JPS6141224B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は脳血管障害、脳外傷、脳性麻痺、脊髄
損傷などの中枢神経系の疾患および障害ならびに
末梢神経障害、関節、筋肉、腱の障害に伴う腕関
節、手、手指の機能障害に対して、腕関節、手、
手指の機能を回復させるための機能改善用手袋に
関するものである。

前述の諸疾患および障害によつて、上肢、腕関
節、手、手指に機能障害が正じた場合には、治療
と平行して運動機能を回復する訓練を行なうこと
が必要であるが、腕関節、手、手指の機能障害の
機能回復は古来より極めて困難であるとされ、最
近のリハビリテーシヨン医学において、多くの研
究が行なわれているにも拘らず未だ解明されるに
至つていないのが現状で、たとえば空気圧やスプ
リングの作用で屈曲拘縮あるいは伸展障害のある
腕関節、手、手指の伸展を図ろうとしても、満足
すべき結果が得られていない。

本発明者は、従来の機能改善用の手袋では上記
のような空気圧やスプリングの弾発力の作用が不
充分で腕関節や手、手指の伸展が充分に行なえな
いことと、自動運動を誘発することができなかつ
た点に着目し、空気圧作用を合理的に、腕関節、
手、手指に間歇的、持続的に適確に加え、各指間
の積極的な開大と腕関節、手、手指の積極的な伸
展を図り、もつてこれらの伸展障害を改善すると
共に神経系の機能の可塑性（plasticity）と代償
機能を促進し、腕関節、手、手指の自動運動を誘
発する要因を作ることを目的として発明したもの
で、以下に本発明を図面に示す実施例に基づいて
説明する。

図中、１は手掌、手甲、腕関節を含む前腕を同
時に被覆することができるミトン手袋状の主体
で、この主体１は柔軟性を有する手甲側素材と手
掌側素材とを重合して成るものであつて、手甲側
素材は指甲側から腕関節、前腕に至る甲側の広い
範囲を被覆する左右の布帛１ａ，１ｂより成り、
手掌側素材５に下記のように結合されている。手
甲側を形成する左右の布帛１ａ，１ｂは長さ方向
に開閉自在なスライドフアスナ２を有し、当該ス
ライドフアスナ２を挾んで一方の布帛１ａにベル
ベツトフアスナのフツク側３を設け、他方の布帛
１ｂに当該フツク側３と対をなすベルベツトフア
スナのループ側４を設ける。

６，７は手甲側素材と手掌側素材の両側縁に沿
つて設けたスライドフアスナで、斯る３個のスラ
イドフアスナ２，６，７を開くことによつて手甲
側素材１ａ，１ｂを指先側にまくり上げることが
できるようになつている。

８ａ〜８ｅは、五指を個別に挿入できるように
主体１の仕切り９を縫合乃至接合して形成した指
袋部であるが、仕切り９によつて各指袋部相互間
に三角まち状の気のう１０，１０……を設け、こ
の気のうに対して圧縮空気を一斉に充満させるこ
とができるようになつている。

また、主体１の手掌側素材の外面には、親指部
においては親指部の背部と親指、人差し指部との
指間部および人差し指部、中指部上と薬指、小指
上から腕方向に向けて長さ方向の略全長に亘つて
気のう１１，１２，１３，１４を設ける。なお、
上記気のう１１〜１４は、数、大きさ、形状が特
に限定されるものではなく、例えば、気のう１
３，１４にあつては、その数を１または３以上に
してもよい。

１５は気のう１０，１０……及び気のう１１，
１２，１３，１４の夫々に圧縮空気を供給排出す
るための給排管である。１６は、手掌側素材の腕
袋部の外面に設けたベルベツトフアスナのフツク
側である。１７は当該フツク側１６と対をなすベ
ルベツトフアスナのループ側である。

次に、上記実施例をもとに、本発明の機能改善
用手袋の作用を説明する。

脳、神経系の損傷疾患により運動機能障害を起
こし、変形、拘縮を起した手指は複雑な形状を呈
していることは周知の事実であるが、この手指を
本発明の手袋に収めるに際して、主体１の手甲側
素材の中央に設けたスライドフアスナー２と、主
体１の両側縁に沿つて設けられたスライドフアス
ナ６，７を開く。これによつて、手甲側素材１
ａ，１ｂを指先方向にまくり上げることができ、
手掌側素材の内面の略全域を露呈させる。こうし
た内面露呈状態で障害を起している掌に手掌側素
材をあてがい、各指を対応する指袋部８ａ〜８ｅ
に載せる。

全ての指を各指袋部８ａ〜８ｅの上に載せ終る
か、一部の手指だけでも所定の指袋部の上に載せ
たら、スライドフアスナ２およびフアスナ６，７
を随時閉塞して、主体１の中に手を収める。

