JPS6212095B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は密封容器に関するものであり、尚詳し
くは、容器の内圧上昇による瓶容器の破損を防止
する口部構造を具えた密封容器に関するものであ
る。

従来の密封容器、例えば炭酸飲料、ビール等の
ガス飲料を充填したガラス瓶においては、移送・
保管作業によつて充填物が撹拌される場合、又、
夏季の温度上昇等によつて内圧が相当上昇した場
合等においても、容器内の気体が漏出することを
防止する如くキヤツプにより強力な密封性を与え
て被蓋し、以て、内容物の気抜けによる充填物の
品質低下を防止していた。

即ち従来は、瓶容器の螺子蓋による密封とし
て、多くの場合第１図に示す如く、瓶口１１の頂
部１２に平坦部１３を設け、キヤツプ２１の天板
部内側下面２３に接着又は嵌着したパツキング材
３１を前記平坦部１３に載置する様に当接せし
め、以てキヤツプ２１を瓶口１１に螺入し、前記
パツキング材３１と瓶口頂部１２の平坦部１３と
の間に強力な圧着状態を生じさせることとし、キ
ヤツプ２１のスカート部２４に設けられた雌ねじ
部２６を瓶口頂部１２の雄ねじ２８へ強固に螺入
することによつてキヤツプ２１の耐圧強度を維持
する様にしていた。そして、瓶内圧によつて、雌
ねじ部２６が変形してキヤツプ２１が緩むことの
ない様に所要強度を具えた素材である金属板を使
用し、キヤツプ２１の変形を防止して容器内圧に
耐える強度を与える様にしていた。

この様に所要強度を有する金属板素材を用いて
パツキング材３１と瓶口頂部１２の平坦部１３と
の瓶口１１上面における面対面の圧着を強力に行
ない、且つ、パツキング材の弾性の協力によつて
密封を確実とし、更に、スカート部２４の雌ねじ
部２６が瓶口頂部１２の雄ねじ２８の凹部に対す
る形状を変形することによりキヤツプ２１が瓶口
１１の上方へズレることを防止し、以てキヤツプ
２１の天板部２２周縁が瓶口頂部１２に対する下
方への強力な圧力を維持し得る構造を従来は採つ
てきた。

尚、前述の様な炭酸飲料等のガス飲料用ガラス
瓶における瓶口頂部１２の肉厚Ｗ１は、一般に約
2.5mm乃至４mm強のものが多く用いられ、螺着後
における経時的な螺着強度の低下によるガス抜け
を防止する為には、瓶口１１の頂部平坦部１３と
キヤツプ２１のパツキング材３１との接触幅Ｗを
広くする様に、瓶口頂部１２の内側及び外側の角
を丸くする円弧状曲面の曲率半径Ｒを0.8mm乃至
1.1mmとし、頂部１２の水平状平坦部１３の幅Ｗ
を広く採ることとし、以てガス抜けを防止する様
にしていた。

然し乍ら、従来のキヤツプ２１の天板部２２
と、瓶口頂部平坦部１３とにおける如く、平坦な
平面相互間における圧着による密封性を確実とす
る為には、例えば瓶口頂部平坦部１３の幅を広く
することが一見したところ効果的と思われるが、
反つて単位面積当りの圧着力を低下せしめる故、
キヤツプ２１と瓶口頂部１２との嵌着を相当強固
にしなければキヤツプ天板部内側下面２３にパツ
キング材３１を嵌接着している場合であつても密
封性の増大とはならない。

そこで、同一素材を使用し乍ら瓶詰におけるキ
ヤツプ２１の密封性を増大させる為に、従来の様
に瓶口頂部平坦部１３とキヤツプ天板部内側下面
２３との平面相互間を圧接するのみでなく、第２
図に示す如く、キヤツプ天板部２２ｂの内側下面
２３ｂに設けるパツキング材３１ｂを、瓶口頂部
１２ｂの上側から瓶口頂部１２ｂの外側に沿つて
キヤツプスカート部２４ｂの上部内側面２７ｂに
も密接し得る長さとしたパツキング材３１ｂを用
い、キヤツプ２１の天板部内側下面２３ｂ及びス
カート部２４ｂの上部内側面２７ｂの両面を瓶口
頂部１２ｂに圧着させる様にし、以てキヤツプ２
１を瓶口１１に螺着したとき、キヤツプ天板部内
側下面２３ｂに設けたパツキング材部分が瓶口頂
部平坦部１３ｂと圧着状態となるのみでなく、ス
カート部２４の内側面に迄延設したパツキング材
部分３３ｂが瓶口頂部外側部１４ｂと圧着状態と
なる様に構成する改良が成された。

