JPS6139280Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は排ガスを冷却して熱回収を行なう廃熱
ボイラを有する鉄または非鉄金属の溶融製錬炉に
関するものである。

従来このような溶融製錬炉は、例えば第１図に
示されるように、溶融製錬炉０１において発生し
た排ガスはガスゾーン部０３かられんが壁構造の
アツプテイク部炉壁０６内を経て廃熱ボイラ０７
に導かれている。この溶融製錬炉はれんが構造か
らなる溶体０２の溜まる溶体部炉壁０４とガスゾ
ーン部炉壁０５とアツプテイク部炉壁０６で構成
されている。

ところが最近においてはれんがの寿命を延長さ
せる目的かられんが間に鋳鉄製または銅製の水冷
ブロツクをはさんで築炉するようになつて来てい
る。この築炉方式によれば、れんがの寿命を延ば
すことが主体であり、水冷ブロツクによつて温水
をとつて熱を回収することができるが、熱回収の
点からは積極的なものではない。すなわち、従来
の溶融製錬炉では、炉そのものからの放散熱量が
大きく、最近における省エネルギの観点から熱の
回収を積極的に行なうという要求には不適当であ
る。またれんがの劣化、外部ケーシングの焼損に
より排ガスの漏れもあり、環境問題が生じやす
く、れんがの交換やケーシング補修等の保守費用
も多く、プラント停止期間も必要となるという欠
点がある。

本考案はエネルギ高価格時代を迎え、できるだ
け熱回収をはかり、またれんが壁構造をやめるこ
とでれんがの交換などの補修の費用と期間の削減
をはかるとともに、漏煙の完全防止をはかること
を目的としている。

この目的を達成するために本考案においては、
例えばガスゾーン部炉壁、アツプテイク部炉壁の
ように溶融製錬炉において発生したガスを導く部
分をチユーブとフインとから構成されるメンブレ
ン構造の水冷壁とし、この水冷壁の壁管には廃熱
ボイラの高圧ボイラ水を通し、更に各壁管の両端
の管寄との接続部には遮断弁を取付ける。

以下第２図に示された本考案の好適な実施例に
ついて詳細に説明する。図において２は溶融製錬
炉、１１は炉２のアツプテイク、３はアツプテイ
ク１１の上部に設けた水冷壁部、１はアツプテイ
ク１１、水冷壁部３を経て廃熱ボイラ４に導かれ
る排ガスである。

水冷壁部３はアツプテイク１１の全体あるいは
更に下のガスゾーン部炉壁まで拡げて設けること
も可能である。この水冷壁部３には水冷壁管９
（Ａ〜Ｎ）を配置し、それらの壁管を入口弁７
（Ａ〜Ｎ）、出口弁（Ａ〜Ｎ）、入口管寄１５、出
口管寄１６を介して廃熱ボイラ４に接続してあ
る。これらの水冷壁部３は保温材１０によりおお
われて、熱損失を防止されている。

水冷壁管９は数十本のチユーブとフインとで構
成され、SO₃ガスによる腐食防止の観点から、管
内圧力を30〜60ataとし、管表面温度を上げ、さ
らに管材の肉厚を6.5mmとしている。また水冷壁
管９とれんがとの接続面には銅の水冷ブロツクを
入れ、水冷壁が上下左右に100mm程動くことので
きる構造とされている。

