JPS6237036Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は配管の連結装置であるカツプラーに用
いられてこのカツプラーの結合状態を維持させる
カツプラー固定装置に関する。

一対の配管を互いに結合する手段として雄体お
よび雌体が結合して配管を連通し、雌体の半径方
向へ移動するロツク部材が雄体の凹部へ入り込ん
で雄雌両体の結合状態を維持するカツプラーが広
く用いられている。

このカツプラーでは雌体の軸方向へ移動可能と
されたカラーが雄雌両体の結合時にロツク部材と
係合して雄雌両体の結合状態を保持するが、この
カラーを雌体の軸方向へ移動することによりロツ
ク部材が雌体の半径方向へ移動して雄体が雌体か
ら抜き出し可能となつている。またこの雄雌両体
の結合解除状態においてはそれぞれの内部に設け
られた弁体が流体流通孔を閉止するようになつて
いる。従つてこのカツプラーは結合および結合解
除が迅速であり一般的にワンタツチカツプラーと
呼ばれている。

ところがこのようなカツプラーにおいては、カ
ラーが雌体の軸方向へ完全に移動していない状
態、すなわちカラーがロツト部材と完全に係合し
ていない状態においても雄雌両体内の弁体が連通
状態となるので、作業者は雄雌両体が完全に結合
されたか否かを確かめることなく作動流体を流通
させることがある。

このような半結合状態で流通された流体はロツ
ト部材を雌体の半径方向へ移動させて雄雌両体の
結合を解除する事故を招来することになる。この
ような事故は特に製鉄所の転炉仕切板用油圧配管
内のカツプラーに生じた場合、溶鋼を飛散させる
ことになり大きな被害が生ずる結果になる。

本考案は上記事実を考慮し、特別のロツク用工
具を必要とすることなく、しかもカツプラーの結
合操作時に容易かつ確実に完全な結合状態を得る
ことができるカツプラー用固定装置を提供するこ
とが目的である。

本考案に係るカツプラー固定装置は、カラーを
雄体と雌体の結合時にロツト部材と結合し該ロツ
ト部材の雄体に形成された凹部からの脱出する阻
止する雌体外周の第１の位置から雄雌両体の軸方
向であつて雌体の前記第１の配管の連結側へ移動
してロツク部材との結合を解除する第２の位置ま
で移動可能とし、このカラーを第１の位置から第
２の位置と反対方向への移動を規制する停止手段
を設け、ストツパ手段を雄体または雌体の軸方向
へ移動可能で且つカラーが前記第１の位置にある
ときのみ該カラー、雄体及び雌体のいずれかの一
部に連結されて固定可能なストツパ固定部を有し
該ストツパ固定部で位置固定されて前記カラーを
軸方向移動不能に規制する構成としたものであ
る。

これにより、雄雌両体が結合し前記ロツト部材
が雄体の凹部に入り込み、カラーが前記第１の位
置に移動した完全結合状態にあるときのみ、スト
ツパ手段のストツパ固定部を固定でき、これによ
り前記カラーを軸方向移動不能に規制でき、一
方、カラーが第１の位置になりすなわちロツク部
材が前記凹部に入り込まない不完全結合状態にあ
るときは前記ストツパ固定部の固定が不可能とな
り、以つて半結合状態の発生を防ぐようにしたも
のである。

以下本考案の実施例を図面に従い説明する。

第１図は本考案の第１実施例に係るカツプラー
１０の完全結合状態が示されており、このカツプ
ラー１０は第２図に示される雌体１２および第３
図に示される雄体１４から構成されている。雌体
１２は略円筒状に形成されており、軸心部には流
体流通孔１６が貫通している。この雌体１２の流
体流通孔１６はその一端が雄体１４の挿入部とさ
れており、他端は雌ねじ１８が刻設されて図示し
ない配管と連結されるようになつている。

また流体流通孔１６の略中間部には弁体２０が
雌体１２へ取りつけられる弁保持具２２へ軸方向
移動可能な支持されている。この弁体２０と弁保
持具２２との間には圧縮コイルばね２４が介在さ
れて弁体２０は雌ねじ１８と反対側の流体流通孔
１６端部、即ち挿入される雄体１４方向へ付勢さ
れており、流体流通孔１６の縮径部を構成する弁
座２６へ当接して流体流通孔１６を閉止してい
る。なお弁保持具２２には円周方向一部に貫通孔
又は貫通溝が設けられて流体流通孔１６を閉止し
ないようになつている。

