JPS628888Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案はストリツプミルなどで圧延された帯鋼
の巻取装置に係り、更に詳しくは、円弧状の断面
を有するセグメントなどで巻取軸を構成し、この
セグメントの１つに軸線方向に沿つて形成したグ
リツパ収納穴に帯鋼の一端を装入し、グリツパに
よつてこれを挾持し、帯鋼を巻取るように構成し
た帯鋼巻取装置に関するものである。

圧延されて導かれて来た帯鋼は帯鋼巻取装置に
よつてコイル状に巻取られる。この帯鋼巻取装置
のマンドレルと呼ばれている巻取軸は、第１図に
示すように、断面が円弧状に形成された複数個の
セグメントを外周に備えている。

第１図に示した円形状のものは必要最小径のマ
ンドレルであり、マンドレル１の外周面は３個の
セグメント７でおおわれており、そのうち、図で
上側に位置するセグメント７の中央部には断面が
台形の穴１３が板厚を貫通して切り抜かれて設け
られており、穴１３の中にはグリツパ１５が上下
動するようになつている。そして、グリツパ１５
と穴１３の作用で帯鋼Ｓの端部をはさみ、マンド
レル１を回わして帯鋼Ｓを巻取るようになつてい
る。なお、マンドレル１の巻取部の径を大きくす
る場合は、前記セグメント７の外周に、他のセグ
メントをそれぞれボルトで固定する。

ところが、従来の装置においては、セグメント
７に設けてある切抜き状の穴１３は軸線方向に極
めて長い１個のものであり、グリツパ１５も穴１
３と同様に長いものであつた。

しかし、このような穴の構造を採用すると、帯
鋼Ｓは12〜15tonの張力で巻き取られるため、穴
１３のほぼ中央部近傍が長期間にわたるこの張力
に耐えられず、穴１３の幅方向すなわち円周方向
に拡がつて、穴１３の円周方向の両側がたわんで
しまい、やがては、帯鋼を確実に挾持することが
できなくなると言う欠点があつた。

そして、グリツパ１５も、穴１３と同様にその
軸線方向に極めて長いものとされているため、た
わみ強度が弱いものとなつており、このようなグ
リツパ１５と、前記したような状態の穴１３とで
帯鋼の端部を強固に挾持するのには増々障害とな
つていた。

また、セグメントは軸線方向に長い穴１３が設
けられているので、強度的にも弱く、穴１３の軸
線方向の両端部であるセグメントの端部にクラツ
クが入つて割れることもあつた。

さらに、取りはずした円弧状のセグメントを地
上に置いたとき、自重のため円周方向の両側が広
がり、その寸法がくるつていた。

また、グリツパ１５が摺動する穴１３の幅は極
めて精度良く加工する必要があるが、穴１３が長
いので、加工が困難であり、加工コストも高くな
つていた。

本考案は、以上のような従来の欠点を解消する
ためになされたものであり、帯鋼装入用の穴の変
形を防止し、帯鋼を確実に保持することができる
ように構成した帯鋼巻取装置を提供するものであ
る。

本考案においては上記の目的を達成するため
に、帯鋼巻取用のセグメントと、セグメントの長
手方向に伸びてセグメントの板厚を貫通して形成
され、帯鋼装入面を有したグリツパ収納穴と、こ
のグリツパ収納穴の内側に放射方向に前後進自在
に設けたグリツパを有する帯鋼巻取装置におい
て、前記セグメントのグリツパ収納穴をセグメン
トの長手方向に数個に分割して設け、隣合つたグ
リツパ収納穴の間、およびセグメントの長手方向
の端部にセグメント自体を円周方向に連結するつ
なぎ部を形成させ、前記隣合つたグリツパ収納穴
の間と、帯鋼装入側の端部のセグメントのつなぎ
部に、グリツパ収納穴の帯鋼装入面にあわせて帯
鋼端部装入用の溝を設けるとともに、前記グリツ
パを、前記グリツパ収納穴の形状に合わせてその
長手方向に分割して形成した構造を採用した。

