JPS6143108Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は加熱炉等に設けられる空気を予燃する
ための二重管式熱交換器に関する。

加熱炉等の排ガスの熱回収を行なうために従来
より熱交換器（所謂レキユペレータ）が広く使用
されている。ところで加熱炉のうち無酸化炉等に
おいてはその排ガス中にCOが多いため、O₂を吹
込んで排ガスを完全燃焼させてから排出すること
等が行なわれている。そのため排ガスは1250℃程
度の高温となるが、このような高温域では金属性
の伝熱管は使用できない。そのため従来高温のガ
スを排出する炉では煙道の上流側にエアグリツド
等の冷却格子を設けて空気を吹込んで排ガスを薄
め排ガスの温度を一度下げた上で熱交換器による
熱回収を図る方法をとつているが、この場合その
冷却分だけ排熱を無駄に放出することになり省エ
ネルギ上好ましくない。また金属性伝熱管では酸
化腐食が激しく漏れ（リーク）を発生する危険が
ある。

以上のような観点から近年耐熱性、耐食性の高
いセラミツクス製のチユーブを伝熱管として用い
る試みが種々なされており、本出願人により伝熱
管をセラミツクス製管と鋼管との二重管とした熱
交換器が提案されている。この二重管構造のもの
は、鋼製の内管に空気を供給し外管へこれを循環
せしめてセラミツクス部分で換熱するものである
が、外管と内管との間の空隙が狭いと、空気が内
管から外管へ流出する時に外管内周面に直接ぶつ
かりその圧力損失が大きくなつてしまうことにな
る。また、この圧損を少なくするため該空隙の間
隔を大きくすると、そこを流れる空気の流速が低
下するため外管内周面に滞留する空気の境界膜が
厚くなり伝熱効率が低下してしまうことになる。

そのため本考案は、内管内に設けられ且つ該内
管内から空隙に向けて該空気流を案内し、空隙に
向けて反転しやすいようその方向変更をするガス
流ガイド部材を設け、また空気が流出する外管中
空部の一部を広げ空気流を滑らかに反転させる気
体反転空所を設けており、空気流の圧損を少なく
し且つ伝熱効率を高めた二重管式熱交換器を提供
しようとするものである。

次に本考案の実施例を図面に基づいて説明す
る。

第１図は本考案の一実施例に係る二重管式熱交
換器を示すものである。該熱交換器は、加熱炉等
の排ガスダクト１内に設けられた外管２と、該外
管２内に配設され下端部に流出口３を有する内管
４と、該内管４内に設けられたガス流ガイド部材
５とを有し、該流出口３付近の外管２中空部に気
体反転空所６を有している。

該外管２はセラミツクスチユーブよりなり、ま
た内管４はスチールパイプが用いられ、この内管
４を外管２内に設けて二重管式の伝熱管を構成
し、内管４下部の流出口３により管２，４を連通
している。尚、外管２は上部ダクト壁１６上の高
温ガスヘツダ１０に連通して予熱空気を上昇流出
せしめこの空気を利用する設備に送り出してお
り、また内管４は高温ガスヘツダ１０の直上に設
けられた気体供給ヘツダ１１に連通して空気をそ
の中に流入せしめられている。

前記ガス流ガイド部材５は、内管４内に設けら
れ、該内管４中空部から各流出口３に空気流を案
内する傾斜面を有している。本実施例では、内管
４軸方向に先端を向けた山形円錐状のガス流ガイ
ド加工したものを用い、その円錐側面の傾斜面上
を空気が流れて向きをかえ、流出口３付近で反転
しやすくなるようにしており、後記気体反転空所
６との組合せにより圧損を防ぎながら滑らかに空
気流を反転変更せしめることが出来る。尚、該ガ
ス流ガイド部材５の円錐ガードル４０は流出口３
下縁部に位置し、全空気が直接流出口３に流れ込
むようにしている。また本実施例では円錐部下に
嵌止部１２を有する円柱体１３を設けて内管４に
嵌合固定しており、空気の下降圧力が加わつても
動かないようにしている。

気体反転空所６は該流出口３付近の外管２中空
部を下方拡径のテーパ状に形成して設けられてい
る。本実施例では空気の流出に対する耐圧を高め
るために外管２下方に固定されたセラミツクスブ
ロツク１４の中空部に形成されている。即ち、外
管２に連通する厚壁円環状のセラミツクスブロツ
ク１４を流出口３の周りに設け、その内周面を下
方拡径のテーパ状及びこれに連続する同軸円柱状
にして気体反転空所６を設けている。この気体反
転空所６はその中で空気を滑らかに反転上昇させ
るものである。このためその幅は外管２と内管４
の間の空隙１５の幅の３〜10倍とすることが望ま
しい。

