JPS6240475B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 従来の紙料調製技術では様々な量の不都合な異
物を含む液状紙料の懸濁物をスクリーンに送り込
み紙料を製紙機械の紙形成表面に送入する前に少
なくとも異物または粕を取除いている。

普及型のスクリーン装置では紙料を送入する多
孔の円筒スクリーンが用いられる。スクリーン非
通過物は垂直に配列された下端から通常抜き出さ
れ、このスクリーンの多孔を通り抜けてくる繊維
紙料は捕集される。さらに、回転翼その他の装置
をスクリーン表面の内側または外側に設けてスク
リーン孔の目詰まりを防止する。

例えば、米国特許第3617008号のスクリーンは
丸い孔またはスロツトを水平かもしくは垂直に配
列してなる。回転翼のような装置部分はスクリー
ンの内面または外面を走過して回転しスクリーン
の表面と平行な流れを細断しそのさいの剪断作用
によつて結束繊維を剪断するのである。

スクリーン開孔の寸法は特定されていないが普
通のスロツトは幅が0.010インチ以上でありこの
ためかなりの異物、粕がスクリーン通過物と一緒
にスクリーンを通り抜ける。さらに、通常のスロ
ツト付きの円筒スクリーンの場合、スクリーン非
通過物を伴つた紙料繊維が、異物や粕がきわめて
微細なものまで除こうとすると、より一層多量に
排除されることになつてしまう。

米国特許第3849302号では商業ベースの紙料ス
クリーニング方法および装置が開示されている。
この装置の円形スクリーンはその内面を走過する
がこの内面から十分離間されてスクリーン内面に
隣接した筒状の液層を形作る垂直なスロツトおよ
び回転自在の回転翼をそなえてなる。これは丸い
孔を有する従前のスクリーンに比べてスロツト上
下間隔が0.008ないし0.015センチメートル程度と
小さくしてなるとともにスロツト幅が約0.025な
いし0.08センチメートルの範囲内になるようにし
てスクリーニングの効果を向上させている。この
場合実際上効率的なスロツト幅として約0.025な
いし0.08センチメートルが提案されている。

さらに、上下幅を0.025センチメートルよりは
るかに小さくすると、微細繊維のみを通過して本
来ならば望ましい長繊維を粕としてかなり失なう
ことが判明した。良好な繊維の損失を意に介しな
ければ市販のスクリーンの上下スロツトをさらに
狭くすることによつてスクリーン通過物が送入量
に比べかなり少なくなるので通過率ははるかに低
下する。

多孔の径をきわめて小さくすることに伴う問題
さらに開孔を通り抜ける微粒子の阻止にはそのた
めの補助的なスクリーニング作用を追加しなけれ
ばならなかつた。一つの例ではスクリーンのシリ
ンダーの紙料入口に長繊維および非通過物粒子の
層状ネツトワークを形成させるものがある。この
ネツトワークの開孔をきわめて小さく粒子を通過
させるか排除するかを決める実際の基準がスクリ
ーン自体の開孔寸法からずれてくることを覚悟し
なければならない。

第２のグループのスクリーンは、上記のような
液層の形成は効率的でないとし、またさらに粒子
の通過、排斥はスクリーンシリンダーの開孔の寸
法と形状によつて決めようとするものである。そ
れ故、この第２のグループに属するスクリーン
は、粒子の最長または最も幅広の側面が開孔と向
き合うように細長い粒子を配向させて過効率を
最大化する方向で研究された。特定の配向特性を
与えないと、長い粒子は流線に対してそれ自体が
平行になりスクリーン開孔から望ましくない粕を
通り抜けさせてしまうことになる。

以上のような従来のスクリーンでは、スクリー
ンシリンダーの紙料導入側のスクリーン面に隣接
して内部乱流を高めることは機械的に有害であ
る。すなわち第１の例では、境界部のネツトワー
クが破損するおそれが、また第２の例では繊維の
配向がさらに一層ランダムになつてシリンダーを
望ましくない粒子が楽に通過するおそれがそれぞ
れ生ずる。

