JPS6142665Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は溶融金属容器への線材投入機の構造に
関し、特に、供給ロールおよびガイドパイプを通
して送られる線材が座屈変形したことを検出し、
その検出信号に基いて線材送りを停止し、もつて
線材の絡みを防止するよう構成した溶融金属容器
の線材投入機に関する。

一般に、取鍋、鋳型あるいはタンデイツシユ等
の溶融金属（溶鋼）容器に対して、溶融金属の処
理あるいは凝固時に成分調整用のアルミ、銅等の
金属あるいは合金の線材を投入することが行なわ
れている。

このために線材投入機として、線材巻回ドラム
などの線材供給源から供給ロール（ピンチロー
ル）およびガイドパイプを通して連続的に線材を
取出しこれを溶融金属容器内へ投入する構造のも
のが使用されている。

しかし、従来の線材投入機にあつては、ガイド
パイプ内面と線材との接触力の変動により線材が
座屈変形し、特に供給ロール（ピンチロール）と
ガイドパイプとの間またはガイドパイプ内で線材
が絡んでしまい、周辺の仰角調整駆動モータや供
給ロール駆動系統が損傷するといつた欠点があつ
た。

また、線材が絡むと線材送りを停止させた後多
量に絡んだ線材を処理せねばならず、このために
多大の時間を要していた。

本考案の目的は、このような従来技術の欠点を
解消でき、線材が座屈変形したときこれを検出し
て線材送りを停止し、もつて線材の絡みを防止で
き、線材供給を短時間のうちに再開しうる溶融金
属容器への線材投入機を提供することである。

本考案の特徴は、線材が座屈変形を起しやすい
位置で該線材を囲んで円周方向に複数分割され半
径方向変位可能な複数分割検出片を配置し、この
検出片の変位によつて座屈変形を検出し、検出信
号に基いて線材送りを停止することである。

すなわち、本考案によれば、線材供給源から供
給ロールおよびガイドパイプを通して取鍋や鋳型
などの溶融金属容器へ合金用線材などを連続的に
投入する線材投入機において、前記供給ロールと
前記ガイドパイプとの間に前記線材を囲みかつ円
周方向に複数分割されるとともにそれぞれが半径
方向外方に変位可能に配置された分割検出片と、
各分割検出片の外側に設けられ各分割検出片の半
径方向外方への変位を検出する検出手段と、この
検出手段からの検出信号に基き前記供給ロールを
停止させる線材送り停止手段とを備え、供給中の
線材の座屈変形により前記分割検出片が変位した
とき線材送りを停止させるよう構成した溶融金属
容器への線材投入機が提供される。

以下第１図および第２図を参照して本考案の実
施例を説明する。

第１図において、溶鋼などの溶融金属１が充填
された容器（図示の例は鋳型）２に対し、線材投
入機３から成分調整用の線材４が投入される。

この線材４としては、アルミや銅などの金属の
他各種合金の線材が使用される。

線材投入機３は台車形式のものであり、車輪５
により床面上を移動する台車６を有する。

台車６上には、線材供給源としての巻回ドラム
７と該ドラムから線材を鋳型２へ供給する線材送
り装置８とが装備されている。

線材送り装置８は、線材４の送り方向に順次配
置されたガイドロール９、レベラー１０、ピンチ
ロール（供給ロール）１１、仰角調整駆動歯車１
２およびガイドパイプ１３を備えている。

前記レベラー１０および前記ピンチロール（供
給ロール）１１はロール駆動モータ１４により伝
動機構１５を介して回転駆動される。また、前記
仰角調整駆動歯車１２は仰角調整駆動モータ１６
によつて調整駆動される。

以上の構成により、ピンチロール１１によりド
ラム７から取出される線材４は、連続的にガイド
パイプ１３内へ挿入され、該ガイドパイプによつ
て案内されながら鋳型２内の溶鋼１に混入され
る。

前記ピンチロール（供給ロール）１１と前記ガ
イドパイプ１３との間には、線材４の座屈変形を
検知するたの検出装置１７が設けられている。

第２図は検出装置７の詳細を示す図である。

第２図において、検出装置１７は、線材４を囲
みかつ円周方向に複数分割（図示の例では３分
割）され、それぞれが半径方向外方へ移動可能な
分割検出片１８を備えている。

各分割検出片１８は円筒状のハウジング１９内
に配置され、このハウジングには各検出片１８に
対応する複数本（図示の例では３本）の可動棒２
０が半径方向移動可能に支持されている。各可動
棒２０は、スプリング２１によつてその内端が検
出片１８の外面に当接され、ハウジング１９から
突出した外端部にはリミツト押し板２２が取付け
られている。

