JPS6242774Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は例えば転炉内壁の損傷に対し粉未状の
耐火性溶射材料（以下、「溶射粉末」という）を
支燃性ガス−可燃性ガス火炎中に供給して溶融
し、高速で噴射して損傷部に融着させる火炎溶射
法に使用する溶射バーナーに関するものである。

従来は火炎溶射法によつて転炉、取鍋、電気炉
等の内壁を補修する場合炉側壁、炉底等補修すべ
き部位に応じてそれぞれに適応した方向性のある
溶射バーナーを用意し必要に応じて取り替えてい
た。このため溶射バーナー自体の重量が重いこと
も原因して溶射バーナー駆動装置への脱着作業に
手間がかかるという不都合があつた。

本考案は２以上に分岐して構成したバーナー本
体の各分岐にノズルを自在に取り付け溶射方向を
自由に変え得るようにして前記不都合を解決した
溶射バーナーに関するもので、耐火性溶射材料を
含有する可燃性ガス又は支燃性ガス流路及び支燃
性ガス又は可燃性ガス流路を同心二重に構成した
溶射バーナーにおいて、該バーナー中心軸上と、
該中心軸に対して直角方向とにそれぞれ流路を分
岐して分岐部を有する流路を形成し該分岐したそ
れぞれの先端部に夫々噴出口を設けるとともに各
噴出口には前記バーナーの各ガス流路と対応した
流路及び噴出口を有するノズルと、前記分岐部の
一方の流れを妨げない長さを有すると共に端面を
他方の流路の流通を円滑ならしめるように形成
し、かつ耐火性溶射材料を含有するガス流路に挿
入して使用するプラグを介して盲金物とが着脱自
在に螺合するようにしたことを特徴とするもので
ある。

以下、本考案を実施例により図面を用いて説明
する。

第１図はバーナー本体の横断面図、第２図は第
１図のＸ部拡大図、第３図は第１図の−断面
図である。図において、バーナー本体１はその中
心に可燃性ガス若しくは支然性ガスと溶射粉未と
が流れる溶射粉未含有ガス流路２を形成する管３
とその外周に支燃性ガス若しくは可燃性ガスが流
れるガス流路４を形成する管５と更にその外周に
冷却水通路６を形成する冷水ジヤケツト７とを同
心に配設してなる多重管であると共に、そのガス
噴出口は二つに分岐し一方の分岐１Ａはバーナー
本体１の軸上に、他方の分岐１Ｂはバーナー本体
１の軸と直角に構成されている。そしてそれぞれ
の分岐１Ａ，１Ｂは中心に溶射粉末含有ガス流路
２Ａ，２Ｂを形成する管３Ａ，３Ｂとその外周に
ガス流路４Ａ，４Ｂを形成する管５Ａ，５Ｂと更
にその外周に冷却水通路６Ａ，６Ｂを形成する冷
水ジヤケツト７Ａ，７Ｂとを同心に、かつ分岐し
て配設してなる。更に前記分岐１Ａ，１Ｂの端部
においては第２図の如く前記管３Ａ，３Ｂの内側
にネジ部８Ａ，８Ｂ及び該ネジ部８Ａ，８Ｂの終
端にはキー溝部９Ａ，９Ｂが設けられている。な
お、管３Ａ，３Ｂの端部は冷水ジヤケツトの端部
が覆うよう内側に位置して構成する。次に冷水ジ
ヤケツト７，７Ａ，７Ｂと管５，５Ａ，５Ｂとの
間には第３図の如く仕切板１０が設けられて冷却
水流路６，６Ａ，６Ｂは二分され、更に冷却水流
路６Ａ，６Ｂの各二分されたそれぞれには端部に
ユニオンジヨイントの如き連結具１３をそれぞれ
有する冷却水管１１Ａ，１１Ｂ及び１２Ａ，１２
Ｂが連通している。なお冷却水管１１Ａ，１１
Ｂ，１２Ａ，１２Ｂは取扱上可撓管を使用すると
好都合である。

