JPS6141499Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、例えばソーラーシステム等に於い
て、加熱された温水を貯湯タンク又は放熱器に自
動供給すると同時に、冷水をコレクターの熱交換
部に供給するなどの使用に供される、温水・冷水
の自動供給バルブに関するものである。

ソーラーシステムに於いては、加熱された温水
を貯湯タンク等に自動供給する一方、これに応じ
て冷水をコレクターの熱交換部に供給する方式と
して、一般に温度差を利用した自然供給方式か、
或いは温度センサーで温度を検知して、バルブの
開閉とポンプの作動を電気的に制御する強制供給
方式が採用されている。

然し乍ら、前者の自然供給方式は、大規模なも
のには実施不可能であると言う欠点を有し、後者
の強制供給方式は、装置が徒に大掛りとなつて、
コスト高となると共に電力消費の面で大きな欠点
を有していた。

而して、本考案は斯る従来方式の欠点に鑑み案
出されたもので、バルブ本体を温水流通回路と冷
水流通回路に接続し、該バルブ本体内に両流通回
路を個々に開閉する弁を夫々設けると共に、該両
弁をロツドを介して一体に連接して、該連接両弁
で上記温水流通回路と冷水流通回路を同時に開閉
できる構成となし、且つ冷水流通回路を開閉する
弁に、連接両弁を常時閉状態に付勢するバイアス
バネを装着し、温水流通回路を開閉する弁に、温
水が設定温度になると該温度を検知して連接両弁
をバイアスバネの荷重に抗して開状態に付勢する
形状記憶合金コイルバネを装着し、更にバルブ本
体に上記バイアスバネの荷重を調整できる調整部
材を設けた構成の自動供給バルブを提供せんとす
るものである。

依つて、本考案に係るバルブを使用することに
より、種々の欠点を有する上記従来の自然又は強
制供給方式を採用しなくとも、温水の温度検知に
伴う形状記憶合金コイルバネの作動だけで、温水
流通回路のみならず冷水流通回路をも同時に開閉
して、温水と冷水の自動供給が可能となる。

以下、本考案を図示する一実施例に基づいて詳
述すれば、図はソーラーシステムの温水・冷水流
通回路に対して実施応用した一例を示し、バルブ
本体１は図示する如く上部においてコレクター
（図示せず）の熱光換部に連結される接続管２と
貯湯タンク４に連結される接続管３とに夫々連通
する上室１１を有し、該上室１１と両接続管２・
３により温水流通回路を形成すると共に、下部に
おいて同じくコレクターの熱交換部に連結される
接続管５と給水源（図示せず）に連結される接続
管６とに夫々連通する下室１２を有し、該下室１
２と両接続管５・６により冷水流通回路を形成す
る構成とする。

又、バルブ本体１は上記上室１１と下室１２に
ロツド１３で連接された上弁１４と下弁１５を有
し、ロツド１３の昇降に伴う両弁１４，１５の連
動で上記温水流通回路と冷水流通回路を同時に開
閉できる構成とすると共に、下室１２に調整部材
１６で荷重バネ圧を調整できるバイアスコイルバ
ネ１７を設け、該バイアスコイルバネ１７で両弁
１４・１５を図中上方に押し上げて、上弁１４と
下弁１５を常時閉状態に付勢する構成とする。

又、上室１１内に形状記憶合金コイルバネ１８
を配し、温水が設定温度となると該温度を検知し
て上弁１４をバイアスコイルバネ１７の荷重に抗
して開状態に付勢できるように構成する。該形状
記憶合金コイルバネ１８は目的に応じた設定温度
で作動するように予め熱処理を施こしてコイルバ
ネ形状を決定しておくものとし、具体的には圧縮
バネの場合には伸びた状態で、引張バネの場合に
は縮んだ状態で夫々形状を記憶させておくものと
する。尚、実施例の如く形状記憶合金コイルバネ
１８を圧縮バネとして使用する場合には、組付時
はバイアスコイルバネ１７の荷重により縮んだ状
態で上弁１４の上面に当接して上室１１内に収納
することとし、引張バネとして使用する場合には
図示しないが逆に伸びた状態に収納するものとす
る。

又、図中７は給水源に連結される接続管６から
分岐し、下室１２とは無関係に接続管５と連通す
る分岐管、８は該分岐管７の開閉バルブである。

依つて、上記構造のバルブを稼動させる場合に
は、最初は第１図に示す如くバイアスコイルバネ
１７の荷重が形状記憶合金コイルバネ１８のそれ
に打ち勝つて、上弁１４で温水流通回路を閉じ、
下弁１５で冷水流通回路を閉じて、冷水も温水も
流通しない状態となつているので、まず別の回路
即ち開閉バルブ８を開き分岐管７から接続管５を
経て、冷水をコレクターの熱交換部に送り込む。

