JPS6222074B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明はヒートパイプ内への作動流体の封入を
容易かつ低コストで行い得る方法およびそれに用
いて好適な仮止栓に関するものである。

従来周知のヒートパイプは、エアコンや温水器
をはじめ、道路および屋根上の融雪および工場内
での排熱利用等に広く用いられている。

ところで、前記ヒートパイプの製造において最
も重要な過程は、そのヒートパイプの使用される
温度範囲に応じてフロン、アンモニア、メタノー
ルあるいは水などのいずれかの作動流体をヒート
パイプ本体内部に封入するところであり、この作
動流体の封入方法としては第１図に示すように、
一端をあらかじめ閉塞したヒートパイプ本体１の
開放端側において、内径３mm程度の銅管３を貫
通固着した蓋２を本体１内周に気密に溶接付け
し、前記銅管３を用いて前記本体１内の空気を吸
引して真空化した後、同じくこの銅管３を経て本
体１内部に作動流体を注入する。その後、前記銅
管３の突出部を潰してから切断し、その端部をは
んだ付またはろう付で閉塞し、最後に当該本体１
端部に保護キヤツプをねじ込んで密閉する。

または第２図に示すように、一端閉塞済みのヒ
ートパイプ本体１の開放端にアダプター４を気密
に装着し、アダプター４側方に設けた透孔４Ａか
ら前記同様に本体１内の空気排除および本体１内
部への作動流体の注入を順次行う。その後、アダ
プター４内にあらかじめ嵌挿してあるゴム栓５を
外部から軸方向に押圧移動する押ロツド４Ｂによ
り前記本体１側に移行させ、端部内周に気密に嵌
着して仮りの栓をし、ここでアダプター４を取り
外して当該本体１端部に前記のように保護キヤツ
プをねじ込んで密閉する。

ところが前記二つの方法はいずれも作業工数が
多く、従つてヒートパイプの製造コストが高くな
る欠点があつた。

本発明は従来の上記欠点を解消して、ヒートパ
イプ内部への作動流体の封入をきわめて確実、容
易に行い得る方法およびそれに使用する仮止栓を
提供するもので、ゴム等の高弾性物質からなり、
軸方向中央部外径を両端部外径より大きくし、後
端部にシートパツキン部を突設すると共に先端側
中心部に中空凹部を穿設してなる仮止栓を、一端
閉塞済みのヒートパイプ本体の開放端側に気密に
嵌着すると共に、この仮止栓を貫通して注入針を
前記ヒートパイプ本体内に挿し込み、この注入針
を介して前記本体の内部空間の真空化と作動流体
の注入とを順次行い、その後、注入針を抜き取つ
て当該本体端部をキヤツプで気密に閉塞すること
を特徴とするヒートパイプの作動流体封入方法と
それに用いて好適な前記仮止栓とを要旨とする。

以下本発明を図面に基づいて説明する。

第３図Ａ〜Ｄは本発明におけるヒートパイプの
作動流体封入要領を示す説明図で、第３図Ａに示
すようにステンレス鋼管などで作つたヒートパイ
プ本体１の両端外周部にはおねじを設けて、その
一端側はねじ込み式のキヤツプ６等で気密に閉塞
してあり、他端開放端側は第３図Ｂに示す仮止栓
７を気密に嵌着して閉塞する。｛第３図Ｃ参照｝ すなわち前記仮止栓７はゴムまたは合成樹脂な
どの高弾性物質からなり、その形状は前記ヒート
パイプ本体１に嵌入する先端側中心部に中空凹部
７Ａを穿設し、かつ軸方向中央部の外径を両端部
の外径よりも大きくして前記ヒートパイプ本体１
内径に対して適当なしめしろを有するように設け
ると共に、後端部には嵌入時の位置決め（ストツ
パ）と、後述のキヤツプ６ねじ込み時のパツキン
とを兼ねるシートパツキン部７Ｂを突設してあ
る。

なお前記仮止栓７に中空凹部７Ａを形成するの
は、ヒートパイプ本体１への嵌入を容易にすると
共に、内部に封入する作動流体の圧力によつて中
空凹部７Ａ内部から半径方向に内圧を作用させて
仮止栓７外周を本体１内周に圧着し自緊作用を高
めるためであり、また軸方向中央部よりも両端部
外径を小さくするのは、先端部はヒートパイプ本
体１への嵌入を容易にして外周部に疵がつくのを
防止するためであり、後端側は後述の注入針８の
挿し込みおよび抜き取りが容易なように半径方向
の逃げを形成するためである。

さらに前記ヒートパイプ本体１開放端部内周に
は小さな面とり等を施して、前記仮止栓７の嵌入
を容易にしかつ疵がつかないようにすることが望
ましい。ヒートパイプ本体１または仮止栓７に疵
等がある場合、あるいはより一層の気密性を高め
たい場合は、グリース、接着剤またはガスケツト
等を仮止栓７とヒートパイプ本体１の接触部近辺
に塗布または装着することも可能である。

