JP4071398B2 - ドットプリントヘッド - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、インパクト型のドットプリントヘッドに関する。
【0002】
【従来の技術】
ドットプリントヘッドの基本的な構成は、ヨークに磁気的に接続されたコアにコイルを装着し、ワイヤを駆動するアーマチュアをコアに対して起伏自在に設け、コイルに通電したときにコア、アーマチュア、ヨークに流れる磁束によりアーマチュアを変位させてワイヤをプラテン上の用紙に衝突させることにより印字を行なうものである。
【0003】
その具体的な一例を図5に示す。一部しか図示しないが、一面が開口されたカップ状のハウジング1が設けられ、このハウジング1の内部には磁性体により形成された環状のヨーク2が固定的に設けられている。ヨーク2の外周部には複数のコア3が環状に配列されて一体に形成され、これらのコア3にはコイル4が装着されている。ヨーク2の内周に形成された環状壁5の端面の一部は、磁性材により形成されたアーマチュア6を起伏自在に支える支点部7とされている。
【0004】
アーマチュア6のコア3側の一面には平坦な被吸引面8が形成され、ハウジング1の中心側におけるアーマチュア6の端部にはワイヤ9の後端が溶接等の手段により固定的に連結されている。ヨーク2の環状壁5の端面には、アーマチュア6の中間部を貫通する複数のスタッド10が立設され、これらのスタッド10の端面には、アーマチュア6の復帰位置を定めるアーマチュアストッパ11を支持する支持板12が当接されている。アーマチュアストッパ11はゴム等の弾性材により形成され、アーマチュア6の被吸引面8とは反対側の背面に当接する突部11a(図6参照)を有する。また、アーマチュア6は回動時に障害がないように、支点部7を境として、被吸引面8側の厚さの方がワイヤ9を接続した側の厚さより厚くなっている。
【0005】
支持板12の外側の面にはアーマチュア6の幅方向の動きを規制するアーマチュアガイド13が当接され、このアーマチュアガイド13にはアーマチュア6を復帰方向に付勢するアーマチュアスプリング14が支持されている。アーマチュアガイド13の外側の面にはノーズ15のフランジ部16が当接されている。このノーズ15にはワイヤ9の中間部を摺動自在に支持するワイヤガイド17と、ワイヤ9の先端部を一列に整列させて摺動自在に支持するワイヤガイド18とが設けられている。ワイヤ9の先端とワイヤガイド18の表面とは研磨により一致されている。なお、ハウジング1、ヨーク2、支持板12、アーマチュアガイド13、ノーズ15のフランジ部16は、順次積層された状態で図示しないボルトとナットとにより挟持状態に締結されている。
【0006】
ドットプリンタヘッドは、ワイヤガイド18とプラテン19との間に所定のギャップが形成されるように支持され、プラテン19とワイヤガイド18との間に印字用紙20とインクリボン21とが挿通される。なお、図示しないが、印字用紙20とインキリボン21との間は、ワイヤ9の先端と対向する窓が形成された薄板状のガイドにより仕切られる。
【0007】
なお、アーマチュア6の被吸引面8とコア3との間には、コイル4に通電した場合に磁気が残らないように残留磁気防止フィルム28が介装されている。29はコイル4が接続された基板であり、この基板29にはコネクタ30が接続されている。
【0008】
図5はコイル4に通電していない状態である。コイル4に通電すると、コア3、アーマチュア6、ヨーク2、コア3の間に磁束が流れるため、アーマチュア6はアーマチュアスプリング14の付勢力に抗して支点部7を支点にしてコア3に吸引され、ワイヤ9がインクリボン21と印字用紙20とを介してプラテン19に衝突する。これにより、印字がなされる。
【0009】
