JPS6233454B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は自動車用等のエヤーシリンダにおいて
フエーシング摩耗量の大小にかかわらず、クラツ
チ切れ代を一定値に保つための切れ代自動調整機
構に関する。

従来の自動車用クラツチはプレツシヤプレート
をスプリングによりフライホイール側へ押圧し、
又レリーズレバー等を有するレリーズ機構により
逆方向へ戻すようになつているが、そのような従
来品ではスプリングやレリーズ機構が大形化する
という不具合や、フエーシングが摩耗するにつれ
てスプリングからプレツシヤプレートに加わる押
圧力が不足するという不具合等がある。その対策
として本件出願人は特願昭55−7151号等におい
て、エヤーシリンダによりプレツシヤプレートを
フライホイール側へ押圧するようにしたエヤーク
ラツチを提案している。ところが既に提案されて
いるエヤークラツチにおいては、フエーシングの
摩耗量が増加するにつれてクラツチの切れ代が増
し、クラツチ操作感覚が次第に変化するので、ク
ラツチを操作しにくいという不具合がある。

本発明は上記不具合を解決するために、切れ代
調整用のストツパ機構をシリンダ装置に併設した
もので、図面により説明すると次の通りである。

垂直縦断面部分図である第１図において、クラ
ツチカバー１にはプレツシヤプレート２と対向す
る環状のエヤーシリンダ３がボルト４により固定
され、シリンダ３には環状のピストン５が外周側
Ｏリング６、内周側Ｏリング７を介して摺動自在
に嵌合している。ピストン５にはプレツシヤプレ
ート２に設けた突起９が断熱材１０を介して連結
されている。プレート２の外周突起１１にはクラ
ツチ出力軸（図示せず）の中心線Ｏ−Ｏと平行な
ロツド１２が取り付けてある。ロツド１２はカバ
ー１の外周部の孔を通つてフライホイール１３と
反対側へ突出している。ロツド１２の突出端には
ばね受１５が固定され、ばね受１５とカバー１と
の間には圧縮コイルばね１６が縮設されている。

カバー１を挾んでシリンダ３と反対側の部分に
はパイプ１７が設けられ、パイプ１７の一端はカ
バー１に固定した継手１９を介してシリンダ３の
加圧室２０に接続し、他端は回転継手２１を介し
て別の空気通路２２に接続している。通路２２は
クラツチハウジング（図示せず）外においてイン
チングバルブ２３を介して加圧空気源２４に接続
している。図では明示されていないが、加圧空気
源２４はエンジンにより駆動されるコンプレツ
サ、タンク、圧力調整弁等を備え、エンジン運転
中はインチングバルブ２３の入口に常時高圧エヤ
ーが供給されるようになつている。インチングバ
ルブ２３はクラツチペダル２５と連動するように
なつている。

縦断面部分図である第２図の如く、ピストン５
のシリンダ３側の端面には軸２６が一体的に設け
てある。軸２６はクラツチ円周方向に間隔を隔て
て複数本（例えば４本）又は１本設けてあり、各
軸２６はシリンダ３の孔２７を貫通して中心線Ｏ
−Ｏ（第１図）と平行に延び、孔２７から突出し
た部分は継手１９の内部に入り込んでいる。継手
１９は孔２７の周縁部（シリンダ３の一部分）と
共に一体状のボデイ３０を形成しており、ボデイ
３０の内部空洞内において軸２６の外周面にはゴ
ム等で成形された環状部材３１が弾性的に圧接し
た状態で嵌合固定されている。環状部材３１の両
端壁にはそれぞれ環状突起３２，３３が設けてあ
る。ボデイ３０は環状部材３１が収容される環状
断面の排気室３５を備え、室３５の加圧室２０側
の端壁は突起３２と対向するストツパ３６を形成
し、他方の端壁は突起３３が着座できる環状弁座
３７を形成している。第２図の如く突起３３が弁
座３７に着座した状態において、突起３２はスト
ツパ３６から所定距離Ｌだけ離れている。弁座３
７の内周と軸２６の間には隙間３９が形成され、
隙間３９は前記パイプ１７内の通路４０に連通し
ている。