一方雄体１４にも軸心部に流体流通孔２８が貫
通しており、雌体１２と同様に雌ねじ３０、弁体
３２、弁保持具３４、圧縮コイルばね３６および
弁座３８が設けられている。

従つて雄雌体１２，１４は第１図に示される如
く結合状態においては弁体２０，３２が互いに押
圧して圧縮コイルばね２４，３６を圧縮し、弁座
２６，３８から離間して流体流通孔１６，２８を
連通させるようになつている。このため雄雌体１
２，１４の連通時には雌体１２の雌ねじ１８に連
通される配管および雄体１４の雌ねじ３０に連通
される配管が互いに連結するようになつている。

雄体１４の雌体１２への挿入部外周にはリング
溝４０が形成されており、結合状態で雌体１２の
円孔４２で保持されたロツク部材としてのボール
４４が入り込むようになつている。この円孔４２
は軸心が雌体１２の放射方向とされてボール４４
を雌体１２の放射方向へ移動可能としている。

このボール４４に対応して雌体１２の外周部に
は円筒状のカラー４６が被嵌されて雌体１２の軸
方向へ移動可能となつている。このカラー４６に
は雌体１２との間に圧縮コイルばね４８が介在さ
れて軸方向に付勢されており、ロツク内周面５０
が円孔４２の外側へ配置されてボール４４の雌体
放射方向移動を阻止する雌体１２外周の第１の位
置で停止している。カラー４６は、第１の位置に
あるときは雌体１２の雄体１４側の外周縁部に設
けられたリング状の停止手段７３に係止する。こ
の停止手段７３は、該カラー４６の第１の位置か
ら第２の位置と反対方向への移動を規制する。こ
のカラー４６は圧縮コイルばね４８の付勢力に抗
して雌体軸方向であつて雌体１２の前記第１の配
管の連結側へ移動すればレリーズ内周面５２が円
孔４２と対応する第２の位置まで移動することが
できるようになつている。レリーズ内周面５２は
ロツク内周面５０よりも内径が大きく形成されて
おり、第２の位置ではボール４４が円孔４２内を
雌体の放射方向へ若干量移動して雄体１４のリン
グ溝４０から脱出できるようになつている。

ここにカラー４６はロツク内周面５０の最もレ
リーズ内周面５２寄りの端部５０Ａ（第２図）が
ボール４４の中心よりも第１の位置寄り、すなわ
ち第１，２図右方向にあればボール４４が雄体１
４のリング溝４０から抜け出すことは全く不可能
であり、この状態が雄雌両体１２，１４の完全結
合状態である。これに対してカラー４６と雌体１
２又はボール４４との間の摩擦力、コジレ等によ
り端部５０Ａがボール４４の中心よりも第２の位
置寄り、すなわち第１，２図左方向にある位置で
圧縮コイルばね４８の付勢力にも拘らずカラー４
６が停止している状態が半結合状態である。

この半結合状態においてもボール４４はリング
溝４０内へ入り込んでいるので弁体２０，３２は
互いに押圧して流体流通孔１６，２８を連通して
にるが、実際に流体流通孔１６，２８へ油等の流
体が流されるとその油圧力によりボール４４は円
孔４２内を放射方向へ移動してリング溝４０から
抜け出し、この結果、雄体１４は雌体１２から抜
け出す危険性を有することになる。これが、従来
のカツプラー固定装置が有する問題点であり、こ
の問題点を解決するために本発明は以下のように
構成されている。

カラー４６には雄体１４に近い外周端部に雄ね
じ５４が刻設されている。この雄ねじ５４は雄体
１４の外周へ取りつけられたストツパ手段５６の
雌ねじ５８と連結されるようになつている。

このストツパ手段５６は略円筒形状であり雌体
１２に面する端部と反対側の端部が軸心方向へ屈
曲された屈曲部５６Ａとなつている。この屈曲部
５６Ａは雄体１４の外周部突起６０と雄体の中間
部外周に取に付けらたリング６２との間を軸方向
に移動可能となつている。そして、前記雌ねじ５
８、雄ねじ５４、屈曲部５６Ａ及び外周部突起６
０とによりストツパ手段５６を位置固定するスト
ツパ固定部が形成されている。

