JPS6212091Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は螺子に関し、特に被締付体ＡとＢの間
に一定の間隔を保持しつつ両者をねじ締する場合
や、被締付体Ａに対しねじ頭を浮かして締付する
場合等に好適に用いられる螺子に係る。

例えば第１図に示すように被締付体Ａに対し螺
子１のねじ頭２を浮かしてねじ軸３を螺合させる
方法として、締付体Ａとの間にスプリングカラー
４を介挿する方法が考えられるが、全周にねじを
施したねじ軸３にスプリングカラー４を圧入する
場合、ねじ山３′が障害となつて圧入作業に非常
に手間どる。又作業員がカラー４と螺子１を常に
部品として携帯し、現場でカラー圧入作業を行う
必要があり、現場作業上非能率的であり、又カラ
ー部品の紛失や不携帯があつては作業に支障を来
す恐れがある。

又他の方法として第２図に示すようにねじ軸３
の軸首部に軸太部３ａを形成し、該軸太部３ａの
底面３ｂを被締付体Ａの上面に直接衝接させる方
法があるが、この方法は軸太部３ａの底面３ｂで
被締付体Ａの上面に安定に支持させる必要上、該
底面３ｂの接触面積を大きくとる必要がある。換
言すればねじ軸３のねじ山外径に対し、軸太部３
ａの径を充分に大きくする必要がある。

而して素材加工に於て軸部に小径のねじ軸部と
大径の軸太部を形成する為にねじ素材に対し段付
成型する場合、段差を大きく成型しなければなら
ず、素材に対する断面減少率が著しく大きくなつ
て圧造技術上の問題がある他、斯かる大きな段付
成型の場合には予備段付成型用と仕上げ段付成型
用の２組の圧造ダイスが必要であるばかりか、加
工工数が増して割高となる。又段付素材の小径軸
部に対し、ねじ山成型を自動的に行うことは技術
的に難かしく、ねじ山を転造成型した場合でもね
じ軸３の軸太部３ａに近接する部分ではねじ山成
型は困難で、不完全ねじ山３″となることを避け
得ない欠点がある。

而して、本考案は上記各方法の欠点に鑑みて開
発されたもので、第３図以降の実施例に示す如
く、ねじ軸３とねじ頭２とから成る螺子１の軸首
部に滑軸部５を形成し、該滑軸部５に全長におい
て等径のスプリングカラー（軸方向に割６ａを形
成し、開被弾性を付与したカラー）６を圧挿し上
記ねじ軸３のねじ山３′の外径Ｘとスプリングカ
ラーの内径Ｙと滑軸部の外径ＺとがＸ＜Ｙ＜Ｚの
関係となるように設定し、滑軸部５に圧挿し一端
面をねじ頭下面へ密着させたスプリングカラー６
の底面で被締付体Ａの上面に支持させる構成とし
たことを特徴とする。

ねじ軸にカラーを圧入する前記方法はカラー装
着の際のねじ山干渉という難点があるが、本考案
では上記カラー圧入専用の滑軸部５を形成し、且
つねじ軸のねじ山外径Ｘと、スプリングカラー６
の内径Ｙと滑軸部５の外径ＺとがＸ＜Ｙ＜Ｚの関
係となるようにその径を設定したので、カラー６
はその挿入時にはねじ山の干渉を全く受けずにフ
リー挿入でき、且つ滑軸部５に対してはその弾性
を以つてガタ、遊びを来たすことなく緊密に且つ
容易に圧入保持させることができる。

又滑軸部５は前記対比例で示したように軸太部
３ａの底面３ｂで直接被締付体Ａの上面に支持さ
せる方法と異なり、支持機能はカラー６によるも
ので、それ自身には全く支持機能をもたせるもの
ではないから、その外径Ｚはねじ山３′の外径Ｘ
に対し極めて微少量高く設定すれば足り、そのよ
うな寸法差の設定は素材圧造時に容易に形成でき
るか、又はねじ山成型時に於てねじ山３′が滑軸
部５より幾分低くなるように転造すれば良く、成
型上の問題は全くなく、被締付体Ａに対する支持
はカラー６の肉厚を充分厚く設定することにより
螺子１の締付に対し強度ある安定な支持力を得る
ことが可能である。

又ねじ軸３のねじ山成型に於ても技術上問題は
全くなく、前記対比例のように軸太部３ａに近接
した部分で不完全ねじ山３″となることがない。
実施例はねじ軸３のねじ山３′の上端部分３を
上記圧挿下にあるスプリングカラー６の下端部に
遊挿させるように形成した場合を示している。こ
の場合にはカラー６の底面６ｂの位置に於ても完
全に正常なねじ山が存在することとなるので、カ
ラー６の底面６ｂが被締付体Ａの上面に当接した
以後の締付けが充分に強く行え、締付強度を著し
く増大させることができる。

スプリングカラー６を前記条件下で滑軸部５へ
密着圧挿しつつ、尚且つ上記スプリングカラーの
上端部端面をねじ頭下面に密着させ、ねじ軸の軸
芯方向の遊び、軸芯と直交する遊び、及び傾き並
びに回動なく滑軸部にねじと一体的に保持させた
ため、締付時におけるカラーの「偏り」、「傾
き」、及び異物介在（ねじ頭とスプリングカラー
間に異物が挟まれる等）による締付不良を発生さ
せることなく適正な締付を行うことができる。

【図面の簡単な説明】

第１図、第２図は本考案と対比される螺子の構
造を使用状態を以つて示す部分断面図、第３図は
本考案の螺子の構造を使用状態を部分断面して示
す側面図、第４図は同一部切欠分解側面図、第５
図は第３図Ａ−Ａ断面図である。 １……螺子、２……ねじ頭、３……ねじ軸、５
……滑軸部、６……スプリングカラー。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. ねじ軸とねじ頭とから成る螺子の軸首部に全長
   において等径のスプリングカラーを挿入して成る
   スプリングカラー付螺子において、上記螺子の軸
   首部にねじ軸のねじ山直径より大径の滑軸部を形
   成し、該滑軸部に該滑軸部より小径で且つ上記ね
   じ山直径より大径の上記スプリングカラーを圧挿
   し、該圧挿下で上記スプリングカラーの上端部端
   面をねじ頭下面に密着させるとともに、同下端部
   に上記滑軸部直下のねじ山の一部分を遊挿状態と
   したことを特徴とするスプリングカラー付螺子。