JPS627083Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本案は農作物の栽培用ハウスのうち特に多連棟
ハウスの各ハウスの谷間に連続的に敷設取付して
降雨を効率よく排水するための多連棟ハウス用ト
イに供されるシートに関する。

昨今、農作物はいわゆるビニールハウス栽培さ
れることが非常に増加しているがこのハウス類の
栽培施設は小トンネルから小型単棟ハウス、多連
棟ハウス、更に大型連棟ハウスへとその形態を大
きく変化させている。これらのハウスのうち多連
棟、更に大型連棟ハウスにおいては各ハウスの谷
間に降雨による雨水が流れ込んでくるのでこの谷
間には排水用トイが敷設取付されるが従来はトタ
ン板製のものや塩化ビニール（特に着色不透明の
もの）製のものが使用されていたのでハウス内に
影ができ、又これらの敷設取付作業は必ずしも行
ないやすいものとはいえなかつた。

本案は上述の問題点に鑑み成されたものであ
り、以下その構成を一実施例を示す添付図面にも
とづいて述べる。

第１図は本考案シートの断面図を示すものであ
つて、符号１はシート本体であり、これはエチレ
ン−酢酸ビニルコポリマー（以下、単にEVAと
略称する）よりなるシート層２の裏面に強靭性補
強材３が貼合一体化されている。また、４，４は
シート本体の幅方向に適宜間隔をおいて長尺方向
へ連続して設けられた折曲用浅溝であつて、少な
くとも一対以上がシート本体の幅方向の中心軸の
左右に均等距離をおいて対象的に位置するように
設けるのが望ましい。

ここで強靭性補強材としてはたとえばアクリ
ル、ポリアミド（ナイロン）やポリエステルなど
耐候性、耐熱性が良好で強靭性も優れた合成樹脂
からなるシートもしくは網状体が好適する。

第２図は本案シートを多連棟ハウスの各棟の谷
間にトイとして敷設取付けた状態を示す一部拡大
断面図であつて ５はハウスのアーチ用フレームであり６は隣接す
るアーチ用フレームを接続補強する接続部材であ
る。

又、７はトイ据付用台座であり８はトイ据付用
台座上にシート本体１を敷設して固定支持するた
めのトイ固定用金具である。

９はトイ固定用金具８に挿嵌してシート本体１
を固定する支持パイプ、更に１０はシート本体１
をトイ取付用台座７とトイ固定用金具８間に固定
するためにトイ固定用金具、シート本体及びトイ
据付用台座を各々貫通して螺着するネジである。

つぎに、本考案シートの使用について説明する
と、本考案シートが具備する可撓性、弾性力なら
びに折曲用浅溝の利用によりまず多連棟ハウスに
おける各ハウスのアーチ用フレームを接続する接
続部材上にトイ取付用台座を横架取付してのち該
台座上にシート本体を載置し、支持パイプを両端
に包持したトイ固定用金具を前記シート本体上に
当接し、このトイ固定用金具と前記トイ取付用台
座と、両者の間にあるシート本体とを各々貫通す
るネジの緊締によりシート本体はトイ取付用台座
上に固定支持され同時にシート本体の両側縁部は
シート本体の弾性力によつてアーチ用フレームに
対して圧接されるので結果的にシート本体を簡単
にトイ形状にすることができる。

更に第３図は本案シートをトイとして多連棟ハ
ウスの各棟の谷間に取付適用した状態を示す説明
図である。符号１はトイ本体で、Ａはビニールハ
ウス、Ｂは土床、Ｃは農作物、更にＤは日光であ
る。

以下、本案シートをトイとして利用した場合の
作用効果を掲げる。

(1) 本案シートはその構成素材としてEVAなど
透明性良好な合成樹脂を主層としており、しか
もこれに貼合する強靭性補強材もポリアミド
（ナイロン）やポリエステルなどの透明性合成
樹脂であるから太陽光線の透過をさまたげるこ
となくかつEVAの特性として紫外線をほとん
ど透過しないので植物の生育上有害な紫外線除
去という点からもきわめて効果的である。

(3) 本案シートは前述の如く可撓性ならびに弾性
があるので取付作業は行いやすいが折曲用浅溝
をシート本体のEVA面上に設けることによ
り、より一層折曲作業を簡単に行うことができ
るので多連棟ハウスの各アーチ用フレームの谷
間の形状によく一致した形態のトイを作ること
が迅速かつ簡単に行なえ、トイとしての取付作
業の能率化が図れる。

