JPS6223672B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は、ドツトマトリツクス印字ヘツドに係
り、特に、細密印字を行うのに好適な印字ヘツド
に関する。

ドツトマトリクス印字ヘツドの従来の代表的な
構成を第１図によつて説明する。

電磁マグネツト２のコイル１に通電すると、電
磁マグネツト２にアーマチユア３が吸収され、ア
ーマチユア３は支点４を中心として矢印５の方向
に回転し、先端でプリントワイア６を押す。プリ
ントワイア６は、ガイド１２に案内されながら矢
印７の方向に前進し、先端でインクリボン８を印
刷用紙９に押圧して印刷用紙９にインクリボン８
のインクを転写し、ドツトを印刷する。その後、
プリントワイア６とアーマチユア３は、印刷用紙
９とインクリボン８の反発力、および戻しバネ１
０の力によつて後退し、アーマチユア３がゴム製
のバツクストツプ１１に衝突し、運動エネルギー
を放出して復旧位置に衝突し、運動エネルギーを
放出して復旧位置に止る。

通常、プリントワイア６は複数本存在し、アー
マチユア３の位置で放射状に配列される。そし
て、電磁マグネツト２とアーマチユア３も各プリ
ントワイアに対応して円状に配設される。

ここで、アーマチユア３（プリントワイア６）
の復旧時の挙動について説明する。

電磁マグネツト２のコイル１に通電し、次にこ
の通電を断つと、アーマチユア３は第２図のよう
に運動する。すなわち、第１図に於て復旧位置か
ら矢印５の方向に移動し、ドツト印刷後に方向を
逆転してバツクストツプ１１へ向つて移動し、復
旧位置でバツクストツプ１１に衝突する。この衝
突でアーマチユア３の運動エネルギーはバツクス
トツプ１１に吸収されるが、アーマチユア３は直
ちに復旧位置に静止するわけではなく、バツクス
トツプ１１の反作用を受けて、ある時間にわたつ
て減衰振動する。

この振動が無くなるまで次の駆動を行なわなけ
れば、特に問題はない。しかし、連続してドツト
を高速印刷する場合、アーマチユア３の上記の振
動が終らないうちに電磁マグネツト２のコイル１
に通電されることになり、アーマチユア３は第３
図イに示すように挙動する。つまり、２回目の駆
動時はアーマチユア３は１回目の駆動後の振動に
よる加速度を余分に受けるため、１回目よりも高
速で正方向に移動する。したがつて、プリントワ
イア６の前進する速度が１回目よりも大きくな
り、印刷用紙９に対する押圧力は第３図ロに示す
ように、１回目よりもΔＷだけ増大する。

一方、プリントワイア６の押圧力は、所要のド
ツト濃度が得られ、かつインクリボン８や印刷用
紙９をプリントワイア６で損傷しないような、あ
る許容範囲内に維持しなければならず、この条件
を満足するように上記の押圧力変動量ΔＷも抑え
る必要がある。細密印字を行なう印字ヘツドでは
プリントワイア６の径が小さく、プリントワイア
６の先端がインクリボン８や印刷用紙９を突き破
りやすいため、押圧力の許容範囲は狭くなる。ま
た、その分だけ押圧力の変動量ΔＷも小さく抑え
る必要がある。

しかるに、従来の印字ヘツドにおいては、バツ
クストツプ１１の材料であるゴムの特性が温度に
よつて大幅に変化し、アーマチユア３との衝突時
の反発力が温度に大きく依存する。そのため、ア
ーマチユア３の復旧時の挙動は第４図に示すよう
に、低温時、常温時、高温時とで大きく変化して
しまう。その結果、プリントワイア６の押圧力お
よびその変動量ΔＷが温度によつて大幅に変化
し、特に高温時に押圧力が許容範囲の上限を越え
てしまうという問題があつた。

このような問題に対処すべく、従来から、バツ
クストツプ１１の材質の研究が行なわれている。
しかし、押圧力の条件の厳しい細密印字用の印字
ヘツドでは、広い温度範囲にわたつて押圧力を許
容範囲内に維持することは極めて困難であつた。