一方、ハウジング１９の外面には、前記リミツ
ト押し板２２を案内するとともにリミツトスイツ
チ２３を保持するための保持板２４が設けられ、
各リミツト押し板２２に対応する位置にリミツト
スイツチ２３が配置されている。

各リミツトスイツチ２３からの出力（検出信号
は前記ロール駆動モータ１４を制御するための制
御器２５へ伝達される。すなわち、いずれかの分
割検出片１８が半径方向外向きの力を受けて移動
し、これに伴なつて可動棒２０が移動してリミツ
トスイツチ２３を作動すると、このリミツトスイ
ツチの検出信号に基いてロール駆動モータ１４を
停止させるよう構成されている。

以上の構成によれば、線材送りが正常に行なわ
れている場合には、線材４はいずれの分割検出片
１８にも接触せず、リミツトスイツチ２３による
検出信号すなわち非常停止信号は発生しない。

線材４が座屈変形すると、線材４が分割検出片
１８を半径方向外向きに押し、スプリング２１に
抗して可動棒２０を外方へ移動させる。このた
め、リミツトスイツチ２３が押されて非常停止信
号が発生し、この信号が制御器２５に入力されて
ロール駆動モータ１４を停止させる。こうして、
供給ロール（ピンチロール）１１が停止して線材
送りが停止される。

以上の実施例では、検出片１８の移動をリミツ
トスイツチ２３で検出するよう構成したが、この
代りに差動トランスを使用しこれによつて検出す
ることも可能である。

鋳型に注入された溶鋼内にアルミ線または銅線
を連続投入することが行なわれるが、従来の線材
投入機を使用したのでは、線材が軟らかで座屈変
形しやすいため、線材が機内で絡み、線材投入機
が使用不能になつたり、要求品質の鋼塊が得られ
ないという不具合があつた。また、線材送りを停
止させて元の状態に復旧させるのに多大の時間を
要するという欠点もあつた。

この種の線材投入機に本考案を適用したとこ
ろ、線材の座屈変形が発生した際その初期の段階
でこれを検出して線材送りが停止されるので、線
材の絡まりがなく、短時間の機内点検後、迅速に
線材投入を再開することができた。また、鋼塊品
質への影響は皆無になつた。

さらに、本考案の他の実施例として、線材の座
屈変形を検知して線材送りを停止した後、供給ロ
ール（ピンチロール）１１に若干の逆送りをかけ
て線材の変形を取除き、しかる後線材送りを再開
するというシーケンスを構成することができる。
これにより、変形しやすい材質の線材を送給する
場合の高い頻度の非常停止にも、迅速かつ自動的
に対処しうる線材投入機が得られる。

以上の説明から明らかなごとく、本考案によれ
ば、線材の絡みを防止することにより、機内部品
の損傷がなく、しかも、座屈が発生した場合短時
間のうちに操業を再開しうる溶融金属容器への線
材投入機が得られる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案による溶融金属容器への線材投
入機の一実施例の全体構成を示す説明図、第２図
は第１図中の線−に沿つた断面を示す説明図
である。 １……溶融金属（溶鋼）、２……溶融金属容器
（鋳型）、３……線材投入機、４……線材、７……
線材供給源（線材供給ドラム）、８……線材送り
装置、１１……供給ロール（ピンチロール）、１
３…ガイドパイプ、１４……ロール駆動モータ、
１７……検出装置、１８……分割検出片、２０…
…可動棒、２３……リミツトスイツチ、２５……
制御器。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 (1) 線材供給源から供給ロールおよびガイドパイ
   プを通して取鍋や鋳型などの溶融金属容器へ合
   金用線材などを連続的に投入する線材投入機に
   おいて、前記供給ロールと前記ガイドパイプと
   の間に前記線材を囲みかつ円周方向に複数分割
   されるとともにそれぞれが半径方向外方に変位
   可能に配置された分割検出片と、各分割検出片
   の外側に設けられ各分割検出片の半径方向外方
   への変位を検出する検出手段と、この検出手段
   からの検出信号に基き前記供給ロールを停止さ
   せる線材送り停止手段とを備え、供給中の線材
   の座屈変形により前記分割検出片が変位したと
   き線材送りを停止させるよう構成した溶融金属
   容器への線材投入機。 (2) 前記分割検出片の変位を検出して線材送りを
   停止させた後、前記供給ロールに若干の逆送り
   をかけて線材の変形を取除き、しかる後線材送
   りを再開するよう構成した実用新案登録請求の
   範囲第１項記載の溶融金属容器への線材投入
   機。