ここに雌ねじ５８と雄ねじ５４は雄雌体１２，
１４の結合状態においてカラー４６が第１図に示
される如くボール４４のリング溝４０からの脱出
を阻止する第１の位置にある場合（又は雄雌両体
の完全結合状態）に螺合可能に配設されており、
カラー４６が完全に第１の状態へ至つていない状
態（すなわち雄雌両体の半結合状態）では雄ねじ
５４と雌ねじ５８とが軸方向へ離間しており互い
に螺合不能な寸法となつている。すなわち、スト
ツパ手段５６はストツパ固定部が固定すなわちそ
の屈曲部５６Ａが雄体１４の外周突起６０と当接
し、その雌ねじ５８が第１の位置にあるカラー４
６の雄ねじ５４と螺合した場合に位置固定でき、
この位置固定によつてカラー４６を軸方向移動不
能に規制するようになつている。一方、カラー４
６が完全結合状態ではない第２の位置にあるとき
は、ストツパ固定部はその屈曲部５６Ａが前記外
周突起６０と当接する位置まで移動しても前記雌
ねじ５８は雄ねじ５４と対向できないため固定で
きない。従つてストツパ手段５６は位置固定され
ず、カラー４６も不完全結合状態で移動規制され
ないようになつている。

なお雌体１２には内外周にオーリング６４が設
けられて結合状態における雄体１４との間および
カラー４６との間に粉じんなどの異物が進入する
ことを防止している。また雄体および雌体の弁体
２０，３２にもそれぞれオーリング６４が取りつ
けられて弁座２６，３８との間を水密状態に保持
している。

このように構成された本実施例は、第２，３図
に示される如く雌体１２および雄体１４の結合解
除状態において弁体２０，３２がそれぞれ弁座２
６，３８へ密着しているので雄雌両体に連結され
る配管は外気と遮断されている。

この雄雌体１２，１４を結合させるためには、
雄体１４を雌体１２内へ所定量挿入すればよい。
即ち挿入した雄体１４のリング溝４０にはボール
４４の一部が入り込み、このボール４４の他部は
円孔４２内へ没するのでカラー４６はロツク内周
面５０が円孔４２に対応する第１の位置となり、
ストツパ手段５６の雌ねじ５８をカラー４６の雄
ねじ５４へ螺合すればカラー４６は移動不可能と
なつて雄雌両体の完全結合状態が維持される。

しかし操作状態によつてはカラー４６が完全に
第１の位置へ至つておらず、すなわちボール４４
がリング溝４０に完全に入り込まず、雄雌両体が
半結合状態となつている場合もある。この場合に
はストツパ手段５６の雌ねじ５８がカラー４６の
雄ねじ５４と螺合不可能であるため作業員は、雌
体１２と雄体１４の連結作業を最初からやり直
し、カラー４６を第１の位置へ移動した後にスト
ツパ手段５６をカラー４６の雄ねじ５４と螺合さ
せることになる。従つてカラー４６は常に第１の
位置へ移動され、雄雌両体も完全結合状態となる
ことが保証され、さらにカラー４６の移動が阻止
されるので不用意な結合解除も生じない。

またこの結合状態を解除するためにはストツパ
手段５６を回転して雄ねじ５４と雌ねじ５８との
螺合を解除すれば作業員は容易にカラー４６を雌
体１２の軸方向へ移動することができるので、ボ
ール４４はリング溝４０から抜け出して雄体１４
と雌体１２との結合が解除できる。

次に第４図には本考案の第２実施例が示されて
おり、この実施例ではストツパ手段５６がカラー
４６へ保持されている。即ちストツパ手段５６の
屈曲部５６Ａはカラー４６の外周部に形成された
凹部６６内へ収容されてカラー４６の軸方向に所
定量だけ移動可能となつており、一方ストツパ手
段５６の雌ねじ５８は雄雌両体の完全結合状態で
雄体１４の外周部に形成された雄ねじ５４と螺合
するようになつている。本実施例では、ストツパ
固定部は雌ねじ５８、雄ねじ５４、屈曲部５６Ａ
及び該屈曲部５６Ａが当接する凹部６６先端突部
とから構成されている。

ストツパ手段５６は、ストツパ固定部が固定す
なわちその屈曲部５６Ａがカラー４６の凹部６６
先端突部と当接し、その雌ねじ５８が雄体１４に
設けた雄ねじ５４と螺合した場合に位置固定で
き、この位置固定によつてカラー４６を軸方向移
動不能に規制するようになつている。一方、カラ
ー４６が完全結合状態ではない第２の位置にある
ときは、ストツパ固定部はその屈曲部５６Ａが前
記凹部６６先端突部と当接する位置まで移動して
も前記雌ねじ５８は雄体１４の雄ねじ５４と対向
できないため固定できない。従つてストツパ手段
５６は位置固定されず、カラー４６も不完全結合
状態で移動規制されないようになつている。

