JPS6160245B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 この発明はデイーゼル機関のシリンダ注油方法
および装置に関するものである。

従来のこの種のシリンダ注油装置の概要構成を
第１図に示してある。すなわち、この第１図にお
いて、符号１はデイーゼル機関のシリンダフレー
ム本体、２はこの本体１に装着されたシリンダラ
イナ、３は前記本体１の下部に形成されたクラン
クケース、４はピストン、５はそのピストンロツ
ド、６はシリンダ下部の掃気室、７はロツド密封
装置、８は前記シリンダライナ２の上部内面複数
個所に開口した注油孔で、前記本体１の外部に注
油金具９を取り出してある。また１０は高アルカ
リシリンダ油などの高級潤滑油を貯溜する油タン
ク、１１はこの油タンク１０に吸入側の供給パイ
プ１２を、前記各注油金具９に吐出側の注油パイ
プ１３をそれぞれに接続した注油ポンプ、１４お
よび１５は前記室６およびロツド密封装置７から
取り出されたドレンパイプである。

この従来構成にあつて、シリンダライナ２に形
成される各注油孔８には、ピストン４の摺動によ
る摩耗とか、燃焼ガスからの生成酸分による腐触
を防ぐために、アルカリ添加剤を含む高アルカリ
シリンダ油を供給するようにしている。

ところでこの構成の場合、一般にシリンダライ
ナの上部では、燃料の直接燃焼によつて、ライナ
内面に与えられるガス圧力、温度が高く、かつ腐
触生成物なども多くて、すべての面で苛酷な条件
下におかれるために、前記したとおりに従来は高
アルカリシリンダ油による潤滑を必要としている
のであるが、一方、シリンダライナの下部にあつ
ては、ライナ内面に与えられるガス圧力、温度が
低く、かつ腐触生成物も少ないことから、前記し
たライナ上部に要求されるような高アルカリシリ
ンダ油を供給する必要がないと言える。

しかしさきにも述べたように従来においては、
シリンダライナの全領域に亘つて同一種類の高ア
ルカリシリンダ油を供給し潤滑させている。すな
わち、シリンダライナの下部にとつては、不必要
に高アルカリシリンダ油を供給する結果となつて
おり、このことは例えば、低速クロスへツド型デ
イーゼル機関のように大型の場合には、高アルカ
リシリンダ油が非常に高価であることも加わつ
て、極めて不経済であるという欠点があつた。

そこでこの発明では、従来のこのような欠点を
改善する目的で、シリンダライナに対する注油領
域を上部と下部とに少なくとも２区分し、ライナ
上部には従来と同様の高アルカリシリンダ油など
の高級潤滑油を適量供給して潤滑させ、またライ
ナ下部にはこの高級潤滑油の流下分をも含めた機
関から得られるドレン油、システム油、低級シリ
ンダ油などの低級潤滑油を浄油化のうえ循還供給
して潤滑させ、これによつてシリンダ注油の大巾
なコストダウンを達成し、併せてその省資源化を
図るようにしたものである。

以下、この発明方法を適用した一実施例装置に
つき、第２図を参照して詳細に説明する。

第２図実施例は前記第１図従来例に対応する装
置構成の概要であり、図中、同一符号は同一また
は相当部分を示している。

第２図においてこの実施例では、前記シリンダ
ライナ２につき、これを燃料を直接燃焼させる上
部注油領域２ａと、これより下方の下部注油領域
２ｂとに区分する。そして上部注油領域２ａに
は、従来と同様に形成された各上部注油孔１６
と、その注油金具１７とを設け、かつ高アルカリ
シリンダ油などの高級潤滑油を貯溜した上部油タ
ンク１８を、供給パイプ１９により上部油ポンプ
２０の吸入側に、その吐出側を注油パイプ２１に
より各注油金具１７にそれぞれ接続して開放注油
系を構成させる。

また下部注油領域２ｂについても各下部注油孔
２２と、その注油金具２３とを設けて、つぎに述
べる低級潤滑油を貯溜した下部油タンク２４を、
供給パイプ２５により下部油ポンプ２６の吸入側
に、その吐出側を注油パイプ２７により各注油金
具２３にそれぞれ接続させると共に、ライナ下端
部に設けたリング状のコレクタ２８をドレンパイ
プ２９、ロツド密封部７をドレンパイプ３０によ
りそれぞれドレンタンク３１に、またはその他の
機関から得られるドレン油、システム油系をドレ
ンパイプ３２により別のドレンタンク３３に開口
させ、さらにこれらの両ドレンタンク３１，３３
を浄油器３４、ドレンポンプ３５、および油フイ
ルタ３６より循還パイプ３７で前記下部油タンク
２４に開口させて、こゝに循還注油系を構成させ
たものである。