次に第４図は前記分岐１Ａ，１Ｂの端部に適宜
螺合するノズル１０１で中心に分岐１Ａ，１Ｂの
溶射粉末含有ガス流路２Ａ，２Ｂと合致する溶射
粉末含有ガス流路１０２を形成する管１０３が設
けられ、一端は噴射口Ａを、他端には分岐１Ａ，
１Ｂの端部に適宜螺合するネジ部１０８が形成さ
れている。そして管１０３の外周にはガス流路１
０４を形成し、その一端は前記分岐ガス流路４
Ａ，４Ｂと合致するよう配置され、他端は噴射口
Ａに向けて噴気する複数の噴気口Ｂを形成してい
る。更に外周には冷却水通路１０６を形成した冷
水ジヤケツト１０７及び前記冷却水通路１０６に
連通すると共に端部にユニオンジヨイントの如き
連結具１１３を有する冷却水管１１１，１１２が
設けられている。このように構成したノズル１０
１は前記分岐１Ａ，１Ｂの端部に適宜ネジ部１０
８と８Ａ，８Ｂとを螺合して一体に固着して使用
され、この時冷却水管１１１，１１２は前記バー
ナー本体１の冷却水管１１Ａ，１２Ａと連結具１
１３と１３を介して連結する。

次に第５図は盲金物２０１で、バーナー本体１
の分岐１Ａ，１Ｂの端部で冷水ジヤケツト７Ａ，
７Ｂの内壁にほぼ気密に内挿し得るように円柱状
部２０２に形成し、かつ一方の端面には前記バー
ナー本体１の分岐１Ａ，１Ｂに配設された管３
Ａ，３Ｂに設けたネジ部８Ａ，８Ｂに螺合するネ
ジ部２０３を設けて分岐１Ａ，１Ｂの端部に螺合
する。

次に第６図に示すプラグ３０１は鍔部３０２を
有する円柱状に形成し、円柱部３０３はバーナー
本体１の分岐１Ａ，１Ｂの管３Ａ，３Ｂに内挿し
得る大きさとすると共につば部３０２は前記管３
Ａ，３Ｂの内径より大、かつ管３Ａ，３Ｂの端部
のネジ部８Ａ，８Ｂの内径よりは小とする。更に
前記鍔部３０２には前記管３Ａ，３Ｂのキー溝部
９Ａ，９Ｂに入り込む突起キー３０４を少なくと
も１つ設ける。なおプラグ３０１の円柱部３０３
の長さは分岐１Ａ，１Ｂの管３Ａ，３Ｂの流路２
Ａ，２Ｂのうちの一方の流れを妨げないような長
さとすることは言う迄もないが、更に円柱部３０
３の端部の形状については分岐１Ａ，１Ｂのいず
れに用いるかによつて若干変えるのが好ましくこ
れについては後述する。

このように構成した盲金物２０１とプラグ３０
１を、前記分岐１Ａ，１Ｂの一方に固着する時、
例えば分岐１Ａに固着する時はプラグ３０１の円
柱部３０３を溶射粉末含有ガス流路２Ａに挿入し
鍔部３０２に設けた突起キー３０４をキー溝部９
Ａに嵌合し、ついで盲金物２０１を該盲金物２０
１のネジ部２０３をネジ部８Ａに螺合して上記プ
ラグ３０１を押圧固着すればよい。なお、この時
分岐１Ａの冷却水管１１Ａ，１２Ａについては第
７図に示すようにバイパス管１４によりバイパス
しておく。また、分岐Ｂに盲金物２０１、プラグ
３０１を固着する時は上記に準じて行なえば良
い。

