JPS623311B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は、加圧燃料が主導管を経て流れる構成
の内燃機関用燃料噴射システムに用いる燃料圧力
調整装置に関する。

従来、内燃機関用燃料噴射システムでは、電動
式定吐出量型燃料ポンプで吐出された燃料が主導
管を経て流れ、この主導管から複数の導管が分岐
し、これらの分岐導管には電磁的に駆動される燃
料噴射弁が取付けてある。導管類は内燃機関に接
近して配管されるのが普通であるから、機関の熱
によつて加熱され、そこを流れる燃料に含まれる
気体が膨張して配管中に有害なベーパーが発生す
ることがある。これは燃料の圧力が高ければ抑え
ることができるので、通常、燃料ポンプは内燃機
関の燃料消費量の２〜３倍の流量を吐出するよう
に設計してある。

その結果、分岐導管の下流に配置された燃料圧
力調整装置は多量の燃料流量を処理しなければな
らず、したがつて大型となりかつ重量も大とな
る。また、燃料圧力調整装置は、燃料流量が変化
しても燃料圧力を一定の値に維持しかつ燃料ポン
プ停止後も主導管内に残圧を維持するために、弁
部に精密加工した部品を精度良く組合わせる必要
があり、これはコスト上昇に通じる。

本発明は、上記の点に鑑みて案出されたもの
で、小型、軽量、安価で、かつ信頼性の高い燃料
圧力調整装置を提供することを目的とする。

本発明の燃料圧力調整装置においては、燃料入
口に直接通じた燃料室と燃料出口に通じうる低圧
室とがハウジングに形成された絞り孔で通じてお
り、装置を通過する燃料の大部分をこの絞り孔で
処理し、一定の燃料圧力が必要とされる内燃機関
の燃料消費流量範囲のみ圧力調整弁で燃料圧力を
精度良く調圧するようになつている。低圧室内に
流入した燃料は、その圧力が或る設定値になる
と、低圧室と燃料出口との間に設置したシヤツト
オフ弁を通つてもどし管に流出するようになつて
おり、このシヤツトオフ弁は燃料ポンプ停止後の
主導管内の圧力保持にも役立つ。さらに、圧力調
整弁は、燃料室内の燃料圧力に応じた開度で燃料
室と低圧室とを前記絞り弁をバイパスして連通さ
せるように作動するダイヤフラム式である。

以下、添付図面を参照しながら一層詳しく説明
する。

第１図は本発明による燃料圧力調整装置１０を
用いた燃料噴射システムの燃料系を示しており、
燃料は燃料タンク１から電動式定吐出量型燃料ポ
ンプ２によつて導管４を通して主導管５に圧送さ
れる。導管４には、周知のように、フイルタ３が
設けてある。主導管５からは複数の分岐導管７が
分岐しており、分岐導管７の端部には電磁的に駆
動される燃料噴射弁６が装着してある。主導管５
の分岐導管７の下流に本発明の燃料圧力調整装置
１０が設けてあり、これによつて余剰の燃料がも
どし管８を経て燃料タンク１にもどされ、各燃料
噴射弁６に供給される燃料圧力が調整される。

