JPS6232159B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は点火器に関し、更に詳しくは、可燃性
粉末塊、つまり、火薬塊の点火器であつて、特に
不燃性容器とその容器の一端に配置された点火起
爆薬と容器の内部に設けられた固形装薬よりなる
形式の熱弾導学的点火器に関する。

この形の点火器はロケツト推進航空機、ロケツ
ト及びガス発生器用に特に設計され、又可燃性粉
末塊を使用する他の装置用にも設計されている。

上に述べた形の今迄にある点火器では、塊りの
装薬はガスを発生する成分より作られていて、そ
して白熱粒子を含んだガス流の通過によつて、点
火される粉末塊の表面は燃焼する。これらの点火
器では、粉末塊表面に例えば、爆発塗料のような
熱に敏感な合成物である点火塊を付加して、点火
性能を補強する必要があつた。これは単に普通の
過圧力ないし爆発作用を形成するに過ぎないとい
う欠点を有し、充分な信頼性と安全性を保証する
ことが望まれる時には極めて機能範囲が狭なると
いう欠点があつた。

本発明の目的は上述の欠点を無くし、そして困
難と考えられた可燃性粉末塊ないし発射火薬粉末
の点火を可能にすることである。

本発明は、可燃性粉末塊の点火器であつて、不
燃性容器と、前記不燃性容器の一端に配置された
点火起爆薬と、前記容器の内部に配置される固形
装薬とを備え、該固形装薬は、前記起爆薬を保持
した容器端から順次に活動度が低減する順序で装
填される発火性の発射用装薬、発火性の点火用装
薬、熱発生を伴つて相互反応する粒状金属の三者
を含んで成り、前記発火性の発射用装薬が残余の
発火性の点火用装薬、熱発生を伴つて相互反応す
る粒状金属の両者を前記可燃性粉末塊に向けて推
進、発射させて点火させる構成としたことを特徴
とする可燃性粉末塊の点火器を提供するものであ
る。この点火器によれば、可燃性粉末塊の表面の
燃焼が、白熱化した粒子を含むガス流の通過によ
つて生ずるばかりでなく、多くは相互反応粒子な
いしペレツトの推進、衝突により生じ、又は反応
により熔融状態となつた上記粒状金属が発射され
て可燃性粉末塊上に広がることにより該可燃性粉
末塊を点火に必要な温度よりはるかに高い温度状
態にすることにより生ずるのである。この点火器
は、揮発性の生成物は僅かしか発生しない活性合
成物を使用しているということから、爆発性を帯
びることはないのである。更に点火器から可燃性
粉末塊への熱伝達は、高い熱容量を有する熔解金
属によつて保証され、可燃性粉末塊の燃焼によつ
て生じたガスが内部圧力を支配するから、通常の
作動圧を超えることはなく、故に、これは発射火
薬装置の構造上の負担を軽減する上で好ましいの
である。

有利な特徴としては、容器にはつばが設けられ
て、起爆薬はそのつば付き容器の最も狭くなつた
個所に配置される。

他の特徴としては、上述のように、固形装薬は
発火性の発射用装薬、発火性の点火用装薬、熱発
生を伴つて相互反応する粒状金属の三者を含んで
成り、これらは、起爆薬を保持している容器の端
から順次にその活動度が低くなるように配置され
る。

上記の固形装薬は、10重量％以下の発火性の発
射用装薬と、35〜55重量％の発火性の点火用装薬
と、35〜55重量％の熱発生を伴つて相互反応する
粒状金属とを含んで成るものが有利である。ま
た、上記の点火用装薬及び熱発生を伴つて相互反
応する粒状金属は、それらが接触しても夫々の装
薬、粒状金属が化学的適合性を有効に保有し、ま
た金属粒子間発熱反応が生ずるようであれば、両
者を混合してもよい。

本点火器は、点火される可燃性粉末塊を包含し
た装置に、その装置の正常の運転状態が得られた
時点で破壊するような結合部材により結合してお
いてもよい。

通常の装置の場合には、可燃性粉末塊を包含
し、中心に穴が明けられた推進薬作動装置の前方
位置に点火器が配置されていて、緊張された特定
の寸法の膜によつて外気との不通状態を点火器ノ
ズルの位置得るようにしている。

