JPS6143109Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 この考案は加熱炉等に設けられる空気を予熱す
るための二重管式熱交換器に関する。

加熱炉等の排ガスの熱回収を行なうために従来
より熱交換器（所謂レキユペレータ）が広く使用
されている。ところで加熱炉のうち無酸化炉等に
おいてはその排ガス中にCOが多いため、O₂を吹
込んで排ガスを完全燃焼させてから排出すること
等が行われている。そのため排ガスは1250℃の高
温となるが、このような高温域では金属性の伝熱
管は使用できない。そのため従来高温のガスを排
出する炉では煙道の上流側にエアグリツド等の冷
却格子を設けて空気を吹き込んで排ガスを薄め排
ガスの温度を一度下げた上で熱交換器による熱回
収を図る方法をとつているが、この場合その冷却
分だけ排熱を無駄に放出することになり、省エネ
ルギ上好ましくない。また金属性伝熱管では酸化
腐食が激しく漏れ（リーク）を発生する危険があ
る。

以上のような観点から近年耐熱性、耐食性の高
いセラミツクス製のチユーブを伝熱管として用い
る試みが種々なされており、その１つとしてセラ
ミツクス製管を外管とし、その内部に鋼製内管を
設けた二重管構造のものがある。

第１図にその一例を示す。図中４はセラミツク
ス製外管、５は鋼製の内管であり、内管５下部に
流出口９を設けて内管５から外管４へ空気を循環
せしめて外管４のセラミツクス部分で該空気を換
熱するように構成されている。ところで従来は同
図に示すように外管４底面にボルト５１を固着
し、煙道１の下部ダクト壁１１にこれを貫通し、
該外管４底面と下部ダクト壁１１の間にスプリン
グ５２を介装して外管４を支持し押し上げる構造
をとつている。しかし以上のような構造では伝熱
管４，５下部が拘束されるため伝熱管４，５の上
下方向の熱膨張による伸縮に十分に追随できない
欠点がある。

本考案は以上のような点に鑑みてなされたもの
で、そのため内管を煙道上部から懸垂させると共
に内管下端部を外管下端から貫通させて外管を下
方から支持する支持装置を内管下端部に連結する
と共に煙道に開口を設けて該支持装置を煙道外へ
突出させ、該開口と伝熱管との間をシールするこ
とを基本的特徴とする。

以下本考案の実施例を図面に基づいて説明す
る。

第２図は本考案の一実施例に係る二重管式熱交
換器を示すものである。本考案は、加熱炉等の煙
道１内に設けられた外管４と該外管４内に設けら
れこれと連通する内管５とからなる伝熱管を有
し、該内管５を煙道１上部から懸垂させると共
に、内管５下端部を外管４下端から貫通させて該
下端部に支持装置６を設けると共に煙道１に開口
７を設けて該支持装置６を煙道１外へ突出させ、
該開口７と外管４との間をシール材８によりシー
ルしている。

該外管４はセラミツクスチユーブよりなり又内
管５はスチールパイプが用いられており、この内
管５を外管４内に設けて二重管式の伝熱管を構成
し内管５下部に流出口９を設けて管４，５を連通
している。さらに、煙道１の上部ダクト壁１０上
に高温ガスヘツダ２を設け、この高温ガスヘツダ
２を上部梁構造として内管５を煙道１上部から懸
垂させている。即ち、内管５上部に拡径部１２を
設けて高温ガスヘツダ２上部にこれを固定し該内
管５をそこから外管４内に懸垂している。又、内
管５下端部を外管４下端から貫通させて該下端部
に後述の支持装置６を連結している。尚前記外管
４は、該高温ガスヘツダ２に開口し、管４，５の
間の空隙１３を上昇してくる予熱空気をその中に
流入せしめ、該高温ガスヘツダ２はその空気を利
用する所定の設備へ送り出している。又高温ガス
ヘツダ２は内管５の上部梁構造用に用いられてい
るため耐火煉瓦の煉瓦積構造とされている。さら
にこの高温ガスヘツダ２直上に気体供給ヘツダ３
が設けられ、高温ガスヘツダ２内を通つてその上
部に拡径部１２を固定する内管５に連通して該内
管５内に空気を流入せしめている。

支持装置６は、該内管５下端部に結合する支持
板１４と、この支持板１４周縁上に載置され外管
４を押し上げるスプリング１５とからなり、外管
４を載置してその自重を下方から支えこれを押し
上げる働きをしている。即ち、該支持装置６は、
煙道１上方から外管４内を通つてその下端より貫
通する内管５に支持装置１４を連結することによ
りスプリング１５を間にはさんで引張り応力に弱
いセラミツクス製外管４を載置しこれを下方から
支え押し上げている。この支持装置６により内管
５に外管４を支持させているため該外管４も前記
高温ガスヘツダ２を上部梁構造として煙道１内に
懸垂されている。

この支持装置６は煙道１の下部ダクト壁１１に
開口７を設けてそこから煙道１外へ突出せしめら
れてフリーにされており高温ガスヘツダ２を上部
梁構造として吊り下げられた伝熱管４，５はその
下部を固定しない完全懸垂構造とされている。

さらにシール材８は、支持装置６が開口７より
突出する部分の下部ダクト壁１１と外管４の隙間
に設けられており、本実施例ではセラミツクスフ
アイバがその隙間に充填されている。このセラミ
ツクスフアイバ製のシール材８は、管４，５の横
方向の動きに対してはクツシヨンの役目をし、ダ
クト壁１０，１１に動きのずれを生じても、その
ずれを緩衝吸収することができる。