以下、図面に示す１実施例によつて本考案を詳
細に説明する。

まず、マンドレル自体の構造と作用について説
明する。

第２，３図において全体を符号１で示すものは
マンドレルと呼ばれている巻取軸で、このマンド
レル１は多層構造になつている。すなわち、回転
自在な円筒状の軸２の回りには、軸線方向に摺動
自在な円筒状のスリーブ３が設けられており、軸
２の内部にはロツド４が摺動自在に設けられてい
る。ロツド４の先端側は、スリーブ３の内部を貫
通してスリーブ３の外方にまで導かれ、スリーブ
３はロツド４の回りの凸部２２とナツト５によつ
て挾持された状態で固定されている。ロツド４の
他端は油圧シリンダ６のピストンロツドと一体に
なつている。

スリーブ３の外側には、円周方向に例えば３個
のように複数個に分割された第１のセグメント７
が同一円周上に配置されており、この第１のセグ
メント７の外側には同じく円周方向に複数個に分
割された第２のセグメント８が、ボルトなどを介
して着脱可能に、かつ、同一円周上に配置された
状態で取付けられる。セグメント７の後端部はロ
ツド４のフランジ部４ａにかみ合つており、セグ
メント７は軸線方向の移動を阻止されている。な
お、各セグメント７，８は、円周方向の両端縁部
に互いに相手にくい込んでいる凹凸部１１，１２
が形成されている。

セグメント７の内側とスリーブ３の外周面との
間には対向する位置に互いに凹凸状のガイド部を
有する楔状のブロツク９，１０が軸線方向にそつ
て複数個設けられている。そして、ロツド４を軸
線方向に摺動させることによつて、セグメント７
を直径方向に若干移動させて、外径を変えうるよ
うになつている。これは、マンドレル１からコイ
ルを取出すときに、セグメント７，８部の外径を
若干小さくして、コイルを抜取りやすくするため
である。

一方、第１のセグメント７の１つにはその中央
部に軸線方向にそつて台形断面状の穴１３が板厚
を貫通して切抜かれて形成されており、この穴１
３中には台形断面状の第１のグリツパ１５が直径
方向に移動自在に嵌合されている。グリツパ１５
の下側は後記するようなリンク１８などによつて
スリーブ３に連結されている。

外側に位置する第２のセグメント８の１つにも
前記穴１３と対応する位置に軸線方向にそつて台
形断面状の穴１４が板厚を貫通して切抜かれて、
形成されており、この穴１４中には台形断面状の
第２のグリツパ１６が直径方向に移動自在に嵌合
されている。グリツパ１６の下端はボルト１６ａ
などによつてグリツパ１５に対して着脱が可能で
ある。

スリーブ３の側面の一部には軸線方向に沿つて
スライダ１７が取付けられており、スライダ１７
とグリツパ１６との間はリンク１８によつて連結
されている。そして、スライダ１７のナツト５側
の端部はスリーブ３に摺動自在に嵌合されたばね
受け１９に係合しており、ばね受け１９から所定
距離はなれた位置で、もう１つのばね受け２０が
スリーブ３に螺合されており、ばね受け１９，２
０間には圧縮ばね２１が取付けられている。そし
て、シリンダ６を作動させることにより、スリー
ブ３とスライダ１７を前後進させ、リンク１８
と、穴１３とグリツパ１５間のガイドの作用によ
つてグリツパ１５を直径方向に摺動しうるように
なつている。なお、ロツド４の軸２側への嵌入は
前記凸部２２の作用で阻止される。

大内径を有するコイル状に帯鋼を巻取る場合は
第２，３図に示した状態で行い、小内径を有する
コイル状に帯鋼を巻取りたい場合には外側に配置
されている第２のセグメント８および第２のグリ
ツパ１６を取り外し、第１図に示したように、第
１のセグメント７を露出させて使用する。いずれ
にしても、シリンダ６を作動させ、スライダ１７
やリンク１８の作用でグリツパ１６，１５を上下
動させ、グリツパ１６，１５部で帯鋼Ｓの端部を
はさんだり、はずしたりするとともに、楔状のブ
ロツク９，１０の作用でセグメント７，８を直径
方向に若干移動させて、外径を変える。そして、
マンドレル１で帯鋼Ｓを巻取つたり、巻取つたコ
イルをマンドレル１からはずしたりする。

つぎに、第４，５図によつて、セグメントの穴
部等の構造について説明する。ここでは、外側に
設けた第２のセグメント８と穴１４、および、穴
１４中のグリツパ１６を図示し、説明するが、内
側に設けた第１のセグメント７と穴１３およびグ
リツパ１５も同様な構造と作用を有する。