ボデイ３０内には通路４０と加圧室２０をつな
ぐ通路４１が設けてあり、通路４１の途中には加
圧室２０への空気流入のみを許容する逆止弁４２
が設けてある。

作動について説明する。第１図のクラツチペダ
ル２５を離すと、加圧空気源２４からバルブ２
３、通路２２、継手２１を経てパイプ１７へ加圧
エヤーが流入し、更に第３図のパイプ内通路４０
から通路４１及び逆止弁４２を経て加圧室２０内
へ加圧エヤーが流入する。そうすると加圧室２０
内の圧力を受けてピストン５は第１図のプレツシ
ヤプレート２をフライホイール１３側へ押し、プ
レート２はフエーシング４５をフライホイール１
３に圧接させ、クラツチは接続される。上記動作
において第３図の環状部材３１は軸２６と共に移
動し、クラツチが接続した状態では第３図の如く
突起３２はストツパ３６に当接し、突起３３は弁
座３７から距離Ｌだけ離れている。

次にペダル２５を踏み込むと、パイプ１７から
通路２２までの部分はバルブ２３を介して外部に
連通し、第３図の通路４０の圧力は解放され、加
圧室２０への高圧供給は停止される。そうすると
第１図のばね１６からロツド１２等を介して受け
るクラツチ遮断方向Ｒの弾性反発力によりプレツ
シヤプレート２はピストン５をクラツチカバー１
側へ押し戻す。又第３図の環状部材３１はピスト
ン５と共に移動してストツパ３６から離れるの
で、加圧室２０内の高圧エヤーは環状部材３１と
ストツパ３６の間から室３５を経て通路４０へ流
出し、加圧室２０は減圧される。第３図の状態か
らピストン５及び環状部材３１が前記所定距離Ｌ
だけ移動すると、第２図の如く環状部材３１が弁
座３７に着座し、室３５から通路４０へ至る排気
通路は閉鎖される。この着座によりピストン５が
軸２６及び環状部材３１を介して弁座３７に支持
されると共に、加圧室２０に残留する加圧エヤー
からピストン５に反発力が加わり、ピストン５は
第２図の状態で静止する。従つて第１図のプレツ
シヤプレート２も前記所定距離Ｌに概ね一致した
切れ代Ｌだけ接続位置から後退して静止し、フエ
ーシング４５に対する押圧力が解放されてクラツ
チは遮断される。

フエーシング４５が厚さｌだけ摩耗すると、接
続動作においてピストン５は第３図の如く環状部
材３１がストツパ３６に着座する位置まで距離Ｌ
だけ移動した後に、環状部材３１と軸２６の間で
滑りが生じ、環状部材３１を残した状態でピスト
ン５だけが更に摩耗量ｌに対応する距離ｌだけ移
動してプレツシヤプレート２をフエーシング４５
に押圧する。従つてクラツチは確実に接続され
る。次にクラツチを遮断する場合、前述の動作と
同様にピストン５が距離Ｌだけ後退すると、第２
図の如く環状部材３１が弁座３７に着座し、ピス
トン５がそれ以上後退することは阻止される。従
つてプレツシヤプレート２も所定の切れ代Ｌだけ
後退する。

第２図の遮断状態のまま長時間経過すると、加
圧室２０内の残留加圧エヤーが漏れ、ばね１６
（第１図）によりピストン５及び軸２６が環状部
材３１に対してクラツチ遮断方向Ｒに更に押し戻
されることがあるが、その場合でも次の接動動作
時にはフエーシング摩耗時と同様に各部は作動
し、所定の切れ代Ｌが確保される。

以上説明したように本発明では、ピストン５に
設けた軸２６に所定の嵌合力で環状部材３１を嵌
合させ、該環状部材３１にクラツチ接続側のスト
ツパ３６と遮断側のストツパ（弁座３７）を組み
合わせ、環状部材３１に対するピストン５の接続
方向Ｆの相対的な移動だけを許容するように構成
している。従つて、フエーシングが摩耗した場合
でも、ピストン５の接続位置（第３図に示す接続
方向の限界位置）からの後退距離Ｌ（切れ代）を
常に一定に保ち、良好なクラツチ操作感覚を得る
ことができる。