次に上述の如く構成した溶射バーナーの組み立
て及び作用を第７図、第８図に例示した横断面図
を用いて説明する。第７図はバーナー本体１の軸
上に火炎を発生させる場合で、この場合には分岐
１Ａの先端にノズル１０１を、分岐１Ｂの先端に
はプラグ３０１及び盲金物２０１を固着する。そ
して溶射粉末含有ガス流路２に支燃性ガス若しく
は可燃性ガスと溶射粉末とを矢印の如く流すとノ
ズル１０１の噴射口Ａから外部に噴出し、また流
路４Ａに可燃性ガス若しくは支燃性ガスを矢印の
如く流すとノズル１０１の流路１０４を介して複
数の噴気口Ｂから前記噴射口Ａに向けて噴出す
る。なお、分岐１Ｂでは盲金物２０１、プラグ３
０１で各流路が閉塞されているので上記ガスは全
く流れない。また前記流路２Ａ，４Ａに流すガス
については、例えば溶射粉末含有ガス流路２Ａに
可燃性ガスを流した時にはガス流路４Ａには支燃
性ガスを流し、又は逆にする等異なつたガスをそ
れぞれの流路２Ａ，４Ａに流すことは言う迄もな
い。更に分岐１Ｂの流路に挿入するプラグ３０１
についてはその円柱部３０３の端面を管３の内面
の形状に合わせて曲面状に切削すると該プラグ３
０１を挿入しても管３の内面にはプラグ３０１の
円柱部３０３部分に何ら凹凸が生ぜず従つて溶射
粉末含有ガス流路２内の流体の抵抗になつたり溶
射粉末が滞留することなく円滑な流れを維持する
ことができ良好となる。

次に冷却水の流れについて説明するとバーナー
本体１の紙面上側の冷却水通路６に導入された冷
却水は分岐１Ａ方向に流れ冷却水通路６Ａ、冷却
水管１１Ａ、連結具１３−１１３、冷却水管１１
１を介してノズル１０１の冷却水通路１０６を流
れ、次に冷却水管１１２、連結具１１３−１３、
冷却水管１２Ａを介して分岐１Ａの紙面下側の冷
却水通路６Ａに戻り今度は分岐１Ｂに向かう。即
ち該紙面下側の冷却水通路６Ａを流れる冷却水は
同通している冷却水通路６Ｂに流れ、該冷却水通
路６Ｂから冷却水管１２Ｂ、連結具１３、バイパ
ス管１４、連結具１３を介して分岐Ｂの紙面右側
の冷却水通路６Ｂに戻り、冷却水通路６から導出
する。このように冷却水はバーナー本体１及びノ
ズル１０１を循環冷却する。なお冷却水の流れ方
向については前記と逆でも一向に差支えない。

次に第８図はバーナー本体１の軸と直角方向等
角度をもつた方向に火炎を発生させる場合で、こ
の場合には分岐１Ｂの先端にノズル１０１を、分
岐１Ａの先端にはプラグ３０１、盲金物２０１を
固着する。即ち第８図において分岐１Ａの流路２
Ａにプラグ３０１を内挿し、盲金物２０１を固着
した後バイパス管１４を分岐１Ａの冷却水管１１
Ａ，１２Ａに連結金具１３を介して接続する。一
方分岐１Ｂにはノズル１０１を固着した後冷却水
管１１Ｂを冷却水管１１１と、１２Ｂを冷却水管
１１２とそれぞれ連結金具１３，１１３を介して
接続する。なお、ノズル１０１をネジ部８Ｂとネ
ジ部１０８との螺合によつて固着するので締め加
減によつてはノズル１０１の冷却水管１１１，１
１２の位置がバーナー本体１の分岐１Ｂの冷却水
管１１Ｂ，１２Ｂと若干ずれることがあるが、こ
の場合でも冷却水管１１Ｂ，１２Ｂ，１１１，１
１２に可撓管を使用すれば容易に接続できる。な
おこの場合上記プラグ３０１の円柱部３０３の端
面についてはプラグ３０１の軸に対し約45度に切
削した切削面３０５を形成すると分岐１Ｂの溶射
粉末含有ガス流路２Ｂの流れを円滑にし好都合で
ある。このプラグ３０１は切削面３０５が常に流
路２内の流体を分岐１Ｂに流せるよう該プラグ３
０１の鍔部３０２に設けた突起キー３０４により
設定する。

