JPS6234992Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、製鋼設備の換気ダクトに係り、除塵
器を被処理ガスの熱から保護すると共に、主幹ダ
クトを極力短くするようにした換気ダクトに関す
る。

先ず本考案の技術背景として、高炉から出た溶
銑を製錬し、出鋼するまでの工程を簡単に説明す
る。

始めに高炉から出た溶銑は、溶銑鍋に入れられ
て運ばれ、溶銑鍋に入れられる（この作業工程を
直注という）。或いはこの直注に代るものとし
て、高炉から出た溶銑を一旦混銑炉に貯え、混銑
炉から注銑鍋に入れられるいわゆる混銑炉方式が
ある。

次に注銑鍋に入れられた溶銑のノロを掻き出す
いわゆるノロ掻き作業工程がある。ここまでが精
錬前の準備作業工程である。次にその溶銑が転炉
に注入する工程（注銑という）がある。この溶銑
は、酸素吹込によつて精錬され（吹錬という）、
吹錬完了後転炉内から溶銑を取出すための出鋼準
備作業工程があり、次に出鋼排滓し、空炉となつ
て一工程が終了する。これが精錬工程である。

このように精錬前の準備作業工程及び精錬工程
において、ダストや比較的高温な有毒ガスが発生
し、作業環境を悪化させるので換気する必要があ
る。

又、このガスに含まれているダストを除去する
ために、通常は比較的安価なバグフイルターが使
用されている（最高使用温度は約130℃であ
る。）。

従来公知の換気ダクトは、除塵器を被処理ガス
の熱から保護するために、主幹ダクトを長くして
ガスの温度を自然降温せしめるようにしていた。
然し乍ら精錬工程中に発生する比較的高温度のガ
ス及び準備作業中に発生する比較的低温度のガス
と発生ガス量にバラツキがあるので、主幹ダクト
の長さは、充分に余裕をもつた長さにする必要が
あつた。

その結果、主幹ダクトは必要以上に長くする必
要があり、設置場所を制約することは勿論のこと
不経済であり、且つ主幹ダクト内で自然に降温さ
せるので、除塵器を被処理ガスの熱から確実に保
護するという技術的な保証は得られなかつた。

本考案はこれら従来技術に鑑み提案されたもの
である。即ち本考案は、精錬工程中に発生する比
較的ガス温度の高い吸引フードの集合ダクトに冷
却器を設け、精錬工程中に発生するガスの温度を
降温させた後、このガスを主幹ダクトに導き、準
備作業工程中に発生したガスと混合させ、除塵器
を被処理ガスからの焼損から守ると共に、主幹ダ
クトを極力短くしたことを目的とし、更に主幹ダ
クトに設けた非常用の冷空気取入ダンパーによ
り、除塵器を非常の場合に被処理ガスの熱から確
実に保護することを特徴とするものである。

以下、本案の詳細を添付図面の一実施例と共に
説明する。第１図は本考案の一実施例で直注方式
を例に示したものである。図において９は転炉で
あつて、注銑時に発生するガスを吸引するための
炉前換気フード１０と出鋼時に発生するガスを吸
引するための炉裏換気フード１１を備えている。
勿論、空炉時に発生するガスも、この吸引フード
１０，１１に吸引される。この炉前換気フード１
０と炉裏換気フード１１は、ダクト１７及び１
６，１６′に接続され集合ダクト２２に結合して
いる。この集合ダクト２２には冷却器１が設けら
れている。１５は主幹ダクトで除塵器１４と冷却
器１を連結している。１２はノロ掻時に発生する
ガスを吸引するための吸引フード、１３は直注時
に発生するガスを吸引するためのフードで夫々ダ
クト１８，１９，２０によつて主幹ダクト１５に
接続している。２１は主幹ダクト１５に設けた冷
空気取入ダンパで、除塵器１４に入るガス温度を
検出し非常時冷空気を取入れることもできる。
尚、２３は誘引送風機である。

次に第２図は、水冷ジヤケツトを利用した冷却
器１の一実施例である。冷却器本体１′は、ガス
通路２と水冷ジヤケツト３とで構成されていて、
Ａ−Ａ断面を示した第３図のように、ガスの流れ
方向にある一定の長さをもつた水冷ジヤケツト３
で冷却器本体１′内を仕切つてガス通路２を形成
し、ガスの流動抵抗を小さくすると共に流速を上
げ熱交換効率をよくしている。又、水冷ジヤケツ
ト３は夫々冷却器本体１′の円周部で連通してい
る。４は冷却水タンク、５は冷却水下降管、６は
冷却水上昇管で、水冷ジヤケツト３内で昇温され
た冷却水と下降管５内の低温の冷却水の比重差で
もつて自然循環するようになつている。尚、７は
空気抜管、８は冷却水タンク４を支持する。

以上のように構成した本考案実施例の作用を説
明する。先ず、精錬工程、即ち注銑時、出鋼準備
時、出鋼排滓時、及び空炉時に発生する高温のガ
スは、炉前換気フード１０或いは炉裏換気フード
１１によつて吸引される。このように吸引された
高温のガスは、集合ダクト２２を通つて冷却器１
で冷却され主幹ダクト１５に導かれる。このよう
にして冷却器１で冷却降温され主幹ダクト１５に
導かれたガスは、除塵器１４で除塵されて処理さ
れる。一方、不規則ではあるが、現場の作業員に
よつて任意に行われるノロ掻作業或いは直注作業
によつて発生する比較的低温のガスは、吸引フー
ド１２，１３によつて吸引されて主幹ダクト１５
に導かれる。主幹ダクト１５内では、精錬工程中
に発生し冷却器１で冷却されたガスと混合する場
合もあり、又ノロ掻時、直注時に発生するガスだ
けの場合もあつてガスの温度、流量は一定ではな
い。非常時の場合冷空気取入ダンパ２１は、主幹
ダクト１５内を流れるこれらのガスの温度を降下
させ除塵器１４を焼損から保護する。

以上詳述した通り本考案によれば、精錬工程中
に発生する高温のガスを吸引するフードの集合ダ
クトに冷却器を設けたので、冷却器内の冷却水と
ガスとの温度差を大きくとることができて冷却効
果を向上させると共に、ガス温度を降温させるの
で、主幹ダクトも極力短くすることができ、然も
主幹ダクトに非常用冷空気取入ダンパを設け、除
塵器に入るガスの温度を降下させることにより、
除塵器を被処理ガスの熱から確実に保護し、更に
は設置場所の制約を解消すると共に経済性をも向
上させる等、その効果は顕著である。

【図面の簡単な説明】

第１図は本案実施例で、直注方式を例に製鋼設
備の換気ダクトの全体を示した図、第２図は冷却
器の一実施例で水冷ジヤケツトを使用したものを
例にして示した図、第３図は第２図のＡ−Ａ断面
図である。 １……冷却器、１′……冷却器本体、２……ガ
ス通路、３……水冷ジヤケツト、９……転炉、１
０……炉前換気フード、１１……炉裏換気フー
ド、１４……除塵器、１５……主幹ダクト、２１
……冷空気取入ダンパ、２２……集合ダクト。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 転炉への注銑、転炉からの出鋼時或いは空炉時
   等に発生するガスを吸引フードで吸引し、除塵器
   で除塵した後排出処理するようにした換気ダクト
   において、前記吸引フードの集合ダクトに冷却器
   を設け、該冷却器と前記除塵器とを主幹ダクトで
   接続し、該主幹ダクトの途中に前記除塵器の保護
   を目的とした冷空気取入ダンパを設けて成る製鋼
   設備の換気ダクト。