JPS6220454B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は太陽熱を利用し且つ必要に応じて太陽
熱を制御することにより、建屋全体の温度調節を
行なう建屋温調装置に関する。

従来、建屋における太陽熱の制御はブライン
ド、熱線吸収プラスチツクフイルム、熱線吸収ガ
ラス等を用いて行なわれてきた。一方、太陽熱を
利用する場合は別個に集熱板を用い、温水にした
り、吸収式冷房方式のエネルギー源として、建屋
の温度調節を行なつていた。従つて、太陽エネル
ギーの制御と利用は別個の装置で行なわれ、設備
的にも費用がかかり、また建屋の美観上好ましく
ない等の欠点があつた。

本発明者は上記従来技術の欠点を解消すべく鋭
意研究を重ねた結果、建物の表面で大きな面積を
占めるガラス面（窓、天窓等）の集熱および放熱
への有効利用、および建屋内に入射する熱線の制
御に温度変化により透明から不透明に可逆的に変
化する熱媒液を利用することを想到した。

本発明の目的は一つのシステムによつて太陽熱
の利用と制御を行ない、それによつて建屋内の温
度調節を行なう建屋温調装置を提供することであ
る。

本発明による建屋温調装置の特徴は太陽熱の吸
収により可逆的に透明から不透明へと色調を変化
する熱媒液を建屋の日射の多い部分に形成したガ
ラス面または日射の少ない部分に形成したガラス
面に選択的に循環させることにより、建屋の温度
調節を行なうことである。

次に図面を参照のもとに本発明の実施例を説明
する。図は本発明の一例を示すものであつて、１
は多くの日射を受ける南面ガラスであり、２は日
射の少ない北面ガラス、３はそれらのガラス面を
循環する熱媒液であつて温度により透明から半透
明、不透明と順次化学的あるいは物性的に可逆変
化し、好ましくは熱容量の大きいものが用いられ
る。この種の熱媒液としては、例えば温度によつ
て配向が変化する溶液状態の液晶、またはホトク
ロミズムを示す物質を含む水溶液等がある。な
お、その水溶液中の物質の濃度は物質の感光性、
光量等を考慮して適宜選択される。ホトクロミズ
ムを示す物質の一例としては２―（２，４―ジニ
トロベンジル）ピリジンがあるが、水中での分散
性を高めるために分散剤を併用するのがよい。さ
らに図中、４はポンプであり、５は熱交換器、６
は回転翼、７は流量調整弁、８ａ，８ｂ，８ｃ，
８ｄは方向切換弁、９および１０はそれぞれバイ
パス管である。

この実施例では熱媒液は南側面の開口部を形成
する南面ガラス１を流れてポンプ４に引かれ、熱
交換器５を通つてバイパス管１０、流量調整弁７
を通して循環することができ、または各方向切換
弁８の操作により、熱媒液は北側面の開口部を形
成する北面ガラス２を流れてポンプ４により引か
れ、流量調整弁７、バイパス管９を通つて循環
し、熱交換器５において建屋内の空気と熱交換を
行なう。なお、方向切換弁８は南面ガラス１と北
面ガラス２における熱媒液の温度ならびに建屋内
の温度によつて操作することもでき、それによつ
て熱媒液の流路が適宜変更される。さらに熱媒液
３は単に熱を運ぶだけではなく、太陽光線を受
け、必要以上に日射が多い場合は液自体が不透明
になつて遮光する役割を果す。

次に本発明による建屋温調装置により暖房およ
び冷房する場合について説明する。暖房の際は各
方向切換弁を操作してバイパス管９を閉じ、熱媒
液は南面ガラス１から熱交換器５、バイパス管１
０、流量調整弁７を通して循環するようにする。
そして南面ガラス１に在る熱媒液３が建屋内温度
より高くなると、ポンプ４により引かれて熱交換
器５に移動し、そこで回転翼６等の助けを借りて
熱媒液に含まれていた太陽熱エネルギーを建屋内
に放出し、建屋内の暖房を計る。熱を放出した熱
媒液はバイパス管１０を通つて南面ガラス１の位
置に戻される。

また夏期などに冷房する際はバイパス管１０を
閉じ、熱媒液を北面ガラス２から流量調整弁７、
バイパス管９、熱交換器５を通して循環する。こ
の場合、北面ガラス２に在る熱媒液はそこで熱を
放出し、その温度が建屋内温度より低くなると、
ポンプ４によりバイパス管９を通して熱交換器５
に移動され、そこで建屋内の熱を吸収し、建屋内
の温度を下げる。またこの場合、南面ガラス１に
残存する熱媒液の色調が不透明になつて建屋内に
入射する熱線を制限する。

なお、予め建屋内温度条件を設定し、その温度
より建屋内の温度が高いか低いかにより、電気的
に熱媒液の循環回路を切換えることも可能であ
り、さらに熱媒液の流量も自動制御が可能であ
る。また本発明の温調装置は太陽熱や外気温等の
自然条件に影響されやすいので、補助装置として
公知の加熱および冷却装置を熱媒液の循環回路に
組込んでもよい。

上記のように、本発明によれば、熱媒液を利用
して必要以上の採光を遮断し、ガラス面での太陽
熱エネルギーを暖房に利用する一方、夏期には日
射の少ない北面ガラスで逆に熱放出して冷房する
等、一つのシステムで一年中活用でき、また建物
の表面で大きな比率を占めるガラス面を利用でき
ると共に、太陽エネルギーの制御と利用を一つの
装置で行なうためコスト的にも安く且つ建屋の美
観を損なうこともない。

【図面の簡単な説明】

図は本発明による建屋温調装置の一実施例を示
す概略回路図である。 図中、１…日射の多い部分のガラス面、２…日
射の少ない部分のガラス面、３…熱媒液、５…熱
交換器。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 建屋の日射の多い部分に形成したガラス面
   と、建屋の日射の少ない部分に形成したガラス面
   と、前記日射の多い部分および少ない部分に循環
   され且つ太陽熱を吸収することにより可逆的に透
   明から不透明へと色調を変化する熱媒液と、前記
   熱媒液と建屋内の空気との間で熱交換を行なうた
   めの熱交換器と、前記熱媒液を選択的に循環する
   ためポンプおよび流量調整弁を含む循環路と、前
   記日射の多い部分に関連して備えられ且つ方向切
   換弁を介して前記循環路に接続された第１のバイ
   パス管と、前記日射の少ない部分に関連して備え
   られ且つ方向切換弁を介して前記循環路に接続さ
   れた第２のバイパス管を含む建屋温調装置。 ２ 特許請求の範囲第１項記載の建屋温調装置に
   おいて、各前記ガラス面はそれぞれ二重ガラス窓
   であつて、その内外ガラス板間を前記熱媒液が流
   れるようになつている建屋温調装置。