コイル4に通電する期間は瞬時であり、アーマチュア6はワイヤ9がプラテン19から受ける反力とアーマチュアスプリング14の付勢力とにより復帰しアーマチュアストッパ11に当接した位置で静止する。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、アーマチュア6は復帰時にアーマチュアストッパ11から反発力を受けるため、プラテン19側にバウンドし、アーマチュアスプリング14の付勢力によりアーマチュアストッパ11側に戻る動作を繰り返す。アーマチュア6はバウンドの繰り返しにより次第に変位量が小さくなり、やがてアーマチュアストッパ11により定められた復帰位置に安定する。この動作を図7に示す。図7において、Aはアーマチュア6の復帰位置を示し、aはワイヤ9がプラテン19に衝突するときのアーマチュア6の最大の変位量で、このaはワイヤ9の先端とプラテン19との間の印字ギャップに対応する。図7に示すように、アーマチュア6がバウンドを繰り返すと、アーマチュア6が静止するまでの時間tが長くなる。この時間tはアーマチュア6のバウンドの大きさが大きい程長くなり、次ぎの印字動作に影響を及ぼす。
【0011】
すなわち、アーマチュア6がアーマチュアストッパ11の反発力によりバウンドする途中で、そのアーマチュア6に対応するコイル4が通電されると、吸引力が増し、フライトタイム(ワイヤ9がプラテン19に衝突する時間)が短くなるためインパクト強さが強くなる。逆に、アーマチュア6がアーマチュアストッパ11側に戻る途中で、そのアーマチュア6に対応するコイル4が通電されると、吸引力が弱められ、フライトタイムが長くなるためインパクト強さが弱くなる。この結果、印字ドットの濃淡差が生じ、また、ドットプリントヘッドがシリアル方向に移動する速度とワイヤ9のフライトタイムとの関係が狂うためドットピッチのバラツキが発生する。アーマチュア6のバウンドが大きくなる要因としては、連続印字による温度上昇でアーマチュアストッパ11の特性が変化すること、高速印字による影響等が挙げられる。
【0012】
本発明はこのような点に鑑みなされたもので、アーマチュアを復帰位置に速やかに復帰させて印字品質を高めることができるドッドプリントヘッドを提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の発明は、コイルが装着されたコアと、前記コイルを駆動したときに前記コアにより吸引される被吸引面を有し一端にワイヤが連結されたアーマチュアと、前記コアに作用する吸引力に抗して前記アーマチュアを復帰方向へ付勢する付勢部材と、前記ワイヤの後端と前記コアとの間に配置されて吸引時、復帰時に前記アーマチュアを回動自在に支える支点部を有するヨークと、屈撓可能な弾性材により形成されて前記ワイヤの後端と前記支点部との間に配置され前記アーマチュアの復帰位置を定めるアーマチュアストッパと、前記被吸引面とは反対側の前記アーマチュアの背面側にある支持板と、前記被吸引面とは反対側の前記アーマチュアの背面側であって前記支点部に対して前記ワイヤと反対側に位置して前記支持板に設けられた緩衝体とを備え、前記緩衝体は前記コアに吸引された前記アーマチュアが復帰する過程において、前記アーマチュアが前記支点部と接触しない状態に変位したとき前記アーマチュアが当接する位置に設けられるとともに、前記アーマチュアが復帰状態時においては前記アーマチュアの背面と非接触となる厚さに設定されている。
【0014】
したがって、コアに吸引されたアーマチュアが復帰するとき、アーマチュアを一旦アーマチュアストッパに当接させて反発力及び慣性力を減衰し、さらに、そのアーマチュアをアーマチュアストッパとの当接部を支点としてヨーク上の支点部から浮かせる方向に変位させて緩衝体に当接させて反発力及び慣性力を減衰することが可能となる。アーマチュアストッパと緩衝体とにより二段構えで反発力及び慣性力を減衰されたアーマチュアは付勢部材の付勢力によりヨーク上の支点部に支えられた状態でアーマチュアストッパにより定められた復帰位置に復帰する。
【0015】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明において、前記アーマチュアと前記緩衝体との隙間を調整する調整手段を備える。
【0016】
したがって、緩衝体によるアーマチュアの反発力及び慣性力減衰作用を調整することが可能となる。
【0017】
【発明の実施の形態】
