JPS622870Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 この考案はリボンスピーカに関し、特に耐入力
性の向上に関するものである。

リボンスピーカは、フイルム状のリボンに音響
信号を供給することによつて振動を発生させるこ
とにより、振動板の作用をも持たせたものであ
り、高音用スピーカとして適している。

この場合、上記リボンスピーカはシート状のリ
ボンを振動体として利用しているために、過大入
力が供給されるとリボンそのものが瞬時に発熱し
て焼損する問題を有しており、耐入力性が極めて
低いためにその取り扱いには十分な注意が必要で
ある。つまり、従来のリボンスピーカは、リボン
への給電を板状をなした導電板を用いて行なつて
いるが、リボンの前方端と後方端に給電する導電
板のうち、リボンの前方端に給電する導電板がリ
ボンの下面側に近接しかつ平行した状態で配置さ
れることになる。そして、この導電板としては銅
板等がその生地の色のままで使用されているため
に、リボンから放射される熱は導電板において反
射されて再びリボンに戻されることになり、これ
に伴なつてリボンの放熱が阻止されて耐入力性が
低くなつているものである。

従つて、この考案によるリボンスピーカは、リ
ボンの放熱特性を向上させることにより耐入力性
を向上させるものである。以下、図面を用いて本
考案によるリボンスピーカを詳細に説明する。

図はこの考案によるリボンスピーカの一実施例
を示すリボン部分の要部斜視図であつて、長方形
をなしたフイルム状のリボン１には、その後方端
に給電板２が接続されており、また前方端にはリ
ボン１および導電板２に沿つて逆Ｌ字状に曲げら
れた導電板３の先端部が接続されている。そし
て、この導電板３はその少なくともリボン１と対
向する面Ａが黒化処理されている。この黒化処理
の方法としては、黒色物質の塗布、あるいはメツ
キ等がある。一方、この導電板２，３の他端部
は、一次側Ｐが音響信号源４に接続されたトラン
ス５の２次側Ｓに接続されている。

このように構成されたリボンスピーカにおい
て、音響信号源４から音響信号がトランス５の１
次側Ｐに供給されると、該トランス５の２次側Ｓ
に電圧変換された音響信号が出力される。このト
ランス５の２次側Ｓに発生される音響信号は導電
板３，リボン１および導電板２の経路を介して流
れることになり、リボン１を流れる音響信号に対
応してリボン１が振動し、これに伴なつて放音が
行なわれることになる。そして、リボン１は過大
信号電流によつて発熱し、その幅射熱が外周に放
射されることになる。この場合、リボン１の下側
に位置する導電板３は、その対向面Ａが黒化処理
されているために、リボン１から放射される輻射
熱はこの黒化処理された導電板３においてほぼす
べて吸収されることになり、この導電板３がリボ
ン１の放熱に寄与することになる。従つて、リボ
ン１の放熱効果の向上に伴なつて、耐入力性が向
上することになる。

なお、上記実施例においては、リボン１と対向
する導電板３の面Ａのみを黒化処理した場合につ
いてのみ説明したが、この考案はこれに限定され
るものではなく、導電板３の全表面を黒化処理し
ても良いことは言うまでもない。

以上説明したように、この考案によるリボンス
ピーカは、リボンに給電する導電板の少なくとも
リボンと対向する面を黒化処理したものであるた
めに、リボンの放熱効果を高めて耐入力性を向上
させることが出来る。また、この考案によればリ
ボンの昇温が軽減されるためにインピーダンス上
昇が防止され、これに伴なつてパワーリニアリテ
イが向上する等の種々優れた効果を有する。

【図面の簡単な説明】

図はこの考案によるリボンスピーカの一実施例
を示す要部斜視図である。 １……リボン、２，３……導電板、４……音響
信号源、５……トランス、Ｐ……１次側、Ｓ……
２次側、Ａ……黒化処理面。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 振動体としてのリボンと、リボンに給電する板
   状の導電板とを有するリボンスピーカにおいて、
   上記導電板の少なくともリボンと対向する面を黒
   化処理することにより、リボンの放熱を吸収して
   リボンの放熱効果を高めることにより、、耐入力
   性を向上させたリボンスピーカ。