JPS6235550B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本発明は回転軸の速度を連続的に変化させる連
続式変速装置に関し、特に紙、線材などの巻取装
置などに使用する連続式変速装置に関する。

（従来の技術とその問題点） 紙、線材などを巻取ボビンに巻取る際に生ずる
巻取太りに対する変速、その他一般の変速に従来
から使用されている連続式変速装置の摩擦伝導装
置は、機械加工精度の高い部品を使い構造も複雑
で高価であり、又ベルト式変速機はベルトの損耗
が早く、ベルトの摩擦粉が傘形コーンのスライド
部に付着して故障を生ずることが多い。

（問題点を解決するための手段） 本発明は上述の欠陥をなくすために、ベルト式
変速機のように傘形コーンにベルトを直接接触さ
せるものではなく、傘形コーンに接触する回転子
としての傘形ロールには摩擦係数の高い硬質ゴム
などの摩耗に強い材質を使用し、又傘形コーンの
回転中心軸を竪型としてベルトの摩耗粉がスライ
ド部に混入しないようになつている。

本発明によれば、外函体の垂直中心軸心に対し
同一垂直中心軸心を有する内函体が前記中心軸心
の周りに水平に首振り状に回転する。

内函体の垂直中心軸心の左右両側には、固定軸
を並行に設け、各固定軸の上下両側にそれぞれ１
つの傘形コーンをその小径の頂部が対向する方向
に弾撥的に、例えば、ばねで押して遊動および回
転自在に取り付け、上側にある傘形コーンの円筒
胴部の長溝孔に、例えばＶプーリスリーブ部に設
けた突起がはまつて、傘形コーンと一体的に回転
するそれぞれのＶプーリをＶベルトによつて連動
結合し、下側にある傘形コーンも全く同様にして
それぞれのＶプーリによつて連動結合し、前記固
定軸の中央部にはそれぞれ固定軸に直交する水平
回転軸を並行に外函体に軸支し、各回転軸にはそ
れぞれ対向する傘形コーンの間に外函体の長手方
向軸心に対し同一側に摩擦係数の大きい材質の傘
形ロールを固着し、この傘形ロールを上下の傘形
コーンの弾撥力により適度の圧接力で挾圧してい
る。

一方で外函体の上側外部には例えばウオーム歯
車とウオームが取り付けられ、ウオームと手動又
は自動制御操作により、内函体を垂直中心軸心の
位置で外函体に支承している軸を介して内函体と
水平に首振り状に回転できるようになつている。

（作用） 外函体の長手方向の軸心と内函体の長手方向の
軸心が一致している位置から、例えば、ウオーム
とウオーム歯車などによつて内函体を前記垂直中
心軸心の周りに水平に若干回転すると、一方の傘
形ロールが、係合する上下の傘形コーンの間に入
り込んでその上下の傘形コーンの弾撥力に抗して
押し広げ、他方の傘形ロールは係合する上下の傘
形コーンの間から外方へ動き上下の傘形コーンは
弾撥力で互に近寄る。そこで一方の傘形ロールが
軸方向に摺動可能に軸と共に回転するように取り
付いている水平回転軸を回転すると、傘形ロール
に接触回転する傘形コーンの回転は、傘形コーン
の頂部に近い小外周部で傘形ロールと接触してい
るから、内函体が外函体に対して回転されない最
初の位置における回転よりも増速される。

この増速された回転は上下の傘形コーンから円
筒胴部の長溝孔、Ｖプーリスリーブの突起、Ｖプ
ーリ、Ｖベルトなどを介して他方のＶプーリへ伝
動されて、上記と逆の順で他方の水平回転軸に伝
動される。この場合には前段とは反対に傘形コー
ンの底部に近い大外周部で傘形ロールと接触して
いるから水平回転軸は増速される。従つて初めの
水平回転軸の入力は最後の水平回転軸の出力とし
て２回に亙り相乗的に増速される。しかも外函体
に対する内函体の首振り状の回転角度を無段階的
に変化できるので、その増速は連続的であり、外
函体に対する内函体の首振り状の回転を逆方向に
すれば減速されることは容易に理解されることで
ある。

（実施例） 本発明の一実施例の構成について図面を参照し
ながら説明する。第１，２図に示すように両方向
開口の断面が矩形の外函体１を設け、別に外函体
１よりも小さく、両方向開口の断面が矩形の内函
体２を設け、外函体１の内部に内函体２をその開
口面３が外函体１の広胴面４に対面するように収
納し、内函体２の長手方向両側胴面の中央に張出
固定した軸５，５′を外函体１の軸承部６で回転
自在に軸支することにより内函体２を外函体１に
対して軸５，５′を中心にして首振り自在に構成
してある。

