JPS6233118Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、圧縮機のガス漏えい防止装置に関す
るもので、危険なガスや高価なガスを取扱う場合
に有効なもので、とくに、停止時に温度変化等に
基づくシヤフトの移動があつても、軸封部からの
機外へのガスもれを、シールガスやシール油を使
用しないで、シヤフトの移動に追従してガスの漏
えいを防止するようにしたものである。

従来のこの種のガス漏えい防止装置において
は、圧縮機の停止時には、駆動リングを回わして
シールリングを一方向からシヤフトに押しつけて
シールしていたが、運転中との温度差等でシヤフ
トが移動し、このため、その押しつけ力が変化
し、場合によつてはシールが不完全となるなどの
問題点があつた。

本考案は、シール本体とシヤフトの間に相対的
移動があつても、無理なく追従して、ガスの漏え
い防止機能を発揮することができ、また締付け力
が一定であり、ガスの漏えいに対する安全性が高
い圧縮機のガス漏えい防止装置を提供することを
目的とするものである。

このため、本考案の構成は、ケーシングの軸貫
通部に設けられたシール本体によつて支持されて
シヤフトの長手方向に摺動可能に設けられた円筒
形の機内側シールリングと円筒形の機外側シール
リングとを備え、かつ、前記機内側シールリング
の外周には一定方向の雄ねじを刻設した雄ねじ部
を有するとともに、前記機外側シールリングの外
周には該機内側シールリングの雄ねじ部の雄ねじ
とは逆方向の雄ねじを刻設した雄ねじ部を有し、
しかも、内周の一方に該機内側シールリングの前
記雄ねじ部に螺合した雌ねじ部を有するととも
に、その内周の他方に該機外側シールリングの前
記雄ねじ部に螺合した雌ねじ部を有して前記機内
側シールリングと機外側シールリングとで前記シ
ヤフトに設けられている凸状のシール部を挾持さ
せるようにした駆動リングを備えていることを特
徴としている。

すなわち、本考案は、機内側シールリングと機
外側シールリングとを設け、かつ、これら両シー
ルリングの外周の雄ねじを互いに異なる方向のね
じとして、駆動リングをこれら両シールリングに
螺合させることにより、停止時にその駆動リング
を一方向に回わしたとき、両シールリングともシ
ヤフトの凸状のシール部に押しつけられ、シヤフ
トのシール部を機内側と機外側からの両側から挾
みこみ、シヤフトが移動した際に前記両シールリ
ングおよび駆動リングがシヤフトとともに移動す
るようにしたものである。

以下、本考案の一実施例について、図面を参照
しながら説明する。

図面において、１はシール本体で、圧縮機のケ
ーシングの軸貫通部に装着されており、複数のガ
イドピン２が植えこまれている。そして、これら
ガイドピン２に、円筒形の機内側シールリング３
と機外側シールリング４がシヤフト６の長手方向
に摺動可能に組みこまれており、機内側シールリ
ング３の機内側端面には複数に分割された押え板
５が該シヤフト６の凸状のシール部７を機外側シ
ールリング４との間に挾みこむようにボルト８で
装着されている。また機内側シールリング３の外
周には雄ねじ部９を有し、機外側シールリング４
の外周には雄ねじ部１０を有しているが、雄ねじ
部９のねじの方向と雄ねじ部１０のねじの方向は
互いに逆になつている。すなわち、雄ねじ部９の
ねじが右ねじであれば、雄ねじ部１０のねじは左
ねじであり、あるいは、雄ねじ部９のねじが左ね
じであれば、雄ねじ部１０のねじは右ねじであ
る。そして、これらの雄ねじ部９と１０のねじに
螺合する雌ねじ部を内周に有する駆動リング１１
が装着されていて、ちようど、公知のターンバツ
クルのようにかみ合うようになつている。なおこ
の駆動リング１１を手動で回わしてもよいが、こ
の実施例では、電動機１２を用い、中間の回転力
伝達部材１３を介して行なうようになつており、
後述するように、この駆動リング１１は、圧縮機
の停止時に、シヤフト６とともに移動することが
できるようになつていなければならないので、こ
の駆動リング１１と回転力伝達部材１３との噛合
関係は、あたかもスプラインまたは平歯車のよう
になつている。その他、ガイドピン２にはシール
リング位置限定用のつば１４を有し、また機内側
シールリング３にはＯリング１５が、機外側シー
ルリング４にはＯリング１６と１７が組みこまれ
ている。