一方、内部乱流または流体による剪断力が全体
として失われると、フロツクが形成されてスクリ
ーンで排除されてしまうので無視し難い繊維ロス
を生ずる。

従つて、従来のスクリーンでは内部乱流の強さ
と開孔の寸法との微妙なバランスを図らなければ
ならない。処理条件が僅かに変化すると、このバ
ランスが壊れてスクリーンの詰りまたはスクリー
ン通過物の汚れといつた事態が発生した。

要するに、これまでのスクリーンは水平なスロ
ツト、回転量、スクリーン表面に固定した棒のよ
うな流れの阻害物をそなえたものであるが、スク
リーンの上下方向のスロツトは幅が0.008ないし
0.015センチメートル程度でありこのため従来の
スクリーンはスロツトをこれよりかなり広く
0.025センチメートル程度広くして分別去を防
止するとともに、スクリーンを通過する紙料繊維
が十分に効率よく捕集されるようにしなければな
らない。

上述したことは、スクリーン開孔よりも小さな
物が従来の大きなスクリーン開孔を勝手に通り抜
けできるということを意味する。それ故、スクリ
ーンで排除すべきかなりの量の長繊維がそのまま
受入れられたり本来通過すべき繊維が小さな非通
過物とともに失われるという点に留意しなければ
ならない。

本発明は実際の通過率をかなり微細な紙料繊維
まで受入れるとともに繊維の損失を抑止し送入紙
料およびスクリーン通過紙料のコンシステンシー
の分別または顕著な変化を生ずることなくスクリ
ーニングをなすことを可能ならしめるもので、そ
のためにスクリーンの軸線に対し直交して配置し
たきわめて狭いスロツトをそなえるとともにスク
リーンの紙料導入側のスクリーン面に隣接して高
強度で微小な内部乱流を局在的に発生せしめるこ
とを特色とする。

本発明の好適実施例にあつては、スクリーンの
スロツトの幅は例えば0.020センチメートル程度
である。内部乱流発生手段はスクリーンの紙料導
入面か張り出した突起状をなしこれに平行な運動
手段例えば回転翼と協働してスクリーンの紙料導
入側のスクリーン面に隣接して紙料懸濁物中に高
強度で微小な内部乱流を発生させるものである。
すなわち、懸濁物の粒子速度は高速であるがその
振幅はきわめて小さな乱流が発生する。こうし
て、一般的な乱流に伴う大きな渦流でなく、程度
が大きくても微細な乱流によつてきわめて小さな
渦を多数発生させてその破砕作用を利用するので
ある。

採用する機構については、上述した高強度で微
細な内部乱流がスクリーンの紙料導入側のスクリ
ーン面隣接して発生させるために、きわめて幅の
狭いスロツトをスクリーン軸線に直交して配設
し、このスロツトの幅よりも小さな懸濁物中の固
形物がスロツトを通過し、かくしてこれまでのス
クリーンと対比して真に分離すべき粒型の固形物
のみを効率よく捕集し得るものとなる。

このため、スクリーンのスロツトは従来の紙料
スクリーンに比べてはるかに細かくなされ、好適
とする繊維の損失を少なくしその一方で小さいが
望ましくない排斥物をほとんど完全に排除し得る
ものとなる。

隣り合つたストランドまたはリングの所望とす
る間隔は、円筒スクリーンの紙料導入側のスクリ
ーン面に溶接または固着された細長い軸線方向に
延びた棒部材によつて保持される。こうして、ス
トランドまたはリングが固定されてスクリーン全
体が補強されるだけでなく、スクリーン表面を走
過する回転翼などの手段と協働してスクリーン紙
料導入側のスクリーン面に隣接した懸濁液中に高
強度で微小な内部乱流を発生させる。

従来のスクリーンは水平のスロツトおよび垂直
のスロツト、回転翼、スクリーン表面に固定され
た棒部材のような流れの障害体を用いているが、
スクリーンの垂直方向のスロツトの幅は0.008な
いし0.015センチメートル程度に小さくこのタイ
プのスクリーンは0.025センチメートルというは
るかに幅広なスロツトによつて実際上構成されね
ばならず、これによりはじめて分別（フロツク生
成）を妨げながらスクリーン通過繊維を大体経済
ベースで分離できるのである。

