JPS624097B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明はコーヒーエキスの製造方法に関し、更
に詳細には噴霧乾燥又は凍結乾燥等により更に加
工して製造するインスタントコーヒー製造のため
のコーヒーエキストラクトに関するものである。

通常、インスタントコーヒーの製造はシユベツ
ツ著「コーヒーテクノロジー」に見られる如く、
５ないし８個の抽出カラムから成る一式のパーコ
レーターを用い、焙煎し、粉砕されたコーヒーを
向流法を用いて熱水で抽出し、乾燥等の後工程を
経て生産される。この場合、コーヒー固型分の抽
出は最も消費されたコーヒーを充填した抽出カラ
ムより始まり、最も新鮮なコーヒーが充填されて
いる抽出カラムを最終的に通過して終了する。こ
のように新鮮なカラムは既にある程度の固形分が
溶解している液で抽出される。抽出は特に初期段
階に於ては前記のシユベツツも述べているように
浸透圧の原理で抽出される。したがつて、抽出効
率はコーヒー細胞内の固型分含量と抽出すべき液
の濃度差に依存する。前述の如く通常の抽出工程
の場合では、既に多量のコーヒー固型分を含んだ
液で抽出することとなり、新鮮な抽出カラムでの
抽出効率は悪くなるであろうことが容易に推定で
きる。

一方、コーヒーの香気物質は熱による損傷を受
け易く、したがつて低温での抽出、処理が望しい
ことは良く知られている。換言すれば、コーヒー
抽出は出来る限り初期段階、即ち、コーヒー固型
分含量の低い抽出液で新鮮なカラムを抽出するこ
とによつて望しいコーヒー抽出液が高能率で得ら
れる。

従来、この様な望しい抽出を実施する為、５な
いし８個の抽出カラムから成る一式のパーコレー
ターに於て、第一次抽出および第二次抽出が行わ
れた。すなわち、新鮮な焙煎粉砕コーヒーを充填
したカラムおよびこれに続く１ないし２個のカラ
ムをコーヒー抽出固形分を含まない新鮮な水で抽
出する第一次抽出と、一方、第一次抽出の終了し
た抽出カラムを第二次抽出用カラムとし向流法に
より最も消費された第二次抽出カラムから高温度
の給水を行つて抽出する第二次抽出とを併用する
ことから成る。この場合、新鮮なカラムの抽出
（第一次抽出）は香気物質の熱による損傷を最少
限に保つ為、比較的低温（例えば80〜150℃）と
する。一方、第二次抽出用カラム列のうち最も消
費された抽出カラムへの給水（第二次抽出）は高
温（例えば、160〜190℃）とする。即ち、従来の
抽出方法が１つの給水ラインで抽出するのに対し
て二系列の抽出を行うものである。

この様な二系列抽出の場合、新鮮なカラム部の
抽出（第一次抽出）は、前述の如く低温で行うの
が望しく、この為抽出後期に得られる抽出液は低
濃度となる。一方、第二次抽出における初期流出
液は主として第一次抽出残留液である。即ち、一
般に抽出カラムに焙煎粉砕されたコーヒーを充填
した場合、この空隙を満すためにはコーヒーに対
する重量比で1.5ないし2.0倍の水を要する。換言
すれば、1.5ないし2.0倍の水を排出しなければ新
たな真の第二次抽出は行い得ない。二段階抽出の
優位性は多く認められており、例えば米国特許
3790689；3810766；3965269および3995067に見ら
れるように実用化への努力がなされてきた。しか
しながら、第二次抽出の初期流出液（大部分が第
一次抽出を行つたカラム中の残留液）が低濃度で
あるため、全体として安定した運転を行うことが
できず、実用化に問題があつた。即ち、このよう
な初期流出液を含む第二次抽出液濃度は抽出量に
もよるが、約３ないし８％である。これを通常望
まれる濃度にするには80ないし90％の水を除去す
ることが必要である。この大量の水を例えば熱濃
縮によつて行うとすればコーヒー固型分は１ｇ当
り少くとも８ないし10キロカロリーの熱を受ける
ことになる。この様な多量の熱により、コーヒー
固形分が熱損傷を受け、最終製品に悪影響を与え
る。

