から見当で発泡樹脂ペーストを注入するとい
つた方法ではないので発泡樹脂層に厚薄・欠所が
生じたりすることはなく、また桟材の下側にも発
泡樹脂ペーストが十分に行き渡るので断熱・防音
作用が不完全になつたりすることもないのであ
る。

尚、本発明は前述の実施例に限定されるもので
は決してなく、「特許請求の範囲」の記載内で
種々の変形が可能であつて、例えば発泡樹脂ペー
ストの素材については従来現場発泡方式で用いら
れている種々の発泡合成樹脂が用いられることは
いうまでもない。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明塗工法を説明するための概略斜
視図、第２図はアジヤストボルト式固定具と桟材
の結合関係を示す部分拡大斜視図、第３図は発泡
樹脂放出ノズルの斜視図、第４図は発泡樹脂放出
ノズルを相隣合う桟材列間に差し当て発泡樹脂層
を形成していく状態の部分拡大断面図、第５図は
発泡樹脂放出ノズルおよび桟材の他の変形例を示
す部分拡大断面図、第６図は形成された発泡樹脂
層の上から壁板を張り付けていく状態を示す部分
拡大断面図である。 １…アジヤストボルト式固定具、１１…（固定
具の）固定面、２…桟材、２１…（桟材の）表
面、３…発泡樹脂放出口、３１…（ノズルの）面
状放出ノズル、３３…（ノズルの）スライド面、
Ａ…壁躯体、Ｂ…発泡樹脂層、Ｆ…桟材列。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 壁躯体Ａ面へ配列固定されたアジヤストボル
   ト式固定具１，１…の固定面１１，１１…に、桟
   材２，２…をその表面２１，２１…のレベルが面
   一に並ぶように前記固定具１，１…をそれぞれレ
   ベル調節しながら所要の一定間隔で平行に配設し
   て桟材列Ｆ，Ｆ…を形成した後、 相隣合う桟材列ＦとＦとの間に、面状放出口３
   １を有する発泡樹脂放出ノズル３を差し当て、前
   記面状放出口３１から発泡樹脂ペーストを放出さ
   せながら当該桟材列Ｆ，Ｆをナライ定規面として
   放出ノズル３をスライド移動させていくことによ
   り、放出ノズル３のスライド面３３で面一状態に
   均らされた発泡樹脂層Ｂを作出せしめることを特
   徴とする発泡合成樹脂のスクリーデイング壁面塗
   工法。