JPS6228316B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本発明は波により漂動浮体に上下運動を生じさ
せ、この浮体とほぼ静止した筒状体、又は取付体
との間の相対的上下運動エネルギーを電気エネル
ギーへ変換する波の上下運動を利用した多段磁石
式発電装置に関する。

［従来の技術］ 現在用いられている電気の多くは埋蔵エネルギ
ー資源を用いて発電されたものとなつているが、
このような資源の有限性から、電気需要量の増大
に伴つてその他のエネルギー利用になる発電形式
例えば風力発電、潮流発電等も開発されつつあ
る。このように開発されつつある潮流発電は専ら
一方向へ流れる潮流を利用するものである。従つ
て、そのエネルギーの電気エネルギーへの変換の
ためには、潮流に対して固定した発電設備を設け
ればその所期の目的は達成される。

［発明が解決しようとする問題点］ しかしながら、発電設備を固定するのでは、そ
の発電設備は比較的浅海にしか設けることができ
ず、従つて、潮流エネルギーは無尽蔵に近いにも
拘わらず、その利用が制限されたものとなつてい
る。

本発明の目的は、波等の往復動を発電機構の相
対的往復動に直接に利用し、以つて海洋等の位置
的制限なしに波動エネルギー等の利用を可及的に
図り得る波等の上下動を利用した発電装置を提供
するにある。

［問題点を解決するための手段及び作用］ 本発明によれば、磁石及びコイルのうちいずれ
か一方がその長手方向に沿つて多段に周設された
軸と、上記いずれか一方に対する地方がその長手
方向に沿つて多段に設けらると共に、その中に上
記軸が配置される筒状体と、波により上下運動さ
れる漂動浮体と、上記軸又は筒状体に設けられた
標示燈とを備え、上記軸及び筒状体のうちいずれ
か一方を上記漂動浮体の中心部に連結させて揺動
自在にすると共に、他方にこれを海中に略鉛直に
保つて静止させるべく、その中途にバランス浮体
を、また下部にバランス錘とを設け、かつバラン
ス錘を上下動に対して抵抗するよう径を大きくし
たもので、バランス浮体とバランス錘とで、軸又
は筒状体を海中に鉛直にかつ静止状態に維持さ
せ、漂動浮体に連結された筒状体又は軸を波の上
下により強制的に揺動させ、軸と筒状体との上下
の相対運動により、それに取付けられた磁石とコ
イルとにより直接発電を行うと共に、標示燈を点
灯させるようにしたものである。

［実施例］ 以下、添付図面を参照しながら、本発明の好適
実施例を以下に説明する。

第１図Ａ及びＢ並びに第２図は夫々後述の発電
装置に用いられる発電機１，１′を示す。第１図
において、２は軸で、環状磁石３が環状継鉄４を
挾んで軸２に複数嵌着されている。その周りに筒
状体５が軸２と同心的に設けられ、この筒状体５
の内壁から複数個の鉄心６が立設され、この鉄心
６の周りにコイル７が巻装されている。これらの
コイル７は後述するように、各コイルに誘起され
た起電力の向きが一致するように直列又は並列に
接続されている。第２図の発電機１′は環状磁石
３及び環状継鉄４とコイル７との取付け位置が入
れ代つていることのみにおいて相違する。

上述した構成になる発電機１，１′は軸２の往
復動例えば波の上下運動により環状磁石から出て
いる磁力線は継鉄４の作用により静止しているコ
イル７又は鉄心６へ継鉄４がない場合に比しより
多く伝達せしめ得るから、そのコイル７にはフレ
ミングの右手則により定まる方向の誘起起電力が
発生する。コイル７の夫々に誘起される起電力は
往復動に従つて一律の向きを有するから、上述し
たようにこれらの起電力が相加わるように各コイ
ル７は直列又は並列に接続されており、その出力
端子に現われた電圧は負荷へ供給される。

第３図及び第４図は夫々、第１図、第２図で説
明した発電装置１，１′を用いて本発明の発電装
置を構成する例を示し、これは第１図Ａ及びＢ並
びに第２図に示される対応する発電機１，１′の
軸２を漂動浮体９へ支持フレーム１０を介して固
着し、他方筒状体５′の中途外周にバランス浮体
１１を設けると共にその下部にバランス錘１２を
固着して構成されている。第３図の発電装置８
は、その漂動浮体９に生ずる予測外の動揺を規制
するための手段、例えば鎖１３及び錨１４から成
る手段も設けられている。また漂動浮体９の上方
の軸２には標示燈（浮標塔）１５が設けられ、こ
の標示燈１５が上述したコイルの出力端子へ接続
され、負荷の一部となつている。尚標示燈１５は
筒状体５側に設けてもよい。

次に、第３図及び第４図に示される発電装置８
の動作を以下に説明する。

今、発電装置８が漂動浮体９を海面上に、そし
てバランス浮体１１及びバランス錘１２により筒
状体５′が鉛直に且つその頂部を漂動浮体９の上
面より少し上に出るようにして海中に置かれてい
るものとする。

