JPS6229652Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は主として低質燃料油を使用するデイー
ゼル機関の加熱装置に関する。

最近の船舶用デイーゼル機関等には、燃料費節
約のために低質燃料油が多く利用されている。と
ころが低質燃料油は粘度が高く、従つて機関に使
用する場合には加熱して粘度を低くする必要があ
る。

従来は発電機の電力で発熱するヒータにより、
低質燃料油を加熱しているが、ヒータを発熱させ
るための余分な電力が必要になることと、発電機
自体が機関により駆動されることにより、余分な
燃料が必要となり、不経済であつた。無論ヒータ
等の特別な電気部品が必要となることにより、部
品代も高くついていた。

また第４図に示すように、冷却水出口集合管２
１に特別の燃料加熱用配管２２を接続し、加熱用
配管２２を燃料タンク２３内へ導いて燃料を加熱
する装置もあるが、燃料タンク２３へ至るまでの
放熱が多く、充分に燃料を加熱することができな
い。また冷却水に対する配管低抗も多くなり、冷
却水の流れが悪くなるという不具合もある。さら
に加熱用配管２２を備えるための特別のスペース
が必要になり、機関室艤装が複雑になる。なお第
４図において、２５はクーラ、２６は冷却水ポン
プである。

本考案は上記のような不具合を解消するもので
あり、低質燃料油等の要加熱流体を加熱するため
に、冷却水を極めて効率良く利用できるようにす
ると共に、機関が大型化しないようにすることを
目的としている。以下図面に基づいて本考案を説
明する。

第１図は本考案による加熱装置を備えたデイー
ゼル機関の側面図であり、この第１図において、
１はシリンダブロツク、２はシリンダヘツド、３
は冷却水クーラ、４は冷却水ポンプであり、ポン
プ４の吐出部には冷却水入口分配管５が接続され
ている。入口分配管５はシリンダブロツク１の長
さ方向に沿つて配置されると共に、各気筒に枝分
れし、ブロツク１内の冷却水通路（図示せず）へ
と通じている。ブロツク内の冷却水通路はシリン
ダヘツド２内の各気筒の冷却水通路へと通じ、シ
リンダヘツド２内の各気筒の冷却水通路出口部は
出口枝管７を介して冷却水出口集合管６に接続さ
れている。冷却水出口集合管６はシリンダヘツド
２の長さ方向に沿つて概ね直線状に配置されると
共に、シリンダヘツド２に直接固着されている。
冷却水出口集合管６の出口部６ａはクーラ３に接
続され、クーラ３の出口部はポンプ４に接続され
ている。

冷却水出口集合管６の拡大縦断面図である第２
図において、冷却水出口集合管６内には概ね直線
状の低質燃料油管８が配置されている。燃料油管
８の燃料入口側（第２図右端側）は冷却水出口集
合管出口部６ａ側のプラグ１０を貫通して、例え
ば燃料タンクに接続され、燃料油管８の出口側は
第２図左端の冷却水出口集合管蓋１１を貫通し
て、例えば燃料噴射ポンプに接続される。

燃料油管８は第３図に示すように出口枝管７側
に片寄るように配置されている。

クーラ３（第１図）により冷やされた冷却水
は、ポンプ４により冷却水入口分配管５に送ら
れ、分配管５から各気筒のシリンダブロツク内冷
却水通路、さらにはシリンダヘツド内冷却水通路
へと送られ、受熱する。受熱後の冷却水は各気筒
の出口枝管７から冷却水出口集合管６へ供給さ
れ、冷却水出口集合管６内で低質燃料油を加熱し
た後、クーラ３へと送られる。

第３図のように燃料油管８を出口枝管７側に片
寄らせていると、燃料加熱効果を一層高めること
ができ、また気筒内の冷却水圧力を高めることも
できる。また第２図に示すように燃料油管８にフ
イン１２を形成すると、燃料加熱効果がより一層
高められる。

以上説明したように本考案は、機関に直接装着
される冷却水出口集合管（冷却水出口管）６内
に、低質燃料油（要加熱流体）を通す燃料油管
（流体用管）８を備えているので、電熱ヒータ等
のような発電機の電力を利用した特別の加熱用電
気部品を用いることなく燃料を加熱することがで
き、省エネ化を達成できるのは無論のこと、次の
ような利点がある。即ち： (1) 機関に直接装着される冷却水出口集合管６を
利用しているので、シリンダヘツド２から排出
された直後の最も高温の冷却水により燃料を加
熱することになり、燃料を充分に加熱すること
ができる。いい換えれば冷却水の熱を効率良く
利用することができる。

(2) 冷却水を利用して燃料を加熱できるようにし
ながらも、第４図の従来例のように燃料タンク
２３まで至る特別の配管２２を必要としないの
が、冷却水用配管構造が複雑にならず、機関室
艤装が複雑化しない。また冷却水に対する配管
抵抗も第４図の装置に比べて大幅に減少し、冷
却水を円滑に循環させることができる。

(3) 機関に直接装着される冷却水出口集合管６に
燃料油管（流体用管）８を取り付けているの
で、取付構造が強固である。

(4) 概ね直線状の燃料油管（流体用管）８を出口
枝管７側に偏らせているので、燃料油管８は、
出口枝管７から出口集合管６内に吐出する冷却
水に対して冷却水圧制御部材として働き、それ
により気筒内の冷却水圧を高め、冷却性能を向
上させることができる。

(5) 燃料油管（流体用管）８を冷却水出口集合管
６の長さ方向の一端出口側から他端部まで概ね
直線状に貫通させると共に出口枝管７側に偏ら
せているので、出口枝管７から吐出される直後
の加熱冷却水が無駄なく速やかに燃料油管８に
当り、それにより燃料加熱効果が向上する。

(6) 燃料油管（流体用管）８を冷却水出口集合管
６の長さ方向の一端出口側から他端部まで概ね
直線状に貫通させているので、燃料油管８の製
造及び配管が簡単である。

なお流体用管として、例えば潤滑油管等を備え
ることができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案による加熱装置を備えたデイー
ゼル機関の側面図、第２図は要部の拡大縦断面
図、第３図は第２図の−断面図、第４図は従
来例を示す機関の側面略図である。６……冷却水
出口集合管（冷却水出口管）、８……燃料油管
（流体用管の１例）。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 機関のシリンダヘツドに直線状の冷却水出口集
   合管を直接装着し、各気筒の冷却水通路出口をそ
   れぞれ出口枝管を介して冷却水出口集合管の円周
   側面に接続し、燃料等要加熱流体を通す流体用管
   を冷却水出口集合管内に配置し、上記流体用管を
   冷却水出口集合管の長さ方向の一端出口側から他
   端部まで概ね直線状に貫通させると共に出口枝管
   側に偏らせていることを特徴とする機関の燃料等
   流体加熱装置。