本発明の目的は、広い温度範囲にわたつてプリ
ントワイアの押圧力を安定に維持できるようにし
た印字ヘツドを提供することにある。

本発明のもう１つの目的は、細密印字に好適な
印字ヘツドを提供することにある。

しかして本発明による印字ヘツドの主たる特徴
は、従来のバツクストツプに代つて、一種のダイ
ナミツクダンパによりプリントワイアないしアー
マチユアを復旧位置に停止させることにある。こ
のダイナミツクダンパは、具体的には、バネ部材
により片持ちに支持された重り部材と、この重り
部材と印字ヘツドの固定部材との間に介在する弾
性部材とから成り、プリントワイアの後退時にプ
リントワイアまたはアーマチユアを重り部材に衝
突させるように構成される。これ以外の特徴につ
いては、実施例によつて明らかにする。

第５図は、本発明の一実施例である印字ヘツド
の一部を省略した断面図であり、第１図と同等部
分には同一符号を付してある。また第６図は、第
５図の一部の構成部品を概略的に示す分解斜視図
である。

２０は重り部材であり、金属板２１を主要素と
して構成されている。金属板２１はプラスチツク
のアウトサート・モールド２５によつて、板バネ
２２の先端部分と固着されている。板バネ２２
は、第６図に示すように、リング状部２２′から
内方に放射状に延設されている。つまり、プリン
トワイア６は放射状に複数本配列しており、各プ
リントワイアに対応してアーマチユア３、電磁マ
グネツト２、バネ部材２２が用意されているが、
本実施例では、全ての板バネ２２を第６図のよう
にリング状部２２′で連結して一体的に形成して
ある。そして、各板バネ２２の基端、つまりリン
グ状部２２′は固定部材であるダンパプレート２
３に固着され、固着された重り部材２０を片持ち
支持する。また各板バネ２２は、上方（矢印２９
の方向）へ重り部材２０を偏寄させる作用も有す
る。

重り部材２０の金属板２１は、重り部材２０の
質量の大半を決定するもので、その内端部分は上
向きに折曲されている。このように折曲したの
は、金属板２１をプレス抜きによつて容易に製作
できるような板厚に抑え、かつ収容スペースを最
少限に抑えながら、所要の質量を得るために有利
であるからである。したがつて、条件さえ許すな
らば、金属板２１を図示のように折曲しなくても
よい。

またアウトサート・モールド２５は、少なくと
もアーマチユア３と衝突する面の部分では耐摩耗
性が要求される。このような条件を考慮し、モー
ルド２５の少なくともアーマチユア３との衝突部
分は、周知のナイロンやデルリンAFなどの耐摩
耗材料で被覆されている。またこの衝突部分は、
アーマチユア３の片当りを避けるために曲面され
ている。

重り部材２０とダンパプレート２３の間に、例
えばシリコンゴムなどから成るシート状の弾性部
材２６が設けられている。この弾性部材２６も、
第６図に示すように、リング状部２６′によつて
全て一体的に連結形成された構造である。

弾性部材２６の上側に金属の保護板２７が設け
られている。重り部材２０の位置、つまりアーマ
チユア３およびプリントワイア６の復旧位置を調
節可能とするために、ダンパプレート２３に螺合
するネジ２８を設けている。このネジ２８の先端
が直接的に弾性部材２６に当ると、弾性部材２６
が損傷を受けやすいこと、またそれにより、重り
部材２０の位置が変化し、上記の復旧位置の変動
を招くことから、上記の保護板２７を弾性部材２
６とネジ２８の先端との間に介在させている。こ
の保護板２７も、第６図に示すように、全てリン
グ状部２７′で一体的に連結されている。

なお、板バネ２２、弾性部材２６、保護板２７
は、それぞれ１つずつ分離させることも可能であ
る。しかし、これらを第６図のように一体的に形
成すると、印字ヘツドの組立てや分解が容易にな
る等の利点がある。

つぎに、本実施例の動作について説明する。

電磁マグネツト２のコイル１に通電すると、ア
ーマチユア３は吸引されて支点４を中心に矢印５
の方向に回転する。これにより、プリントワイア
６が前進し、先端でインクリボンを印刷用紙に押
し付け、ドツトを印刷する。