従つてこの実施例装置の場合、上部注油領域２
ａの各上部注油孔１６に対しては、上部油タンク
１８に貯溜されているところの、高アルカリシリ
ンダ油などの高級潤滑油を、上部油ポンプ２０に
よつて従来よりも減量した適量だけ供給させる。
また同時に下部注油領域２ｂの各下部注油孔２２
に対しては、下部油タンク２４に貯溜されている
低級潤滑油を、下部油ポンプ２６によつて適量供
給させる一方、これらの流下してくる高級および
低級各潤滑油のドレンについてはコレクタ２８か
らドレンパイプ２９により、ロツド密封部７から
のドレンはドレンパイプ３０により、それぞれに
ドレンタンク３１に回収し、かつクランクケース
３からのシステム油のドレンはドレンパイプ３２
によりドレンタンク３３に回収したうえで、これ
らの各回収油をドレンパイプ３５を用い、浄油器
３４、および油フイルタ３６を経て浄油化してか
ら下部油タンク２４に再度循還供給させる、すな
わちこの下部注油領域２ｂ側では、特に前記のよ
うな高級潤滑油を必要としないから、機関各部か
ら得られるドレン油、システム油、低級シリンダ
油などの比較的低級、従つて安価な低級潤滑油を
循還供給させるのである。

なお、前記実施例においては、上部および下部
注油領域での各注油孔を、それぞれ１個所づゝの
同一円周上で開口させてあるが、各領域共に上下
方向複数個所に開口させてもよく、また下部注油
領域側でのドレン再供給にはドレンポンプを用い
ているが、各部に適正な位置関係を与えて自然流
下型式とすることも可能である。

以上詳述したようにこの発明によるときは、シ
リンダライナの注油領域を少なくとも上部および
下部に区分して、上部注油領域には、高アルカリ
シリンダ油などの高級潤滑油を供給して潤滑さ
せ、また下部注油領域には、機関各部から得られ
るドレン油、システム油、低級シリンダ油などの
低級潤滑油を同時に、しかも循還供給して潤滑さ
せるようにしたから、高級潤滑油の供給量を該当
個所に対応する必要最少限な適量に制限でき、こ
れによつて高価な高級潤滑油を低級潤滑油の補佐
のもとに格段に節減できるため頗る経済的であ
る。また下部注油領域側での浄油器、油フイルタ
を伴なう循還注油系を設けかつ定期的な油性状管
理を行なうことにより、この効果を一層助長し得
る利点がある。さらに装置構成についても、従来
の開放注油系に加えて、浄油器、油フイルタを含
む循還注油系を併設させるだけで済むために簡単
で、容易に実施できるなどの特長を有するもので
ある。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来方法によるシリンダ注油装置の概
要を示す構成図、第２図はこの発明方法の一実施
例を適用したシリンダ注油装置の概要を示す構成
図である。 １…シリンダフレーム本体、２…シリンダライ
ナ、２ａ…上部注油領域、２ｂ…下部注油領域、
４…ピストン、１６，２２…上部および下部注油
孔、１８，２４…高級および低級潤滑油の油タン
ク、２０，２６…上部および下部油ポンプ、３
１，３３…ドレンタンク、３４…浄油器、３５…
ドレンポンプ、３６…油フイルタ。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ デイーゼル機関において、シリンダライナの
   注油領域を少なくとも上部および下部に区分し、
   上部注油領域には、適正量の高アルカリシリンダ
   油などの高級潤滑油を供給して潤滑させ、また下
   部注油領域には、適正量の機関各部から得るドレ
   ン油、システム油、低アルカリシリンダ油などの
   低級潤滑油を供給して潤滑させるようにしたこと
   を特徴とするデイーゼル機関のシリンダ注油方
   法。 ２ デイーゼル機関において、シリンダライナの
   注油領域を少なくとも上部および下部に区分し、
   これらの各注油領域毎にそれぞれライナ内面複数
   個所に開口する注油孔を設けると共に、上部注油
   領域の各注油孔には、高アルカリシリンダ油など
   の高級潤滑油を貯溜する油タンクを管路接続さ
   せ、また下部注油領域の各注油孔には、機関各部
   から得るドレン油、システム油、低アルカリシリ
   ンダ油などの低級潤滑油を貯溜する油タンクを管
   路接続させ、上部注油領域に高級潤滑油を適正量
   供給して潤滑させ、下部注油領域に低級潤滑油を
   適正量循還供給して潤滑させるようにしたことを
   特徴とするデイーゼル機関のシリンダ注油装置。