JPS6252114B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 この発明は、金属板が互いに立上り連結部によ
り連結されている既存金属板葺屋根における改修
屋根構造に関するものである。

既存の金属板葺屋根において金属板の腐蝕ない
しは破断その他が原因して漏水を生じてしまつた
場合、その漏水個所が局部的なものであればその
部分のみを修理することによつて何とか用を足す
こともあるが、それでも用をなさなかつたり、修
理所要個所が広範囲に亘つてしまうような時に
は、既存金属板の全部を葺き替えてしまわなけれ
ばならないことになる。この全面葺き替え工事で
は、金属板だけではなく、防水シートから場合に
よつては野地板さえも交換してしまわなければな
らないことにもなりかねず、その作業に著しい手
数と日数を要するばかりか、工事中の雨天に備
え、天幕等で全体を履つてしまわなければならな
かつたり、一時居住を中断しなければならない等
の不都合があつた。

そこで、この発明では、既存の金属板をそのま
ま残置して下地構造部分とし、その上に一体状の
新たな屋根面部材層が形成されるようにした全く
新規な技術思想に基づく改修屋根構造を開発実用
化したものである。

以下、この発明の詳細を説明すると、添付図面
に示したこの発明の代表的な一実施例からも理解
されるように、既存の金属板葺屋根は、通常、垂
木もしくは垂木相当部材１を構造材としてその上
に野地板２を敷設し、その表面にアスフアルトフ
エルトのような防水シート３が重ねられた後、適
当幅の長尺金属板４が多数その長さ方向を屋根傾
斜方向に向けて敷設され、各長尺金属板４の立上
り部４ａ，４ａ間に吊子５を介してキヤツプ材６
を橋架させ、立上り部４ａ、吊子５、キヤツプ材
６の各端部を一体にはぜ巻締めして立上り連結部
７を形成することにより、各長尺金属板相互が一
体に接続敷設されるもので、吊子５が野地板２に
または野地板２を貫通して垂木もしくは垂木相当
部材１に釘着９されることにより、金属板４，４
……全体が野地板２上に固定されている。

このような金属板葺屋根が何等かの原因で改修
の必要性を生じた際に、この既存の金属板葺屋根
をそのまま特に手を加えることなく本改修屋根構
造における下地構造部分となし、この下地構造部
分の上、即ち、既存屋根の金属板４，４……上
に、まず下層側の防水シート層２０を形成する。

下面側の防水シート層２０の形成には、アスフ
アルトフエルト等のような吸湿性を有する防水シ
ートが予め後記する断熱材１１の裏面に一体化さ
れたようなものを、その裏面側を下方にして形成
するようにしてもよい。

この下面側の防水シート層２０が形成された
後、既存屋根における金属板立上り連結部７，７
間に発泡合成樹脂、硝子繊維、セラミツクウー
ル、石綿等から成る断熱材１１を敷設する。

この断熱材１１としては、硼酸、硅酸またはこ
れらの金属塩、硼砂、炭酸カルシウム、燐酸塩、
シリカ、アルミナ、パーライト粒、気泡硝子等の
耐火不燃性の無機質粉粒物ないし泡状粒子から成
る耐火剤、難燃剤の一種または二種以上を混入添
加したものが採用されても差支えないし、また、
石綿セメント板、発泡コンクリート板等の硬質成
形板に発泡合成樹脂、硝子繊維、石綿、セラミツ
クウール等を積層一体化したものを採用してもよ
い等、特に断熱材の素材を限定するものではな
い。

なお、この断熱材１１を敷設する際に、補強構
造部材１０を並置するようにすれば、断熱材１１
が例え圧縮性に富むようなものを採用したとして
も、以下の構造を一体的に実現する上で支障を来
すことのないものとすることができる。

