JPS6148407B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 この発明はプラスチツクの射出成形加工の分野
に属し、成形物を把持し、これを下部金型から取
外して、所望の場所に移送した後、把持付勢を解
除して、成形物を排出落下させるための把持装置
の改良に関する。

特に、この発明は、下部金型から突出した円筒
状のコアに緩挿された中空円筒状成形物を把持
し、これをコアから確実に抜き取ることができる
ように構成された円筒状成形物の把持装置を提供
することを目的とする。

従前のこの種の把持装置はクランプ装置とも呼
ばれ、棒状片体から成る固定挾持部材に対して、
開閉脚可能に枢支された同じく棒状片体から成る
可動挾持部材を備えた鋏状の挾持機構の開脚空間
内に成形物を侵入させた後、閉脚し、固定挾持部
材と可動挾持部材でもつて成形物を押圧挾持する
ものであつた。

このような従前のクランプ装置は、成形物を押
圧挾持するので、成形物のスプルーのような充実
円筒体を確実に挾持することはできるが、下部金
型から突出した円筒状のコアに緩挿された中空円
筒状成形物を押圧挾持すると、成形物が変形し
て、その内面がコアの外周面に密着し、摩擦を生
ずるので、成形物をコアから抜き取ることが困難
であつた。

ところが、近年、例えば、練り歯磨封入用チユ
ーブに見られるような容器用チユーブもしばしば
射出成形加工の対象となるに至つた。その場合、
予め成形加工されたプラスチツクチユーブを金型
内に挿入し、螺刻された口金部を上記チユーブと
一体に成形加工して、上部金型を取外すと、下部
金型から突出した円筒状のコアに緩挿されたチユ
ーブが残るので、これを把持して確実に抜き取る
ことが要請されている。

特に、容器用チユーブではポリエチレン、ポリ
プロピレン等の弾力性に富むプラスチツクが採用
されるので、従前のクランプ装置による押圧挾持
は、成形物に強度の変形をもたらし、コアからの
抜き取りを一層困難にしていた。

この発明は、上記の困難を克服して、前記の要
請に応えるべく、一部若しくは全部が弾性体から
成り、圧搾空気の圧入により、膨脹収縮可能な中
空環状把持部材を抱持した円筒状支持部材を中空
円筒状成形物に外嵌するように構成した円筒状成
形物の把持装置を提供する。

第１図Ａ〜Ｃはこの発明の一実施例である把持
装置の構成を示す断面図であり、１は円筒状の支
持部材、２は支持部材１に抱持された中空環状把
持部材であつて、その内面に係止された半円状の
断面を有するゴム等の弾性体から成る可動把持帯
２ａの内周面と、円筒状の剛体から成る固定把持
帯２ｂの内周面とに挾まれて形成される環状中空
空間２ｃを備えている。２ｄは可動把持帯２ａの
外周面、すなわち、中空環状把持部材２の内周面
に貼着された環状帯であつて、ゴム等の柔軟性に
富む材料から成る。３は環状中空空間２ｃに連通
する把持用給気孔、４は給気孔３に接続された結
気管、５は支持部材１の上端面に固着された円盤
状の頂部支持部材、６は頂部支持部材５を貫通し
て円筒状の支持部材１の内面上部空間１２に連通
する排出用給気孔、７は頂部支持部材５にボルト
７ａでもつて螺着された上部ケーシング、８はケ
ーシング７を貫通して、排出用給気孔６に連通す
る給気管であつて、給気管３と共に、図示されて
いない圧搾空気供給装置に接続される。９はケー
シング７の頂部にボルト９ａでもつて螺着された
駆動杆であつて、図示されていない駆動動力源に
連結される。

１０は下部金型、１１は下部金型１０から突出
した円筒状のコア、１３はコア１１に緩挿された
中空円筒状成形物である。

いま、給気管４から把持用給気孔３に対する圧
搾空気の圧入を停止すると、可動把持帯２ａがそ
れ自体の弾性力に付勢されて、収縮するので、中
空環状把持部材２の内径が拡大する。この状態
で、給気管８から圧搾空気を圧入することなく、
駆動杆９を押下することによつて、中空環状把持
部材２を支持部材１と共に降下させ、第１図Ａに
示すように、中空環状把持部材２を、コア１１に
緩挿された中空円筒状成形物１３に対して外嵌さ
せる。このとき、環状帯２ｄの内周面と中空円筒
状成形物１３の外周面との間には微小な空隙が形
成されるので、中空環状把持部材２は摩擦を生ず
ることなく、中空円筒状成形物１３に対して滑ら
かに外嵌される。

続いて、給気管８から圧搾空気を圧入すること
なく、給気管４から把持用給気孔３を通じて環状
中空空間２ｃ内に圧搾空気を圧入すると、可動把
持帯２ａがそれ自体の弾性力に抗して膨脹し、中
空環状把持部材２の内径が縮少するので、環状帯
２ｄが中空円筒状成形物１３の外周面に密着係止
し、適度の摩擦力を生じ得る状態になる。

このとき、得られるべき摩擦力は環状中空空間
２ｃに圧入する圧搾空気の圧力によつて加減する
ことができる。

さて、環状帯２ｄを中空円筒状成形物１３の外
周面に密着係止させた状態で、第１図Ｂに示すよ
うに、駆動杆９を引き上げることによつて、支持
部材１と共に中空環状把持部材２を、コア１１の
中心軸に沿つて上昇させると、中空円筒状成形物
１３は、環状帯２ｄに密着係止して、これに追従
上昇するので、コア１１を離脱して上方に抜き取
られる。