第２図を参照して、本発明による燃料圧力調整
装置１０は、主導管５（第１図）から燃料を受け
る燃料入口となる入口通路１１ともどし管８（第
１図）に出口パイプ１２を通して接続しうる燃料
出口となる出口通路１３とを有するハウジング１
４を包含する。このハウジング１４には、入口通
路１１に直接通じた燃料室１５が設けてある。出
口通路１３の内端には縮径延長部１６が設けてあ
り、低圧室を構成している。出口通路１３内に
は、棒状部材のシヤツトオフ弁１７が隙間なく摺
動可能に装着してある。シヤツトオフ弁１７の内
端は低圧室１６と出口通路１３との間の傾斜し
た、すなわち截頭円錐形の段部１８に対応した形
状となつており、閉止機能を高めるためにＯリン
グ１９も設置してある。Ｏリング１９のすぐ後に
は周方向の隆起２０が設けてあり、この隆起は出
口通路１３の内周面と摺動接触している。出口通
路１３の内周面には周溝２１が設けてあり、この
周溝２１内にシヤツトオフ弁１７の隆起２０が位
置したときに低圧室１６と周溝２１が連通するよ
うになつている。また、シヤツトオフ弁１７の、
出口通路１３の周溝２１に対応する部分には、横
孔２２が設けてあり、この横孔２２はシヤツトオ
フ弁１７の長手方向に設けた縦孔（図示せず）を
通して出口パイプ１２に連通する。出口パイプ１
２はハウジング１４の出口通路１３の外端に螺合
してあり、その内端とシヤツトオフ弁１７との間
にコイルばね２３が設置してあつてシヤツトオフ
弁１７を段部１８に弾力的に押し付けている。こ
のばね２３は、後に詳しく説明するように、低圧
室１６内の燃料圧力が第１の設定値に達したとき
にシヤツトオフ弁１７を後退させて開弁作用を行
なわせるような強さとなつている。なお、ハウジ
ング１４、シヤツトオフ弁１７および出口パイプ
１２は耐ガソリン性の熱可塑性合成樹脂で作つて
あると、軽量化の観点から好ましい。

燃料室１５はハウジング１４に形成された絞り
孔２４を通して低圧室１６に接続しており、入口
通路１１を通つて燃料室１５に入つてきた燃料は
常に絞り孔２４を通つて低圧室１６に入り、低圧
室１６が第１の設定圧力以上になれば、シヤツト
オフ弁１７が開いて燃料をもどし管８（第１図）
に導びくことになる。したがつて、燃料圧力調整
装置１０に流入する燃料の大部分は絞り孔２４を
通つてもどし管に流れることになる。そして、燃
料噴射弁６の作動に伴なう脈動が発生しても、燃
料室１５の燃料は絞り孔２４を介して低圧室１６
に入るので、脈動がシヤツトオフ弁１７に作用す
ことがなく、シヤツトオフ弁１７が脈動に応じて
振動する恐れがないので、圧力調整弁２６による
調圧を損なうことがない。

第１図に示すような燃料噴射システムにおい
て、実際に精度よく調圧する必要のある燃料流量
範囲は全流量範囲のうちの1/2〜1/3である。この
目的のために、燃料圧力調整装置１０は、ダイヤ
フラム式圧力調節弁２６を包含し、この圧力調整
弁はハウジング１４とこれに熱力シメまたはねじ
締めによつて取付けたカバー２７との間にはさま
れた外周縁２８を有するダイヤフラム２９を包含
する。このダイヤフラム２９は燃料室１５を油密
に塞いでおり、その反対面とカバー２７とで負圧
室３０を構成している。ガバー２７には、内燃機
関（図示せず）の吸気管負圧発生部に接続するこ
とのできる負圧導管３１が設けてある。

ダイヤフラム２９の中央部には、弁体３２がば
ね受け３３と共に取付けてある。弁体３２は燃料
室１５内のほぼ中央に直立する管状部材３４の開
口端面により構成される弁座を開閉するようにな
つている。この管状部材３４はバイパス通路３５
を構成しており、このバイパス通路３５は低圧室
１６に通じている。弁体３２が管状部材３４の開
口端を閉じているときには、燃料室１５とバイパ
ス通路３５とは互に遮断される。

ダイヤフラム２９上のばね受け３３は、負圧室
３０内でコイル状の調整ばね３６の一端を支えて
おり、ばねの他端はばね皿３７と係合している。
このばね皿３７はその中央に球面部３８を有し、
この球面部は負圧導管３１の内端に設けた球面座
３９と係合しており、この構成により調整ばね３
６の倒れを防ぐことができる。なお、球面部３８
には孔４０が設けてあり、負圧導管３１と負圧室
３０との連通を妨げない。ばね皿３７の球面部３
８の代りに、球そのものを用いてもよい。その場
合、球面座３９の表面に適当な溝を設けなければ
ならない。