このようにして形成された断熱材層の上に、更
に、再度先の下面側の防水シート層２０と同様に
して、即ち、予め断熱材１１の上面に一体化され
た防水シートによるか、あるいは、全く別体の防
水シートを敷設するかして上面側の防水シート層
２１を形成した後、防水シート層２１上に直接屋
根面部材１５を敷設するようにするか、あるい
は、図示した実施例のとおり、まず、野地板、合
板等から成る下地板１２を既存屋根から成る下地
構造部分へ固定１３して完全な下地ごしらえを整
えてから、必要に応じて防水シート１４を敷設し
た上に、所望する屋根面部材、例えば、図示の例
のような瓦棒葺き屋根あるいは、瓦屋根、アスフ
アルトシングル屋根等の屋根を形成するような屋
根面部材１５を敷設する。

図中、９は、既存金属板葺屋根における吊子５
固定用釘、１６は、屋根面部材層内における吊
子、１７は、同キヤツプ材、１８は、同立上り連
結部、１９は、同吊り子１６固定用釘を夫々示し
ている。

このようにして形成された既存金属板葺屋根に
おける改修屋根構造によれば、既存金属板葺屋根
が、例え漏水個所その他において不都合のあるも
のであつても、屋根下地構造部分としては極めて
頑丈なものとして再利用が可能なものであること
から、新たに敷設する屋根面部材層の形成が、所
望の屋根面部材による所望の屋根外観を仕上げる
上で極めて容易なものとなり、しかも、断熱材層
と下地構造部分である既存金属板葺屋根との間、
および、断熱材層と屋根面部材層との間の双方に
防水シート層２０および２１を介在させた改修屋
根構造にしたことから、下地構造部分方向からの
湿気の浸入、即ち既存屋根における損壊個所その
他の間隙部からの湿気の浸入は勿論のこと、既存
屋根における金属板４，４……上での結露現象や
屋根面部材裏面側での結露現象の発生を能く防止
することになり、したがつて、断熱材層の断熱機
能を抵下させてしまうことがない大きな利点を有
することになる。この利点は、万が一屋根面部材
層から漏水があつたような場合においても同様に
発揮される。

更に特に重要な効果は、既存金属板葺屋根の立
上り連結部間にのみ防水シート層２０、断熱材層
１１、防水シート層２１から成る三層構造を実現
する如くして、既存金属葺屋根上に、順次防水シ
ート層２０、断熱材層１１、屋根面部材層の順に
各層が積層形成される構造とした効果である。即
ち、この構造により、まず上記した作用効果の如
く断熱材層の断熱機能の低下が能く防止されるこ
と、そして、立上り連結部を利用した屋根面部材
層の形成、固定が堅固なものとなり、防水機能の
劣化防止に大いに寄与し得るものとなること、
等々秀れた効果を奏するものとなることである。

更にまた、既存屋根を堅固な下地構造部分とし
たことから、その上層となるべき屋根面部材層の
構造をこの発明のもののように比較的軽便な構造
のものとして実施可能である上に、天幕等の上囲
いを必要としないこと、作業足場上有利であるこ
と、居住に支障なく作業の実施ができること
等々、通常の作業性に比較して極めて簡便且つ安
全で、しかも短期間の中に実現可能な改修屋根構
造となつていて非常に経済的なものとすることが
できる。

【図面の簡単な説明】

図面は、この発明の代表的な一実施例を示した
もので、第１図は、その改修屋根構造の層構成を
示す断面図、第２図は、本改修屋根構造における
下地構造部分である既存金属板葺屋根を示す参考
断面図である。 １：既存金属板葺屋根における垂木もしくは垂
木相当部材、２：同野地板、４：同金属板、５：
同吊子、７：同立上り連結部、１１：断熱材層、
１２：下地板、１５：屋根面部材、２０：下面側
の防水シート層、２１：上面側の防水シート層。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 金属板が互いに立上がり連結部により連結さ
   れている既存金属板葺屋根の、該立上がり連結部
   間にのみ防水シート層、断熱材層、防水シート層
   から成る三層構造を実現する如く、順次防水シー
   ト層、断熱材層、防水シート層、屋根面部材層の
   順に各層が積層形成されて成る既存金属板葺屋根
   における改修屋根構造。