このように第８図の如き配置において、溶射粉
末含有ガス流路２内の流体は矢印方向に流れプラ
グ３０１で直角に曲げられて分岐１Ｂの溶射粉末
含有ガス流路２Ｂを経てノズル１０１の噴射口Ａ
から噴出する。またガス流路４内の流体について
も盲金物２０１によつて分岐１Ａからは噴出せ
ず、全量が分岐１Ｂのガス流路４Ｂを経てノズル
１０１の流路１０４に流れ更に複数の噴気口Ｂよ
り噴射口Ａに向けて噴出する。冷却水についても
前記同様である。

本考案の溶射バーナーは上述の如くであり、次
にこれを転炉の炉壁の補修などに使用した場合を
一例として第９図により説明する。

第９図において、補修のため横置きにしてある
転炉２０内にバーナー本体を配置し、まずノズル
１０１を分岐１Ａに、盲金物２０１、プラグ３０
１を分岐Ｂに装着し、ノズル１０１から溶射粉
末、可燃性及び支燃性ガスを噴出し火炎溶射する
と炉底２０Ａが補修できる。次にバーナー本体１
を引き抜きノズル１０１と盲金物２０１、プラグ
３０１の位置交換を行つて分岐１Ａに盲金物２０
１、プラグ３０１を、一方分岐１Ｂにノズル１０
１を装着して転炉２０内に配置しバーナー本体１
を回転させつつ火炎溶射を行なうと炉側壁２０Ｂ
の全周が補修できる。

上述の如く、本考案の溶射バーナーによれば、
バーナー本体が先端で分岐していると共に各分岐
においてノズル、盲金物、プラグ等を脱着自在な
構成としたので、バーナー本体に対しノズル、盲
金物、プラグ等を取り付け、又は取り替えるだけ
で転炉、取鍋、電気炉等の炉側壁及び炉底を補修
することができる。また本考案の溶射バーナーに
よればノズル、盲金物、プラグ等比較的軽量な部
品の交換ですみ、従来の如く重量の大きい溶射バ
ーナー自体を交換するのに比べ大巾に作業性が向
上し実用的である。更に溶射バーナーの一方の分
岐に装着するプラグは、他方の分岐の流れを妨げ
ない長さとすると共に該プラグの端面を該他方の
分岐の流れが円滑になるような形状にしたので良
好な溶射を実施することができる。なお、本考案
の溶射バーナーでは分岐は必ずしも２つに限定す
ることなく泌要に応じて３つ以上に分岐して使用
することも可能であり応用範囲が広い。

【図面の簡単な説明】

図は本考案の溶射バーナーの実施例を示すもの
で、第１図はバーナー本体の横断面図、第２図は
第１図のＸ部拡大図、第３図は第１図−断面
図、第４図はノズルの断面図、第５図は盲金物の
断面図、第６図はプラグの断面図、第７図、第８
図は溶射バーナーの夫々別の使用例を示す断面
図、第９図は溶射バーナーの使用方法説明図であ
る。 １はバーナー本体、１Ａ，１Ｂはバーナー本体
１の分岐、２，２Ａ，２Ｂ，１０２，１０４はガ
ス流路、７，７Ａ，７Ｂは冷水ジヤケツト、８
Ａ，８Ｂ，１０８はネジ部、１０１はノズル、Ａ
は噴射口、Ｂは噴気口である。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 耐火性溶射材料を含有する可燃性ガス又は支燃
   性ガス流路及び支燃性ガス又は可燃性ガス流路を
   同心二重に構成した溶射バーナーにおいて、該バ
   ーナー中心軸上と、該中心軸に対して直角方向と
   にそれぞれ流路を分岐して分岐部を有する流路を
   形成し該分岐したそれぞれの先端部に夫々噴出口
   を設けるとともに各噴出口には前記バーナーの各
   ガス流路と対応した流路及び噴射口を有するノズ
   ルと、前記分岐部の一方の流れを妨げない長さを
   有すると共に端面を他方の流路の流通を円滑なら
   しめるように形成し、かつ耐火性溶射材料を含有
   するガス流路に挿入して使用するプラグを介して
   盲金物とが着脱自在に螺合するようにしたことを
   特徴とする溶射バーナー。