JPS6243256Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は製氷機に関するものであり、特に製氷
用の水を製氷室に送るための分流室の構造に関す
るものである。

従来の製氷機として第１及び２図に示すような
ものが知られている。すなわち、製氷室１は下向
きに開口した多数のセル２を有しており、セル２
の上部には冷却管３が固定してある。製氷室１の
下側にはセル２内に製氷用の水を供給するための
水皿４が設けてあるが、これはポンプ５から水を
受け入れる分流室６と、受け入れた水を各セル２
の下に配分する送水パイプ７と、更に送水パイプ
７の水をセル２内に導びくための噴水穴８とを有
している。水皿４の下側には製氷用の水を貯える
水タンク９が設けてあり、ここから前述のポンプ
５によつて水が分流室６へと送られる。この製氷
機においては次のようにして製氷が行なわれる。
水ポンプ９内の水はポンプ５によつて送り出さ
れ、水皿４の接続口１０を通じて分流室６へ入
り、更に送水パイプ７へ送られ噴水穴８から各セ
ル２に入る。各セル２において流動する水は壁面
に近い部分から次第に凍結して氷に成長してい
く。凍結しなかつた水は水皿４の戻り穴１１から
水タンク９に落下して再び循環される。こうして
氷が徐々に成長して角氷ができ上がる。

しかしながら、このような従来の製氷機には次
のような欠点があつた。すなわち、製氷室１のセ
ル２の数に対してポンプ５の吐出能力が不足して
くると、製氷用の水の水量、水圧が共に限界に達
し、各セル２内に噴き上げられる水がセル２内の
隅々まで行きわたらず、角の欠けた変形氷を生じ
たり、あるいは水の流動不足から部分的に白濁し
た角氷を生じたりして、望ましい角氷を得ること
ができないという欠点があつた。このような不具
合を解消するために十分な能力を有する大型のポ
ンプを使用することも考えられるが、そのこと自
体が価格上昇の原因となり不経済であるのに加え
て、省エネルギーの観点から電力機器を小型化し
たいという要請に反することになる。

従つて、本考案は、小型のポンプを使用して、
しかも変形角氷や白濁氷を生ずることのない製氷
機を得ることを、その目的とするものである。

以下、本考案を添付図面の第３及び第４図に基
づいて説明する。

考案者は、ポンプの能力が不足している場合は
もちろんのことポンプの能力が比較的ある場合で
も、１つの入口と多数の出口とを有する分流室に
おける水の乱流現象が上記不具合に対して大きく
影響していることを見い出した。すなわち、前述
のように従来の水皿では、ポンプからの水を接続
口を通じて分流室に受け入れ、分流室から各送水
パイプを介して各噴水穴に送つているが、接続口
の近傍においてはその管径や水の流速などの諸条
件により乱流現象を生ずる。すなわち、従来周知
のごとく流れの各点で不規則な振動が生じている
のである。このために、分流室から分岐している
各送水パイプの水圧の内、乱流現象が発生してい
る付近の送水パイプにかかる水圧は他の送水パイ
プの水圧と比較して低くなると言つた水圧の不均
衡を生ずる欠点があつた。従つて、本考案ではこ
の乱流現象の影響を除去し、水圧の不均衡を改善
するために次のような構成にしてある。

第３及び第４図に示すように、水タンク９から
の水をポンプ５によつて分流室６に入れるための
接続口１０と該接続口１０に近接し、各送水パイ
プ７の入口と連通する出口部１４との間に均圧板
即ち邪魔板１２が設けてある。均圧板１２は分流
室６の下壁から上壁まで伸長しており、また横方
向の長さは乱流を生じる範囲（接続口１０の近く
の数本の送水パイプ７がある範囲）よりも少し長
くしてある。水皿４のその他の部分の構成、及び
製氷室１、水タンク９、ポンプ５等の構成につい
ては従来のものと特に相違しないので説明を省略
する。

この製氷機によると次のようにして製氷が行な
われる。水タンク９内の水はポンプ５によつて送
り出され、接続口１０から分流室６に入る。この
際、接続口１０の周辺にのみ乱流現象が生ずる
が、その影響は分流室６の下壁から上壁まで伸長
する均圧板１２によつて確実に阻止されて前記接
続口１０の周辺の分流室６の出口部１４には及ば
ず、しかも接続口１０に近接する送水パイプ７に
は均圧板１２をう回して水圧低下のない水が送ら
れることになる。こうして、乱流現象による水圧
低下もなく水は各送水パイプ７へスムーズに送ら
れ、噴水穴８から各セル２に入る。各セル２内に
おいて流動する水は壁面に近い部分から次第に凍
結して氷に成長していく。凍結しなかつた水は水
皿４の戻り穴１１から水タンク９に落下して更び
循環される。こうして氷が徐々に成長して角氷が
でき上る。

以上の説明から明らかなように、本考案による
と、分流室の接続口の近傍において、接続口と多
数の出口部のうち接続口に近接する数個のものと
の間に、分流室の下壁から上壁まで伸長する邪魔
板を分流室の左右側壁（第２図において送水パイ
プに平行な壁）の少なくとも一方に接触すること
なく設けてあるので、乱流現象を生じても送水パ
イプへはその影響が直接的には及ばない。従つ
て、各セル内に噴き上げられる水は安定した状態
でセルの隅々にまで行きわたり、角の欠けた変形
氷を生ずることはなくなり、また白濁した角氷を
生ずることもなくなる。これによつて、同一数の
噴水穴を有する水皿に対してより小型のポンプを
使用することができるようになり、経済的であり
且つ省エネルギー化することができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来の製氷機の正断面図、第２図は従
来の製氷機の水皿の一部切断平面図、第３図は本
考案による製氷機の正断面図、第４図は本考案に
よる製氷機の水皿の一部切断平面図である。 １……製氷室、２……セル、３……冷却管、４
……水皿、５……ポンプ、６……分流室、７……
送水パイプ、８……噴水穴、９……水タンク、１
０……接続口、１１……戻り穴、１２……均圧板
（邪魔板）、１４……出口部。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 下向きに開口した多数のセル２を有する製氷室
   １と、製氷室１の下に配置されて製氷室１に製氷
   用の水を供給するための水皿４と、製氷用の水を
   貯える水タンク９と、水タンク９の水を水皿４へ
   圧送するためのポンプ５と、を有し、上記水皿４
   にはポンプ５から受け入れた水をセル２の下に配
   送する複数の送水パイプ７と、該送水パイプ７内
   の水をセル２内に噴水するための噴水穴８と、凍
   結しなかつた水を水タンク９へ戻すための戻り穴
   １１とを有する、製氷機において、前記ポンプ５
   から圧送される水を受け入れる接続口１０と受け
   入れた前記水を各送水パイプ７へ送出する出口部
   １４とを備えた分流室６内に、前記接続口１０と
   前記出口部１４のうち該接続口に近接する数個の
   ものとの間で前記分流室６の下壁から上壁まで伸
   長する邪魔板１２を前記分流室の左右側壁の少な
   くとも一方に接触することなく設けたことを特徴
   とする製氷機。