このようにして、手袋主体１の内部に手指、腕
を装着したら、手甲側素材の外面に設けられてい
るベルベツトフアスナ３，４を適度に緊張して掛
合させ、腕を包覆する。最後に腕袋部１ｂの手掌
側素材に設けたベルベツトフアスナ１６，１７に
同様に掛合させる。

このようにして、手指、腕に本発明の手袋を装
着したら、コンプレツサ及び各種制御手段を含む
圧縮空気源１７に配管した圧縮空気送給管１８，
１８を第４図に示すように手袋に接続し、気のう
１０，１１，１２，１３，１４に圧縮空気を一斉
に導通する。指間気のう１０……，気のう１１〜
１４の夫々に圧縮空気が導入されると、これらの
全ての気のうは膨張し、膨張した指間気のう１
０，１０は指袋部８ａ〜８ｅに収められた指相互
の股を一斉に開大させ、これと同時に膨張する気
のう１１〜１４は手掌を押し開き、更に、包覆さ
れた手、手首部を手甲側に反らせ伸長させる。所
要時間、伸長運動を継続したら、圧縮空気を排気
し、一旦、最初の状態に戻してから、再び圧縮空
気を供給して、以後これを反復的に行なう。

以上、実施例に基いて本発明を説明したが、本
発明は手甲側素材と手掌側素材を、各指袋毎に仕
切り、かつ、指袋相互間に指間を拡開するための
三角まち状の気のうを設けてミトン手袋状の主体
を構成すると共に、同手体の手掌側には腕関節な
いし指股側から指先方向に向けて屈曲拘縮、伸展
障害の腕関節、手、手指を伸展するための気のう
を並設し、上記気のうには全気のうに対して一斉
に圧縮空気の給排を行なう給排気管を接続し、更
に、上記手袋状主体の左右両側部および手甲側素
材の中央部には当該部を開閉するためのスライド
フアスナを設け、主体内に装着した手を上記全気
のうの反復的な膨張収縮作用によつて開大伸張と
原状に復帰させる運動を繰返えし、腕関節、手、
手指の自動運動を誘発する要因をつくり出すこと
を特徴とするものであるから、本発明の手袋を機
能障害のある腕関節、手、手指にはめて腕関節、
手、手指を伸展、開大し、律動的、間歇的な刺激
を持続的に与えれば、この刺激は感覚神経を通じ
て中枢神経の感覚・知覚系へ伝達され、次いで中
枢神経内の神経線維を介して運動系へ伝達されて
神経系の可塑性と代償機能が誘発、促進され、こ
れらの部位の自動運動の発生および促進が生じ
て、機能改善が得られる。

従つて、本発明の手袋は従来の単なる空気圧利
用の改善用手袋やスプリング利用の手袋に比べる
と、指間を積極的に開大することができると同時
に、手指、手、腕関節の伸展を充分に行なうこと
ができる。また、空気圧の律動的、かつ、間歇的
な変化により、手指、手、腕関節の間歇的、持続
的な他動運動を合理的に適正に行なうことができ
る。更に、腕関節の機能に適合する分離他動運動
を行なうことができる。

また、本発明はスライドフアスナを用いて手甲
側素材を指先方向に開きうるようにしたから、手
指が著しく屈曲拘縮した患者の手、手指に簡単に
挿入、装着ができ、従つて、腕関節、手、手指の
拘縮状態には全く関係なく、重症の機能障害に対
しても着用が極めて容易で、使用後の取り外しも
簡単に行なうことができる。

【図面の簡単な説明】

図面は本発明の一実施例を示したものであり、
第１図は手甲側からみた斜視図、第２図は手掌側
からみた斜視図、第３図は指部の横断面図、第４
図は使用状態図である。 １……ミトン手袋状主体、２，６，７……スラ
イドフアスナ、８ａ〜８ｅ……指袋、１０，１
１，１２，１３，１４……気のう。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 長さ方向中央部にスライドフアスナを設けた
   手甲側素材と、この素材と手掌側素材とを重ね合
   せた接続位置をスライドフアスナで接続してミト
   ン手袋状の主体を形成し、上記したスライドフア
   スナにより手甲側素材を指先方向に開放可能に設
   け、この主体内には各指袋毎に仕切り、かつ、指
   袋相互間に指間を拡開するための三角まち状の気
   のうを設けると共に、同主体の手掌素材側には腕
   関節ないし指股側から指先方向に向けて屈曲拘
   縮、伸展障害の腕関節、手、手指を伸展するため
   の気のうを並設し、上記気のうには全気のうに対
   して一斉に圧縮空気の給排を行なう給排気管を接
   続して上記全気のうが反復的に膨張収縮するよう
   に構成したことを特徴とする手指等の機能改善用
   手袋。