本発明の一実施の形態を図1ないし図4に基づいて説明する。図5において説明した部分と同一部分は同一符号を用い、細部についての説明は省略する。図1はコイルに通電していない状態を示す縦断側面図、図2はアーマチュアが復帰する過程を示す縦断側面図である。
【0018】
一部しか図示しないが、ヨーク2の外周部にはコイル4が装着された複数のコア3が環状に配列されて一体に形成されている。ヨーク2の内周に形成された環状壁5の端面の一部は、アーマチュア6を起伏自在に支える支点部7とされている。本実施の形態では、環状壁5の端面に当接するアーマチュア6の部分はエッジ状に形成されているが、アーマチュア6の環状壁5側の一面を平坦に形成し、環状壁5の端面にエッジを形成し、そのエッジをアーマチュア6を支えるための支点部としてもよい。
【0019】
アーマチュア6のコア3側の一面には平坦な被吸引面8が形成され、端部にはワイヤ9の後端が固定的に連結されている。ヨーク2の環状壁5の端面には、アーマチュア6の中間部を貫通する複数のスタッド10が立設され、これらのスタッド10の端面には支持板12が当接されている。この支持板12の外側の面にはアーマチュアガイド13が当接され、このアーマチュアガイド13にはアーマチュア6を復帰方向に付勢する付勢部材としてのアーマチュアスプリング14が支持されている。アーマチュアガイド13の外側の面には、ワイヤガイド17,18を有するノーズ15のフランジ部16が当接されている。
【0020】
環状のヨーク2が収納されたハウジング22の底面には、ヨーク2に対して熱的に接続されたヒートシンク23が嵌合されている。このヒートシンク23の中心部はヨーク2の内周に嵌合され、その中心部の端面にはストッパープレート24が螺子25により固定され、このストッパープレート24には屈撓可能な弾性材により形成された環状のアーマチュアストッパ26が固定的に支持されている。このアーマチュアストッパ26は、個々のワイヤ9の後端と支点部7との間において、アーマチュア6を支えて復帰位置を定める位置に配置されている。
【0021】
また、前述の支持板12には屈撓可能な弾性材により形成された環状の緩衝体27が固定的に支持されている。この緩衝体27には、アーマチュアストッパ26により定められた復帰位置に個々のアーマチュア6が復帰した状態で、それぞれのアーマチュア6の被吸引面8とは反対側の背面に対して所定の隙間を開けて対向する突部27a(図3参照)が形成されている。
【0022】
なお、ヒートシンク23、ハウジング22、ヨーク2、支持板12、アーマチュアガイド13、ノーズ15のフランジ部16は、順次積層された状態で図示しないボルトとナットとにより挟持状態に締結されている。この組み立ての際に、スタッド10の端面と支持板12との間に、調整手段としての所望の厚さの調整フィルム31を挿入することで、アーマチュア6と緩衝体27の突部27aとの隙間を調整し得るように構成されている。すなわち、調整フィルム31の厚みに比例して支持板12とヨーク2との間隔が広がるため、アーマチュア6と緩衝体27の突部27aとの隙間が広くなる。
【0023】
このような構成において、図1に示すように、コイル4に通電していない状態で、コイル4に通電すると、コア3、アーマチュア6、ヨーク2、コア3の間に磁束が流れるため、図2に示すように、アーマチュア6はアーマチュアスプリング14の付勢力に抗して支点部7を支点にしてコア3に吸引され、ワイヤ9がインクリボン21と印字用紙20とを介してプラテン19に衝突する。これにより、印字がなされる。
【0024】
コイル4に通電する期間は瞬時であり、アーマチュア6はワイヤ9がプラテン19から受ける反力とアーマチュアスプリング14の付勢力とにより復帰する。この復帰時にアーマチュア6はアーマチュアストッパ26に当接して反発力及び慣性力が減衰され、さらに、アーマチュア6はアーマチュアストッパ26との当接部を支点としてワイヤ9側とは反対側が緩衝体27に向かう方向に回動し、緩衝体27により反発力及び慣性力が減衰される。アーマチュア6は、緩衝体27に当接する瞬間に図2に示すように支点部7から少し浮くが、次の瞬間には図1に示すように、緩衝体27の反力及びアーマチュアスプリング14の反力によりヨーク2側に戻されるため、支点部7に当接する状態でアーマチュアストッパ26により定められた復帰位置に安定する。すなわち、アーマチュア6の反発力及び慣性力をアーマチュアストッパ26と緩衝体27とにより二段構えで減衰することができる。これにより、図4に示すように、アーマチュア6のリバウンドを抑制し、アーマチュア6がアーマチュアストッパ26により復帰位置に安定するまでの時間tを短くすることができる。したがって、印字サイクルを短縮しても印字ドットの濃淡差が生じたり、ドットピッチがずれることはない。