前記内函体２の中心を挾む両側に所定間隔をお
いて並行な固定軸７，８を対設し、各固定軸７，
８上で内函体２から上下両方向に張出させたそれ
ぞれの軸端部にＶプーリ９，９′，１０，１０′を
回転自在に取付け、前記の図の上側に配設された
両Ｖプーリ９，１０及び反対の下側に配設された
両Ｖプーリ９′，１０′との間にそれぞれＶベルト
１１，１２をかけわたして、それらの間を一体的
に伝動させ、また、前記各固定軸７，８の上下両
側に、それぞれ傘形コーン１３，１３′と１４，
１４′をその軸方向先端側（小径側）を対向させ
て遊動自在に取付け、各傘形コーンの上下外側に
ある円筒胴部１５には軸方向に長い溝孔１６を穿
設して、それに内挿する突起１７を前記Ｖプーリ
のスリーブ部１８にそれぞれ突設して、傘形コー
ンをＶプーリに対して回転方向には係合して一体
的に回転するようにすると共に、軸方向には若干
移動できるようにしてあり、各傘形コーン１３，
１３′，１４，１４′とそれぞれに接近するＶプー
リとの間には第２図のように弾撥スプリング１９
を介装して各固定軸７，８の両側に配設された傘
形コーン１３，１３′と１４，１４′とを互に接近
する方向に常時弾撥付勢してある。

第２，３および４図を参照すると、前記各固定
軸７，８の中央部には、それぞれ直交して外函体
１の両側広胴面４を見通す挿通孔２０を開孔する
と共に、その両側開放部をラツパ状に切削して拡
開部２１を形成した連結子２２を連結介在させ、
各挿通孔２０にそれぞれ回転軸２３，２４を並行
に挿通させて、その両側を外函体１の広胴面４の
軸承部２５（第２図）から外方へ張出させて回転
自在に固定し、該各回転軸には第２、第３図に示
すように上下傘形コーンに対してX₁−X₁′に関し
同一側、つまり図の紙面の前方又は後方に硬質ゴ
ム等の摩擦係数の大きい強靫な材質の傘形ロール
２６，２７を固定し、それらを傘形コーンの弾撥
力により適度の圧接力で上下傘形コーン傾斜面の
間に挾圧し、第１、第２図において前記軸５の外
函体１から外部に張出した軸端部にウオーム歯車
２８を軸着し、ウオーム歯車２８に噛合つたウオ
ーム２９を、外函体１の外面に設けた軸承部３０
と３０間に回転自在に架設し、軸承部３０の一方
の第２図の左上端に張出したウオーム軸端にハン
ドル３１又は自動制御装置により操作される歯車
３２を固設して、その任意の回転位置を適当に保
持できるようにしてある。

次に、上記実施例に基づいて作用を使用方法と
共に説明すれば、両回転軸２３，２４の中の一方
の回転軸２３に駆動装置を関係させて回転させる
と傘形ロール２６が一体的に回転し、それを挾圧
している傘形コーン１３，１３′が摩擦回転して
それと一体的にＶプーリ９，９′が回転し、それ
によりＶベルト１１，１２を介して反対側のＶプ
ーリ１０，１０′に回転力が伝達され、それと一
体的に傘形コーン１４，１４′が回転し、それが
挾圧している傘形ロール２７が摩擦回転して一体
的に回転軸２４が回転するものである。

従つて、一方の回転軸２３を入力軸とすると、
他方の回転軸２４が出力軸として作用するもので
ある。

そこで、第２図に示されているハンドル３１又
は歯車３２を回転させて、第５図のように内函体
２を外函体１に対して軸５，５′を中心として所
定の規制された角度範囲内で、入力側を傘形コー
ン１３，１３′に対して前進するように外函体１
と内函体２のそれぞれの長手方向の軸心が一致し
たX₁−X₁′の位置（第５図）から角度αだけX₂−
X₂′に傾斜させると、その回転角度に対応する距
離だけ傘形ロール２６が相対的に傘形コーン１
３，１３′間にその弾撥力に抗して回転半径の小
さな方向に進入し、反対に出力側に於ては傘形コ
ーン１４，１４′に対して当然に後退するから傘
形ロール２７が相対的にそれを挾圧している傘形
コーン１４，１４′からその回転角度に対応する
距離だけ回転半径の大きな方向に後退し、従つ
て、入力側の回転軸２３の傘形ロール２６に対す
る傘形コーン１３，１３′の回転比は、角度αだ
け回転される前に比較して大きくなり、又、出力
側の傘形コーン１４，１４′に対する回転軸２４
の傘形ロール２７の回転比も同様に大きくなるか
ら、入力側の回転比と出力側の回転比を乗じた積
が全体の入出力の回転比となつて比較的大きな増
速が得られるものである。