(4) 本案シートの構成素材がEVAなどの透明性
樹脂を主層としかつ強靭性補強材もポリアミド
やポリエステルなどの透明性樹脂から作られて
いるのでトイとして用いるとハウス内に影がで
きないので作物の栽培上有利である。

(5) 単にEVAシートによりトイを形成するなら
ば強風や豪雨の影響でハウスのビニールシート
と共に激しくフラツピングを起こしやすく往々
にしてトイの形状に変形をきたすことになつて
トイの両側縁部分とビニールシートの接し方は
ビニールシートがたるんだ状態になつたりトイ
の両側縁部の外側にビニールシートの端部がき
てしまうことになつて雨が降るとハウスのビニ
ールシート面の雨水がハウス面上をハウス谷間
へ向つて流れ込む際にビニールシートのたるみ
の部分に降雨が溜つたり、またはビニールシー
トを伝つて流れ落ちる降雨がトイに流れ込まず
トイの外側に隙間を作りそこからハウス内に雨
が流れ込むことになりハウス内の作物に悪影響
を及ぼす可能性が大きくトイはその本来の機能
を十分に果たし得なくなることが起り得るが本
案シートはEVAシートと強靭性補強シートと
の複合シートから構成されているので可撓性、
弾性力のみならず適度な剛直性も備えており、
強風等の影響によるフラツピングも極力、抑え
ることができハウスのビニールシートの端部は
常にトイの内側に添接した状態を維持できるこ
とになりトイはその本来の機能を発揮しうる。

(6) 又、ビニールハウスは炎天下の日光に曝され
るものであるからハウスのアーチ用フレームや
支持パイプなど特に金属部材への熱影響がきわ
めて大きくこれらアーチ用フレームなどに直
接、接触するトイの部分は熱影響をまともに受
けるが本案トイはEVAシートの裏面に強靭性
補強材としてポリアミドやポリエステルなど耐
熱性が良好な合成樹脂シートもしくは網状物が
貼合わされており、かつそのトイとしての取付
使用法が強靭性補強材側がアーチ用フレームに
接触するように取付けられるものであるから一
般に融点、軟化点の低いEVAシートが融けて
穴があいたり欠損することがないのでトイはそ
の機能を損うことがなく長期間にわたつて使用
できる。

(7) 尚、植物の生育上、必要な近紫外、可視光線
及び熱源とする赤外線の透過率は塩化ビニール
やポリエチレンと比較してEVAシートの方が
数段優れているのでEVAシートを表面層に複
合させた本案シートをトイとして用いれば一般
に降雨の排水によりゴミや汚れがトイの面上に
こびり付いてトイの透明度が若干低下してもハ
ウス内のトイの下方向近辺の作物の成長を遅ら
せる弊害も生じず促成栽培用の作物づくりにお
ける多連棟ハウス用トイとして絶好である。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案シートがトイに供される前の断
面形状を示す断面図、第２図は本考案シートをト
イとしてハウス谷間に取付使用した状態を示す一
部拡大断面図、第３図は多連棟ハウスのハウス谷
間に本考案シートを敷設施工した状態を示す説明
図、第４図は多連棟ハウスのハウス谷間に本考案
シートを敷設施工した状態を示す説明図である。 １……シート本体、２……エチレン−酢酸ビニ
ルコポリマーよりなるシート層、３……強靭性補
強材、４，４′……折曲用浅溝、５……アーチ用
フレーム、６……接続部材、７……トイ取付用台
座、８……トイ固定用金具、９……支持パイプ、
１０……ネジ、Ａ……ビニールハウス、Ｂ……土
床、Ｃ……農作物、Ｄ……日光。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. エチレン−酢酸ビニルコポリマーよりなるシー
   トの裏面上に耐候性ならびに強靭性に優れたアク
   リル、ポリアミドあるいはポリエステルからなる
   シートが貼合一体化され、前記エチレン−酢酸ビ
   ニルコポリマーよりなるシートの表面上の長手方
   向へ少なくとも一対の折曲用浅溝が設けられ、多
   連棟ハウスの各棟の谷間に連続的に敷設取付され
   ることを特徴とする多連棟ハウス用トイに供され
   るシート。