JPS6145832Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、栗の皮を剥き取る際の前処理工程に
用いる、鬼皮に切り込みを入れる装置に関するも
のである。

栗の甘露煮やマロングラツセ等を製造する場合
には、まず最初に鬼皮を剥き取る作業が行なわれ
る。この作業は人手により、１個ずつ、包丁を用
いて行なわれていたが、栗の鬼皮が堅いために、
包丁を用いて剥いていたのでは作業能率が悪く、
また作業者の疲労も大きいものであつた。

そこで、鬼皮を火で焼いて取り除くことが試み
られたが、表面に近い実のデンプン質が加熱によ
つてアルフアー化されてしまい、生栗としての性
質を失ない後の加工工程が不都合であつた。

本考案は、このような観点から、栗の皮を生の
ままで剥き易くするために、鬼皮の周に多数の切
り込みを形成すること目的としたものである。

この技術課題を解決するために、本考案では少
なくとも１本の刃を植立した自転するボスを同一
線上に複数個配列し、その上方に刃先の通過する
長孔を穿設したスライド板を配置し、下向きに開
口させたカツプを複数個連結してスライド板の上
方をこれに沿つて走行させることを技術的手段と
したものである。

この技術的手段によれば、カツプ内に栗を入れ
ると、栗はカツプにガイドされながらスライド板
上を前進するが、前進中に長孔からスライド板上
を断続的に通過する刃先が栗に当つて切り付けら
れる。このとき、栗はカツプにガイドされている
だけでスライド板上へ押えつけられていないため
に、刃先の当る力で鬼皮が切り込まれると共にカ
ツプ内周面とガイド板との間で回転しながら躍ら
される。しかもスライド板上を前進中に、次々と
回転刃に出合うため、栗の鬼皮は、その周面に多
数の切り込みが形成される訳である。

鬼皮が切り込まれると、栗の鬼皮は、その切り
口が空気に接触して切り口が開き気味となりその
状態の切り口が全周に形成されるため、ナイフ等
を用いて切り口を引掛けると、鬼皮を簡単に剥き
取ることができるし、皮剥き作業の機械化を図る
ことも可能となる。

次に、図面に示した上記技術的手段の実施例に
ついて説明する。

第１図及び第２図に示した装置は、基台フレー
ム１０とその上に載置固定したコンベアフレーム
２０とで機枠が構成されている。

基台フレーム１０には長手方向に４本のシヤフ
ト１１が平行に軸支され、図示しない駆動手段に
よつて夫々自転するようになつている。

各シヤフト１１には、所定の間隔を持たせて複
数個のボス１２が固定され、各ボス１２には２本
の刃１３，１４が植立させてある。

ボス１２の上方では長手方向に凹部１６を形成
したスライド板１５が基台フレーム１０に固設さ
れ、凹部１６には上記刃１３，１４の通過する長
孔１７が穿設してあつて、シヤフト１１が自転す
ると、刃先１３，１４が長孔１７を通つて断続的
に凹溝１６内に臨むようになつている。

コンベアフレーム２０には、前後にスプロケツ
ト１２，２２が取付けられ、スプロケツト２１，
２２間には無端チエーン２３が掛け渡されてい
る。

左右のチエーン２３，２３には横一列に４個の
カツプ２４を形成した複数個の部材２５の端部が
固定されていて、無端状にカツプ群が形成されて
いる。

カツプ２４は、上部走行面２６では上向きに開
口して走行し、ホツパ２８から栗Ｍがカツプ２４
内に供給され、カツプ２４の反転部ではガイド板
２９で脱出を規制され、下部走行面２７に臨み、
栗Ｍはスライド板の凹溝１６上に達し、カツプ２
４にガイドされながらスライド板１５上を前進し
ながら刃先１３，１４で鬼皮に切り込みが入れら
れるのである。

カツプ群の走行は、単に図示しないモータによ
つて連続して走行させてもよいが、ゼネバ歯車等
を介して、各カツプが回転刃上で一旦停止するよ
うに、間欠走行させても良い。この場合には、栗
が各刃先に当る機会が多くなるため、刃を植立さ
せたボスの数を減らすことができ、装置全体を小
型化することが可能になる。

また、第３図に示したように、基台フレーム４
０とコンベアフレーム５０とを固定せず、コンベ
アフレーム５０の下部にコロ５１を取付け、これ
を基台フレーム４０に固設したレール４１上に乗
せて前後の移動を可能にする一方、スプロケツト
５２の回転と連動して自転するシヤフト５３をコ
ンベアフレーム５０に軸着すると共にその端部に
偏心輪５４を固着せしめ、偏心輪５４の外輪５５
から突出させたアーム５６の先端を基台フレーム
４０に枢着しておけば、カツプ群が走行すると同
時にコンベアフレーム５０が往復運動を行ない、
カツプ内で栗が揺れ動き、鬼皮が切り込まれる際
に、栗が動いた分だけ切り込み数を多くすること
ができる。

尚、上記の実施例では、カツプ群を上下に循環
する場合について説明したが、カツプ群を下向き
に開口させたままで平面状に循環するようにして
も良い。この場合には、栗をカツプ内へ供給する
ために、カツプの開口端部をチエーン等に枢着し
て開閉式にするか又は、カツプの底又は側壁に開
閉式の蓋を備えた投入口を形成しなければならな
い。

栗の種類に応じて刃当りを変えられるようにス
ライド板に臨む刃の高さを調整できるようにすれ
ば好都合である。この場合の調整方法としては、
カツプ群の走行高さの調整、回転刃の高さの調
整、更にはボスに固定した夫々の刃の高さの調整
等が考えられるが、いずれも公知の機構、例えば
回転刃のシヤフトを長孔に挿入してスライドを可
能にして固定する機構等を用いればよい。

【図面の簡単な説明】

図面はいずれも本考案の実施例を示したもの
で、第１図は切り込み装置の一部を切り欠いた側
面図、第２図は第１図のＸ−X′個所の断面図第
３図は他の実施例における装置の一部を切り欠い
た側面概略図である。 １０……基台フレーム、１２……ボス、１３，
１４……刃、１５……スライド板、１７……長
孔、２０……コンベアフレーム、２４……カツ
プ。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 (1) 少なくとも１本の刃を植立した自転するボス
   を同一線上に複数個配列して形成した回転刃、
   回転刃の上方に配置すると共に刃先の通過する
   長孔を穿設したスライド板、下向きに開口連結
   させたカツプ群、カツプ群をスライド板の上方
   で走行させる駆動手段とから成る栗の鬼皮の切
   り込み装置。 (2) カツプ群を連続走行させる駆動手段である請
   求範囲第１項に記載の装置。 (3) カツプ群を間欠走行させる駆動手段である請
   求範囲第１項に記載の装置。 (4) カツプ群を前後運動しながら走行させる駆動
   手段である請求範囲第１、第２又は第３項に記
   載の装置。 (5) カツプを無端状に連結して上下方向に循環走
   行するようにした請求範囲第１、第２、第３又
   は第４項に記載の装置。 (6) カツプを無端状に連結して平面状に循環走行
   するようにした請求範囲第１、第２、第３又は
   第４項に記載の装置。