調整ばね３６は弁体３２を管状部材３４に向つ
て押圧しており、そのばね力は後に明らかになる
ように燃料室１５内の圧力と内燃機関で発生した
負圧とを微妙に釣合わせるように選定してある。

以上の構成において、今、燃料が入口通路１１
に導入されると、燃料は絞り孔２４を通つて低圧
室１６に流入し、その圧力が第１の設定値P₁に達
すると、シヤツトオフ弁１７がばね２３の力に坑
して第２図で見て右方へ移動し、開弁を行う。絞
り孔２４は、第３図に一点鎖線Ａで示すような燃
料の流量Ｑ―圧力Ｐ特性を持つており、シヤツト
オフ弁１７が開いて絞り孔２４を通過する燃料が
増加するのに伴つて入口通路１１内、すなわち燃
料室１５内の圧力は第３図に実線で示す区間Ｔの
ように上昇する。この圧力が先に低圧室１６に関
連して述べた第１設定値よりも大きい第２設定値
P₂以上になると、ダイヤフラム２９が調整ばね３
６の力に坑して負圧室３０の側に変位させられて
弁体３２が管状部材３４から離れ、バイパス通路
３５を燃料室１５に連通させることになる。こう
して、比較的多量の燃料が絞り孔２４をバイパス
して低圧室１６に流入し、その圧力はもちろん第
１設定値よりも大きいから、シヤツトオフ弁１７
を通過し、出口通路１３を経て出口パイプ１２に
流れ、もどし管８（第１図）に導びかれる。この
とき、弁体３２の上昇程度、すなわち開度は燃料
室１５内の燃料圧力および負圧室３０内の負圧に
応じたものとなり、入口通路１１内の燃料圧力は
第３図に実線Ｂで示すように流量範囲Ｑ_eで、す
なわち流量がQ₁からQ₂まで変化しても第２設定
値P₂に調圧される。

このように、本発明の圧力調整弁は、内燃機関
の燃料消費流量範囲Ｑ_eでのみ作動するため、そ
の作動すべき流量範囲はわずかなものであり、小
型ながら調圧性能の高いものとすることができ
る。なお、この流量範囲の設定は以下の手順に従
つて容易に行なわれうる。

すなわち、燃料ポンプ２の吐出量をＱ_p、内燃
機関の最大燃料消費量をQmとすると、圧力調整
弁を通過する最小流量は（Ｑ_p―Ｑ_n）となるか
ら、この最小流量時に、入口通路内の圧力が圧力
調整弁の第２設定圧力P₂になるように絞り孔の大
きさを設定すればよいのである。

内燃機関を停止させるためにキイスイツチ（図
示せず）を切ると、燃料ポンプ２が停止し、主導
管５内の圧力が低下する。したがつて、圧力調整
弁がバイパス通路３４をまず閉ざし、次にシヤツ
トオフ弁１７も閉じる。よつて、主導管５内の燃
料残圧がシヤツトオフ弁の第１設定値P₁付近に保
たれ、機関の再始動を容易にする。

その際、燃料室１５とシヤツトオフ弁１７とハ
ウジング１４に形成された絞り孔２４および低圧
室１６を介して連通しており、流量Ｑ対圧力Ｐの
特性は、流量範囲Ｑ_eにおいてダイヤフラム式圧
力調整弁２６の特性に影響を与えることがないの
で向上する。

上述の実施例は本発明の好ましい態様である
が、実際の燃料圧力調整装置の製作に関してほと
んどの部品に鉄系材料はもちろんプラスチツク材
あるいは非鉄系鋳造材料も適用できるのは言うま
でもない。特にプラスチツク材料を用いると、重
量軽減と共に大幅なコストダウンを図ることがで
きる。その場合、各部品の結合を溶着等の手段で
行えるのはもちろんである。

