JPS6228641Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は低速で大きなトルクを伝達させるのに
好適なエアモータ等の気体圧回転装置に関するも
のである。

従来、エアモータとしてはベーンモータやター
ビンモータが知られているが、これらは高速回転
に適するもので、低速大トルク用には適さないも
のである。一方、低速大トルク用としては星形ピ
ストン式のものやカムローラ式のものがあるが、
これらはいずれも構造が複雑であり、またカムの
加工等が面倒で高価となる欠点があつた。

本考案は前述した従来技術の欠点を解消したも
のであつて、その特徴とするところは、回転軸に
ねじ部を設けると共にピストンの内周面にもねじ
部を設けることにより該ピストンを回転軸のねじ
部に往復動可能に螺合させ、該ピストンを係合部
材にスプライン結合し、ケーシングとピストン端
面との間にシリンダ室を形成し、該シリンダ室に
圧縮空気を給気することによりピストンを一方向
に押動せしめ、ピストンと係合部材との間にばね
を張設することにより前記押動方向とは反対方向
に押動可能となし、シリンダ室内に圧縮空気が供
給されたときにはピストンを非回転状態で変化さ
せることにより回転軸を回転駆動し、シリンダ室
から圧縮空気が排出されてピストンがばねの押圧
力により反対方向に移動するときには前記回転軸
の回転に干渉しない方向にピストンを回転させる
一方向クラツチにより係合部材とケーシングとを
連結することにより、構造が簡単にして大きなト
ルクで回転軸を回転させることができるようにし
た空気圧回転装置を提供することにある。

以下、図面に基づいて本考案の実施例を説明す
る。

図面において、１はほぼ円筒状に形成したケー
シング、２は該ケーシング１の一端を施蓋するカ
バー、３はケーシング１内に設けられ、軸受４，
５によりケーシング１およびカバー２に支承され
た回転軸を示す。回転軸３にはその外周面に角ね
じを該設することによりねじ部６が形成され、該
ねじ部６には内周面にねじ部７Ａを該設したピス
トン７が螺合されており、該ピストン７はねじ部
６と螺合状態で回転軸３に対して相対回転しなが
ら回転軸３の軸方向に往復動できるようになつて
いる。

次に、８はケーシング１内において、ピストン
７の端面とカバー２の内壁との間に形成されたシ
リンダ室で、該シリンダ室８内に圧縮空気を供給
することによりピストン７を図中左方に押動させ
ることができるようになつている。そして、ケー
シング１には圧縮空気のシリンダ室８への給排を
行なう給気口９および排気口１０が穿設されてい
る。またピストン７のケーシング１内壁と当接す
る外周縁にはカバー２側に突出する延出部１１が
設けられ、該延出部１１には連通孔１２が穿設さ
れて、ピストン７が第１図に示したように、カバ
ー２側に位置するときにはシリンダ室８を給気口
９と連通させ、またピストン７が第２図に示した
ように図中左方に変位したときにシリンダ室８を
排気口１０と連通させることにより、該シリンダ
室８内に圧縮空気の給排を行なうことができるよ
うになつている。１３は係合部材１４とピストン
７との間に張設した圧縮ばねで、該圧縮ばね１３
はピストン７を常時図中右方に付勢している。

ここで、前記係合部材１４には爪部１５が設け
られ、該爪部１５はピストン７に設けた爪部１６
と係合しており、該各爪部１５，１６により係合
部材１４はピストン７とスプライン結合してい
る。従つて、ピストン７はその軸方向への動きは
係合部材１４に干渉されず、ピストン７の回転に
対しては係合部材１４が同期回転するようになつ
ている。そして、係合部材１４はテーパ溝１７
Ａ、係止部材１７Ｂおよびばね１７Ｃからなる一
方向クラツチ１７を介してケーシング１に連結さ
れており、これによりピストン７は、係合部材１
４に近接する方向に移動するときには一方向クラ
ツチ１７の係止部材１７Ｂがテーパ溝１７Ａ内に
喰み込んだ状態となつて回転することができず、
回転軸３を回転させながら変位し、係合部材１４
から離反する方向に移動するときには一方向クラ
ツチ１７の係止状態が解除され、ピストン７は係
合部材１４と共に回転しながら変位せしめられ
る。なお、図中１８は回転軸３に取付けられたフ
ライホイール、１９は係合部材１４とケーシング
１の内壁との間に設けられたスラスト軸受をそれ
ぞれ示す。

本考案に係る気体圧回転装置は前述の構成を有
するもので、以下にその作動について説明する。

まず第１図に示したように、ピストン７が図中
右方の死点位置にあり、ばね１３が伸長すると共
にシリンダ室８は収縮した状態にあるとする。そ
こで、給気口９から連通孔１２を介して圧縮空気
をシリンダ室８内に供給すると、当該圧縮空気に
よりピストン７は図中左方に押動される。そし
て、ピストン７は一方向クラツチ１７により回転
することができないようになつているから、該ピ
ストン７は回転軸３を図中矢印で示した方向に回
転させながらばね１３の付勢力に抗して左方に移
動する。

