JPS6157690B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は単巻変圧器装置に係り、特に電圧調整
用タツプ巻線および三次巻線を備えた単巻変圧器
にタツプ切換時の三次巻線誘起電圧変動を補償す
る装置を設けた単巻変圧器装置に関する。

従来の単巻変圧器は、第１図に示すように、直
列巻線１と分路巻線２とを直列に接続し、この分
路巻線２側に極性切換器７を介してタツプ巻線３
を接続すると共にこれよりタツプ切換器４を介し
て中性点側に接続し、高圧端子５を直列巻線１の
高圧側から、また低圧端子６を直列巻線１と分路
巻線２の接続点からそれぞれ引出し、さらにこれ
らの各巻線１〜３と磁気的に結合する三次巻線８
を設け、この三次巻線８の端子９，１０から他の
負荷へ給電したり、あるいは端子９，１０にコン
デンサやリアクトルを接続して力率補償を行なう
ように構成されている。

しかしながら、このような構成では、直列巻線
１と分路巻線２との誘起電圧は、タツプ巻線３の
タツプの切換えによつて所定の電圧にすることが
できるが、このタツプの切換えに応じて鉄心中の
磁束密度が変化するため、三次巻線８の誘起電圧
もその都度変動してしまう。したがつて、この三
次巻線８による力率補償や他の負荷への給電を行
ない得なくなる。

そこで、従来よりこの三次巻線８の電圧変動分
を補償する方式が種々提案されている。第２図お
よび第３図はこのような方式の２つの例を示す。

すなわち、第２図の方式は、一次巻線１２およ
び二次巻線１３からなる補償変圧器１１を設け、
その二次巻線１３を前記三次巻線８と直列に接続
するとともに、その一次巻線１２を前記タツプ巻
線３における運転タツプ巻線電圧によつて励磁
し、タツプ切換えに伴なう三次巻線電圧の変動を
補償するようにしたものである。

また、第３図の方式は、前記タツプ巻線（第１
のタツプ巻線）３に、励磁巻線１５とこれに直列
接続される第２のタツプ巻線１６を組合わせて電
圧調整器１４を構成し、第２のタツプ巻線１６を
極性切換器１７を介して励磁巻線１５の一方の端
子２０に接続するとともに、励磁巻線１５の他方
の端子１９には三次巻線８の一方の端子９を接続
し、さらに三次巻線８の他方の端子１０をタツプ
切換器１８を介して第２のタツプ巻線１６のタツ
プに接続し、三次電圧を端子１９，２０からとる
ようになつている。したがつて、単巻変圧器の中
性点側でタツプ切換えを行なつた場合、三次巻線
８の誘起電圧、つまりこの三次巻線８に並列接続
された励磁巻線１５及び第２のタツプ巻線１６の
直列接続体の両端間の電圧は変動するが、第２の
タツプ巻線１６のタツプや極性切換器１７を切換
えて、この変動分を補償するように、第２のタツ
プ巻線１６の電圧を調整してやれば、励磁巻線１
５の両端間の電圧を常に一定にすることができ
る。すなわち、前記の如く三次電圧を励磁巻線１
５の端子１９，２０からとるようにすれば、単巻
変圧器の中性点側でタツプ切換えを行なつても、
三次電圧は常に一定になる（特開昭51−4529号参
照）。

これらの各方式は、変圧器を設計製作する時点
から採用する場合には問題はないが、現在運転さ
れている三次電圧補償方式を採用していない変圧
器に対して適用しようとすると、第２図の方式で
は、既存の単巻変圧器の内部からリード線を引出
さなければならず、また第３図の方式では、励磁
巻線１５および第２のタツプ巻線１６を第１のタ
ツプ巻線３と同一の鉄心脚に巻回しなければなら
ず、いずれの方式においても既存の単巻変圧器に
大幅な改造を施こす必要がある。

さらに、三次電圧の変動を補償するために、三
次側に別置式の負荷時電圧調整器を設けるものも
知られている。この方式では、三次側の電圧調整
用の励磁側として高圧の一次、２次側を用いてい
るため、一般に低圧である三次側に流れる電流が
大きくなつて、前記負荷時電圧調整器として負荷
時タツプ切換器などの通電容量が大きなものを用
いなければならず、装置が大形化して不経済とな
る。

本発明はこの点に鑑みてなされたもので、その
目的は、既存の単巻変圧器にも容易に適用し得る
経済的な三次電圧補償方式の単巻変圧器装置を提
供するにある。

この目的を達成するため、本発明は、単巻変圧
器とは別置の、分路巻線とタツプを有する直列巻
線からなる補償単巻変圧器を設け、この補償単巻
変圧器の分路巻線を単巻変圧器の三次巻線に並列
に接続したことを特徴とする。

