JPS6137835Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔考案の目的〕 （産業上の利用分野） 本考案は、例えば、ルームクーラーや冷蔵庫等
に組込まれる密閉横形回転圧縮機に係り、特に、
この密閉横形回転圧縮機の消音装置に関する。

（従来の技術） 従来、この種の密閉横形回転圧縮機は、第１図
及び第２図Ａ，Ｂ，Ｃ，Ｄに示されるように、吸
込管a₁及び吐出管a₂を備えた密閉ケーシングａ内
にモータｂを内蔵し、このモータｂのロータb₁と
一体をなす出力軸b₂に圧縮装置Ｉを設けたもので
ある。

また、上記圧縮装置Ｉは、シリンダー本体ｃの
シリンダー室ｆ内にローラｇを嵌装したクランク
軸ｈを上記出力軸b₂と一体に形成し、上記シリン
ダー本体ｃの一側にバルブカバーd₁を備えた主ベ
アリングｄを設け、上記シリンダー本体ｃの他側
にサブベアリングｅを複数（４本）の取付ボルト
ｉで固定し、さらに、このサブベアリングｅにブ
レードオイルポンプ（図示されず）によつて給油
する給油パイプｊを連結している。さらに、上記
シリンダー本体ｃにブレードｋ、上記吸込管a₁に
連通する吸込口ｌ及び円弧状の鋳込孔による各消
音室ｍを流通孔m₁で流通するようにして、それ
ぞれ設け、しかも、上記シリンダー本体ｃの一側
に設けられた主ベアリングｄに周知の吐出弁ｎを
附設し、この主ベアリングｄ、上記シリンダー本
体ｃ及び上記サブベアリングｅの外周部に複数
（図では２個）のガス流通孔ｏを穿設し、上記主
ベアリングｄおよびシリンダー本体ｃに冷媒の吐
出口p₁，p₂，p₃を設けたものである。

従つて、この密閉横形回転圧縮機は、上記モー
タｄを駆動することにより、上記クランク軸ｈに
よつて偏心回転されるローラｇとブレードｋとの
共働作用によつて吸込管a₁からシリンダー室ｆに
流入する冷媒を圧縮して、これを上記吐出弁ｎを
介してバルブカバーd₁内に吐出し、次に前記吐出
口p₁，p₂，p₃を順次通して、上記消音室ｍに導
き、さらに、この圧力冷媒を上記サブベアリング
ｅの一部に穿設された各吐出孔ｒへ吐出し、この
吐出された圧力冷媒を第１図に示される上記密閉
ケーシングａに形成されたキヤビンＡ室へ流出す
る。しかし、この圧縮冷媒は、上記各ガス流通孔
ｐを通してキヤビンＢ室及びキヤビンｃ室を介し
て上記吐出管a₂へ吐出するようになつている。

その結果、圧縮運転によつて生じる騒音は上記
消音室ｍおよびキヤビンＡ室，Ｂ室，Ｃ室から成
る密閉ケーシングａ内の全ての空間を有効に利用
することにより大幅に低減される。

（考案が解決しようとする問題点） しかしながら、上述した従来の密閉横形回転圧
縮機は、上記シリンダー本体ｃに設けられた円弧
状の鋳抜孔による消音室ｍを左右一対をなす主ベ
アリングｄとサブベアリングｅによつて密閉する
ように構成されている関係上、これら両ベアリン
グｄ，ｅの外径が大きくなり、これにより主ベア
リングｄ及びサブベアリングｅのシリンダー本体
ｃへの取着面の平面精度が低下してシリンダー室
ｆのシール性が低下して圧縮効率を低下させた
り、主ベアリングｄ及びサブベアリングｅの重量
も増加する等の欠点がある。

また、上記主ベアリングｄ及びサブベアリング
ｅを小径に形成し、これらとは別体の部材により
上記消音室ｍの開口部を密閉するようにした場合
には、上記消音室ｍを形成するシリンダー本体ｃ
にガス流通孔の他に上記部材を固定するためのネ
ジ孔等の固定部を設ける必要があり、このため、
消音室ｍの容積が減少して充分な騒音低減効果を
得ることができなくなるという問題があつた。

そこで、本考案は、上記問題点を除去しシリン
ダー室のシール性を低下することなしに充分な騒
音低減効果が得られ、圧縮効率が高く静粛な運転
ができる軽量な密閉横形回転圧縮機を提供するこ
とを目的としている。

〔考案の構成〕

（問題点を解決するための手段） 本考案は密閉ケーシング内に、この密閉ケーシ
ングの内壁に取着され円筒状のシリンダー室を有
するシリンダー本体とこのシリンダー本体の両側
に取着された主ベアリング及びサブベアリングと
上記シリンダー室内を偏心回転するローラとを備
えた圧縮装置と、この圧縮装置を駆動するモータ
とを回転軸で連結して収納してなる密閉横形回転
圧縮機において、上記シリンダー本体のシリンダ
ー室の外側に消音室を穿設するとともに、この消
音室の両開口部を密閉する一対のカバー部材をガ
ス流通孔を兼ねた管リベツトで固定し、かつ、前
記消音室を前記シリンダー室及び前記シリンダー
本体によつて区画された密閉ケーシングのサブベ
アリング側の室に遭通させると共に密閉ケーシン
グの反サブベアリング側の室に吐出管を設けたも
のである。