この状態において、筒状体５′へ波動がやつて
来てもバランス浮体１１及びバランス錘１２の相
互作用で筒状体５′は略鉛直に保たれる。このよ
うな状態においても筒状体５′の上下動を小さく
保つためには、バランス錘１２の外径を大きくし
て水の抵抗を増せばよい。

他方、漂動浮体９は波の上下運動に敏感に応動
する。

従つて、軸２の磁石３と筒状体５′のコイル７
との間に相対的な上下動が生じ、上述した如くし
てコイル７に誘起起電力が発生する。そして、こ
の起電力は負荷の一部である標示燈１５へ供給さ
れ標示燈１５が点灯される。この場合、発電によ
る力の作用点は軸２又は筒状体５′の中心線と一
致し、波の上下運動による軸２又は筒状体５′の
上下動が円滑にでき、しかもその波の上下運動に
よるエネルギーを磁石３とコイル７とで直接電気
エネルギーに変換でき機械的な損失がないため効
率よく発電できる。

第３図及び第４図の発電装置８の筒状体５′と
漂動浮体９との間に、両者間の相対的な上下運動
中の摩擦を減少させるための手段例えばローラを
設けるのがよいことは勿論であり、このような手
段により相対的な上下運動の弱化を防止し、発電
効率の向上に役立つ。

［発明の効果］ 以上の説明から明らかなごとく本発明によれば
次のごとき優れた効果を発揮する。

(1) 海洋等の波の上下運動から磁石とコイルとの
相対的な上下運動を生じさせることにより、波
動の保有するエネルギーを、海洋上の任意の位
置で電気エネルギーに変換し得る。

(2) 磁石とコイルの個数は任意に選べ、しかもそ
れらを軸又は筒状体に直接多段に取り付けて上
下に相対運動を強制的に起させて発電するの
で、小型にして比較的に大容量の発電装置とす
ることができ、現在又は将来の電力供給源を補
う一助になる。

(3) 従来のように発電機のための原動機を不要と
し、波の上下動で直接磁石とコイルとにより発
電するので波の上下動エネルギーを有効にかつ
効率よく利用可能なエネルギー化し、省資源化
に大いに寄与する。

(4) 軸又は筒状体の一方のバランス錘の上部にバ
ランス浮体を、また下部にバランス錘を設ける
ことがその軸又は筒状体が海中で鉛直に保たれ
ると共にバランス錘の径を大きくして上下動に
対して抵抗するようにしたので、その一方の軸
又は筒状体を実質的に静止状態に維持し、漂動
浮体が上下動することにより軸と筒状体とを強
制的に上下に相対運動させることが可能とな
り、従つて、海上に浮かべておくだけで発電で
き、海洋上において給電設備を要する浮標灯、
救助ブイ等にも容易に採用し得る。

(5) 機械的な可動部分が少ないため故障が生ぜ
ず、海洋上に漂う限り、永久的に漂示燈、無線
機等へ給電することができ、給電能力喪失から
来る救助ブイの機能喪失はなくなり、海難事故
における救助作業に与える貢献度は極めて大き
く、また離島における緊急又は常備の電力源と
して用いることもできる。

【図面の簡単な説明】

第１図Ａは本発明の発電装置における発電機の
詳細を示す縦断面図、第１図Ｂは第１図Ａの平面
図、第２図は本発明発電装置における発電機の他
の例を示す縦断面図、第３図は本発明の発電装置
の一実施例を示す縦断面図、第４図は本発明の発
電装置の他の実施例を示す縦断面図である。 図中、２は軸、３は磁石、４は継鉄、５及び
５′は筒状体、６は鉄芯、７はコイル、９は漂動
浮体、１０は支持フレーム、１１はバランス浮
体、１２はバランス錘、１５は標示燈である。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 磁石及びコイルのうちいずれか一方がその長
   手方向に沿つて多段に周設された軸と、上記いず
   れか一方に対する他方がその長手方向に沿つて多
   段に設けられると共に、その中に上記軸が配置さ
   れる筒状体と、波により上下運動される漂動浮体
   と、上記軸又は筒状体に設けられた標示燈とを備
   え、上記軸及び筒状体のうちいずれか一方を上記
   漂動浮体の中心部に連結させて揺動自在にすると
   共に、他方に、これを海中に略鉛直に保つて静止
   させるべく、その中途にバランス浮体を、また下
   部にバランス錘とを設け、かつバランス錘を上下
   動に対して抵抗するよう径を大きくし、波による
   漂動浮体の上下動とバランス錘による水の抵抗と
   で多段の磁石とコイルの上下相対運動を強制的に
   起させて直接発電すると共に、上記標示燈を点灯
   させることを特徴とする波の上下運動を利用した
   多段磁石式発電装置。