JPS6218681Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は冷却空洞付ピストンに関し、特に冷却
効果がすぐれた冷却空洞付ピストンの改良に関す
る。内燃機関のピストンは空気、または混合気体
の圧縮、爆発あるいは摩擦等による熱で極めて高
温にさらされる。これらの熱を少しでも除去する
工夫が種々とられているが、冷却オイルをピスト
ン内部に通し、熱交換を行なう方法もその一つで
ある。

第１図は、冷却空洞付ピストンを示す部分断面
図であり、ピストン１の内部中央部に円周方向に
沿つた冷却空洞２が設けられており、この冷却空
洞２の中に冷却オイルを流入させることにより、
ピストン１の熱を冷却オイルに移行させ、しかる
後に冷却オイルを流出させることにより、ピスト
ン１の熱を冷却オイルに移行させ、しかる後に冷
却オイルを流出させてピストン１の熱を除去させ
るものである。

第２図は従来の冷却空洞付ピストンにおける冷
却オイル入口穴または出口穴付近の空洞の断面図
であり、空洞２と出口穴３または入口穴４は大略
Ｔ字型に接続している。

ところが、冷却オイルは通常、ノズルから約４
Kg／cm²程度で噴出され、またピストンの上下運動
によりピストンの下降工程では相当の勢で空洞内
に導入されるので、それ程問題はないが、出口側
においては、ピストンの上下運動による慣性によ
つてオイルは流出するため、空洞内、特に出口穴
付近の流路抵抗が大きいと、通過オイル量が少な
くなる。空洞のオイル通過が悪く、空洞内にオイ
ルが溜まるとオイルの温度が上昇し、品質の劣化
をきたし、粘度上昇が起こり、冷媒としての役目
を果たさなくなるという不都合があつた。またオ
イルが空洞内に停滞すると当然のことながらピス
トン温度が下がらず、焼付、リングステイツク等
の原因となる。

したがつて、いかにして、冷却オイルの流通を
良くし、効率よくピストンの熱を下げるかが当業
界の大きな課題であつた。

そこで本考案者は、上述のような従来技術の問
題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、空洞内
の、特にオイル出口付近の流路抵抗を下げるよう
な構造の空洞を設ければ、これらの問題が解決さ
れることを見出し、次のような本考案に至つたの
である。

即ち本考案は、ピストン頂面付近のピストン内
部に円周方向に沿つてループ状の空洞を、ピスト
ン頂面に対してほぼ水平状に設け、該空洞内を冷
却オイルが流出入する入口穴と出口穴を該空洞に
連通し、出口穴付近の空洞の直径を、出口穴に向
かつて周囲からなめらかに、かつ次第に増大させ
た冷却空洞付ピストンに特徴がある。

以下、図面にしたがつて本考案を説明する。

第３図は本考案の冷却空洞付ピストンの出口穴
付近空洞の断面図であり、ピストン頂面付近のピ
ストン内部に円周方向に沿つてループ状の空洞２
を、ピストン頂面に対してほぼ水平状に設け、該
空洞２を冷却オイルが流出入する入口穴４と出口
穴３を該空洞２に連通するごとく設け、出口穴３
付近の空洞２の直径を、出口穴３に向かつて周囲
からなめらかに、かつ次第に増大させるように設
けている。

このように空洞をほぼ水平状に形成すると共
に、該空洞の出口穴３付近の空洞２に窪み５を設
けて出口穴３付近の空洞径を他の部分の空洞径よ
りも大きくし、かつ該窪みの底部に出口穴を開孔
することにより、冷却オイルの空洞２内の流路抵
抗が大巾に小さくなり、従来のＴ字連結（第２
図）に比べ、多量の冷却オイルが空洞２内をスム
ーズに流れるようになる。

つまり、本考案の如く、出口部の抵抗を小さく
すると、特に高回転域での潤滑油の流量の増加を
はかることができることが確認された。

さらに、一般的にみて、ピストンの冷却を必要
とする箇所は、 (1) ピストン頂面 (2) 第１リング溝 である。しかも冷却空洞内を流れる冷却油の温度
は、出口穴に近づくにつれて高くなつてくるが、
本考案では冷却空洞をピストン頂面や第１リング
溝から遠ざけることなく、かつ高温化した冷却油
をすみやかに出口部から排出するようにしている
ため、ピストンの冷却は極めて効果的に行われる
ことになる。

また本考案では、空洞をほぼ水平状としたた
め、ピストン裏面と冷却空洞との肉厚をほぼ一定
にすることができるため、ピストンの変形や振動
に対して有利である。

なお、本考案でいう空洞直径とは、空洞の大き
さを表現するものであり、ピストンの冷却空洞は
必ずしも円筒形ではないから、厳密な直径を意味
するものではない。

また、第４図は本考案の他の実施例であり、冷
却空洞の入口孔付近の断面図である。本考案にお
いては出口穴付近が第３図のような構造をしてお
れば十分効果はあるが、更に第４図で示すように
入口穴４付近の空洞径を小さくし、特に凸部６を
設けることにより、空洞内でオイルのシエーク効
果が上がり、流入時のオイル分散性がよくなり、
また、入口穴からオイルが流出することを防ぐた
め好ましい。したがつて、本考案では出口穴付近
には空洞部に窪みを設け入口穴付近には凸部を設
けるのが最も好ましく、このような構造の空洞を
設けることにより、極めてすぐれたオイル冷却の
機能を有するピストンが得られる。ここで出口穴
付近の空洞部に、周囲が曲面からなる窪みを設け
たのは、流出するオイルは出口付近で、その断面
が曲線になつて流出するので、出口穴付近の形状
をその曲線になるべく適合した曲面とすることに
より流出抵抗を小さくできるからである。

【図面の簡単な説明】

第１図は冷却空洞付ピストンの部分断面図、第
２図は従来の出口穴または入口穴付近の空洞の断
面図、第３図は本考案の出口穴付近の空洞の断面
図、第４図は本考案に好ましい入口穴付近の空洞
の断面図である。 １……ピストン、２……冷却空洞、３……出口
穴、４……入口穴、５……窪み、６……凸部。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 １ ピストン頂面付近のピストン内部に円周方向
   に沿つてループ状の空洞を、ピストン頂面に対
   してほぼ水平状に設け、該空洞内を冷却オイル
   が流出入する入口穴と出口穴を該空洞に連通
   し、出口穴付近の空洞の直径を、出口穴に向か
   つて周囲からなめらかに、かつ次第に増大させ
   た冷却空洞ピストン。 ２ 入口穴付近の空洞に凸部を設けて該入口穴付
   近の空洞直径を他の部分の直径よりも小さくし
   た実用新案登録請求の範囲第１項記載の冷却空
   洞付ピストン。