（作用） 以上の如く構成される本考案の密閉横形回転圧
縮機は、主ベアリング及びサブベアリングを小径
に形成できるので上記両ベアリングのシリンダー
本体への取着面への平面精度の低下が防止され、
シリンダー室のシール性の低下が防止される。ま
た、カバー部材を固定する管リベツトは、本来必
要なガス流通孔を兼用するものであるため、実質
的にシリンダー本体の消音室形成スペースを狭め
るもとはならず、上記消音室の容積減少を防止で
きる。

したがつて、シール性の高いシリンダー室で圧
縮効率の良い圧縮運転がなされると共に、この圧
縮運転で生じる騒音は充分な容積を有するシリン
ダー本体の消音室及び上記シリンダー本体で区画
された密閉ケーシングのサブベアリング側の室及
び密閉ケーシングの反サブベアリング側の室から
成る密閉ケーシング内の空間によつて大幅な低減
がなされ静粛な運転がなされる。また、カバー部
材はそれ程強度を要しないので薄肉化でき軽量化
を図ることができる。

（実施例） 以下、本考案を適用した密閉横形回転圧縮機の
一実施例について説明する。

第３図乃至第６図において、符号１は、冷媒の
吸込管１ａ及び吐出管１ｂを備えた密閉ケーシン
グであつて、この密閉ケーシング１には、ロータ
２及びステータ３で構成されるモータ４及び圧縮
装置Ｉが回転軸２ａにより連結して設けられてい
る。

上記圧縮装置Ｉは、上記密閉ケーシング１の内
壁に取着されたシリンダー本体５、このシリンダ
ー本体５に形成された円筒状のシリンダー室５ａ
内に上記回転軸２ａ一体に形成されたクランク軸
９に嵌合して設けられたローラ６、上記シリンダ
ー本体５の一側に取着されたバルブカバー７ａを
備えた主ベアリング７、上記シリンダー本体５の
他側に取着されマフラ８ａを備えたサブベアリン
グ８を備えている。さらに、このサブベアリング
８にブレードオイルポンプ１０に連通する給油パ
イプ１１を連結し、上記シリンダー本体５に扁平
なブレード１２をばね１３の弾力によつて上記ロ
ーラ６に当接するようにして設け、さらに、上記
シリンダー本体５のシリンダー室５ａの外側に円
弧状の鋳抜孔による複数の消音室１４を設けてい
る。また、この各消音室１４は連通溝１４ａによ
り連通されている。

特に、上記消音室１４の位置は上記主ベアリン
グ７及びサブベアリング８の外径より外がわに位
置するようにして形成されている。即ち、上記主
ベアリング７及びサブベアリング８の外径は上記
円弧状をなす消音室１４の位置より内側に位置す
るように小さく形成されている。又、この消音室
１４の両開口部には輪板状をなす一対のカバー部
材１５がこれを覆うようにして設けられており、
この両カバー部材１５は冷媒および潤滑油の流通
孔を兼ねる複数の管リベツト１６によつて固定さ
れている。また、このカバー部材１５は、ブレー
ドオイルポンプ１０のブレード室１０ａを密閉す
るカバーとして兼用されている。また、カバー部
材１５には剛性を増大するための円弧状溝１５ａ
が設けられている。

従つて、この各管リベツト１６により、上記シ
リンダー本体５によつて区画された密閉ケーシン
グ１のキヤビンＡ室（サブベアリング８側の室）
とキヤビンＢ室及びキヤビンＣ室（反サブベアリ
ング側の室）間を冷媒および潤滑油が流通し得る
ようになつている。

さらに、上記消音室１４は主ベアリング７に設
けた図示しない吐出弁、バルブカバー７ａ、主ベ
アリング７に形成された吐出口p₄およびシリンダ
ー本体５に形成された吐出溝p₅を介してシリンダ
ー室５ａに連通され、また、この消音室１４はシ
リンダー本体５に形成された吐出溝p₆、サブベア
リング８に形成された吐出口p₇、マフラ８ａ及び
マフラ８ａに形成された吐出口p₈を介してキヤビ
ンＡ室に連通されている。

従つて、上記圧縮装置Ｉで圧縮された冷媒は、
前述した実施例と同じように、吐出弁から主ベア
リング７に形成された吐出口p₄およびシリンダー
本体５に形成された吐出溝p₅へ流出し、この吐出
溝p₅から上記消音室１４を通すことによつて消音
され、しかる後、シリンダー本体５に形成された
吐出溝p₆およびサブベアリング８に形成された吐
出口p₇を介してマフラ８ａ内に導かれ、さらに、
マフラ８ａに形成された吐出口p₈からキヤビンＡ
室へ流出する。しかして、この圧縮冷媒は、上記
各管リベツト１６内を通して上記キヤビンＢ室及
びキヤビンＣ室を介して上記吐出管１ｂへ吐出さ
れるようになつている。

