JPS6210961B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

本発明は蚊取線香用基材の改良に関するもので
ある。従来蚊取線香用基材としては、除虫菊、除
虫菊抽出粕、木材、樹皮などを乾燥して粉砕した
微粉末や珪藻土等の鉱物質微粉末が用いられてい
るが、これらのものには種々の欠点があつた。例
えば除虫菊はかつて日本の特産品として脚光を浴
び、1938年には、13000トンあまりの除虫菊乾花
を生産し、世界産額の70％を占めたが、最近では
100トン以下に減少し、一方蚊取線香の有効成分
も除虫菊からアレスリンへと代替され、しかも蚊
取線香の需要は増加したため、蚊取線香用基材と
して除虫菊乾花の粉末はほとんど使用されなくな
つた。これに代るものとして除虫菊抽出粕が最も
好適な蚊取線香用基材として利用されたが、大部
分をアフリカ、南米等からの輸入に頼るため、経
済性等種々の問題点をもつている。又、木粉およ
び樹皮粉末は燃焼に際して刺激性物質および特異
臭を発散するため、蚊取線香中に多量に用いるこ
とは刺激および特異臭が強く、劣悪な製品となる
欠点があつた。 本発明者は、長年蚊取線香の改良を進めた結
果、蚊取線香にオガライト粉末を混入させること
によつて燻煙時に刺激および異臭の非常に少な
い、従来の除虫菊抽出粕粉および木粉を使つた蚊
取線香より品質のよいものが得られることを見い
出した。 蚊取線香用基材として要求される条件は、 安価にかつ安定的に供給されること。 〓和、押出打抜工程において優れた機械成型
適性を具えていること。 製造された線香が燃焼する場合、立ち消えせ
ず、かつ燃焼時間を７時間程度に容易に調整で
きること。 製造された蚊取線香は緻密でかつ表面が平滑
であること。 燻煙に刺激がなく、かつ異臭を発しないこ
と。 有効成分の効力を最大に発揮すること。 の諸条件を具備しなければならない。 従来蚊取線香の基材としては、除虫菊抽出粕と
木粉がその大部分を占めているが、除虫菊抽出粕
粉末は燃焼させた時、刺激や異臭が少なく、また
〓和、押出打抜工程において優れた機械成型適性
を具えた原料であるが安定供給に欠けるため、安
価でかつ一定品質の蚊取線香を大量に生産するに
は、その使用量に限界があつた。木粉について
は、木材の製材時に副生するおが屑を粉砕して粉
末にするので安価ではあるが、原料木の種類、産
地、樹令、樹の部位、加工工程等の違いにより、
その粉末の性質は種々変化するので一定品質のも
のは得がたく、含水率も非常に変化しており、粉
砕の前処理として乾燥を行つているが、含水率は
安定せず粉砕困難なため、粒度を調整し難く、蚊
取線香の〓和、押出、打抜工程の機械成型適性に
劣るばかりでなく、製品は平滑さを欠く。また燃
焼させた時、刺激や、異臭の原因となり蚊取線香
基材としての使用量は30％程度が限界であつた。 本発明者は、このような従来の実情に鑑み、蚊
取線香基材として要求される前記条件を具備した
多くの植物組織の粉末について研究した結果、オ
ガライトの粉末が蚊取線香用基材として優れた性
質を持つことを見い出した。 オガライトは、おが屑、チツプなど木材の製材
時の副生物を原料として乾燥工程を経た後、高温
下で加圧成型されたもので、燃料として多量に製
造されている。オガライトは製造時の加熱加圧処
理により、原料のおが屑、チツプなどの木材片に
含まれている刺激物質ならびに特異臭となる揮散
性成分が除去される。さらに水分も蒸発し低水分
となり、木材の性質も安定して一定品質のものが
得られ、蚊取線香用基材として好適なものとな
る。木粉と比較して、オガライトは含水率が低く
安定しているので粉砕が容易となり、粒度が安定
し、蚊取線香の〓和、押出、打抜成型した際の機
械成型適性に優れる。さらに高温加熱加圧成型時
に刺激物質ならびに特異臭となる揮発性物質が蒸
発除去されるので、燻煙時の刺激および異臭がな
くなり、蚊取線香基材としての使用量を従来の木
粉より増加させることができた。またオガライト
の原料には、ラワン、米トガ、マツ、スギ等の工
場廃材が用いられているが、米トガを原料として
製造されたオガライトが線香基材としてより好ま
しい。また除虫菊抽出粕粉と比較しても、おが
屑、チツプなどの副生物を利用しているので経済
性に優れるとともに、安定した品質のものを大量
に入手できる利点を有する。 以下実施例によつて、オガライトの粉末を基材
成分の一部として使用して、蚊取線香を製造し、
その性質を比較した結果を詳述する。 実施例 蚊取線香基材成分の配合を第１表に示す。

【表】 それぞれ前記の割合で均一に混合したもの100
部に水100部を加えて充分に〓和した後、これを
押出機によつて帯状となし、次いで型打抜機によ
り渦巻状に打抜き、天日乾燥して蚊取線香を得
た。次に第１表に従つて製造した蚊取線香の諸特
性を測定し第２表に示す。

【表】

【表】 第１表、第２表の結果より、木粉および除虫菊
抽出粕粉の一部をオガライト粉末で代替した蚊取
線香（Ｂ，Ｃ，Ｄ，Ｅ）は、従来の蚊取線香基材
の配合のもの（Ａ）と比較して、機械成型適性、
製品表面の状態、染色性、燻煙時の刺激および異
臭において優れた成積が得られた。また、蚊取線
香の燃焼が途中で止まる立ち消えは認められず、
さらに燃焼時間および殺虫成分アレスリンの空中
への揮散率においても差は見られなかつた。 本発明は、おが屑、チツプ等の木材片を加熱加
圧成型して製造したオガライトを紛砕して得た粉
末を、蚊取線香基材の一成分として使用すること
で、製造時の機械成型適性に優れ、出来上つた蚊
取線香の外観（表面の状態、色調）も良く、燻煙
時にも異臭および刺激のない蚊取線香を提供する
ものである。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ おが屑、チツプなどの木材片を加熱加圧成型
   して製造したオガライトを粉砕して得た粉末を含
   有することを特徴とする蚊取線香用基材。