JPS6133648B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は、テーパ状の刃部の外周にねじれ刃を
形成してなるテーパ状外周刃工具に関するもので
ある。

従来のテーパ状外周刃工具は、刃部の先端から
後端に至るまでねじれ刃のリードが一定であつ
た。これは、ねじれ刃溝の加工に使用する工作機
械が、工具素材のその中心軸方向への送りに対し
て工具素材を中心軸の周りに一定の速度で回転さ
せながら刃溝加工を行うものだからである。従つ
て、従来のこの種工具は、刃部の先端から後端に
行くにつれて直径が増加しているため刃のねじれ
角は一定とはならず、いわゆる不等ヘリカル等リ
ードのねじれ刃となつていた。

この様な不等ヘリカル等リードのテーパ状外周
刃工具は、切削性能に問題がある。すなわち、第
３図及び第４図に示す様に、不等ヘリカル等リー
ドのテーパ状外周刃工具では、刃のねじれ角は先
端小径部でQ₁、中央部でQ₂、基幹大径部でQ₃と
なつており、Q₁＜Q₂＜Q₃と徐々に増大してい
る。従つてこの工具では、ねじれ刃の各部におけ
るアキシヤルレーキが一定とならず、ねじれ刃に
沿つて連続的に安定した切削ができない難点があ
る。

例えば、小径部が良好な切削を行なつても大径
部は食い込みすぎることになり、他方、大径部基
準の設計をすれば、小径部で切れ味が悪くビビリ
や内壁にムシレがおこつたりするのである。

また、切削角（ラジアルレーキ）について見る
と、第４図に示す様に小径部でα_１、中央部でα
_２、大径部でα_３であり、α_１＞α_２＞α_３と
徐々に減少している。これは加工中の加工工具の
干渉現象によつて生ずるが、これも安定した切削
ができない要因である。

尚、前記の不等ヘリカル等リードの工具は、使
用する工作機械の加工工具が加工中に上下動すな
わち工具素材の中心軸に対して直角方向に移動し
ないため、ねじれ刃溝の底部により形成される面
は直径ａの円筒面となつている。

本発明は上記事情を鑑みてなされたもので、そ
の目的はねじれ刃に沿つて安定した切削ができる
と共に切屑の排出が円滑に行われ、さらに焼付く
おそれのないテーパ状外周刃工具を提供すること
にある。

本発明は、上記目的を達成するために次の様な
技術的手段を講じている。

すなわち、テーパ状の刃部の外周にねじれ刃を
形成してなるテーパ状外周刃工具において、ねじ
れ刃を等ヘリカル及び不等リードとすると共にラ
ンド巾を実質的に均一としている。さらに、ねじ
れ刃溝の底部により形成されるテーパ面を、刃部
の外周テーパ面よりも小さなテーパ角となる様に
している。

等ヘリカル及び不等リードのねじれ刃とすれ
ば、ねじれ刃各部におけるアキシヤルレーキ及び
ラジアルレーキが一定となり、ねじれ刃の全長に
わたつて安定かつ良好な切削が可能となる。

また、ランド巾が実質的に均一（工具の使用上
等ランド巾とみなせる程度に均一）であり、かつ
ねじれ刃溝の底部により形成されるテーパ面が、
刃部の外周テーパ面よりも小さなテーパ角となる
様にしているので、刃部の大径部においても切屑
の排出が円滑に行われ、また焼付くおそれもな
い。また、後述の様に数値制御装置を利用して容
易に製造することができる。

以下、添付図面に基いて本発明の実施例につい
て説明する。

第１図及び第２図において、このテーパ状外周
刃工具はリードがl₁＜l₂＜l₃＜l₄と徐々に増大して
いるが、ねじれ刃のねじれ角は小径部から大径部
に至るまで一定値Ｒである。従つて、ねじれ刃の
各位置におけるアキシヤルレーキは一定となり、
またラジアルレーキについても、第２図に見る様
に小径部から大径部まで一定値α_０となつてい
る。

ランド巾はねじれ刃の全長にわたつて一定値
w₀である。ねじれ刃溝の底部により形成される
面は、従来工具の様な円筒面でなくテーパ面であ
り、またこの面のテーパ角γは刃部の外周テーパ
面のテーパ角βよりも小さいものである。

次に、本発明に係るテーパ状外周刃工具の製造
方法について説明する。

まず、ねじれ刃を等ヘリカル不等リードとする
ためには、リード送りに対して工具素材の回転速
度をその刃部の直径の変化に対応して変化させな
がら刃溝を加工すればよい。