本発明者等はこの二段階抽出において、第二次
抽出を更に二段階に分割し、コーヒー固形分が比
較的低濃度である初期流出液と加水分解により高
濃度になる後期流出液との２種を得ることにより
高品質のコーヒーエキスを得ることに成功した。
この方法は通常の経済的収率および生産性を維持
しながら、可溶性コーヒーのフレーバー特性を著
しく改善した。この方法は第一次抽出すなわち大
気圧可溶化処理と、第二次抽出すなわち過圧（オ
ートクレーブ）可溶化処理とを別に行い、更に過
圧処理における流出液を分割（すなわち高圧にす
る前に第一次抽出の残留液を別に回収することに
より、過圧抽出液に持込まれる大気圧抽出液を別
途回収することから成る。この分割回収に加え
て、望ましい風味を保持し、好しくない風味を除
去するための処理を行うこともできる。すなわ
ち、大気圧流出液を凍結濃縮して全ての風味およ
び香りを保存し、過圧抽出のうちの初期流出液か
ら芳香成分を回収してこれを保存し熱濃縮後の第
二次抽出液に再添加し、これによつて過圧抽出に
より生じる固型分から実質的に成る過圧抽出後期
流出液は、好しくない香りを除去する直接熱濃縮
により品質を向上することができる。

大気圧抽出において得られる良好な風味および
香り成分の分解のような標準方法における問題は
本発明では生じない。標準方法では大気圧抽出に
よる成分の相当量が過度に高い温度に曝され、ま
たは過圧抽出成分と組合わされまたは失われる。

したがつて、本発明の方法は、経済的に好しい
収率および生産性における改善された操作を与え
るものであることが判つた。

この結果、高濃度の芳香成分および可溶性成分
を含有するコーヒーエキスを得ることができ、そ
れによつて強力で豊かなよりレギユラーコーヒー
に似た特徴をもつフレーバーを有する最終可溶性
コーヒー製品が得られる。

本発明によれば、約100ないし145℃に加熱され
た水を第一次抽出域に供給し、一方、160ないし
190℃、好しくは170ないし185℃に加熱された水
を第二次抽出域に供給する。第一次抽出用のカラ
ムは２個以上、好しくは２または３個用いる。第
一次抽出が２個のカラムから成る場合、２個のカ
ラムを通過した第一次抽出液は１個のカラムに充
填された焙煎磨砕コーヒーの約1.5ないし2.0倍の
容量になるまで採取される。その後新鮮供給水の
導入を２番目のカラムに移し、得られた流出液を
新鮮な焙煎磨砕コーヒーを充填し、新たにカラム
列に付加した第３番目のカラムに供給する。１個
のカラムに充填されたコーヒーの約1.5ないし2.0
倍の第一次抽出液を第３番目のカラムから採取す
る。第一次抽出終了後に系から除かれた第１番目
のカラムは第二次抽出用の一連のカラム列の最も
新鮮なカラムとして加えられる。

第二次抽出域は少くとも３個、好しくは３ない
し５個のカラムから構成される。３個のカラムを
使用する場合、加熱された新鮮水を最も消費され
たカラム（第１番目のカラム）に供給し、１個の
カラムに充填された約1.5ないし2.0倍の初期流出
液を得る。この流出液は前に第一次抽出カラム列
から除かれて第二次抽出カラム列に加えられた最
も新鮮な第３番目のカラムから採取される。初期
流出液の主たる成分は第一次抽出の最後に抽出さ
れたカラム中に残存していた液であり、その固形
分含量は低く、約３ないし６％である。この初期
流出液は熱濃縮後後続の第二次抽出液といつしよ
にされる。初期流出液採取後、１個のカラムに充
填されたコーヒーの約1.5ないし２重量部の抽出
液を採取する。後期流出液は必要に応じて濃縮初
期流出液と合わせた後、更に熱濃縮する。

コーヒー芳香成分に富んだ第一次抽出液は凍結
濃縮し、前記の濃縮第二次抽出液（濃縮初期流出
液と後期流出液との混合物）と混合する。混合さ
れたエキスは通常凍結乾燥されて風味に富んだ可
溶性コーヒー製品を得る。この場合、凍結乾燥に
代えて、噴霧乾燥等のどのような公知乾燥方法も
使用できる。

別の態様としては、第二次抽出液混合物を、濃
縮前に例えば米国特許4107339および4281023に記
載されたような方法によつてストリツピングし、
全抽出混合液を熱濃縮した後、芳香成分をこれに
添加し、または第一次抽出液に再添加して、芳香
を強化したコーヒーエキスを得ることができる。