第３図は第２図に示された溶融製錬炉における
水冷壁部３と廃熱ボイラ４との間のボイラ水フロ
ー図を示すもので、廃熱ボイラ４は蒸気ドラム２
１、降水管２２、ボイラ水循環ポンプ２３、廃熱
ボイラ入口管寄２４、廃熱ボイラ水管２５、廃熱
ボイラ出口管寄２６、廃熱ボイラ戻り管２７、水
冷壁部３からの戻り管２８、分岐管２９からな
り、ボイラ水の一部は分岐２９から水冷壁部３の
入口管寄５を経て、水冷壁管９の入口弁７（Ａ〜
Ｎ）、出口弁８（Ａ〜Ｎ）、出口管寄１６を通り、
戻り管２８から蒸気ドラム２１に戻つている。こ
の結果、分岐したこのボイラ水はその間に、アツ
プテイク内部を流れる排ガス１から主として放射
熱伝達により熱吸収を行い、ボイラ水の一部は蒸
発して蒸気となり、蒸気と水との混合物となつて
蒸気ドラム２１に戻ることになる。水冷壁部３を
介して大気へ放散される熱量は保温材１０により
保温されているのでれんが壁に比して非常に僅か
である。

運転中に水冷壁管９が噴破し多量のボイラ水が
製錬炉へ漏れた場合、爆発を起こす可能性が高い
が、これを防ぐために水冷壁は数グループに分け
られ、それぞれのグループを構成する各管と管寄
とをつなぐ入口、出口連絡管に入口弁７（Ａ〜
Ｎ）、出口弁８（Ａ〜Ｎ）を設けられていて、例
えば水冷壁管９Ａが噴破した場合、、入口弁７Ａ
および出口弁８Ａを閉じ循環系統から切離して、
水冷壁管９Ａにボイラ水が流入するのを防ぐよう
になつている。

第３図においてはボイラ水循環ポンプを用いた
強制循環式を示しているが、自然循環式水冷壁を
採用してもよい。

アツプテイクを流れるガス速度が大きい場合
や、含有ダストの摩耗性が高い場合は、水冷壁管
９を摩耗から保護するための水冷壁ガス側側面に
ライニングをする。

このようにして本考案においては、水冷壁部３
により熱吸収を行うことにより熱回収の増加と、
熱損失の防止、れんがの補修交換による費用と停
止期間の低減、気密構造のためと熱損が発生しな
いこととからガスの漏れの防止などの効果が得ら
れる。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来のれんが壁構造のアツプテイクを
有する溶融製錬炉の側断面図、第２図は本考案の
水冷壁構造をアツプテイクの上部に設けた溶融製
錬炉の実施例の側断面図、および第３図は第２図
の水冷壁構造部と廃熱ボイラとの間のボイラ水の
フロー図である。 ０１……溶融製錬炉、０２……溶体、０３……
ガスゾーン部、０４……溶体部炉壁、０５……ガ
スゾーン部炉壁、０６……アツプテイク部炉壁、
０７……廃熱ボイラ、１……排ガス、２……溶融
製錬炉、３……水冷壁部、４……廃熱ボイラ、７
（Ａ〜Ｎ）……水冷壁管入口弁、８（Ａ〜Ｎ）…
…水冷壁管出口弁、９（Ａ〜Ｎ）……水冷壁管、
１０……保温材、１１……アツプテイク、１５…
…水冷壁部の入口管寄、１６……水冷壁部の出口
管寄、２１……蒸気ドラム、２２……降水管、２
３……ボイラ水循環ポンプ、２４……廃熱ボイラ
入口管寄、２５……廃熱ボイラ水管、２６……廃
熱ボイラ出口管寄、２７……廃熱ボイラ戻り管、
２８……水冷壁部からの戻り管、２９……分岐
管。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 溶体部炉壁、ガスゾーン部炉壁及びアツプテイ
   ク部炉壁より構成され、かつ、排ガスを冷却して
   熱回収を行なう廃熱ボイラを併設した鉄または非
   鉄金属の溶融製錬炉において、前記ガスゾーン部
   炉壁またはアツプテイク部炉壁をチユーブとフイ
   ンとから構成されるメンブレン構造の水冷壁と
   し、この水冷壁の壁管には前記廃熱ボイラの高圧
   ボイラ水を通し、更に前記各壁管の両端と管寄と
   の接続部には遮断弁を取付けてなることを特徴と
   する溶融製錬炉。