すなわち、リードをＬ、刃部の直径をＤ、刃の
ねじれ角をＲ（一定）とすると Ｌ＝πDcotR の関係があるから、Ｄの変化に対応してＬを変化
させれば等ヘリカルとすることができる。

次に、ランド巾について見ると、ねじれ刃の全
長にわたつてランド巾を均一にするためには、リ
ード送りに対して工具素材の回転速度を変化させ
ると同時に加工工具の切込み深さを変化させる必
要がある。なぜなら、従来の工作機械の様に、加
工工具を工具素材の中心軸に対して直角方向に移
動することなくねじれ刃溝を加工すると、第５図
に示す様にねじれ刃の底部により形成される面は
直径ｂの円筒面となり、リードがl₁＜l₂＜l₃＜l₄と
増加するに伴つてランド巾もM₁＜M₂＜M₃＜M₄＜
M₅と拡大するからである。この様なランド巾が
均一でない工具は、刃部の大径部付近において切
屑の排出が円滑に行われず、焼付くおそれもある
ため、切削工具として使用できないものである。

本発明では、加工工具を刃部の先端小径部から
基幹大径部に行くにつれて徐々に工具素材の中心
軸から離し、切込み深さを変化させながらねじれ
刃溝を加工することにより、ランド巾を均一とし
ている。

この様なねじれ刃溝の加工は、第６図及び第７
図に示した様な三軸制御の数値制御装置を取り付
けた研削装置により行うことができる。この研削
装置の主要部は砥石ヘツド旋回装置、ワーク送り
装置、ワーク回転装置及び砥石ヘツド上下装置か
ら成つている。図において、１は砥石、２は加工
するワーク（工具素材）、３はワークをクランプ
する油圧チヤツク、４はワーク回転装置（Ｙ
軸）、５はＹ軸用親ネジ（ボールネジ）、６はＹ軸
回転用カツプモーター、７はテーブル送りＸ軸駆
動用親ネジ（ボールネジ）、８はワーク送り装置
（Ｘ軸）、９はＸ軸用カツプモーター、１０は砥石
上下装置（Ｚ軸）、１１はＺ軸駆動用親ネジ（ボ
ールネジ）、１２はＺ軸回転用カツプモータ、１
３は砥石ヘツド旋回用装置である。

最初にワーク２を油圧チヤツク３によつて保持
し、ワーク２の所定のねじれ刃溝角度に砥石ヘツ
ドを旋回させてセツトする。

そして、ワーク送りＸ軸、ワーク回転運動Ｙ
軸、砥石ヘツド上下運動Ｚ軸の３軸の作動を、そ
れぞれのカツプモーターを駆動させ対応するボー
ルネジを回転させることにより行う。これらの作
動は、数値制御装置によつて同時３軸制御され、
等ヘリカル不等リード等ランド巾の刃溝が切削加
工される。

この様にして刃溝の加工をした後には、別個の
工具切削盤により刃付けを行い、テーパ状外周刃
工具を完成させるものである。

尚、ランド巾が、厳密な意味での均一でなく、
本発明に係る工具の使用上支障がない程度の誤差
を有していても、厳密に均一な場合と同等の効果
を奏することができる。従つて、ランド巾は実質
的均一でよい。

本発明は上述の様な構成を有するものであり、
等ヘリカル及び不等リードのねじれ刃を有すると
共にランド巾が実質的に均一であるので、ねじれ
刃の全長にわたつて安定かつ良好な切削ができ、
さらに基幹大径部において切屑の排出が円滑に行
われると共に焼付くおそれもない等、優れた効果
を有するものである。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明に係るテーパ状外周刃工具の一
実施例の正面図。第２図Ａ，Ｂ，Ｃはそれぞれ第
１図におけるＡ−A′，Ｂ−B′，Ｃ−C′線端面
図。第３図は従来の等リード不等ヘリカルのねじ
れ刃を有するテーパ状外周刃工具の正面図。第４
図Ａ，Ｂ，Ｃはそれぞれ第３図におけるａ−a′，
ｂ−b′，ｃ−c′線端面図。第５図は加工工具を工
具素材の中心軸に対して直角方向に移動すること
なく等ヘリカル不等リードのねじれ刃溝を加工し
た場合の正面図。第６図は本発明に係るテーパ状
外周刃工具の製造に用いる装置の正面図。第７図
は同平面図。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ テーパ状の刃部の外周にねじれ刃を形成して
   なるテーパ状外周刃工具において、等ヘリカル及
   び不等リードのねじれ刃を有すると共にランド巾
   が実質的に均一であり、さらにねじれ刃溝の底部
   により形成されるテーパ面が刃部の外周のテーパ
   面よりも小さなテーパ角であることを特徴とする
   テーパ状外周刃工具。