JPS6237282B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は、燃料の燃焼による熱を水等の液体に
伝えて蒸気を発生させる装置に関し、目的とする
ところは、極めて合理的で且つ安価な構成でもつ
て乾き度の良い良質の乾き蒸気を得るようにする
事に依り、燃料の節約と装置全体の小型化を図る
ことにある。

現在、工場等に於いて蒸気熱源として最も一般
的に使用されている小型の標準蒸気ボイラから発
生する蒸気は、湿り蒸気中の蒸気（気体）が占め
る重量的割合を示す乾き度が極めて悪い湿り飽和
蒸気が殆んどである。この水分の多い湿り飽和蒸
気を、工場等に於いて蒸気で仕事や処理或いは乾
燥等を行なわせる例えばプレス機や乾燥機等の蒸
気使用機器に供給すると、蒸気は機器内の空気に
依つて潜熱を奪われて凝縮し、更に乾き度が悪く
なり、湿り飽和蒸気の保有熱量は其の乾き度に大
きく左右されるから、一定蒸気量当りの保有熱量
が大幅に低下すると共に、湿り飽和蒸気の発生水
分は機器の熱交換伝熱面等に厚いドレン層を形成
し、この飽和水は熱伝導率が非常に悪い。従つ
て、蒸気使用機器の熱吸収効率が大幅に低下して
しまう為に、多くの燃料を浪費すると共に装置全
体の小型化を阻害する要因となつている。一方、
近年の蒸気ボイラは小型化されていく傾向にある
が、其の保有水量が少なく、最も熱を必要とする
時にキヤリオーバー現象が発生し易く、乾き度が
極端に悪くなつて多くのドレン分を保有し、熱交
換時に必要な潜熱量が少なくなる為に、通常は蒸
気ボイラを数台並設して使用する不経済なことが
行なわれている。

本発明は、上記従来の問題点に鑑み、排ガス熱
を利用して加熱した高温空気を湿り飽和蒸気に混
合する極めて合理的で且つ安価な構成であつて、
高温空気と湿り飽和蒸気とを各々圧力調整弁に依
つて適度な混合比で混合するに依り、従来の問題
点を一挙に解消するようにしたものであり、次に
本発明の高温空気混合蒸気発生装置を、其の一実
施例を示た図面に基いて詳説すると、下記の通り
である。

即ち、実施例装置の構成は、従来公知の蒸気ボ
イラと同一形態のボイラ本体１の上部の排ガス排
出口２に、水平方向に略蛇行形状の二本の加熱空
気管３が空気連通室４に依つて連通するよう接続
内設された断熱筐体５を、連通形態で取付けると
共に、加熱空気管３の入口に、圧力空気送出源と
なるコンプレツサ６を圧力空気管７で接続し、且
つ圧力空気管７に空気圧力調整弁８を介挿し、一
方、ボイラ本体１の蒸気管９を吸引混合器１０に
接続し且つ蒸気管９に蒸気圧力調整弁１１を装設
し、更に、加熱空気管３の出口を加熱空気圧送管
１２に依り混合器１０に接続したことを要旨とす
るものである。

尚、図中の１３は水管体、１４，１５は水管体
１３の下部ドラム及び上部ドラム、１６は上部ド
ラム１５の水面より上部に形設された蒸気室、１
７は水位計、１８はボイラ本体１の下部の火室１
９に臨ませてボイラ本体１の下側部に装着された
オイルバーナー、２０は燃焼室、２１は水管体１
３に添着された燃焼室２０の燃焼ガスを水管体１
３の伝熱面に均等に接触するよう導くガイド体、
２２は断熱筐体５内に於いて水平方向に形設され
排ガスを加熱空気管３の伝熱面に均等に導く邪魔
板、２３は断熱筐体５の排気口２４に連通接続さ
れた排気筒、２５，２６は夫々蒸気管９に装設さ
れた蒸気弁及び逆止弁、２７は圧力空気管７に設
けられた逆止弁、２８，２９，３０は夫々加熱空
気圧送管１２に設けられた逆止弁、加熱空気放出
調整弁及び逆止弁、３１はホツトウエルタンク
（図示せず）の温水を供水管２３を介して下部ド
ラム１４に供給する給水ポンプを夫々示す。

次に、上記構成とした実施例の動作に付いて説
明すると、オイルバーナー１８に依つて重油と空
気とが混合されて火室１９に霧状に吹き込まれて
燃焼し、其れに依つて燃焼室２０発生した燃焼ガ
スが、実線矢印で示すように、水管体１３内の水
を加熱した後に排ガスとなつて断熱筐体５内に入
り、更に、排気筒２３を通つて外部に放出され
る。そして、高温燃焼ガスの通路中におかれた水
管体１３内の水が加熱される事に依り蒸気室１６
に発生した湿り飽和蒸気が、一点鎖線矢印で示す
ように、蒸気管９を通つて混合器１０に送り込ま
れる。斯る場合、混合器１０に送られる飽和蒸気
の蒸気圧は、蒸気圧力調整弁１１に依つて常に一
定に減圧される。