他方、推進薬作動装置の中心に点火器を設けた
装置の場合には、可燃性粉末塊を包含した装置に
点火器本体を結合しているガス不透性の連結部
を、可燃性粉末塊の燃焼によつて生ずるガスの圧
力によつて破壊して、点火器を分離でき、分離
は、点火器本体の円筒部のブラストパイプにおけ
る有溝又は溝なし可撓性継手において生ずるよう
にするか、又は点火器本体の近くに設けられた、
特定寸法の破壊用開口において生ずるようになつ
ている。以下図面に従つて本発明を更に詳述す
る。

第１図において点火器は不燃性物体、例えば金
属製の容器１と、火薬合成物の装薬３，４，５と
を有し、起爆薬２が円筒状の上記容器々体１の一
端の処に配置してあり、例えば電子照射法で器体
１にハンダ付けされている。火薬合成物の装薬は
起爆薬２が取り付いている端から見て容器の器体
１内で順次に配置されていて、即ち、粒状の発射
用装薬３、粒状及び突角状の点火用装薬４、熱発
生を伴つて相互反応する粒状金属の装薬５の順序
である。

前記の夫々異なる合成物の装薬３，４，５は金
属膜１４，１４ａで隔離されていて、活動度がそ
れぞれ相違したものである。点火器の閉塞具６は
容器器体１の起爆薬とは反対の端の処に配置して
あり、確実に外気を通さないようにしている。閉
塞具６は特定寸法の金属膜であつてもよく、緊張
化されていてもよい。連結部材７は器体１に一体
的であつて、その深さが特定寸法である剪断開口
８があり、そして剛性又は柔軟な結合部材９を有
していて、この結合部材９は、例えば、弾性材料
で形成されると共にレリーズ装置１０を有してい
る。上記連結部材７はガス逃し用のブラストパイ
プ１１のオリフイスと一体的に作られていて、そ
のブラストパイプ１１自体は推進薬作動装置の本
体の構造物１２と一体になつている。また、連結
部材７は外気の遮断を保証するよう設けられてい
る。固形装薬３，４，５の発射（エジエクシヨ
ン）後に推進薬作動装置がその望ましい正常作動
状態に達した時に、点火器は第２図及び第３図に
示す可燃性粉末塊または発射火薬塊１６の燃焼か
ら生ずるガスの圧力によつて分離され、そして破
壊する開口部８に沿つて外気遮断用の連結部材７
が破壊されることによつて、その分離が生ずるか
又は結合部材９の箇処で破断することによつて分
離が生ずる。点火器の容器１は、張り出し部を有
する形状がよく、起爆薬２はその容器の最も狭い
部分の所に配置されている。

点火器が作動した後に、装薬３は予め定められ
た弾道条件の下で装薬４と５を放出するようにな
り、その条件とは、それぞれ違つた合成物の固形
装薬３，４，５，に対する質量と、点火物の寸法
（本体１の内径と、部材１４，１４ａ，６の位置
の間の関係）との関係に対応する。しかしながら
特記すべきことは、膜１４ａは特定寸法の膜では
なく、それは単に違つた性質の物質間の遮断的な
分離部材の一部としての働きをしていて、弾道学
的な作用はない。

粒状合成物の固形装薬３は、点火用合成物の固
形装薬４と同じ化学的合成物であつてもよいが、
発射用装薬の役目を満足するためには、その特有
の表面は極めて大きいことが必要である。

点火用合成物の固形装薬４は粒状又は小球状で
作られていて、装薬３によつて発射される途中で
点火され、そして第２図及び第３図に図示の点火
される粉末塊１６によつて範囲が定められている
空域１５の中へと押しやられる。同時に、合成物
の装薬４は、装薬５を伴つてそれを熔融点にまで
加熱する。装薬５は反応の工程中で、合成物の装
薬４の燃焼による生成物と反応し、それが液体の
状態で粉末塊１６の上に広がり、該粉末塊１６と
反応する。

発射用の固形装薬３は、他の固形装薬４と５の
合計重量の10％以下がよい。これら２つの装薬
４，５は夫々が全体の装薬の重量の45％近くの初
期重量を有すべきである。しかしながら、各々の
装薬の化学的性質及び物理的性能に応じて、前述
の比は±10％の範囲内で変えることができる。