上述によれば、スクリーン開孔よりも小さな望
ましくない固形物が従来の上記タイプの大きい開
孔から通り抜けてしまうことになる。そこでこれ
までは、長目の繊維をより多くするために本来で
あれば望ましくないスクリーン排斥部分がかなり
多量に混入してしまつても仕方ないとするか、反
対にかなりの分量の長繊維が排斥されるべき異物
と一緒になつて排除されその損失を招いても仕方
ないとするかの何れかを選ばなければならなかつ
た。

上述したところから、本発明は実際の通過率で
紙料を微細なものまでスクリーニングし、送入原
料、スクリーン通過物、スクリーン非通過物のそ
れぞれのコンシステンシーに差がそれほどなくス
クリーン通過物の分別を生じないことが理解され
る筈である。

本発明の実施例に関する添付図に従つて以下詳
細に説明する。

第１図のスクリーニング装置はシリンダーの組
込み構成を除いて前述の米国特許第3849302号に
示すものと同様である。すなわち、スクリーニン
グ装置１０は上端に紙料導入室１６を有し接線方
向の紙料入口１８をそなえたハウジング１２が基
台１４上に設けられ、原紙料は加圧状態でこのス
クリーンハウジングに送入される。

本発明の円筒状スクリーン２０はハウジング内
に配置されていて中央部の室２２に先ず紙料が送
入され紙料出口２６に連通したスクリーン通過物
収容室２４に通り抜ける。

室２２の底壁２８は従前のように弁組立体紙に
よつて調節される取出口３２に連通したトラフ３
０となつており、これは予め、必要とする連続抽
出物のサイズに合わせてセツトすることができ
る。トラフ３０は落下するスクリーン非通過粒子
を手動弁３８の開放により捕集ボツクス３６に捕
集することができる。

ロータ４０は紙料導入室内の駆動軸４２上に支
持されモータ４４および適当な連結用ギアなどに
よつて駆動される。このロータは可調節の連結具
５０をそなえた支持ロツド４８の端部に固定され
た複数の回転翼４６を担持していて、スクリーン
２０の内面に対し必要に応じてこの回転翼を位置
設定するようになされている。

第２図および第４図によれば、スクリーン２０
はほぼ３角形の横断面をもつたワイヤーストラン
ドで形成された一連のリング５２を含む。このス
トランドの断面は環状、円板状などでも同効であ
る。

上記リング５２は所望とするスロツト５４どう
しの幅を離間設定するのに適宜の治具が用いられ
る。棒部材５６は溶接などおよびスクリーン上下
端に固着した固定リング５８，６０によつて、シ
リンダーの内面に固着される。このため構造体と
してのスクリーンは、スクリーンの長手軸線に対
しスロツトを直交的に配置し、スクリーンの内面
に内向きに突出した棒部材５６をそなえている。

スクリーン２０が第１図のようにハウジング１
２内に設置されると、ロータ４０の回転翼４６は
第３図のように内向きに突出した棒部材５６と協
働してスクリーン内面に隣接する高強度で微小な
内部乱流を作り出す。上述のように、これによつ
て真に求める粒径の分離がなされて、スロツト５
４はこれまで実際的でないと考えられていた大き
さの粒子までスクリーニングし得るものである。

第２，４図に示す実施例において、スクリーン
２０は微細スクリーニング用スロツト５４を作り
出すかたちで軸線方向に保間した一連のリングに
よつて形成されている。このリングの代りに、第
５図に示すように１本の連続ストランド６２を使
つて、これを最も狭い点での所望とする幅が例え
ば0.020センチメートルのスロツト６４に形成せ
しめて互いに一巻きごとに離間しつつスクリーン
の中心垂直軸線のまわりに螺回させてもよい。第
２，４図の実施例におけるごとく、ストランドど
うしの位置固定をなすとともに、回転翼４６と協
働してスクリーン内面に高強度の破壊力のある微
小な内部乱流を発生させる内向きの突起として機
能する縦に延びた棒部材５６が使用される。