以上のような構成のほか、本実施例において
は、この管２，４は、上部ダクト壁１６上に設け
られた高温ガスヘツダ１０を上部梁構造として吊
り下げられている。即ち、内管４の上部に拡径部
１７を設けて高温ガスヘツダ１０上部にこれを固
定し、該内管４は該高温ガスヘツダ１０上部から
その中を貫通し前記外管２内へ懸垂している。一
方、内管４下端は外管２を載置しこれを押し上げ
る支持装置１８と連結している。従つて高温ガス
ヘツダ１０から管２，４を排ガスダクト１内に懸
垂することとなる。しかも下部ダクト壁１９に開
口２０を設け、この開口２０から支持装置１８を
突出せしめ、管２，４、支持装置１８の自重を高
温ガスヘツダ１０によつてささえるようにしてお
り、熱変形等により上下のダクト壁１６，１９に
動きのずれを生じた場合、管２，４と高温ガスヘ
ツダ１０との夫々の連結部に作用するせん断力を
小さくしている。そのためこの高温ガスヘツダ１
０は耐熱煉瓦の煉瓦積構造とされている。

また前記支持装置１８はセラミツクスブロツク
１４底面から貫通した内管４下端に連結する支持
板２１と、この支持板２１周縁上に載置され該セ
ラミツクスブロツク１４を介して外管２を押し上
げるスプリング２２とからなり、外管２を載置し
その自重を下方から支える働きをしている。従つ
て内管４底面下に支持板２１を結合することで、
前述のように高温ガスヘツダ１０から吊り下げら
れた内管４により、外管２を下方から支え、引張
り応力に弱いセラミツクスチユーブの損傷を防ぎ
ながら管２を排ガスダクト１内に懸垂できるよう
にしている。また支持装置１８はスプリング２２
によつて外管２を押し上げており、常に圧縮方向
に力が作用してセラミツクスチユーブの損傷を防
ぐと共にその熱膨張を受けている。そのため熱膨
張率にとらわれることなくセラミツクスチユーブ
を選択することが出来、しかも断面Ｈ型ソケツト
４１等で継ぎ足すことが出来る。この支持板２１
は内管４底面に固着したガイド棒２３に遊嵌され
支持板２１下のナツト２４により装着されてお
り、スプリング２２の圧力はこのナツト２４で調
整することによりコントロールすることが出来
る。

内管４と前記セラミツクスブロツク１４の間に
円環状シール４２が設けられその間をシールし、
外管２下端が閉塞されている。また孔２５と外管
２及び開口２０と外管２の間にはセラミツクスフ
アイバ４３，４４を夫々充填してシールし、、そ
のうち特にセラミツクスフアイバ４４は地震等の
振動の緩衝も行なつている。

以上の熱交換器では気体供給ヘツダ１１から内
管４に空気が供給され、前記流出口３を通して空
隙１５へ向けて反転上昇せしめる際、該空気流は
ガス流ガイド部材５によつて流出口３に案内さ
れ、その傾斜面で向きを変えて空隙１５に向けて
反転しやすくなるようにされる。向きの変えられ
た該空気は気体反転空所６内で滑らかに反転し空
隙１５へ上昇する。この空気流の反転の際、該空
気流が外管２内周面に対し直角にぶつかることが
少ないため、圧損を少なくすることが出来、また
流速を低下させないで空気を空隙１５内に流すこ
とが出来るため、外管２内周面に空気の境界膜を
生ずることがなく、そのため伝熱効率も良い。

更に本実施例のように高温ガスヘツダ１０を上
部梁構造として管２，４を吊り下げ、その下部を
開口２０側に突出させれば、外管２のセラミツク
スが膨張しても該開口２０側へ延び、また、その
延びは支持装置１８のスプリング２２に吸収され
る。そのためセラミツクスチユーブの破損やリー
クの発生を防止することが出来る。また本実施例
のように、管２，４の下部を固定しない懸垂構造
にすれば、排ガスダクト１の熱変形等により上下
ダクト壁１６，１９の間に動きのずれを生じて
も、管２，４と該ヘツダ１０との間に作用するせ
ん断力が小さくなり、これらを破損することがな
い。更に以上のような懸垂構造であれば、管２，
４の自重と、支持装置１８のスプリング２２の圧
力により高温ガスヘツダ１０の煉瓦壁に下方への
圧力がかかり、煉瓦の目地切れが抑えられ、また
セラミツクスチユーブを何本でも継ぎ足すことが
可能である。

以上説明したように本考案の熱交換器によれ
ば、ガス流ガイド部材と気体反転空所との組合せ
により空気流の圧損を少なくし且つ伝熱効率を高
めることが出来るという優れた効果を有してい
る。そのため熱交換器の容量を大きくしても効果
的な熱交換が可能になる等の効果も併せて有して
いる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の一実施例に係る二重管式熱交
換器の説明図である。 図中、１は排ガスダクト、２は外管、３は流出
口、４は内管、５はガス流ガイド部材、６は気体
反転空所を各示す。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 加熱炉等の排ガスダクト内に設けられその下端
   が閉塞されたセラミツクス製外管と、該外管内に
   配設され下端部に外管と連通する流出口を有する
   鋼製内管とを有する二重管式熱交換器において、
   該内管内に設けられガス流を流出口に案内するガ
   ス流ガイド部材を有し、該流出口付近の外管中空
   部を下方拡径のテーパ状に形成して気体反転空所
   を設けたことを特徴とする二重管式熱交換器。