ついで、印刷用紙とインクリボンの反発力、お
よび戻しバネ１０の力により、プリントワイア６
が後退し、これと一緒にアーマチユア３も矢印２
９の方向に回転する。

アーマチユア３は復旧位置まで移動すると重り
部材２０に衝突する。その結果、第７図に示すよ
うに、僅かにはね返され、以降減衰振動しながら
最終的に復旧位置に静止する。一方、プリントワ
イア６およびアーマチユア３の運動エネルギーを
与えられた重り部材２０は、弾性部材２６を圧縮
しながら上方へ移動し、その後、弾性部材２６に
反発されて下方へ移動し、結果として、板バネ２
２上の重り部材２０とダンパプレート２３との間
にある回転中心の回りに振動する。ただし、重り
部材２０の運動エネルギーは、主に弾性部材２６
の粘性によつて徐々に失なわれてゆくため、重り
部材２０の振動は第７図に示すような減衰振動と
なり、重り部材２０は最終的に静止する。

アーマチユア３、したがつてプリントワイア６
の復旧時の振動の振幅は、アーマチユア３が衝突
の際に重り部材２０から受ける反発力によつて主
に決まる。そして、この反発力の大きさは重り部
材２０とアーマチユア３を含む運動系との質量比
にほぼ支配され、温度の影響はほとんど受けな
い。一方、前述した押圧力の変動量ΔＷは、復旧
時の振幅に左右される。したがつて、本実施例の
ような構造によれば、押圧力の変動量ΔＷを広い
温度範囲にわたつて、ほぼ一定に保つことができ
る。

本発明を一実施例について、以上に詳細に説明
したが、本発明はこれに限定されるものではな
い。例えば、弾性部材２６はダンパプレート２３
または重り部材２０の一方または両方に接着する
などして固着してもよい。また、重り部材２０の
静止した状態で、重り部材２０と弾性部材２６と
の間に空間が生じるように構成することも許され
る。重り部材２０は所要の質量を得られるなら
ば、金属その他の材料の単一部材として形成する
ことも可能である。さらに、プリントワイア６と
アーマチユア３との係合部分の構造によつては、
重り部材２０をプリントワイア６の後端と直接衝
突させるようにしてもよい。

本発明は以上に述べた如くであり、ドツトを連
続印刷する場合に１回目のドツト印刷時とそれ以
降のドツト印刷時との間の押圧力の変動量（Δ
Ｗ）を、広い温度範囲にわたつてほぼ一定に保つ
ことができる。したがつて、押圧力の許容範囲の
狭い細密印字用の印字ヘツドの場合でも広い温度
範囲について押圧力を許容範囲内に維持すること
が容易になる。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来の印字ヘツドの断面図、第２図な
いし第４図は第１図の印字ヘツドにおけるアーマ
チユアの挙動、およびプリントワイアの押圧力の
変化を示す図、第５図は本発明の一実施例である
印字ヘツドの断面図、第６図は第５図中の一部の
構成要素を拡大して示す分解斜視図、第７図は同
実施例のアーマチユアおよび重り部材の挙動を示
す図である。 ２……電磁マグネツト、３……アーマチユア、
６……プリントワイア、１０……戻しバネ、２０
……重り部材、２１……金属板、２２……板バ
ネ、２３……ダンパプレート、２６……弾性部
材。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 電磁マグネツトによつて駆動されるアーマチ
   ユアによりワイヤ部材を進退させ、前進時に該ワ
   イヤ部材の先端でドツトを印刷する印字ヘツドに
   おいて、前記ワイヤ部材が後退したときに前記ア
   ーマユアと接する位置に、一端が固定された板バ
   ネ部材により片持ちに支持された重り部材を配置
   すると共に、前記アーマユアと接する重り部材の
   反対側と固定部材の間に前記重り部材の運動エネ
   ルギーを吸収する弾性部材を配置したことを特徴
   とする印字ヘツド。 ２ 前記重り部材と前記バネ部材をプラスチツク
   のアウトサートモールドによつて固着したことを
   特徴とする特許請求の範囲第１項記載の印字ヘツ
   ド。 ３ 前記重り部材の一端を折り曲げたことを特徴
   とする特許請求の範囲第１項記載の印字ヘツド。 ４ 前記弾性部材にはシリコンゴムを使用し、そ
   の重り部材と接する反対側に金属製の板部材を設
   けたことを特徴とする特許請求の範囲第１項記載
   の印字ヘツド。 ５ 前記板バネ部材及び弾性部材を、それぞれそ
   の基部においてリング状部材と一体的に形成し、
   内方へ放射状に伸びるようにしたことを特徴とす
   る特許請求の範囲第１項記載の印字ヘツド。