一方、コンプレツサ６から送出された圧力空気
が二点鎖線矢印で示すように、圧力空気調整弁８
に依つて湿り飽和蒸気の蒸気圧より若干低い圧力
に減圧された後に加熱空気管３に送られ、ボイラ
本体１の排ガス排出口２から流入する排ガスから
熱を吸収して高温空気となり、加熱空気圧送管１
２を通つて混合器１０に送られ、混合器１０に流
入する湿り飽和蒸気に依り吸引されて湿り飽和蒸
気に混合され、然る後に、蒸気使用機器に送られ
て加熱や機器の作動時の用途に使用され、熱交換
して排出されたスチームドレンがホツトウエルタ
ンクに貯えられると共に給水ンプ３１に依つて水
管体１３へと循環される。

次に、上記実施例の作用効果に付いて説明す
る。

ボイラ本体１からの湿り飽和蒸気に、排ガス熱
を利用して加熱した高温空気を混合する事に依
り、乾き度の良い乾燥蒸気となり、其の保有熱量
が増大すると共に蒸気の流速の上昇に依り蒸気使
用機器への供給熱量が増大する大きな利点がある
だけでなく、蒸気使用機器に於ける熱吸収作用に
於いて以下のような顕著な効果が得られる。即
ち、蒸気使用機器から熱交換した後に排出された
スチームドレンの温度が、従来のように湿り飽和
蒸気を供給した場合のスチームドレンの温度より
もかなり低くなる。この事は、蒸気使用機器に於
いて供給熱量が極めて有効に吸収された事を示し
ており、蒸気使用量延いては燃料使用量が約20パ
ーセント減少する。この現象を理論的に明確に解
明出来なかつたが、各種の計測に依る結果から、
恐らく、高温空気が其の保有温度と熱量に依つて
蒸気の凝縮しようとする水分を気泡状に吸収する
事に依つて液化を防止し、飽和水の保有熱量を蒸
気使用機器の利用温度範囲に維持させて有効な熱
吸収を促進させると共に、蒸気使用機器の伝熱面
に生じるドレン層を最小限に抑制する事に依つて
該機器の熱吸収効率を上昇させていることに依る
ものと思われる。

更に説明すると、空気は断熱効果を有する為
に、蒸気に空気を混入させる事は、蒸気使用機器
に於いてエアー障害が生じるから、従来から斯る
装置に於いてタブー視されているが、実施例装置
では湿り飽和蒸気とほぼ同温度まで加熱した水分
の少ない空気を混合させて従来のような不都合の
発生を阻止している。又、加熱空気を湿り飽和蒸
気に単に混合したのでは、空気量が必要以上に多
くなつて蒸気使用機器にエアー障害が発生するか
ら、圧力調整弁８，１１を設けて空気圧力及び蒸
気圧力を各々一定にし、且つ空気圧力を蒸気圧力
よりも若干低くし、混合器１０に於いて、湿り飽
和蒸気により高温空気を吸引して混合しているか
ら、加熱空気圧送管１２の両逆止弁２８，３０間
の空気圧は湿り飽和蒸気の蒸気圧とほぼ同圧とな
つて適正な混合比で混合される。しかも、湿り飽
和蒸気で加熱空気を吸引するから、使用蒸気量に
応じて加熱空気が吸引混合され、常に適正な混合
比に維持されている。又、高温空気の温度が湿り
飽和蒸気の温度より若干低い場合に於いても、混
合した後は湿り飽和蒸気の温度より僅かに高温の
高温空気混合蒸気が発生する事が、温度計等に依
る実測結果から得られた。但し、高温空気の温度
は湿り飽和蒸気の温度より高い方が望ましい。

又、加熱空気放出調整弁２９を常に開弁して高
温空気を微量であるが大気に放出するようにし、
蒸気の使用量が少ない場合に於いても、加熱空気
管３内の空気の流速の低下に依る空気温度の低下
を防止している。

尚、上記実施例では、加熱空気管３の形状を水
平方向への蛇行形態としたが、下方から上方へ螺
旋形状に巻回した形状としても、実施例と同様の
効果が得られるのは勿論である。

叙上の如く本発明の高温空気混合蒸気発生装置
に依ると、余熱であつて従来では熱損失となつて
いた排ガスを熱源として空気を加熱する事、及び
既設の蒸気ボイラを改造する事なくボイラ本体の
外部に所要部分を付設するのみで構成出来る事に
依り、極めて合理的で安価な構成でもつて、燃料
消費量を大幅に低減出来、装置全体の小型化を図
れるものであり、本発明は極めて高い工業的価値
と顕著な実用的効果を奏するものである。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の高温空気混合蒸気発生装置の
一実施例の切断正面図である。 １……ボイラ本体、２……排ガス排出口、３…
…加熱空気管、５……断熱筐体、６……コンプレ
ツサ、７……圧力空気管、８……空気圧力調整
弁、９……蒸気管、１０……混合器、１１……蒸
気圧力調整弁。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ ボイラ本体の排ガス排出口に、加熱空気管を
   内装した断熱筐体を連通接続すると共に、加熱空
   気管の入口と圧力空気送出源とを接続する管路に
   空気圧力調整弁を介挿し、加熱空気管の出口とボ
   イラ本体の蒸気管とを混合器に接続し、且つ蒸気
   管に蒸気圧力調整弁を装設して成ることを特徴と
   する高温空気混合蒸気発生装置。