合成物の装薬３と４は、アルカリ属又はアルカ
リ土類の硝酸塩、塩素酸塩、過塩素酸塩、クロム
酸塩、酸化物等の酸化剤（オキシダント）から成
り、アルミニウム、ホウ素、ベリリウム、タング
ステン、モリブデン、チタニウム、ジルコニウ
ム、トリウム等の元素、又はこれ等の元素の水素
化物等の還元剤を有している。

結合材料は、ポリエステル、エポキサイド、ポ
リブタジエンのような還元作用をなす樹脂と、フ
ツ化エチレンのような酸化剤であり、意図した反
応を均等に起生し、かつ後の保存のことを考慮し
て選択する。

装薬５は粉末、粒体、又は削りくずの形に細粒
化さた金属粒子から成り、その主要な特性は自然
発火性と大きい発熱容量とを有することである。
例として、以下のある種の金属か又はその合金な
いしは混合物が使われ、それ等らの金属としては
例えば、ジルコニウム、マグネシウム、トリウ
ム、アルミニウム、チタニウム、ベリリウム、ウ
ラニウム、銅、セリウム、ニオビウム、タンタ
ル、モリブデン、鉄、パラジウム等があり、これ
らの幾つかのものは、本発明の技術で考慮する所
の金属間発熱反応を呈する。従つて、また、接触
しているそれぞれの成分要素の化学的な性能が有
効であれば、装薬４と５を混合物にして配し、金
属相互間の反応も生ずるようにしてもよい。

第２図及び第３図では、推進薬作動装置１２の
図示していない前端まで装填された発射火薬粉末
塊１６を点火するものであり、本発明の点火器の
装着の実施例を示している。この推進薬作動装置
１２中の粉末塊１６の形態では、推進薬作動装置
の前方に点火器を容易に取り付ける形態にはな
い。

本発明の点火器は、従つてブラストパイプ１１
の首の処に配置すべきであり、そして後表面１８
又は塊１６の軸方向の円筒状部１９とを、弾道的
推進パラメーターが両立できる時間帯で点火すべ
きである。

第２図の例では、可燃性粉末塊１６には正面燃
焼があり、塊１６に対する点火の開始時に燃焼表
面を増加させるために、部分１７の箇処で横に面
取りされている。点火器の器体１が内部円錐形を
有していることは、右側にある可燃粉末塊１６の
表面１８と面取り面１７との両面に亘つて、装薬
４と５を推進、衝突させるように助勢し、そして
点火器の軸に沿つた方向の効果を分散することが
できる。

第３図の例では推進薬作動装置１２の可燃性粉
末塊１６に点火器が取り付いていて、その長さは
直径に比べて特に長くそして中心部分１９の中で
点火される。点火器の器体１は僅かに外方に拡つ
ていても、いなくてもよく、発射火薬塊ないし可
燃性粉末塊１６の前面１８から内側まで該器体１
が延びている。

第４図にはガス発生装置に本発明の点火器を取
り付けた状態を示す。普通の点火器よりは本発明
の点器の取り付けによつて、ガスを発生する塊１
６の表面の処で補助の粉末状の効能促進剤を設け
る必要がなくなる。粉末塊１６は、単にその外周
部分２０で点火されるのみであるが、塊の右手表
面２１や軸方向の通路２２には点火しない。塊１
６の燃焼圧力によつて第２のチヤンバー２３との
連通状態が生ずるが、このチヤンバー２３に空に
すべき特殊の袋が入つているのである。

固形装薬３，４，５の合成物の非限定的な例と
して、低圧低温では特に点火が困難だと知られて
いる発射火薬粉末塊を、点火するように設計され
た本発明の点火器に対するものを以下に示す。

発射用装薬３は400μより小さい粒の形をした
５ｇの過塩素酸ホウ素カリウムより成る。点火用
装薬４は、ポリエステル樹脂で固めて500〜1200
μの粒子にした10ｇの硝酸ホウ素カリウムと、高
さ６mm、直径６mmの円筒形ペレツトの形にした10
ｇの上記と同一化合物とから構成される。