初期流出液の固型分含量は約２ないし４％であ
り、後期流出液は約５ないし12％、通常約10％で
ある。初期流出液は少量であり、コーヒー固型分
も比較的低濃度であるため、これを加熱濃縮して
第二次抽出液と合わせても最終製品の品質に悪影
響を与えることなく、望しい濃縮エキスを得るこ
とができる。一方、後期濃縮液は比較的高固型分
含量であり、したがつて最少限の熱で濃縮してコ
ーヒーの芳香に対する損傷を最小にすることが好
しい。

本発明の方法による各段階の抽出濃度曲線を第
１図に示す。

可溶性コーヒーのサンプルは本発明の方法によ
つて製造され、その味覚は慣用の分割抽出法によ
つて製造されたコーヒーサンプルを官能試験（訓
練された試験管による）により比較した。

本発明のエキスから製造したコーヒー製品は従
来の製品よりも風味およびこくに富んでおり、焙
煎磨砕コーヒー豆からいれたレギユラーコーヒー
のフレーバー特性を多く持つていた。最も顕著な
特徴は本発明の製品が高PHでありながら高滴定酸
度を示すことであり、この酸度形成酸はコーヒー
にこくを与え、芳醇な厚みのある製品を作つた。

本発明を実施例により更に説明する。

実施例 コーヒー豆を通常の方法で焙煎し、これを８メ
ツシユ以上の粒度が全重量の45ないし75％になる
ように粉砕し、第一次抽出用の第１番目の抽出カ
ラムに充填した。最初145℃に加熱した水を第１
番目のカラムに供給した。第２番目のカラムに同
様の粉砕焙煎コーヒー豆を充填し、第１番目のカ
ラムから流出してきた抽出液を供給した。１個の
カラムに充填したコーヒーに対して重量比で約
1.5倍の抽出液を採取した。次いで、145℃に加熱
した新鮮水を第２番目のカラムに供給し、このカ
ラムからの流出流を、予じめ新鮮な煎磨砕コーヒ
ーを充填した第３番目のカラムに供給した。充填
コーヒーの約1.5重量倍の抽出液を第３番目のカ
ラムから採取し、次いでこのカラムに145℃の新
鮮水を供給した。以下同様な方法で漸次カラムを
変えて抽出を続けた。

一方、第一次抽出の終了したカラムを用いて第
二次抽出を行つた。第二次抽出カラム列の第１番
目のカラムへ約180℃の水を、第一次抽出とは別
のポンプで供給し、得られた流出液を第２番目の
カラムに導入した。次いで、第２番目のカラムか
らの流出液を第３番目のカラムに導入し、抽出液
を得た。

このように第二次抽出は少くとも３個のカラム
によつて抽出した。この第二次抽出において、第
３番目のカラムから、充填コーヒーの約2.1重量
倍の初期流出液を採取し、次いで約1.5倍の後期
流出液を別に採取した。3.3％固型分濃度の初期
流出液を熱濃縮し、後期流出液と合せて後の使用
に供した。ここで後期流出液は8.5％の高固型分
濃度を持ち、ストリツピング後、前記初期流出液
と混合され、所期の濃度（38.3％固型分）を持つ
コーヒーエキスに加熱濃縮した。

予じめ得た第一次抽出液（18.3％固型分）に、
ストリツピングにより回収した芳香成分を添加し
た後、凍結濃縮して風味に富んだ高濃縮コーヒー
エキスを得た。

第一次および第二次抽出液を混合し、凍結乾燥
して、より強い、風味に富み、レギユラーコーヒ
ーにより似ている風味、香りの特性を持つ高品質
の香り豊かなインスタントコーヒーを得た。

【図面の簡単な説明】

図は本発明の方法において各抽出段階における
抽出液のコーヒー固型分濃度の変化を示すグラフ
である。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ それぞれに新鮮な焙煎磨砕コーヒー豆を充填
   した２個以上のカラムに比較的低温の水を供給す
   る第一次抽出と、第一次抽出で使用済みの３個以
   上のカラムを用い比較的高温の水を供給する第二
   次抽出とから成る分割抽出による高品質コーヒー
   エキスの連続向流製造方法において、第一次抽出
   液に似たフレーバー品質を持ちかつ低コーヒー可
   溶性固型分含量を有する前記第二次抽出の初期流
   出液と、低フレーバー品質で高コーヒー可溶性固
   型分を持つ第二次抽出の後期流出液とを、前記第
   二次抽出において別々に採取することを特徴とす
   る方法。