【0025】
また、アーマチュア6の反発力及び慣性力の減衰効果に影響する緩衝体27の反力は、復帰位置に安定する状態でのアーマチュア6と緩衝体27との隙間によって変化するが、この隙間は調整フィルム31の厚さや枚数を変えることで調整することができるため、アーマチュア6のリバウンドをさらに効果的に抑制することができる。
【0026】
【発明の効果】
請求項1記載の発明によれば、弾性材により形成されてアーマチュアの復帰位置を定めるアーマチュアストッパをワイヤの後端とヨーク上の支点部との間に配置し、弾性材により形成された緩衝体をアーマチュアの被吸引面とは反対側の背面に対して所定の隙間を開けて配置したので、コアに吸引されたアーマチュアが復帰するとき、アーマチュアを一旦アーマチュアストッパに当接させて反発力及び慣性力を減衰し、さらに、そのアーマチュアをアーマチュアストッパとの当接部を支点としてヨーク上の支点部から浮かせる方向に変位させて緩衝体に当接させて反発力及び慣性力を減衰し、アーマチュアを付勢部材の付勢力によりヨーク上の支点部に当接させた状態でアーマチュアストッパにより定められた復帰位置に速やかに復帰させることができる。これにより、印字ドットの濃淡差、ドットピッチのバラツキをなくすことができる。
【0027】
請求項2記載の発明によれば、アーマチュアと緩衝体との隙間を調整する調整手段を備えるので、緩衝体によるアーマチュアの反発力及び慣性力減衰作用を調整することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態におけるコイルに通電していない状態を示す一部の縦断側面図である。
【図2】アーマチュアの復帰の過程を示す一部の縦断側面図である。
【図3】アーマチュアとストッパと緩衝体との関係を示す平面図である。
【図4】アーマチュアの変位と時間との関係を示す説明図である。
【図5】従来例を示す一部の縦断側面図である。
【図6】アーマチュアとアーマチュアストッパとの関係を示す平面図である。
【図7】アーマチュアの変位と時間との関係を示す説明図である。
【符号の説明】
2 ヨーク
3 コア
4 コイル
6 アーマチュア
7 支点部
8 被吸引面
9 ワイヤ
14 付勢部材
26 アーマチュアストッパ
27 緩衝体
31 調整手段
Claims (2)
- コイルが装着されたコアと、
前記コイルを駆動したときに前記コアにより吸引される被吸引面を有し一端にワイヤが連結されたアーマチュアと、
前記コアに作用する吸引力に抗して前記アーマチュアを復帰方向へ付勢する付勢部材と、
前記ワイヤの後端と前記コアとの間に配置されて吸引時、復帰時に前記アーマチュアを回動自在に支える支点部を有するヨークと、
屈撓可能な弾性材により形成されて前記ワイヤの後端と前記支点部との間に配置され前記アーマチュアの復帰位置を定めるアーマチュアストッパと、
前記被吸引面とは反対側の前記アーマチュアの背面側にある支持板と、
前記被吸引面とは反対側の前記アーマチュアの背面側であって前記支点部に対して前記ワイヤと反対側に位置して前記支持板に設けられた緩衝体と、
を備え、
前記緩衝体は前記コアに吸引された前記アーマチュアが復帰する過程において、前記アーマチュアが前記支点部と接触しない状態に変位したとき前記アーマチュアが当接する位置に設けられるとともに、前記アーマチュアが復帰状態時においては前記アーマチュアの背面と非接触となる厚さに設定されているドットプリントヘッド。 - 前記アーマチュアと前記緩衝体との隙間を調整する調整手段を備える請求項1記載のドッドプリントヘッド。
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