また、点火器の前方部には、前記の円筒形ペレ
ツトと同じ硝酸ホウ素カリウムのペレツト40ｇを
配置して点火用装薬４の一部を形成すると共にそ
れに混合した状態で50μ以下の粒子にした60ｇの
ジルコニウムを導入して、固形装薬５を構成させ
る。かくして、点火器の左方から右方に順次に発
射用装薬３（５ｇ）、点火用装薬４（10ｇ＋10ｇ
＋40ｇ）、固形装薬５（60ｇ）が配置される。

【図面の簡単な説明】

第１図は、本発明の点火器の実施例の略示断面
図、第２図は違う形式の推進薬作動装置に取り付
けた本発明の点火器の略示断面図、第３図は更に
別の形式の推進薬作動装置に取り付けた点火器の
第２図同様の断面図、第４図はガス発生装置に取
り付けた本発明の点火器の略示断面図。 尚、１は容器の器体、２は起爆薬、３，４，５
は固形装薬、６は閉塞具、７は連結部材、８は剪
断開口、９は結合部材、１１はブラストパイプ、
１２は推進薬作動装置、１４，１４ａは金属膜、
１５は空域、１６は可燃性粉末塊をそれぞれ示
す。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 可燃性粉末塊の点火器において、不燃性容器
   と、前記不燃性容器の一端に配置された点火起爆
   薬と、前記容器の内部に配置される固形装薬とを
   備え、該固形装薬は、前記起爆薬を保持した容器
   端から順次に活動度が低減する順序で装填される
   発火性の発射用装薬、発火性の点火用装薬、熱発
   生を伴つて相互反応する粒状金属の三者を含んで
   成り、前記発火性の発射用装薬が残余の発火性の
   点火用装薬、熱発生を伴つて相互反応する粒状金
   属の両者を可燃粉末塊に向けて推進、発射させて
   点火させる構成としたことを特徴とする可燃性粉
   末塊の点火器。 ２ 前記不燃性容器はすそ広がり形状の容器であ
   つて、その細口端側に前記起爆薬が配置されてい
   る特許請求の範囲第１項に記載の可燃性粉末塊の
   点火器。 ３ 前記固形装薬は10重量％以下の発火性の発射
   用装薬と、35〜55重量％の発火性の点火用装薬
   と、35〜55重量％の熱発生を伴つて相互反応する
   粒状金属とを含んで成る特許請求の範囲第１項に
   記載の可燃性粉末塊の点火器。 ４ 前記点火用装薬と発射用装薬とは、酸化剤と
   増量剤との混合物を樹脂で固めて粒状または突角
   粒状の混合物小粒としたものから成り、発射用装
   薬の混合物の比表面積が点火用装薬の混合物の比
   表面積より大きくなるように構成された特許請求
   の範囲第１項に記載の可燃性粉末塊の点火器。 ５ 前記発射用装薬と前記点火用装薬との間に配
   置されて点火器の弾道学的作用保証と前記固形装
   薬における異なる成分装薬間の物理的隔離保証と
   を行う少なくとも１つの特定寸法の膜体と、前記
   起爆薬の弾道学的作用保証と外気を通さない閉塞
   性の保証とを行うために前記不燃性容器の前記起
   爆薬とは反対側の端部に配置された他の特定寸法
   の膜体とを具備した特許請求の範囲第１項に記載
   の可燃性粉末塊の点火器。 ６ 前記点火用装薬の少なくとも一部分には熱発
   生を伴つて相互反応する粒状金属が混合状態で含
   まれている特許請求の範囲第１項に記載の可燃性
   粉末塊の点火器。 ７ 不通気性の結合部を具備し、該結合部は、点
   火器容器の近くにその深さが特定寸法の破壊用開
   口が有り、前記結合部は前記点火器容器を１つの
   推進薬作動装置のノズルの中心に位置するように
   連結し、該推進薬作動装置が正規の作動状態に達
   したときに前記可燃性粉末塊の燃焼によつて生じ
   たガスの圧力によつて、前記破壊用開口に沿つて
   前記結合部を破壊することにより前記推進薬作動
   装置から容器を分離するようにした特許請求の範
   囲第１項に記載の可燃性粉末塊の点火器。