また、上述の実施例では室３０に吸気管負圧を
導いたが、燃料噴射弁がスロツトル弁上流に設置
されているものでは大気圧を導くようにしてもよ
い。

以上から明らかなように、本発明によれば、圧
力調整弁が必要な流量範囲でのみ圧力制御を行う
ので、装置そのものを小型化することができ、軽
量化に大きな貢献をなすことができる。また、調
圧機能を果す圧力調制弁と残圧保持機能を果すシ
ヤツトオフ弁とが分離しているので、それぞれの
部品の作動が確実で信頼性が高く、かつ製作の際
精密加工を必要としないのできわめて安価に製作
することができる。

さらに、燃料入口に直接通じた燃料室と燃料出
口にシヤツトオフ弁を介して通じる低圧室とをハ
ウジングに形成した絞り孔で連通したので、内燃
機関の燃料消費流量範囲での流量対圧力の特性が
向上すると共に、噴射弁の作動に伴う脈動がシヤ
ツトオフ弁に作用することがなくなり、圧力調整
弁における調圧を損なう恐れがなくなるという優
れた効果がある。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明による燃料圧力調整装置を用い
た燃料噴射システムを示す概略図、第２図は本発
明による燃料圧力調整装置の一実施例を示す断面
図、第３図は第２図の装置の特性を説明する図で
ある。 １…燃料タンク、２…燃料ポンプ、３…フイル
タ、４…導管、５…主導管、７…分岐導管、８…
もどし管、１０…燃料圧力調整装置、１１…入口
通路、１２…出口パイプ、１３…出口通路、１４
…ハウジング、１５…燃料室、１６…低圧室、１
７…シヤツトオフ弁、２３…ばね、２４…絞り
孔、２６…圧力調整弁、２７…カバー、２９…ダ
イヤフラム、３０…負圧室、３１…負圧導管、３
２…弁体、３４…管状部材、３５…バイパス通
路、３６…調整ばね。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 内燃機関の燃料噴射弁に供給する燃料の一部
   をもどし管を経て燃料タンクにもどして、主導管
   から前記燃料噴射弁に供給する燃料の圧力を調整
   する燃料圧力調整装置において、前記主導管から
   の燃料を受ける燃料入口、および前記もどし管へ
   の燃料のための燃料出口を有するハウジングと、
   この燃料入口に直接連通するように前記ハウジン
   グに設けた燃料室と、前記燃料出口と連通するよ
   うに前記ハウジングに設けた低圧室と、この低圧
   室と前記燃料出口との間に設けてあつて前記低圧
   室内の燃料圧力が第１の設定値以上になつたとき
   に開位置に作動して前記低圧室から前記燃料出口
   に燃料を通過させるようになつているシヤツトオ
   フ弁と、前記燃料室と前記低圧室とを接続するよ
   う前記ハウジングに形成された絞り孔と、この絞
   り孔をバイパスさせて前記燃料室内の燃料を前記
   低圧室に導びくことができるバイパス通路と、こ
   のバイパス通路を開閉するように設けてあつて前
   記燃料室内の燃料圧力が前記第１設定値よりも大
   きい第２の設定値になつたときに開き、前記燃料
   室内の燃料圧力の大きさに依存した開度をとるよ
   うになつてるダイヤフラム式圧力調整弁とを包含
   することを特徴とする燃料圧力調整装置。 ２ 特許請求の範囲第１項に記載の燃料圧力調整
   装置において、前記バイパス通路が前記燃料室内
   に設置した管状部材の長手方向中心に設けてあ
   り、前記ダイヤフラム式圧力調整弁が、前記管状
   部材の前記燃料室側の開口端面の構成する弁座を
   開閉するようになつている弁体と、前記ハウジン
   グとこれに固着したカバーとの間に設置してあつ
   て前記弁体を作動的に支えているダイヤフラム
   と、このダイヤフラムの反対側に前記カバーによ
   つて形成されている室内に設置してあつて前記弁
   体を前記弁座に向つて押圧しているばねとを包含
   することを特徴とする燃料圧力調整装置。