JPS6220266Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は射出成形機、押出成形機等に応用でき
るシリンダの溝深さ調整機構に関するものであ
る。

ここでは主に射出成形機を例に述べるが、基本
的な概念は押出成形機も全く同様である。さて第
１図は従来の射出成形機の可塑化装置の略図例で
あるが、これは一般的なものであり、溝付きスリ
ーブは装着されていない。第１図では予め加熱さ
れたスクリユシリンダ１とスクリユ２により、ホ
ツパ３から原料樹脂４がスクリユ２の回転により
食込まれる。このときスクリユシリンダ１内壁面
の摩擦係数および樹脂の接触面積を拡げることに
より、スクリユ２が原料樹脂４をホツパ３から安
定して食込み、かつスクリユ２の次工程へ安定し
て供給することを主な目的とした第２図〜第４図
に示す溝付きスリーブ５が考案され活用されてい
る。

ここで更に第１図、第２図の射出成形機につい
て説明すると、バンドヒータ７などで加熱された
スクリユシリンダ１、および同時に間接的に加熱
されたスクリユ２をモータ６で回転させる。この
とき原料樹脂４を入れたホツパ３から原料樹脂４
がスクリユ２の谷底内へ食込まれ、樹脂４はボル
ト（スクリユ２）とナツト（原料樹脂４）の関係
と同様な作用で、スクリユ２の前方へ輸送される
と共に、加熱溶融される。射出成形機ではこの溶
融された樹脂が閉塞されるので、スクリユ２が後
方へ移動する。

第１図では図示していない閉塞された前方の貯
留量が設定値に達したとき、スクリユ２は停止す
る。この後射出動作（第１図ではスクリユ２が右
から左方へ移動）が行なわれ、可塑化（スクリユ
回転）と射出動作が一定のサイクルで交互に繰返
される。なお、前述のようにスクリユ２の回転力
により、原料樹脂４に安定して一定割合でスクリ
ユ２の前方へ輸送するのを補助する手段として、
溝付きスリーブ５を使用するのは公知である。

しかしながら前記溝付きスリーブ５では、スク
リユ２、原料樹脂４および運転条件などを変更す
ると、溝付きスリーブ５の影響度合が異なること
が多い。そこでこの影響をなくすために本来はス
クリユ２を交換すべきであるが、スクリユ２は高
価であり、何本も所有できない。またこの交換に
は時間と労力を費やす欠点があつた。一方溝付き
スリーブ５の交換も、時間と労力を費やすなどの
理由により、多種少量生産下では常に機械の能力
を最大限に使用できないのが現状である。

本考案は前記従来の欠点を解消するために提案
されたもので、溝付きスリーブの多数の溝をそれ
ぞれ独立させ、かつ単独に溝深さおよび本数を手
動又は自動で外部から運転、休止中を問わず操作
できるようにすることにより、幅広く各種の成形
状態に対応できると共に、溝内に装着するキーの
最適調整値が容易に得られるシリンダの溝深さ調
整機構を提供せんとするものである。

以下本考案の実施例を図面について説明する
と、第５図〜第７図は本考案の実施例を示し、ス
クリユシリンダ１の一部分に切欠き溝８を設け、
この切欠き溝８部の中に溝付きスリーブ９を構成
するキー９ａが多数（図示例では４個）個、スク
リユシリンダ１の半径方向に摺動するように設け
られている。なお、この溝付きスリーブ９は、キ
ー９ａ、切欠き溝８、押ボルト１０、引きボルト
１１で構成されるものとする。

キー９ａの手動設定法の一例として、押引きボ
ルト１０，１１による方法を第５図及び第７図に
示す。第５図は溝付きスリーブ９の機能が最大と
なる状態（キー９ａの最後退位置）、また第７図
は溝付きスリーブ９の機能がなく、全く通常のシ
リンダとして使用する状態を示す（キー９ａの最
前進位置）。また図示していないが、押引きボル
ト１０，１１の代用として差動ネジによる方法も
ある。更に図示していないが、押引きボルト１
０，１１はトルクモータなどで比較的容易に、ス
イツチなどで所定の位置にキー９ａを設定するこ
とができる。第６図から分るように、多数個のキ
ー９ａを配置した場合には、キー９ａの前後退量
をいろいろ組合せることにより、溝付きスリーブ
９の性能をかなり無段階に変化させることができ
る。なお、このときキー９ａの前後退量を半径方
向に対称形にすることが樹脂圧のバランス上望ま
しい。

次に本考案の実施例を示す射出成形機を例に作
用を説明すると、射出成形機の例では、ナツトに
あたるのが原料樹脂４、ボルトにあたるのがスク
リユ２であり、ナツトを固定しないとスクリユ２
と原料樹脂４は共回りを起こすことになる。この
ナツトを固定する作用をさせるため、一般にはス
クリユ２にはメツキを施して、原料樹脂４との摩
擦係数をスクリユシリンダ１と原料樹脂４とのそ
れより小さくする。

またスクリユシリンダ１やスクリユ２、および
原料樹脂４（熱風乾燥した樹脂は80〜130℃とな
る）三者の温度と摩擦係数の関係が、輸送能力に
大きく影響を与える。これらの現状に対し本考案
の溝付きスリーブ９の機能（樹脂とスクリユシリ
ンダ側の面積および摩擦係数を大きくする）を、
運転条件、原料樹脂４、スクリユ１の形状が変わ
るごとに最適に組合せることにより、常に機械の
能力を最大限発揮させることができる。

以上詳細に説明した如く本考案は構成されてい
るので、従来の溝付きスリーブのように、一旦固
定すれば性能が固定化されていて各種成形状態に
対応できないと云うようなことはなく溝深さ及び
本数は任意に変更できるため、性能の幅が拡大で
き、各種の成形状態に幅広く対応できる。また各
キーは各種少量の生産運転下で、運転状態を見な
がら調整できるので、常に最適調整値が得られる
等の多くの優れた実用的効果を奏するものであ
る。

【図面の簡単な説明】

第１図及び第２図は夫々従来の射出成形機の各
例を示す側断面図、第３図は第２図における溝付
スリーブの拡大側断面図、第４図は第３図のＡ〜
Ａ断面図、第５図は本考案の実施例を示すシリン
ダの溝深さ調整機構の１部を示す側断面図、第６
図は第５図の機構を設置したスクリユシリンダ部
の正面断面図、第７図は第５図と作動状態を異に
する同側断面図である。 図の主要部分の説明、１……スクリユシリンダ
（シリンダ）、８……切欠き溝、９……溝付きスリ
ーブ（溝深さ調整機構）、９ａ……キー、１０…
…押ボルト（移動設定手段）、１１……引きボル
ト（移動設定手段）。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. シリンダの内周面の一部に軸方向に延びる各々
   独立した多数の切欠き溝を設け、同各溝内に半径
   方向に摺動可能なキーを設置し、同各キーを夫々
   単独に半径方向に移動させ、かつその移動位置を
   設定できる移動設定手段を設けたことを特徴とす
   るシリンダの溝深さ調整機構。