セグメント８には例えば２個のように数個の穴
１４がその板厚を貫通して切抜かれて軸線方向に
一直線になるように設けられており、各穴１４の
間およびセグメント８の両側端部はセグメント自
体をその円周方向に連結するつなぎ部８ａが設け
られている。各穴１４の両側には、穴１４の加工
が便利なように、バイト逃げ用の拡大部１４ａが
それぞれ設けられている。

穴１４の間のつなぎ部８ａと帯鋼Ｓを出し入れ
する先端側のつなぎ部８ａには、第５図の断面図
で明らかなように、穴１４の帯鋼装入面に合わせ
て傾斜した状態で帯鋼装入用の溝１４ｂが形成さ
れている。勿論、この溝１４ｂはこのつなぎ部８
ａにおける肉厚を貫通することなく、所要の肉厚
を残すようにして設けられている。そして、セグ
メント８の先端部から、幅の広い帯鋼Ｓを溝１４
ｂと穴１４中に自由に出し入れしうるようにし
た。グリツパ１６は、穴１４の軸線方向の長さに
応じたものを数個用い、各穴１４の中にグリツパ
１６を１個ずつ配置した。

以上の説明から明らかなように、本考案の帯鋼
巻取装置は実用新案登録請求の範囲に記載したよ
うな構成にしたので、セグメントの隣合つたグリ
ツパ収納穴の間、および、長手方向の端部を円周
方向に連結するつなぎ部によつて、セグメント自
体の強度が向上すると共に、グリツパをグリツパ
収納穴の内側から放射方向に突き上げて帯鋼の端
部をグリツプする時に、穴が円周方向に開こうと
する現象が阻止され、強固なグリツプ力が作用す
るので、帯鋼の端部を確実に保持することができ
る。そして、帯鋼を巻取る時に、帯鋼に大きな張
力が作用しても、同様に、穴が幅方向すなわち円
周方向に拡がるという現象が防止される。従つ
て、帯鋼を確実な保持のもとに巻取ることができ
る。

さらに、グリツパを、セグメントのグリツパ収
納穴の形状に合わせて、その長手方向に分割して
設けたので、グリツパ自体の軸方向の長さが短か
くなり、従来の長いものに比べてそのたわみ強度
が向上し、前記グリツパ収納穴の作用と相俟つて
増々確実強固な挾持が可能になる。

そして、比較的幅のせまい帯鋼端部装入用の溝
は、前記つなぎ部にのみに形成され、他の端部装
入用穴は円周方向に幅の広いグリツプ収納穴とな
るので、帯鋼の端部が幅が広いものであつて、幅
方向に波打つたり、うねつたりして変形している
ような場合であつても、帯鋼の端部のセグメント
への装入作業を円滑かつ容易に行うことができ
る。

また、取りはずした円弧状のセグメントを地上
や加工盤の上に置いても、自重のために円周方向
の両側に広がつて寸法がくるうこともなく、穴の
精密加工も容易に行うことができる。

【図面の簡単な説明】

第１図はマンドレルの一般的な構造を示す横断
面図、第２〜５図はこの考案の１実施例を示すも
ので、第２図は縦断面図、第３図は第２図の−
線断面図、第４図はセグメントの平面図、第５
図は第４図の−線断面図である。 １…マンドレル、７，８…セグメント、８ａ…
つなぎ部、９，１０…ブロツク、１３，１４…
穴、１４ｂ…溝、１５，１６…グリツパ。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 帯鋼巻取用のセグメントと、セグメントの長手
   方向に延びてセグメントの板厚を貫通して形成さ
   れ、帯鋼装入面を有したグリツパ収納穴と、この
   グリツパ収納穴の内側に放射方向に前後進自在に
   設けたグリツパを有する帯鋼巻取装置において、
   前記セグメントのグリツパ収納穴をセグメントの
   長手方向に数個に分割して設け、隣合つたグリツ
   パ収納穴の間、およびセグメントの長手方向の端
   部にセグメント自体を円周方向に連結するつなぎ
   部を形成させ、前記隣合つたグリツパ収納穴の間
   と、帯鋼装入側の端部のセグメントのつなぎ部
   に、グリツパ収納穴の帯鋼装入面にあわせて帯鋼
   端部装入用の溝を設けるとともに、前記グリツパ
   を、前記グリツパ収納穴の形状に合わせてその長
   手方向に分割して形成した帯鋼巻取装置。