斯る状態にあつて、冷水が加熱されて接続管２
内の水が設定温度まで昇温すると、該温度を検知
して形状記憶合金コイルバネ１８が今後はバイア
スコイルバネ１７の荷重に抗して、上記記憶形状
即ち伸びた状態に復帰し、第２図に示す如く上弁
１４を下方に押し下げて該上弁１４を開状態に付
勢すると同時に、下弁１５も開状態に付勢する。

従つて、設定温度に加熱された温水は、上室１
１から接続管３を経て貯湯タンク４へ自動的に供
給され、冷水は接続管６・下室１２を通り接続管
５を経てコレクターの熱交換部に間断なく供給さ
れることとなる。又、温水の加熱温度が設定温度
よりも下がると、形状記憶合金コイルバネ１８は
再びバイアスコイルバネ１７の荷重に負けて縮む
ので、上弁１４と下弁１５が夫々閉状態となり、
温水と冷水の供給が自動的に停止する。

尚、必要に応じ上記形状記憶合金コイルバネ１
８の作動する設定温度を変更することが余儀なく
された場合には、調整部材１６でバイアスコイル
バネ１７の荷重を調整することにより行なうもの
とする。即ち、調整部材１６によりバイアスコイ
ルバネ１７をより圧縮すると高い設定温度が得ら
れ、逆に圧縮を緩めると低い設定温度が得られる
ので、形状記憶合金コイルバネ１８を交換する必
要がない。

又、上記実施例に示す構造は、第１図から明ら
かな如く冷水の水圧が下弁１５を閉じる方向に作
用し、第２図から明らかな如く温水の水圧が上弁
１４を開く方向に作用するので、上下弁１４・１
５の開閉がスムーズに行なえる利点を提供するこ
とともなる。

以上の如く、本考案の係る自動供給バルブは、
バルブ本体を温水流通回路と冷水流通回路に接続
し、該バルブ本体内に両流通回路を個々に開閉す
る弁を夫々設けると共に、該両弁をロツドを介し
て一体に連接して、該連接両弁で上記温水流通回
路と冷水流通回路を同時に開閉できる構成とな
し、且つ冷水流通回路を開閉する弁にバイアスバ
ネを装着し、温水流通回路を開閉する弁に形状記
憶合金コイルバネを装着したことを特徴とするも
のであるから、温水・冷水の同時供給に際して
は、形状記憶合金コイルバネの特性を利用するだ
けで、両流通回路の確実な同時開閉と、これに伴
う温水・冷水の自動供給が可能となるので、従来
の自然供給方式の如く実施規模が著しく制限され
たり、強制供給方式の如くコスト高・電力消費等
を心配する必要が全くなくなる。

しかも、両流通回路を開閉すると雖も、装着さ
れる形状記憶合金コイルバネとバイアスバネは、
夫々１個で済むので、バルブ自体も自ずと小型化
できると共に、コストも当然に安価となる。

又、本考案は、バルブ本体にバイアスバネの荷
重を調整できる調整部材を設けたことを特徴とす
るものであるから、形状記憶合金コイルバネの作
動する設定温度を変更する場合に、該形状記憶合
金コイルバネを交換せずとも、単に調整部材の調
整のみで、設定温度を自由に変更することができ
る利点がある。

従つて、本考案のバルブは、特に温水流通回路
と冷水流通回路の二回路を、流体温度により同時
開閉して、該各回路内の流体を夫々自動供給する
バルブとしては、その実用性・有用性は極めて甚
大である。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案に係るバルブの弁の閉状態を示
す要部断面図、第２図は同弁の開状態を示す要部
断面図である。 １……バルブ本体、１１……上室、１２……下
室、１４……上弁、１５……下弁、１７……バイ
アスコイルバネ、１８……形状記憶合金コイルバ
ネ。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. バルブ本体を温水流通回路と冷水流通回路に接
   続し、該バルブ本体内に両流通回路を個々に開閉
   する弁を夫々設けると共に、該両弁をロツドを介
   して一体に連接して、該連接両弁で上記温水流通
   回路と冷水流通回路を同時に開閉できる構成とな
   し、且つ冷水流通回路を開閉する弁に、連接両弁
   を常時閉状態に付勢するバイアスバネを装着し、
   温水流通回路を開閉する弁に、温水が設定温度に
   なると該温度を検知して連接両弁をバイアスバネ
   の荷重に抗して開状態に付勢する形状記憶合金コ
   イルバネを装着し、更にバルブ本体に上記バイア
   スバネの荷重を調整できる調整部材を設けたこと
   を特徴とする温水・冷水自動供給バルブ。