JPS621514B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は太陽熱集熱器に関し、殊に太陽熱線透
過板の水密性の優れた取付け構造に関する。

従来から使用されるこの種の構造は透過板１′
の外縁部の上下に水密性タイト材２′及び３′をサ
ンドイツチ状に配設し、上部のタイト材の３′の
上方から透過板押え材４′で被覆し、ビス５′等を
用いて集熱器枠体６′に取付けて透過板１′の雨仕
舞をするものであつた（第１図）。

一般に集熱器は条件の悪い設置場所、即ち建物
の高所上に傾斜状又は垂直状に配設される。又強
風を受けた場合に脈動的な風（風圧が高くなつた
り低くなつたりする）が雨水を混えて吹付けるこ
とがあるので、水密的に極めて悪条件にさらされ
ているものである。

集熱器外部の圧力をa₁、押え材４′と枠体６′間
の空間部の内圧をa₂、集熱器内部の内圧をa₃とす
ると、風の脈動によつて外圧a₁が一時的に高くな
り、外圧a₁と枠体内圧a₂との圧力差によつて（風
が雨水を伴つている時には）、上部タイト材３′が
成形ゴム等よりなる場合は水密性が完全ではない
ため押え材３′と枠体６′間の空間部に雨水が侵入
する。この雨水は該空間部が密閉状であるために
容易に排水されない。又空間部の内圧a₂は集熱器
内部の内圧a₃よりも若干大きいので空間部に侵入
した上記の雨水は圧力差によつてさらに集熱器内
部に侵入する。

このように集熱器は雨水侵入に対して条件が悪
く、集熱器内部に僅かでも漏水があると集熱器内
外の温度差によつて結露を生じて透過板１′に曇
りができる。透過板に曇りができると、太陽熱線
の透過性が悪くなつて集熱効率が低下するばかり
でなく、熱媒体として水を使用する集熱器の場合
には曇り発生がタイト材３′の欠陥によるものか
或は媒体水の漏洩によるものかの判断がつかな
い。そのため集熱器全体を不良品として取替える
必要がある等の不都合があつた。

上記の欠点は主として上部タイト材３′に基因
するものとして、この部分にシリコン系、ポリサ
ルフアイド系等の不定形シール材を使用し、外圧
a₁と内圧a₂間に圧力差を生じても上部シール材か
らの雨水侵入を防止することが考えられている。
しかしながら上述したように集熱器は常時風雨、
日光（特に紫外線及び赤外線）にさらされている
ので不定形シール材が経時変化して劣化し亀裂を
生じ遂には剥離を起す。又不定形シール材の施工
は熟練を要する等の欠点がある。

本発明は、上部タイト材を介しての雨水の侵入
は主として該タイト材の内外の圧力差に起因する
ことに着目し、従来から知られている等圧原理を
たくみに応用して、普通の塩化ビニル樹脂クロロ
ブレンゴム等の成形されたタイト材を使用し乍ら
太陽熱集熱器における水密性の優れた太陽熱線透
過板の取付け構造を提供するものである。

上記の等圧原理とは、雨仕切りの一部に外気を
導入する開口部を設けて積極的に外気を導入する
ことにより、雨仕切りの裏にある空間部を外気圧
に等しくし、風圧による圧力差による漏水をなく
し、何んらかの原因により空間部に侵入する雨水
も外部との圧力差がない為重力によりただちに排
水され、これにより気圧の差による室内への漏水
を防ぐものである。しかし、等圧原理を利用した
構造にも若干の欠点がある。即ち外気を空間部に
導入するための外気連通隙間から風で運ばれた雨
水が吹込み、これが透過板とその支持部間の接触
部に付着すると毛管現象によつて雨水が集熱器内
部に侵入して問題を起こす。

本発明は上記の問題点を上記空間部内に隙間を
有するとともに外気連通隙間を覆う大きさの雨滴
阻止板を設けて該空間部を少なくとも２個の空間
部に分割し、上記支持部と透過板との接触部側の
空間部に外気連通隙間が直接対向せぬようにして
解決したものである。

以下実施例について本発明を説明する。

第２図は集熱器１を傾斜状に配設した場合であ
る。集熱器１の枠体２は留め接合されている。留
め接合とは隅角部の接合方式の一種で、角稜と上
端・下端面以外には継ぎ目を表わさぬ方法で角稜
に至る上面の継目は隅角のほぼ２等分線となる。
従つて角形集熱器を用いた本件の場合45゜に接合
される。尚３は後に述べる外気連通隙間P₀及びP₁
を設ける場所を示す。