このとき、中空環状把持部材２が中空円筒状成
形物１３に与える押圧力を、環状中空空間２ｃに
圧入する圧搾空気の圧力によつて調節できるの
で、中空円筒状成形物１３が変形して、コア１１
に対して、密着することなく、しかも、環状帯２
ｄとの間に適度の摩擦力を生ずるように、前記押
圧力を調節すれば、中空円筒状成形物１３をコア
１１から滑らかに抜き取ることができる。

中空円筒状成形物１３をコア１１から完全に抜
き取つた後、続いて、駆動杆９を図示されていな
い駆動動力源と共に水平に移動させることによつ
て、中空環状把持部材２を、その内面に中空円筒
状成形物１３を密着係止させたまま、所望の位置
に移送し、更に、環状中空空間２ｃに対する圧搾
空気の圧入を停止して、環状中空空間２ｃ内の圧
力を減圧すると、可動把持帯２ａがそれ自体の弾
性力に付勢されて収縮し、中空環状把持部材２の
内径が再び拡大するので、環状帯２ｄの中空円筒
状成形物１３に対する密着係止が解除される。こ
のとき、給気管８から排出用給気孔６を通じて、
円筒状の支持部材１の内面上部空間１２に圧搾空
気を圧入すると、第１図Ｃに示すように、把持さ
れていた中空円筒状成形物１３は、その頂部に圧
搾空気の圧力を受けて、中空環状把持部材２から
離脱し、下方に排出されて落下する。

このようにして、コア１１に緩挿された中空円
筒状成形物１３をコア１１から滑らかに抜き取
り、所望の位置まで移送して落下させることがで
きる。なお、この発明の一実施例では、円筒状の
固定把持帯２ｂと、その内周面に係止された半円
状の断面を有する弾性体から成る可動把持帯２ａ
でもつて、中空環状把持部材２を構成している
が、環状中空空間２ｃに圧入される圧搾空気の加
圧、減圧によつて、中空環状把持部材２の内径が
縮少、拡大する構成であれば足りるので、可動把
持帯２ａに代えて、弾性体から成る中空環状の可
動把持帯を円筒状の固定把持帯２ｂの内周面に係
止するように構成された中空環状把持部材もこの
発明の構成要素である中空環状把持部材２の一実
施態様である。

更に、この発明の一実施例では、中空環状把持
部材２の環状中空空間に圧搾空気を圧入している
が、他の気体若しくは作動油等の液体を圧入して
もよい。

以上のように、この発明は、円筒状の剛体から
成る固定把持帯２ｂの内周面に、弾性体から成る
可動把持帯２ａを係止して、少なくとも、内周面
が可動把持帯２ａによつて密閉される環状中空空
間２ｃを形成するように構成された中空環状把持
部材２を円筒状の支持部材１でもつて抱持し、環
状中空空間２ｃ内に気体若しくは液体を圧入排出
することによつて、可動把持帯２ａを膨脹収縮さ
せ、被把持物体１３に外嵌した中空環状把持部材
２の内周面を被把持物体の外周面に密着係止、及
び解放離脱可能に構成するとともに、円筒状の支
持部材１の上端面に円盤状の頂部支持部材５を固
着して形成された支持部材１の内面上部空間１２
に気体を圧入することによつて、中空環状把持部
材２でもつて外嵌把持された被把持物体１３を下
方に排出落下させるように構成した中空円筒状成
形物の把持装置を提供する。

この発明によれば、環状中空空間２ｃに圧入す
る気体若しくは液体の圧力を調節することができ
るので、把持部材による押圧力によつて、中空円
筒状成形物に変形を生じ、これがコアに密着係止
することを防止することができる。

したがつて、円筒状のコア１１に緩挿された中
空円筒状成形物１３が弾性に富む場合であつて
も、成形物１３の外周面と中空環状把持部材２の
内周面との間に適度の摩擦力を生ずるように、両
面を密着係止させることによつて、成形物１３を
コア１１から滑らかに、かつ、確実に抜き取るこ
とができる。

更に、この発明によれば、円筒状の頂部支持部
材５の内面上部空間１２に圧入された気体によつ
て、成形物１３を排出落下させ得るので、把持付
勢解除時における成形物１３の排出落下を確実、
かつ、迅速に行うことができる。

【図面の簡単な説明】

第１図Ａ〜Ｃはこの発明の一実施例である把持
装置の構成を示す断面図である。 １……支持部材、２……中空環状把持部材、２
ａ……可動把持帯、２ｂ……固定把持帯、２ｃ…
…環状中空空間、３……把持用給気孔、５……頂
部支持部材、６……排出用給気孔、１１……コ
ア、１２……支持部材１の内面上部空間、１３…
…中空円筒状成形物。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 円筒状の剛体から成る固定把持帯２ｂの内周
   面に、弾性体から成る可動把持帯２ａを係止し
   て、少なくとも、内周面が可動把持帯２ａによつ
   て密閉される環状中空空間２ｃを形成するように
   構成された中空環状把持部材２を円筒状の支持部
   材１でもつて抱持し、中空環状把持部材２には、
   環状中空空間２ｃに連通する把持用給気孔３若し
   くは把持用給油孔を穿設し、更に、円筒状の支持
   部材１の上端面に固着された頂部支持部材５に
   は、支持部材１の内面上部空間１２に連通する排
   出用給気孔６を穿設したことを特徴とする中空円
   筒状成形物の把持装置。 ２ 弾性体から成る中空環状の可動把持部材を円
   筒状の剛体から成る固定把持帯２ｂの内周面に係
   止するように構成された中空環状把持部材２を有
   することを特徴とする特許請求の範囲第１項記載
   の中空円筒状成形物の把持装置。