前記仮止栓７の嵌着が終われば、第３図Ｃに示
すように、仮止栓７を貫通して注入針８を前記本
体１の内部空間に達するように挿し込む。注入針
８の太さとしてはなるべく細い方がよいが、作業
性とも関連するので具体的には３mm以下とする
のが望ましく、あまり太いものを使うと抜き取つ
たあと仮止栓７に孔ができ、栓としての機能を損
う危険がある。

なお前記注入針８は後端部にバルブ９付のもの
で便利である。

次に可撓性の耐圧ホース１０等を介して前記注
入針８の後端に、従来使用されているのと同様の
作動流体注入装置１１を接続する。この装置１１
の構造を簡単に説明すれば、作動流体供給源１２
を備えてその供給管１３が前記注入針８に接続さ
れるようになつており、供給管１３の途中に流量
計１４、圧力計１５およびバルブ１６が付設され
ている。また別に真空ポンプ１７を備えてその吸
気管１８が前記供給管１３のバルブ１６下手位置
に接続し、この吸気管１８の途中にはバルブ１９
および真空計２０が設けられている。

そして前記作動流体注入装置１１を用いてヒー
トパイプ本体１内の雰囲気を次の手順で置換す
る。

まず注入針８のバルブ９を開けておき、注入側
のバルブ１６を閉じて吸気側のバルブ１９を開け
た状態で、真空ポンプ１７を作動させ、真空計２
０で前記ヒートパイプ本体１内の真空度を見て、
その値が所定値になつたところで前記吸気側のバ
ルブ１９を閉じ、注入側のバルブ１６を開いて作
動流体供給源１２を作動させ、作動流体をヒート
パイプ本体１内に送り込む。流量計１４の表示に
よつて前記本体１内への注入量を知り、所定量に
なつたところでバルブ１６を閉じる。

続いて注入針８のバルブ９を閉じてから、前記
作動流体注入装置１１を取り外し、その後、注入
針８を仮止栓７から抜き取る。｛第３図Ｄ参照｝ このとき仮止栓７における前記注入針８を挿通
していた細孔は、仮止栓７が前述のような高弾性
物質からなつているため、確実に密閉、閉塞され
気密が保持されるのである。

このように仮りの閉塞状態とした後、最後に当
該本体１端部も前記あらかじめ閉塞しておいた方
と同様に、ねじ込み式のキヤツプ６などを用いて
完全気密に閉塞し、作動流体の封入作業を終え
る。

本発明は以上説明したように、作動流体封入時
の仮り閉じのために溶接や特殊なアダプターなど
を用いる必要がなくなり、また仮止栓の嵌着が容
易で気密性がよく、さらに注入針の着脱も迅速容
易で抜き取り時は自動的に閉塞されるので、作動
流体の封入作業が大幅に簡略化され、その作業コ
ストを著しく低減することができる。

【図面の簡単な説明】

第１図および第２図はそれぞれ従来のヒートパ
イプの作動流体封入方法の各例を示す説明図、第
３図Ａ〜Ｄは本発明におけるヒートパイプの作動
流体封入要領を示す説明図である。 １：ヒートパイプ本体、２：蓋、３：銅管、
４：アダプター、４Ａ：透孔、４Ｂ：押ロツド、
５：ゴム栓、６：キヤツプ、７：仮止栓、７Ａ：
中空凹部、７Ｂ：シートパツキン部、８：注入
針、９：バルブ、１０：耐圧ホース、１１：作動
流体注入装置、１２：作動流体供給源、１３：供
給管、１４：流量計、１５：圧力計、１６：バル
ブ、１７：真空ポンプ、１８：吸気管、１９：バ
ルブ、２０：真空計。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ ゴム等の高弾性物質からなり、軸方向中央部
   外径を両端部外径より大きくし、後端部にシート
   パツキン部７Ｂを突設すると共に先端側中心部に
   中空凹部７Ａを穿設してなる仮止栓７を、一端閉
   塞済みのヒートパイプ本体１の開放端側に気密に
   嵌着すると共に、前記仮止栓７を貫通して注入針
   ８を前記ヒートパイプ本体１内に挿し込み、前記
   注入針８を介してヒートパイプ本体１内の空気を
   排除した後、前記注入針８を経てヒートパイプ本
   体１内に作動流体を所定量注入し、その後、前記
   注入針８を抜き取つて当該ヒートパイプ本体１端
   部をキヤツプ６により気密に閉塞することを特徴
   とするヒートパイプの作動流体封入方法。 ２ ゴム等の高弾性物質からなり、軸方向中央部
   外径を両端部外径より大きくし、後端部にシート
   パツキン部７Ｂを突設すると共に先端側中心部に
   中空凹部７Ａを穿設して、ヒートパイプ本体１の
   開放端部に気密に嵌着可能に設けたことを特徴と
   するヒートパイプの作動流体封入用仮止栓。