図示のように構成された圧縮機のガス漏えい防
止装置においては、図では、シヤフト６のシール
部７を機内側シールリング３の押え板５と機外側
シールリング４とで挾みこんだ状態を示してお
り、すなわち、圧縮機の停止時の状態、つまり、
この装置の閉の状態を表わしており、この状態で
は、圧縮機の内部（図では左のほう）と外部（図
では右のほう）は、Ｏリング１５と１６と１７で
しや断されている。したがつて、シヤフト６とシ
ール本体１の相対的位置が変化しても、両シール
リング３と４はシヤフト６に追従するため、その
シール性は損なわれない。この装置の閉または開
は駆動リング１１を一方向または他方向に回転さ
せることにより、いずれの場合も、両シールリン
グ３と４は軸方向に互いに反対に移動して行なわ
れる。すなわち、外周の雄ねじ部９と１０のねじ
がそれぞれ逆方向であるため、その動きも軸方向
に互いに反対であり、したがつて、開時には、機
内側シールリング３は図では左に、機外側シール
リング４は図では右へ動き、閉時には、その反対
に動く。そして、駆動リング１１および両シール
リング３と４ならびに押え板５は、閉時には、シ
ヤフト６のシール部７で位置が決まり、開時に
は、機内側シールリング３をシール本体１に押し
あて、機外側シールリング４をガイドピン２のつ
ば１４に押しあてることにより固定される。

なお上記実施例では、圧縮機の停止時に図示の
ように閉にするから、シール本体１とシヤフト６
の相対移動は左へl₁まで、右へl₂まで追従でき、
圧縮機の運転に際しては開にして行なうから、シ
ヤフト６の回転中はシヤフト６のシール部７に対
して、この装置は左側にl₁のクリアランスを、右
側にl₂のクリアランスを確保できる。

上述のように、本考案は、ケーシングの軸貫通
部に設けられたシール本体によつて支持されてシ
ヤフトの長手方向に摺動可能に設けられた円筒形
の機内側シールリングと円筒形の機外側シールリ
ングとを備え、かつ、前記機内側シールリングの
外周には一定方向の雄ねじを刻設した雄ねじ部を
有するとともに、前記機外側シールリングの外周
には該機内側シールリングの雄ねじ部の雄ねじと
は逆方向の雄ねじを刻設した雄ねじ部を有し、し
かも、内周の一方に該機内側シールリングの前記
雄ねじ部に螺合した雌ねじ部を有するとともに、
その内周の他方に該機外側シールリングの前記雄
ねじ部に螺合した雌ねじ部を有して前記機内側シ
ールリングと機外側シールリングとで前記シヤフ
トに設けられている凸状のシール部を挾持させる
ようにした駆動リングを備えているから、圧縮機
の停止時には、その駆動リングを一方向に回わし
て両シールリングともシヤフトに設けられている
凸状のシール部に押しつけ、その凸状のシール部
を機内側と機外側からの両側から挾みこんでシー
ルすることができ、したがつて、シール本体とシ
ヤフトの間に相対的移動があつても、無理なく追
従して、ガスの漏えい防止機能を発揮することが
でき、また締付け力が一定であり、漏えいに対す
る安全性が高いなど、本考案の奏する効果が、き
わめて大である。

【図面の簡単な説明】

図は本考案の一実施例を示した一部切欠断面側
面図である。 １……シール本体、２……ガイドピン、３……
機内側シールリング、４……機外側シールリン
グ、５……押え板、６……シヤフト、７……シー
ル部、８……ボルト、９，１０……雄ねじ、１１
……駆動リング、１２……電動機、１３……回転
力伝達部材、１４……つば、１５，１６，１７…
…Ｏリング。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. ケーシングの軸貫通部に設けられたシール本体
   によつて支持されてシヤフトの長手方向に摺動可
   能に設けられた円筒形の機内側シールリングと円
   筒形の機外側シールリングとを備え、かつ、前記
   機内側シールリングの外周には一定方向の雄ねじ
   を刻設した雄ねじ部を有するとともに、前記機外
   側シールリングの外周には該機内側シールリング
   の雄ねじ部の雄ねじとは逆方向の雄ねじを刻設し
   た雄ねじ部を有し、しかも、内周の一方に該機内
   側シールリングの前記雄ねじ部に螺合した雌ねじ
   部を有するとともに、その内周の他方に該機外側
   シールリングの前記雄ねじ部に螺合した雌ねじ部
   を有して前記機内側シールリングと機外側シール
   リングとで前記シヤフトに設けられている凸状の
   シール部を挾持させるようにした駆動リングを備
   えていることを特徴とする、圧縮機のガス漏えい
   防止装置。