上述の改良によつて、キヤツプ２１ｂと瓶口１
１ｂとの圧着部分を瓶口１１の上面のみから、瓶
口頂部平坦部１３ｂと瓶口頂部外側部１４ｂとの
両箇所とすることにより、従来よりも密封性を充
分に強大とし、以て瓶充填物の品質を長期間維持
することが可能になつた。

ところで、上述の如くキヤツプ２１の瓶口１１
に対する密封性を強大とすることは、商品である
内容物の品質維持の点からは好ましいが、一面キ
ヤツプ２１の密封力が瓶の耐圧強度を越える場合
が生じ、内容物を充填した瓶容器を移送保管する
とき、該移送作業等による充填物の撹拌、更に
は、夏季の温度上昇等による容器内圧の上昇、
又、内容物が減圧充填される例えばジユースの如
き物の場合において、一度開栓した後に再びキヤ
ツプ２１を締めることによるその後の醗酵等によ
つて瓶容器の内圧が上昇する等、各種の原因によ
つて容器内圧が高騰したとき、キヤツプ２１が飛
ばずして瓶本体が破裂することが有り、傷害を生
じさせる危険性が多々あつた。

本発明はこの様な欠点を排し、ガス抜けによる
品質の低下を防止しつつ内圧上昇による瓶容器の
破裂現象を防止し、破瓶による危害を防止し得る
ものであること下記の通り。

本発明に係る容器即ち、主としてガラス瓶にお
いては、瓶口１１ｃの頂部１２の断面形状を第３
図に示す如く、頂部外側部１４ｃの円弧状曲面と
内方傾斜面１６ｃとの接合部１５ｃを瓶口頂部肉
厚Ｗ１の1/2より僅かに外側する様にして、瓶口
頂部１２の内側に直線的に降下する内方傾斜面１
６ｃを前記円弧状曲面から続く様に設け、且つ、
前記瓶口頂部１２の外側において、湾曲しつつ滑
らかに瓶口頂部１２の外周面に続く瓶口頂部外側
部１４ｃにおける円弧状曲面の曲率半径Ｒ２を、
従来の略0.8mm乃至1.1mmよりも大きい1.27mmとす
る。

即ち、従来は第２図に示す様に幅の広い水平状
の平坦部１３としていたのに対し、本発明では瓶
口頂部１２の内方において、瓶口頂部外側部１４
ｃの円弧状曲面内側端から瓶口１１の内側上端１
７ｃへの直線状の内方傾斜面１６ｃを形成し、円
弧状曲面との接合部１５ｃを頂部１２の肉厚の中
央よりも外方とすることにより、瓶口頂部１２の
少なくとも内方1/2は順次下方へ降下させると共
に、瓶口頂部外側部１４の円弧状曲面はその曲率
半径Ｒ２を従来よりも大きくした円弧であつて、
且つ、垂直状の瓶口頂部１２の外周面から垂直断
面において1/4円周よりも僅かに大きい円弧とし
て前記接合部１５ｃに至る円弧状曲面とすること
により、頂部１２の上端を形成する水平相当部の
幅Ｗ２を狭くした構造とするものである。

瓶口１１ｃの構造を上述の様にする故、キヤツ
プ２１を螺着したとき、キヤツプ２１の天板部２
２の内側下面２３と瓶口１１との圧接部分は、円
弧状曲面と内方傾斜面１６ｃとの接合部１５ｃ近
傍から外方における狭い幅Ｗ２の水平相当部を含
む頂部外側部１４となり、キヤツプ２１を瓶口１
１に螺入し、キヤツプスカート部２４の雌ねじ部
２６と瓶口頂部１２の雄ねじ２８とによるキヤツ
プ２１と瓶口１１との垂直方向圧着力が作用する
水平相当部における圧接部分の単位面積当りの圧
着力は従来よりも相当に高くなり、良好な密封性
を得ることができる。

又、本発明に係る瓶口１１は、上述の如く、頂
部外側部１４ｃにおける円弧状曲面の曲率半径Ｒ
２を、従来よりも大きく1.27mmとすることによつ
て、第２図に示す如きキヤツプ２１のスカート部
２４の上部内側面２７と頂部外側部１４との間に
おけるキヤツプ２１ｃの瓶口１１ｃに対する把握
力たる垂直方向圧着強度を相当低下せしめキヤツ
プ天板部２２等の変形を多少容易とした。