従つてこの実施例においても半結合状態におい
てはカラー４６を第１の位置まで移動してストツ
パ手段５６の雌ねじ５８を雄体１４の雄ねじ５４
と螺合させることにより雄雌両体の完全結合状態
が保証されると共にカラー４６の軸方向移動が阻
止されて結合状態をロツクすることができる。

第５図には本考案の第３実施例を示されてお
り、ストツパ手段６８は雌体１２の外周部へ取り
つけられてカラー４６とリング６２との間で雌体
と軸方向に相対移動できるようになつている。ま
た雌体１２の外周部にはストツパ手段６８の雌ね
じ５８と対応する雄ねじ５４が形成されており、
この雄ねじ５４は雄雌両体が半結合状態にある場
合には、すなわちカラー４６が第２の位置から第
１の位置まで移動できない状態では該カラー４６
に覆われており、すなわち雄雌両体が完全結合状
態にある第１の位置にカラー４６が移動した場合
にのみカラー４６から露出して雌ねじ５８と螺合
可能となつている。本実施例では、ストツパ固定
部は雌ねじ５８と、雌体１２に設けられたカラー
４６が第１の位置にあるときのみ露出して前記雌
ねじ５８との螺合が可能となる雄ねじ５４とから
構成されている。

ストツパ手段６８は、ストツパ固定部が固定す
なわちカラー４６が第１の位置に移動でき雌ねじ
５８が雄ねじ５４と螺合した場合に位置固定で
き、この位置固定によつてその一部がカラー４６
と当接して該カラー４６を軸方向移動不能に規制
するようなつている。一方、カラー４６が第１の
位置のまで移動できないで完全結合状態ではない
第２の位置にあるときは前記雄ねじ５４は該カラ
ー４６に被われた状態にあり、前記雌ねじ５８は
該雄ねじ５４と対向できないため固定できない。
従つてストツパ手段６８は位置固定されず、カラ
ー４６も不完全結合状態で移動規制されないよう
になつている。尚雄ねじ５４はカラー４６によつ
て被われる必要があるため、その外径はカラー４
６の対応部の内径以下とする必要がある。従つて
作業者は雄雌両体が半結合状態にある場合にはス
トツパ手段６８を位置固定ることができず、カラ
ー４６を第１の位置へ移動した後にストツパ手段
６８を雄ねじ５４へ螺合させれば雄雌両体の完全
結合状態が保証されると共に不用意な解除が回避
できる。

本考案によれば、カラーが完全結合状態となる
第１の位置にあるときのみストツパ手段によつて
軸方向移動不能に規制され、不完全結合状態にあ
るときはストツパ手段による前記規制ができない
ようにしたので、特別なロツク用工具を必要とせ
ず確実にカツプラーの完全結合状態を保証するこ
とができる優れた効果を有する。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案に係るカツプラー固定装置の結
合状態を示す半断面図、第２，３図はそれれ雌体
および雄体を示す半断面図、第４，５図はそれぞ
れ本考案の第２，３実施例を示す半断面図ある。 １０……カツプラー、１２……雌体、１４……
雄体、４０……リング溝、４４……ボール、４６
……カラー、５４……雄ねじ、５６……ストツパ
手段、５８……雌ねじ、６８……ストツパ手段。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 第１の配管へ連結された雌体と、第２の配管へ
   連結され前記雌体と同軸的に結合して前記第１、
   第２の配管を連通させる雄体と、前記雌体へ放射
   方向に移動可能に保持され雄雌両体の結合時に一
   部が雄体の凹部へ入り込むロツク部材と、前記雌
   体の軸方向へ移動可能で雄雌両体の結合時に前期
   ロツク部材と係合しロツク部材の前期凹部からの
   脱出を阻止する雌体外周の第１の位置から雄雌両
   体の軸方向であつて雌体の前記第１の配管の連結
   側へ移動してロツク部材との係合を解除する第２
   の位置まで移動可能なカラーと、このカラーを第
   １の位置から第２の位置と反対方向への移動を規
   制する停止手段と、雄体または雌体の軸方向へ移
   動可能で且つカラーが前記第１の位置にあるとき
   のみ該カラー、雄体及び雌体のいずれかの一部に
   連結されて固定可能なストツパ固定部を有し該ス
   トツパ固定部で位置固定されて前記カラーを雄体
   と雌体の連結部外周の前記第１の位置に軸方向移
   動不能に規制するストツパ手段と、を有するカツ
   プラー固定装置。