JPS6225693Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は自動車のエンジン回転数を計測するタ
コメータの改良に関するものである。

タコメータは、イグニツシヨンパルスなどエン
ジン回転数に比例して出力される電気パルスを波
形整形した後、積分してパルス数に比例した直流
電圧を得、この直流電圧を直流電圧計にて計測す
るようにしたものである。したがつて、構造的に
は通常の可動線輪形の直流メータとほぼ同じであ
る。そして、タコメータは自動車のダツシユボー
ドのパネル面に装着されるので、指針軸は水平方
向に向くように配置される。しかし、このように
指針軸を水平に配置すると、軸の機械的損失が変
化して指示誤差が生じる。ここで、一定の入力を
メータに加えているとき、静止状態における指針
の指示値と振動を加えて固定抵抗分（軸受の摩擦
損など）を除去した状態における指針の指示値と
の差を求め、この差をメータのヒゲゼンマイのば
ね定数によつてトルクに換算したものをヒステリ
シス損失と定義すると、従来のタコメータにおい
ては、ヒゲゼンマイなどの機械的位置の変位によ
つてスラスト力が変わりこのヒステリシス損失が
変化しやすくなる。

第１図は従来のタコメータにおける指針の回転
角とヒステリシス損失との関係を示すグラフであ
る。第１図イは指針軸を垂直に配置したときの姿
勢の特性であるが、指針軸はロータの自重も加つ
て下側の軸受にスラスト受けされるので、指針の
回転角が０からフルスケールの３／２π（ラジアン） まで変化してもヒステリシス損失はあまり変化し
ない。しかし、前述したようにタコメータを自動
車に実装する際はこのような姿勢で使用されるこ
とはない。また、第１図ロは指針軸を水平に配置
したときの姿勢の特性であるが、通常のタコメー
タはすべてこの姿勢で用いられる。これによる
と、前記のように、指針の回転角が大きくなると
ヒゲゼンマイの機械的変位が大きくなり、スラス
ト受けの力が変つてヒステリシス損失が大きく変
化する。このようにヒステリシス損失が大きく変
化すると回転角によつて指示値に誤差を生じ、タ
コメータの精度が低下してしまうという欠点があ
つた。

本考案はこのような従来の欠点を解消するため
になされたもので、その目的とするところは、ヒ
ステリシス損失の変化を減少させて指示誤差を少
なくして、安定かつ高精度のタコメータを提供す
ることにある。

このような目的を達成するために、本考案は、
ロータに磁性体を設け、界磁ヨークによつてこの
磁性体を吸引して指針軸を一方の軸受にスラスト
受けさせるようにしたものである。

以下、本考案を図面に基ずいて詳細に説明す
る。

第２図は本考案に係るタコメータの一実施例の
メータ部分の縦断面図である。図において、１は
指針軸、２は指針軸１の前部を軸支する絶縁材か
らなる前軸受、３は前軸受２に形成されたオイル
だめ、４はベース５にねじ込まれた指針軸１の後
部を軸支するための後軸受、６は後軸受４の先端
凹部に収容された指針軸１の後端をスラスト受け
するためのスラスト受部材、７は後軸受４に設け
られたオイルだめ、８は後軸受４の後面に形成さ
れた調節用ドライバをさし込むための溝、９は後
軸受４をベース５に固定するためのロツクナツト
である。これにより、指針軸１は前軸受２と後軸
受４によつて回転自在に軸支され、かつ溝８にド
ライバをさし込んで後軸受４をまわし前後に移動
させることにより適当なあがきに調節される。ま
た、１１は指針軸１の前端に装着された指針、１
２は文字板、１３，１４は前軸受２に互に絶縁す
るように取付けられた端子板、１５は外端を端子
板１３の切起先端部１３ａに、内端を指針軸１に
固定されたカラー１６にそれぞれ取付けられたヒ
ゲゼンマイ、１７は外端を端子板１４の切起先端
部１４ａに、内端を指針軸１に固定された絶縁材
からなるロータ基板１８の基部１８ａにそれぞれ
取付けられたヒゲゼンマイ、１９はヒゲゼンマイ
１５と１７が接触しないようにその間に設けられ
た絶縁板、２０はロータ基板１８の後面に取付け
られたコイル、２１は同じくロータ基板１８に取
付けられたカウンタウエイト、２２は界磁石２３
の磁束をコイル２０の近傍に分布させるためのヨ
ーク、２４はヨーク２２近くのロータ基板１８上
に取付けられた高透磁率材料からなる磁性体であ
る。コイル２０の両端のリード線は図示しないが
ヒゲゼンマイ１５および１７の内端にそれぞれ接
続されている。

このような構成で、端子板１３および１４にエ
ンジン回転数に比例した電圧（電流）を供給する
と、コイル２０に電流が流れ、この電流とヨーク
２２の磁束との間に生ずる電磁力によりロータ基
板１８はヒゲゼンマイ１５と１７のばね力に抗し
てトルクが平衡する位置まで回転する。この結
果、指針１１が文字板１２上に形成された目盛を
指示してエンジン回転数を計測することができ
る。電圧（電流）を切ると指針１１はヒゲゼンマ
イ１５，１７の力で零復帰する。

この場合、ロータ基板１８上には磁性体２４が
設けられているので、この磁性体２４がヨーク２
２に吸引されることにより指針軸１は所定の力で
常に後方に引かれることになる。したがつて、指
針軸１の後端はスラスト受部材６に一定のスラス
ト力で接触し、指針軸１が大きく回転してヒゲゼ
ンマイ１５，１７が多少変形してもそのスラスト
力はほとんど変化しない。

第３図は本考案のタコメータにおける指針１１
の回転角とヒステリシス損失との関係を示すグラ
フである。第１図ロの従来例に比して、最初から
ある程度の損失はあるが０〜３／２πの回転変位の間 にヒステリシス損失はほとんど変化していない。
したがつて、同じ回転角位置では常に一定の指示
をなすことができる。

このように、本考案に係るタコメータによる
と、簡単な構造によりヒステリシス損失の変化が
大きく減少するため、指示誤差が少なくなり、安
定性および精度が向上する効果がある。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来のタコメータの指針回転角とヒス
テリシス損失との関係を示すグラフ、第２図は本
考案に係るタコメータの一実施例のメータ部分の
縦断面図、第３図は本考案のタコメータの指針回
転角とヒステリシス損失との関係を示すグラフで
ある。 １……指針軸、２……前軸受、４……後軸受、
６……スラスト受部材、１１……指針、１２……
文字板、１３，１４……端子板、１５，１７……
ヒゲゼンマイ、１８……ロータ基板、２０……コ
イル、２２……ヨーク、２３……界磁石、２４…
…磁性体。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 指針軸に固定されたロータに設けられたコイル
   と、指針軸を軸支する軸受と、指針軸を零復帰さ
   せるためのヒゲゼンマイと、コイルに磁界を与え
   るためのヨークを有する界磁石と、ロータに設け
   られた磁性体とを備え、前記ヨークによつて前記
   磁性体を吸引し、前記指針軸を一方の軸受にスラ
   スト受けさせるようにしたタコメータ。