従つて、上記実施例のものにおいては、消音室
１４の両開口を輪板状をなす一対のカバー部材１
５によつて密閉するようにしたので、主ベアリン
グ７及びサブベアリング８の外径を小径にするこ
とができる。そのため、上記両ベアリング７，８
のシリンダー本体５への取付面の平面精度の低下
を防止でき、シリンダー室５ａのシール性の低下
を防止できる。従つて、圧縮効率の高い圧縮運転
を行なうことができる。

また、上記カバー部材１５をガス流通孔を兼ね
る管リベツト１６によりシリンダー本体５に固定
するようにしたので、シリンダー本体５にもとも
と必要なガス流通孔のためのスペースの他にカバ
ー部材１５を固定するための特別なスペースの増
加がない。従つて、消音室１４の容積の減少を防
止でき、騒音低減効果の大きな消音室１４を形成
することができる。そのため、圧縮装置Ｉの圧縮
運転によつて生じる騒音を上記消音室１４，キヤ
ビンＡ室，キヤビンＢ室及びキヤビンＣ室により
効果的に低減することができ、静粛な運転を行な
うことができる。

さらに、カバー部材１５にはそれ程強度が要求
されないので薄肉化でき軽量化することができ
る。なお、消音室は必ずしも円弧状でなくとも良
い。

次に、第７図に示される実施例は、本考案の他
の実施例であつて、これは、消音室１４の位置し
た場所に管リベツト１６を設け、この管リベツト
１６の中程に小孔１６ａを穿設したものであり、
実質的に上述した具体例と同じ内容をなすもので
ある。

又、第８図に示される実施例は、さらに本考案
の他の実施例であつて、これは管リベツト１６の
入口径Ｄよりも出口径ｄを小さく形成したもので
あり、消音効率の向上を図つたものである。

〔考案の効果〕

以上述べたように本考案によれば、シリンダー
本体のシリンダー室の外側に消音室を穿設し、こ
の消音室の両開口部を一対のカバー部材で密閉す
ると共にこのカバー部材をガス流通孔を兼ねた管
リベツトで固定するようにしたので、主ベアリン
グ及びサブベアリングを小径にしてシリンダー本
体への取付面の平面精度の低下を防止し、シリン
ダー室のシール性の低下を防止できる。また、シ
リンダー本体にガス流通孔のためのスペースの他
のカバー部材を固定するための特別なスペースの
増加がないので消音室の容積の減少を防止でき、
騒音低減効果の大きな消音室を形成できる。その
ため、圧縮装置の圧縮運転によつて生じる騒音を
上記消音室及びシリンダー本体によつて区画され
た密閉ケーシングのサブベアリング側の室、反サ
ブベアリング側の室から成る密閉ケーシング内の
空間を有効に利用して大幅に低減することができ
る。さらに、カバー部材を薄肉化して軽量化を図
ることができる。

したがつて、圧縮効率が高く静粛な運転ができ
る軽量な密閉横形回転圧縮機を提供することがで
きる。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来の密閉横形回転圧縮機を線図的に
示す縦断面図、第２図Ａ，Ｂ，Ｃ，Ｄは、上記密
閉横形回転圧縮機に組込れる圧縮装置であつて、
第２図Ａは第１図のＸ−Ｘ線断面図、第２図Ｂは
第１図のＹ−Ｙ線断面図、第２図Ｃは第１図のＺ
−Ｚ線断面図、第２図Ｄはバルブカバーの側面図
を示す、第３図は本考案による密閉横形回転圧縮
機の縦断面図、第４図は第３図の−線断面
図、第５図は本考案の要部を取出して示す拡大部
分断面図、第６図は本考案に使用される管リベツ
トの縦断面図、第７図及び第８図は本考案の他の
実施例を示す各図である。 １……密閉ケーシング、２……ローター、３…
…ステイタ、４……モータ、５……シリンダー本
体、６……バルブカバー、７……主ベアリング、
８……サブベアリング、１２……ブレード、１４
……消音室、１５……カバー部材、１６……管リ
ベツト。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 密閉ケーシング内に、この密閉ケーシングの内
   壁に取着され円筒状のシリンダー室を有するシリ
   ンダー本体とこのシリンダー本体の両側に取着さ
   れた主ベアリング及びサブベアリングと上記シリ
   ンダー室内を偏心回転するローラとを備えた圧縮
   装置と、この圧縮装置を駆動するモータとを回転
   軸で連結して収納してなる密閉横形回転圧縮機に
   おいて、上記シリンダー本体のシリンダー室の外
   側に消音室を穿設するとともに、この消音室の両
   開口部を密閉する一対のカバー部材をガス流通孔
   を兼ねた管リベツトで固定し、かつ、前記消音室
   を前記シリンダー室及び前記シリンダー本体によ
   つて区画された密閉ケーシングのサブベアリング
   側の室に連通させると共に密閉ケーシングの反サ
   ブベアリング側の室に吐出管を設けたことを特徴
   とする密閉横形回転圧縮機。