即ち、瓶内圧が異常に高くなりキヤツプ天板部
２２の中央が上方へ凸状に多少とも変化するとき
は、瓶口頂部１２の外側部１４に対してスカート
部２４の上部内側面２７の曲率半径が多少大きく
なる様に変形するものであり、瓶口頂部外側部１
４の曲率半径Ｒを大きくすることにより、該キヤ
ツプ２１ｂの変形が容易となり、キヤツプ２１ｂ
の瓶口１１に対する把握力たる垂直方向圧着強度
が低下することになる。

斯くして、瓶口頂部１２の水平相当部の幅Ｗ２
を狭くすることにより、キヤツプ天板部内側下面
２３に設けられたパツキング材３１と瓶口頂部１
２の上端である水平相当部とが強く圧着され、平
常の場合はキヤツプ２１による密封性を良好とす
ることができると共に、若し容器内圧が異常に高
くなつた場合には、瓶口外側部１４ｃのＲ２を大
とした瓶口１１ｃの構造によりキヤツプ天板部２
２が中高となる様に変形し易く、内圧が異常上昇
して瓶容器が破裂する以前に容器内のガスを漏出
させることができ、危害を防止し得る。

本発明の他の実施例は第４図に示す如く、瓶口
１１の頂部外側部１４ｄにおける円弧状曲面の曲
率半径Ｒ３を1.52mmと更に大きくしたものであ
る。尚、第４図に示す如く円弧状曲面と内方傾斜
面１６ｄとの接合部１５ｄは瓶口頂部１２のＷ１
の1/2より外側であること第１実施例と同様であ
るも、該接合部１５ｄから瓶口内側上端１７ｄへ
の内方傾斜面１６ｄの傾斜角を、一層大きい30度
とした。

この様に接合部１５ｄから内方の傾斜を大きく
した故、接合部１５ｄより内方ではキヤツプ２１
の天板部内側下面２３に設けられるパツキング材
３１と瓶口頂部１２ｄとの接触が接合部１５ｄの
直近のみとなり、キヤツプ２１の天板部内側下面
２３と瓶口頂部１２ｄとが圧着する水平相当部の
幅Ｗ３は一層狭くなり、該部分の耐圧性、密封性
を一層良好とし、且つ、瓶口頂部外側部１４ｄに
おける円弧状曲面の曲率半径Ｒ３を一層大とした
からキヤツプ２１の瓶口把握強度が一層低下し、
容器内圧の異常上昇の場合にはキヤツプ２１の自
動開栓を一層容易とし、危害防止の効果を大とす
ることができる。

更に本発明の他の実施例は、第５図に示す如く
瓶口頂部外側部１４ｅの曲率半径Ｒ４を1.70mmと
一層大きくし、且つ、円弧状曲面を形成する曲率
半径Ｒ４の曲線が水平線と接する位置を内方傾斜
面１６ｅとの接合部１５ｅとし、以て頂部外側部
１４ｅの垂直断面における円弧状曲面の円弧を1/
４円周の円弧とすると共に、瓶口１１の頂点に位
置する接合部１５ｅから瓶口内方傾斜面１６ｅを
形成する様にする。

従つて、瓶口頂部外側部１４における円弧状曲
面の上端と内方傾斜面１６との接合部１５ｅで
は、水平相当部の幅は瓶口１１の上端において円
周に沿つて接合部１５ｅより外方の極めて幅の狭
い線状となり、第１実施例の水平相当部の幅Ｗ２
及び第２実施例の水平相当部の幅Ｗ３に比較して
一層狭い瓶口１１の上端水平相当部を有する瓶口
頂部１２ｅとなる。

即ち、この実施例ではキヤツプ天板部２２の内
側下面２３と瓶口１１との耐圧性、密封性が最も
良好となる。

そして、この実施例では瓶口１１の頂部外側部
１４における円弧状曲面の曲率半径Ｒ４を一層大
としたから、容器内圧の異常上昇の場合には、よ
り一層キヤツプの自動開栓を容易とし、危害防止
の効果が大となる。

この様に本発明は、ビール等のガス飲料を充填
するガラス瓶であつて、一般に多く用いられる瓶
口頂部１２の肉厚Ｗ１が2.5mm乃至４mm強の瓶容
器の瓶口１１において、第３図乃至第５図に示す
様に、瓶口頂部外側部１４における円弧状曲面と
内方傾斜面１６との接合部１５を瓶口１１の肉厚
Ｗ１の1/2より外方とし、該接合部１５よりも内
側を内方傾斜面１６として直線的に降下させると
共に、接合部１５よりも外側において、頂部外側
部１４の曲率半径Ｒを瓶口頂部１２の肉厚の約1/
２乃至1/3である1.27mm乃至1.70mmと大きくするこ
とにより、瓶口頂部１２の上端を形成する水平相
当部の幅を極めて細くし、以てキヤツプ２１と瓶
口１１との垂直方向における単位面積当りの圧着
力を大きくして容器の密封性を高めると共に、瓶
口頂部１２の上端水平相当部の総面積を小さくし
てキヤツプ２１の瓶口１１に対する把握強度その
ものを増大させる必要のないキヤツプ２１による
瓶容器の密封を可能とするものである。