以下、本発明を図示の実施例に基づいて詳細に
説明する。

第４図は本発明の一実施例に係る単巻変圧器装
置の結線図であり、図中第１図ないし第３図と同
一符号は同一物または相当物を示す。

この実施例では、第１図に示した単巻変圧器の
他に、これとは別個の補償単巻変圧器２１が付加
されている。この補償単巻変圧器２１は、分路巻
線２２とタツプを有する直列巻線２３からなり、
その分路巻線端子２４，２５が単巻変圧器の三次
巻線端子９，１０と接続されるとともに、直列巻
線２３のタツプから無電圧タツプ切換器２６を介
して直列巻線端子２７が引出されている。

このような補償単巻変圧器２１を付加すると、
例えば系統運用上、単巻変圧器が三次巻線８の電
圧が高くなるようなタツプ位置にて運転される場
合には、補償単巻変圧器２１によつて三次巻線８
の誘起電圧とは逆極性の電圧が三次巻線８の電圧
に加わるように、タツプ切換器２６で設定するこ
とにより、また三次巻線８の電圧が低くなるよう
なタツプ位置にて運転される場合には、補償単巻
変圧器２１によつて三次巻線８の誘起電圧と同一
極性の電圧が三次巻線８の電圧に加わるように、
タツプ切換器２６で設定することにより、三次巻
線８のタツプ切換えに伴なう電圧変動を補償する
ことができる。

本実施例によれば、系統運用上、どのタツプ位
置で運転することになるかが決まれば、そのタツ
プ位置における三次巻線８の誘起電圧を基準電圧
に近付けるように、補償単巻変圧器２１のタツプ
切換器２６で設定するという簡単な方法で三次巻
線の電圧変動を補償することができる。また、既
存の単巻変圧器の傍に補償単巻変圧器２１を設置
し、外部端子である三次巻線端子９，１０と分路
巻線端子２４，２５とを接続すればよいので、既
存の単巻変圧器に改造を施こすことなく、三次電
圧補償機能をもたせることができる。さらに、三
次側の電圧調整用の励磁側は、三次巻線８と並列
に接続された、低圧の補償単巻変圧器２１の分路
巻線２２自身であるため、三次側に流れる電流が
小さくなつて、補償単巻変圧器の電流容量も小さ
くて済み、装置を小形化して経済的に製作するこ
とが可能となる。

なお、前記実施例において、無電圧タツプ切換
器の代りに負荷時タツプ切換器を用いることもで
き、この場合には、さらに細かな三次電圧補償を
行なうことができる。

また、第５図は本発明の他の実施例に係る単巻
変圧器装置の結線図である。この実施例が第４図
の実施例と異なる点は、補償単巻変圧器２１にお
いて、分路巻線２２とタツプを有する直列巻線２
３との接続を、極性切換器２８を介して行なうよ
うにしたことであり、その他の構成は同じであ
る。したがつて、前記実施例と同様な作用効果が
得られる他、さらに直列巻線２３の自己容量を半
分に減らすことができるという効果もある。

以上説明したように、本発明によれば、単巻変
圧器の傍に補償単巻変圧器を設置し、その分路巻
線端子を単巻変圧器の三次巻線端子に接続するだ
けで、既存の単巻変圧器に改造を施こすことなく
三次電圧補償機能をもたせることができるので、
既存の単巻変圧器にも容易に適用することがで
き、しかも三次電圧の変動分を補償するための装
置を小形化して、経済的な単巻変圧器装置を提供
することができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来の単巻変圧器を示す結線図、第２
図および第３図は従来の三次電圧補償機能を有す
る単巻変圧器装置の各例を示す結線図、第４図は
本発明の一実施例に係る単巻変圧器装置の結線
図、第５図は本発明の他の実施に係る単巻変圧器
装置の結線図である。 １……直列巻線、２……分路巻線、３……タツ
プ巻線、８……三次巻線、２１……補償単巻変圧
器、２２……分路巻線、２３……タツプを有する
直列巻線。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 直列巻線と、分路巻線と、これらの各巻線に
   直列に接続されたタツプ巻線と、前記各巻線に磁
   気的に結合された三次巻線とを備えた単巻変圧器
   において、分路巻線とタツプを有する直列巻線か
   らなる補償単巻変圧器を設け、この補償単巻変圧
   器の分路巻線を前記三次巻線に並列に接続したこ
   とを特徴とする単巻変圧器装置。