反対に、入力側を傘形コーン１３，１３′に対
して後退するように傾斜させると入力側も出力側
もそれぞれ回転比は小さくなり、入出力側のそれ
ぞれの回転比を乗じた積が全体の入出力の回転比
となり比較的大きな減速が得られるものである。

従つて、内函体２の外函体１に対する傾斜角度
と方向により増速又は減速になり、また、その傾
斜角度の大きさに応じてその変速比の値も連続的
に変化するものである。

（効果） 本発明は以上の説明で明らかなように、外函体
に対する、内函体の傾斜方向とその角度を変化す
ることにより、増速又は減速の切換えができると
共に、その変速比を連続的に変化させることがで
きるものであり、又、各傘形ロールの両側をそれ
ぞれ傘形コーンで挾圧し、且つその両側の傘形コ
ーンを入出力側の相互間でそれぞれ機械的に連動
結合しているから、トルク伝達は確実であると共
に安定した動作が得られる外、機械的にも入出力
側のいずれも対称的な構造を有しているから、入
力側及び出力側をどちらにでも選択的に設定でき
ると共に、入力と出力をその回転軸の両側即ち第
２図の左側と右側のいずれからでもできるから、
使用並びに取扱いに便利である等の幾多の優れた
効果を有する連続式変速装置である。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の一実施例の構成を示す一部破
断正面図、第２図は一部破断側面図、第３図は内
函体の内部構成を示す正面図、第４図は第３図の
−線による切断平面図、第５図は外函体に取
付けた回転軸の傘形ロールと内函体の動作関係を
示す平面説明図である。 （符号の説明）、１……外函体、２……内函
体、３……開口面、４……広胴面、５，５′……
軸、６……軸受部、７，８……固定軸、９，
９′，１０，１０′……Ｖプーリ、１１，１２……
Ｖベルト、１３，１３′，１４，１４′……傘形コ
ーン、１５……円筒胴部、１６……溝孔、１７…
…突起、１８……スリーブ部、１９……スプリン
グ、２０……挿通孔、２１……拡開部、２２……
連結子、２３，２４……回転軸、２５……軸承
部、２６，２７……傘形ロール、２８……ウオー
ム歯車、２９……ウオーム、３０……軸承部、３
１……ハンドル、３２……歯車、α……回転角
度、Ｘ１−Ｘ１……外函体長手方向中心軸心、Ｘ
２−Ｘ２……内函体長手方向中心軸心、Ｙ−
Y′……垂直中心軸心。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 外函体１と；その内部にその垂直中心軸心Ｙ
   −Y′を共通の垂直中心軸心として首振り自在に
   設けられた内函体２と； 前記内函体２の垂直中心軸心Ｙ−Y′の両側に
   並行に設けられた固定軸７，８と； 前記各固定軸７，８の上下両側に、それぞれの
   小径の頂部側が対向するように配置され且つ該方
   向に弾撥されて、前記固定軸に沿つてある範囲内
   で移動可能に、且つ前記固定軸に対し回転可能に
   取付けられた２対の傘形コーンの組１３，１３′
   および１４，１４′と； 前記２組の傘形コーン１３，１３′および１
   ４，１４′の上下方向同一側にある傘形コーン１
   ３，１４及び１３′，１４′の間を連動結合して、
   一方の回転を他方に伝達する部材９，１０，１
   １，９′，１０′，１２と； 前記固定軸７，８のそれぞれの中央部に各固定
   軸７，８と直交する方向に並行に、前記外函体１
   に軸支された回転軸２３，２４と； 前記各回転軸２３，２４の軸周上の、前記傘形
   コーンに対し前記外函体の長手方向軸心に対し同
   一側に、それぞれの組の上下の傘形コーン１３，
   １４及び１３′，１４′の中間で前記上下傘形コー
   ンの弾撥力により適度の圧接力で挾圧されて、回
   転可能に摩擦接触する傘形ローラ２６，２７と； 前記外函体１の長手軸心X₁−X₁′に対し内函体
   ２の長手軸心X₂−X₂′を傾斜させる部材２８，２
   ９，３０とから成る傘形ロール連続式変速装置で
   あつて： 前記外函体１の長手軸心X₁−X₁′に対し内函体
   ２の長手軸心X₂−X₂′を傾斜させることにより、
   前記回転軸のいずれか一方２３又は２４が入力軸
   又は出力軸となり、両者間の回転速度の比を連続
   的に且つ選択的に変換することを特徴とする連続
   式変速装置。