第３図は傾斜状に配設した集熱器１の下側の枠
体２を示す。図において枠体２の上部の突条に下
部タイト材４を嵌装し、その上に透過板５を載置
する。透過板５を上部水密性タイト材６を介した
透過板押え材７をビスで枠体２に取付ける。枠体
２、透過板５及び押え材７との間には空間部８が
形成されるが、本発明では上述した等圧原理を応
用するために枠体２の外側面に外気連通隙間P₀を
形成すると共に、空間部８の底部には隙間P₀を覆
う大きさの雨滴阻止板２Ａが取り付けられ、その
上方及び側方が空間部８に通じており外気連通隙
間P₁を形成している。Ｑは外気連通路を表す。

空間部８は枠体が留め接合になつているので集
熱器の四周に亘つて連通している。空間部８が隙
間P₀及びP₁を介して外気に連通しているので、雨
を伴つた脈動的な風が吹付けても、外圧a₁の変動
に対して四周の空間部８の内圧が瞬時に等しくな
り従つて上部タイト材６部分から圧力差によつて
空間部８内に水が入ることがない。又隙間P₀及び
P₁の配列位置をずらして、両隙間P₀，P₁を通して
侵入する外気が下部タイト材４と透過板５との接
触部に直接当らぬように形成しているので、風の
運動エネルギによつて運ばれた水滴が該接触部に
付着することがなく、従つて雨水が集熱器１内に
侵入することがない。尚上記の各隙間は1.5ｍ×
２ｍの集熱器に対し約６mm×30mmの孔があれば充
分である。又傾斜配置の場合第２図の如く４箇所
設けるのが好ましいが下側２個でもよく、下側に
設ける隙間は最低位置に設けると排水隙間を兼ね
得て好都合である。

第４図の実施例では上記空間部を枠体２と押え
材７とによつて２個の空間部８Ａ，８Ｂに分割
し、図の場合枠体２で形成した隔壁に外気連通隙
間P₁を形成したものである。この実施例では水切
り２Ｂを設けて水切り効果を向上せしめている。

第５図の実施例では外気連通隙間を上下方向に
形成し、又下部タイト材４の形状が第３図及び第
４図の実施例と異つている。

尚以上の実施例を通じて９は底板、１０は集熱
板、１１は流体媒体の管路、１２は断熱材を示
す。

第６図及び第７図はコーナ部を示す又別の実施
例で、押え部材７と枠体２間を中間部材１３を介
して結合し、中間部材１３の留め接合部にＬ形板
状のパツキン１４を載置する。尚、中間部材１３
は要所要所に設けるので幅方向に隙間があるので
前記の実施例と同様に外気連通路Ｑを形成するこ
とができる。

本発明は上記のように構成したので等圧原理を
利用しかつ雨滴阻止板を設けることによつて、風
で運ばれた雨水の集熱器内部に対する侵入を防止
し、かつ通常のタイト材を使用して水密性が極め
て優れた太陽熱集熱器における透過板の取付けが
得られる。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来の構造を示す断面図、第２図は本
発明の全体を示す概略斜視図、第３図ないし第５
図及び第７図は第２図のＡ−Ａ線についての夫々
別個の本発明の実施例を示す断面図、第６図は第
７図の平面図である。 １……太陽熱集熱器、２……枠体、２Ａ，１３
……雨滴阻止板、４……支持部、５……太陽熱透
過板、６……タイト材、７……透過板押え材、
８，８Ａ，８Ｂ……空間部、P₀，P₁……隙間、Ｑ
……外気連通路。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 太陽熱集熱器１を構成する枠体２に太陽熱線
   透過板５の下面を担持する支持部４を形成し、又
   透過板の上面には水密性タイト材６を介して該透
   過板を支持部上に圧着する透過板押え材７を配設
   し、上記枠体２、透過板５及び押え材７とによつ
   て構成された空間部８の内圧を集熱器外気の外圧
   と等圧にすべく、集熱器には上記空間部と外気と
   を連通する〓間P₀を設けて外気連通路Ｑを形成し
   た構造において、 上記空間部８内に〓間P₁を有するとともに上記
   の外気連通〓間P₀を覆う大きさの雨滴阻止板２
   Ａ，１３を設けて該空間部８を少なくとも２個の
   空間部８Ａ，８Ｂに分割し、上記支持部４と透過
   板５との接触部側の空間部に上記外気連通〓間P₀
   が直接対向せぬようにしたことを特徴とする太陽
   熱集熱器における透過板の取付け構造。