又上記作用効果を得るためには、環状部材３１
と軸２６との嵌合力を、クラツチ接続動作時のピ
ストン５の接続方向の移動力よりも小さく設定す
るとともに、クラツチ遮断動作において環状部材
３１が遮断側ストツパ（弁座３７）に着座した状
態でのピストン５の遮断方向Ｒの移動力よりも大
きく設定する必要がある。この点に関し、本発明
では、遮断方向Ｒの上記移動力を小さく設定し、
それにより嵌合力の許容設定範囲（接続方向Ｆの
ピストン移動力と遮断方向Ｒのピストン移動力と
の差）を広く設定し、嵌合力を上記両移動力の間
の値に容易かつ正確に設定できるようになつてい
る。

すなわち、本発明では、エヤーシリンダ３の加
圧室２０と圧力制御弁（インチングバルブ２３）
をつなぐ空気通路（通路４０等）の上記加圧室２
０側の端部に、加圧空気供給通路４１と加圧空気
排出通路（排気室３５と〓間３９等）を並列に設
け、上記加圧空気供給通路４１に加圧室側への空
気の流入のみを許容する逆止弁４２を設け、上記
加圧空気排出通路に該通路を開閉するバルブ機構
を設けている。

そして上記バルブ機構の弁体（環状部材３１）
が弁座３７（ストツパ）に着座することにより上
記加圧空気排出通路が閉鎖される、すなわち加圧
室２０が密閉されるように構成してある。

従つて、クラツチ遮断動作において環状部材３
１が遮断側ストツパ（弁座３７）に着座した状態
でのピストン５の遮断方向Ｒの移動力は、ばね１
６からの遮断方向Ｒの力と加圧室２０に密封され
た残留空気からの反発力との差となり、ばね１６
の力よりも小さくなる。

従つて、上述の如く、嵌合力を接続方向Ｆのピ
ストン移動力と遮断方向Ｒのピストン移動力の間
の値に容易かつ正確に設定でき、所定の作用効果
を確実に得ることができる。

又上記バルブ機構の弁体及び弁座３７として、
ピストン移動範囲を制限するための環状部材３１
やストツパ３７を使用しているので、専用の弁体
や弁座ならびに専用の移動範囲制限部材を設ける
場合に比べ、構造を簡単化できる。

【図面の簡単な説明】

第１図はエヤークラツチの縦断面部分図、第２
図、第３図はクラツチ遮断状態と接続状態におけ
るエヤーシリンダ機構の縦断面部分図である。１
……クラツチカバー、２……プレツシヤプレー
ト、３……エヤーシリンダ、５……ピストン、１
６……ばね、２０……加圧室、２３……インチン
グバルブ（圧力制御弁）２４……加圧空気源、２
６……軸、３１……環状部材、３５……排気室
（加圧空気排出通路）、３６……接続側ストツパ、
３７……弁座（遮断側ストツパ）、４０……空気
通路、４１……加圧空気供給通路、４２……逆止
弁、Ｆ……クラツチ接続方向、Ｌ……所定距離、
Ｒ……クラツチ遮断方向。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ プレツシヤプレートとその背面側に設けたク
   ラツチカバーとの間にエヤーシリンダを設け、プ
   レツシヤプレートに上記エヤーシリンダのピスト
   ンを連結し、プレツシヤプレートをクラツチ遮断
   方向に付勢するばね機構を設け、エヤーシリンダ
   の加圧室を空気通路及び圧力制御弁を介して加圧
   空気源に接続し、ピストンからクラツチ遮断方向
   に突出した軸を設け、該軸の外周に所定の嵌合力
   で環状の部材を嵌合させ、該環状部材がクラツチ
   接続方向の所定限界位置まで移動した時に当接す
   る接続側ストツパと、環状部材が上記所定限界位
   置からクラツチ遮断方向に所定距離だけ移動した
   時に着座する遮断側ストツパとを設け、上記環状
   部材と軸との嵌合力を、クラツチ接続動作時のピ
   ストンの接続方向の移動力よりも小さく設定する
   とともに、クラツチ遮断動作において環状部材が
   遮断側ストツパに着座した状態でのピストンの遮
   断方向の移動力よりも大きく設定し、上記空気通
   路の上記加圧室側の端部に加圧空気供給通路と加
   圧空気排出通路とを並列に設け、上記加圧空気供
   給通路に加圧室側への空気の流入のみを許容する
   逆止弁を設け、上記加圧空気排出通路に該通路を
   開閉するバルブ機構を設け、上記バルブ機構の弁
   座と弁体を上記遮断側ストツパと上記環状部材と
   で形成したことを特徴とするエヤークラツチの切
   れ代自動調整機構。