以上のような構成のほか、本実施例では、外管
４下端部に厚肉円環状のセラミツクスブロツク２
０を設け、流出口９より流出する空気流に対する
耐圧を高めている。又このセラミツクスブロツク
２０と、内管５との間には円環状シール材４１を
介装し外管４を下端で閉塞している。さらに前記
支持板１４は内管５底面にその一端を固着したガ
イド棒１７に遊貫されナツト１８でとめられてお
り、これによつて支持装置６は内管５下端部に装
着される。前記スプリング１５の圧力はナツト１
８を調整することでコントロールできる。又、外
管４が貫通する孔４２とこの外管４との間にはセ
ラミツクスフアイバ４３が設けられその間のシー
ルをしている。

次に上部ダクト壁１０と下部ダクト壁１１との
間に動きのずれを生じた場合に、これに対する追
随性を向上させた実施例を第３図に示す。同図に
おいて第１実施例と同じものは同一の符号を付し
ている。

この実施例では、開口７と伝熱管４，５との間
にシール材を充填することなく、柔軟性のあるシ
ール材８０によりシールを行つている。即ちこの
シール材８０には、円環状のベローズを用いてお
り、上部ダクト壁１０と下部ダクト壁１１との動
きのずれ及び該管４，５の熱膨張に対応できる寸
法と柔軟性を持たせてある。又このシール材８０
はセラミツクスブロツク２０の下方に配設された
フランジ板１９の周縁部と開口７周縁部との間に
設けられ、ボルト等により空周縁部に固着されて
いる。このように開口７と伝熱管４，５との間に
柔軟性のあるシール材８０が介装されているた
め、第一実施例のシール材８を介装する場合に比
べ管４，５下部側が上下方向だけでなく横方向に
もフリーになり熱変形等により上部ダクト壁１０
と下部ダクト壁１１との間に動きのずれを生じた
場合にもその動きのずれに追随することが容易に
なる。

以上の構成のほか本実施例では外管４下端に固
定れたセラミツクスブロツク２０内周面を下方拡
径のテーパ状に形成し流出口９付近に気体反転空
所２１を設けている。この気体反転空所２１によ
り、その中で空気流の圧損を防ぎながら空隙１３
に向けて滑らかに反転させることが出来る。しか
もこの空気流の流速を低下させることがないため
外管４内周面に滞留する空気の境界膜を生ずるこ
とがなく伝熱効率を向上させることが出来る。前
記内管５はこのセラミツクスブロツク２０及びフ
ランジ板１９を貫通し押え板１６を介して前記支
持装置６に連結しており、この支持装置６の支持
板１４及びスプリング１５によりフランジ板１９
を介して外管４を支持し押し上げている。又該セ
ラミツクスブロツク２０とフランジ板１９との間
にはＯリング又はアスベスト炭素系のパツキン等
よりなる円環状シール２２が介装され、セラミツ
クスブロツク２０と内管５の隙間を通つて漏洩す
る空気をシールする。このシール圧力は前記スプ
リング１５の圧力をコントロールするナツト１８
で調整することができる。更にフランジ板１９と
押え板１６との間にはベローズ等の伸縮自在の管
状シール２３が設けられフランジ１９と内管５の
隙間を通して漏洩する空気をシールすると共に、
伝熱管４，５の熱膨張差も吸収している。一方開
口７は下部ダクト壁１１に凹部を形成し該凹部底
面に設けられている。

以上の熱交換器では気体供給ヘツダ３から内管
５に空気を供給して下降させ、前記流出口９を通
して空隙１３に向けて上昇せしめる。その上昇途
中で外管４のセラミツクス外表面に接する排ガス
の熱により予熱し高温ガスヘツダ２内へと送り出
している。この伝熱管４，５及び支持装置６は煙
道１外へ突出し下部ダクト壁１１に拘束されてい
ないため熱膨張による変形に容易に追随すること
が出来る。第２実施例のようにベローズ等の柔軟
性のあるシール材８０を用いれば伝熱管４，５及
び支持装置６がより横方向の動きに対しフリーに
なるため上部ダクト壁１０と下部ダクト壁１１と
の動きのずれに更に容易に追随することが可能と
なる。

又支持装置６は煙道１外へ突出し煙道１内の高
温の排ガスにさらされることがない利点がある。

以上のように本願考案の構成を有する二重管式
熱交換器によれば、伝熱管下部及び支持装置が下
部ダクト壁に拘束されることなくフリーであるた
め、熱変形による伝熱管の伸縮や上部ダクト壁と
下部ダクト壁との間の動きのずれに追随すること
が出来、リーク発生や管の破損を生ずることがな
いという優れた効果を有している。

【図面の簡単な説明】

第１図は二重管式熱交換器の一例を示す説明
図、第２図は本考案に係る二重管式熱交換器の一
実施例を示す説明図、第３図は他の実施例を示す
説明図である。 図中１は煙道、２は高温ガスヘツダ、３は気体
供給ヘツダ、４は外管、５は内管、６は支持装
置、７は開口、８，８０はシール材を各示す。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 加熱炉等の煙道内に設けられたセラミツクス製
   外管と、該外管内に設けられこれと連通する鋼製
   内管とからなる伝熱管を有する二重管式熱交換器
   において、前記内管を煙道上部から懸垂させると
   共に、内管下端部を外管下端から貫通させて該下
   端部に外管を載置しこれを押し上げる支持装置を
   設け、更に煙道に開口を設けて該支持装置を煙道
   外へ突出させ、該開口と伝熱管との間をシールし
   たことを特徴とする二重管式熱交換器。