そして、ピストン７の延出部１１により給気口
９が閉塞された後もシリンダ室８内に封入された
圧縮空気の膨張作用によりピストン７は回転軸３
を回転させながらさらに図中左方に移動を続け、
第２図に示した左方の死点位置にまで変位して停
止する。このとき、シリンダ室８は連通孔１２を
介して排気口１０と連通せしめられるから、シリ
ンダ室８内の圧縮空気は急速に排出される。しか
し、回転軸３はその後もフライホイール１８によ
る慣性力で回転が継続せしめられる。

而して、シリンダ室８から圧縮空気が排出され
ると、ピストン７は圧縮ばね１３の作用により図
中右方に押動せしめられる。このとき、ピストン
７のねじ部７Ａと回転軸３のねじ部６との螺合に
より、ピストン７には回転軸３の回転方向と同じ
方向に回転する力が作用する。そして、一方向ク
ラツチ１７はピストン７のこの方向への回転に対
しては干渉しないから、ばね１３の作用により、
ピストン７は係合部材１４と共に回転軸３より早
い回転速度で回転しながら図中右方に移動して、
第１図の右方の死点位置にまで変位する。そこ
で、シリンダ室８は連通孔１２により給気口９と
連通せしめられるから、シリンダ室８内には再び
圧縮空気が供給される。このため、ピストン７は
再び回転軸３を回転させながら第２図の左方の死
点位置にまで移動する。

前述のように、シリンダ室８内に圧縮空気を給
排することにより、ピストン７が右方の死点から
左方の死点に移動する間は回転軸３を回転駆動さ
せることができ、また回転軸３の回転に対して何
ら干渉することなくピストン７を左方の死点から
右方の死点に復帰させることができる。従つて、
これを繰り返すことにより間欠的に回転軸３を回
転させることができるようになり、しかも高圧の
圧縮空気を供給することにより回転軸３の出力ト
ルクを大きくすることができる。また、回転軸３
に大きな慣性力を有するフライホイール１８を取
付けることにより、ピストン７が左方から右方の
死点に変位するときにも、回転軸３はフライホイ
ール１８の慣性力により回転を継続させることが
でき、回転軸３に回転むらが生じるのを防止する
ことができる。

なお、前述の実施例では回転軸３のねじ部６お
よびピストン７のねじ部７Ａを角ねじとしたもの
について述べたが、ピストン７が回転軸に対して
可逆的に運動して動力を伝達するのに適した他の
形状のねじ、例えばボールねじ等を使用すること
もできる。また、フライホイール１８は回転軸３
に慣性力で回転させることにより回転むらを防止
するために設けられるもので、伝達系に慣性力が
ある場合にはフライホイール１８は必ずしも設け
なくともよい。

以上詳細に述べた如く、本考案に係る気体圧回
転装置によれば、回転軸にピストンを螺合し、シ
リンダ室に給気される圧縮空気とばねの付勢力と
によりピストンを回転軸と螺合状態で往復動可能
ならしめ、ピストンを係合部材により一方向クラ
ツチを介してケーシングに連結することにより、
ピストンが圧縮空気の作用によつて移動するとき
には非回転状態で変位させて回転軸を回転駆動
し、ばねの付勢力によつて移動するときにはピス
トンを回転させながら変位させる構成としたか
ら、簡単な構造でしかも小数の部品により回転装
置を形成することができ、しかも回転装置として
大きな出力トルクを得ることができる。

【図面の簡単な説明】

第１図および第２図は本考案に係る気体圧回転
装置のそれぞれ異なる作動状態を示す縦断面図で
ある。 １……ケーシング、３……回転軸、６，７Ａ…
…ねじ部、７……ピストン、８……シリンダ室、
９……給気口、１０……排気口、１３……ばね、
１４……係合部材、１５，１６……爪部、１７…
…一方向クラツチ。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. ケーシング内には外周面にねじ部を有する回転
   軸と、該回転軸に螺合され前記ねじ部と螺合状態
   で往復動するピストンとを設け、該ピストンを軸
   方向に移動可能ならしめ、かつ回転方向の動きに
   対しては同期回転する係合部材を前記ピストンに
   スプライン結合させて設け、前記ピストンの端面
   と前記ケーシング内壁との間には前記ケーシング
   に穿設した給気口より圧縮空気を供給することに
   より該ピストンを一方向に押動させるシリンダ室
   を形成し、また前記ピストンと前記係合部材との
   間には該ピストンを前記方向とは反対方向に押動
   するばねを設け、前記ピストンが圧縮空気により
   押動されるときには該ピストンを非回転状態で移
   動させて前記回転軸を回転させ、前記ばねにより
   押動されるときに該ピストンを回転しながら移動
   させる一方向クラツチを前記係合部材と前記ケー
   シングとの間に設けてなる気体圧回転装置。