要するところ本発明は、瓶口１１の頂部１２に
おける頂部外側部１４に形成される円弧状曲面の
曲率半径が、従来は0.8mm〜1.10mmであつたのに
対し、該曲率半径を瓶口頂部１２の肉厚の約1/2
乃至1/3の1.27mm乃至1.70mmと従来より大きな曲
率半径とする円弧をもつて約1/4円周の円弧状曲
面とした構造とし、且つ、該瓶口頂部１２の内方
を瓶口内側上端１７に至る下方へ５度乃至40度傾
斜せしめた直線状の内方傾斜面１６とし、前記円
弧状曲面と内方傾斜面１６との接合部１５を瓶口
１１の肉厚Ｗ１の1/2より外側に設けるものとす
ることにより瓶口頂部１２の上端における水平相
当部の幅を極めて細くした構造のガラス瓶である
から、垂直方向の単位面積当りの圧着力を大きく
して容器の密封性を高め、且つ、キヤツプ２１の
瓶口１１に対する密封力を特に大きくする必要が
無い故、容器内の圧力が異常昇圧した場合にはキ
ヤツプ２１と瓶口頂部１２の水平相当部との間に
容易に間隙が生じるものであり、又、この間隙が
ガス圧により生じるときには、キヤツプ２１の天
板部２２が上方に僅かに持ち上るに際して、瓶口
頂部外側部１４における円弧状曲面の曲率半径が
大きい故にキヤツプ２１のスカート部上部２５の
内側面の曲率半径が容易に変形し、キヤツプ２１
と瓶口頂部１２との間隙からのガス漏出を一層容
易とし、以て容器内圧が異常に上昇した場合には
キヤツプ２１が容易に中高となり、キヤツプ天板
部２２と瓶口頂部１２との間に間隙を作り、容器
内のガスを漏出させて破瓶の危険を防止するもの
である。

尚、本発明においては瓶口頂部における上端水
平相当部の幅を狭くして単位面積当りの圧着力を
高めて密封性を良好としている故、キヤツプ２１
全体の瓶口１１に対する螺着強度を特に高める必
要が無く、キヤツプ２１そのものの資材による耐
圧強度を従来よりも低くしても差支えなく、キヤ
ツプ２１の使用材料を節用することも可能であ
る。

【図面の簡単な説明】

第１図は旧来の瓶口部分断面図、第２図は改良
された従来の瓶口要部断面図にして、第３図乃至
第５図は夫々本発明の実施例の瓶口要部断面図で
ある。 １１＝瓶口、１２＝頂部、１３＝平坦部、１４
＝頂部外側部、１５＝接合部、１６＝内方傾斜
面、１７＝瓶口内側上端、２１＝キヤツプ、２２
＝天板部、２３＝天板部内側下面、２４＝スカー
ト部、２５＝スカート部上部、２６＝雌ねじ部、
２７＝スカート部上部内側面、２８＝雄ねじ、２
９＝雄ねじ頂面、３１＝キヤツプ内側下面部分パ
ツキング材、３２＝スカート部上部内側面部分パ
ツキング材。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ キヤツプ天板部の内側下面に設ける平板状パ
   ツキングの周縁が瓶口頂部外側部に密接し得る大
   きさのパツキングとし、之をキヤツプ裏面に設
   け、他方、該キヤツプを以て被蓋する瓶口頂部に
   おける瓶口頂部外側部の円弧状曲面を、瓶口頂部
   肉厚の約1/2乃至1/3である1.27mm乃至1.70mmとし
   た曲率半径をもつて1/4円周又は1/4円周よりも僅
   かに大きい円弧の曲面とし、瓶口頂部における瓶
   口内側を前記円弧状曲面の内側端から瓶口内側上
   端へ直線状に下方へ傾斜させた内方傾斜面とし、
   以て前記円弧状曲面と内方傾斜面との接合部を瓶
   口頂部肉厚Ｗ１の1/2よりも外方に設けることに
   より瓶口頂部の上端水平相当部の幅を極めて細く
   した構造の瓶口とし、該瓶口の雄ねじに対し、前
   記パツキングを裏面に設けたキヤツプを螺着した
   構造を特徴とする容器。