第１〜５図に示した実施例において、スクリー
ンの内面に紙料導入面がある。第６図から明らか
なごとく、スクリーンを通る流れは矢印６３によ
つて示すように逆流することができる。本例で
は、スクリーン６４の紙料導入側のスクリーン外
面６６が担当していて、棒部材６８はスクリーン
外面を回転しながら走過する回転翼７０と協働す
るように、スクリーンの外面に設置されている。

第１〜３図に示すようなスクリーン内面に隣接
して高強度の内部乱流を発生させる棒部材および
回転翼を含む装置は、これ以外の内部乱流発生手
段によつて同様な作用効果を生ぜしめることもで
きる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明によるスクリーニング装置の斜
視図、第２図は本発明によるスクリーニングシリ
ンダーの斜視図、第３図はスクリーン内部に設置
した回転翼とスクリーンとの関係を示す第２図の
円筒スクリーンの平面図、第４図は第２図のスク
リーンの部分拡大図、第５図はスクリーニングシ
リンダーの異型例を示す側面図、第６図はスクリ
ーニング装置の異型例の破断平面図である。 １０……スクリーン装置、２０……円筒スクリ
ーン、１６……紙料導入室、１８……紙料入口、
３０，３２……スクリーン非通過物排出手段、５
２……リング、５４，６４……スロツト、４０…
…ロータ、４６……回転翼、５６……棒部材（細
長い部材）、６２……ストランド。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 繊維長が分布している液状紙料から望ましく
   ない異物の大部分を除去するための紙料懸濁物の
   連続処理方法において、長手方向の軸線とほぼ円
   周方向に形成されたスロツト群とを有する円筒ス
   クリーンの紙料導入側に対し加圧状態の前記懸濁
   物を送入する段階と、前記スクリーンの軸線方向
   のほぼ全長にわたり前記スクリーンの前記紙料導
   入側の前記懸濁物中に高強度で微細な内部乱流を
   局在的に発生せしめる段階と、前記懸濁物中の紙
   料繊維の少なくとも一部が前記スロツトを通過す
   る間前記高強度で微細な内部乱流を局在的に維持
   せしめる段階と、前記スクリーンの紙料導入側か
   ら前記異物のほとんど大部分を除去せしめる段階
   と、を備えたことを特徴とする紙料懸濁物の連続
   処理方法。 ２ 長手方向の軸線を有するほぼ円筒状のスクリ
   ーンと、該円筒状のスクリーンの紙料導入側に紙
   料液体及び望ましくない異物からなる懸濁物を加
   圧状態にして送給するための送給手段と、前記ス
   クリーンから大部分の前記望ましくない異物を除
   去するための除去手段と、前記スクリーンの軸線
   に対しほぼ直交して前記スクリーンのほぼ円周方
   向に形成された複数のスロツト群を規定する手段
   と、前記スクリーンの紙料導入側のスクリーン面
   に近接して前記高強度で微細な内部乱流を局在的
   に発生せしめるためのそれぞれが前記スクリーン
   のほぼ全長にわたつて延設されてなる複数の細長
   い部材と、前記複数の細長い部材と協働するロー
   タの複数の回転翼と、を具備することを特徴とす
   る紙料用スクリーン。 ３ 特許請求の範囲第２項記載のスクリーンにお
   いて、前記内部乱流を発生せしめるための複数の
   細長い部材が、前記スクリーンの円周方向にたが
   いに離隔し、かつ前記スクリーンのほぼ軸線方向
   全長にわたつて延設してなることを特徴とする紙
   料用スクリーン。 ４ 特許請求の範囲第２項記載のスクリーンにお
   いて、前記複数のスロツトが軸線方向に離間され
   た複数のリングによつて規定されることを特徴と
   する紙料用スクリーン。 ５ 特許請求の範囲第２項記載のスクリーンにお
   いて、前記複数のスロツトが前記スクリーンの軸
   線に対して螺旋状に配置された連続スロツトから
   なることを特徴とする紙料用スクリーン。