JPS6131914Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は自転車用デイレーラー、詳しくは、ベ
ース部材と１対のリンク部材及びチエンガイドを
もつた可動部材とから成り、可動側部材の一つ
と、前記ベース部材との一方に操作ワイヤの固定
具を、また、他方に、ねじ孔をもつ支持体をそれ
ぞれ設けて、この支持体のねじ孔に、前記ワイヤ
を案内するアウター筒のアウター受けを螺着し、
該アウター受けの回転操作で位置調整可能とし、
前記ワイヤの操作により前記チエンガイドを動作
させ、該チエンガイドにより案内する駆動チエン
を多段スプロケツト装置の一つのスプロケツトに
掛換えて変速を行なうごとくしたデイレーラーに
関する。

一般に、此種デイレーラーを操作する操作ワイ
ヤは、前記アウター受けの出口と固定具との間を
外部に露出させて、前記固定具と操作レバーとの
間に所定の緊張度をもつて張設している。

所で、変速操作時、前記ワイヤの前記アウター
受けからの露出部分は、前記可動側部材の動きに
追従して振り子の如く往復運動すると共に、前記
アウター受け内を進退移動するため、前記アウタ
ー受けをたとえば前記ベース部材に固定すると、
前記ワイヤが前記アウター受けの出口端縁に接触
して、その接触抵抗が大きくなり、その結果、変
速操作性が悪くなるばかりか、操作ワイヤが削ら
れて摩耗し、切断し易くなる問題がある。

そこで従来は、前記アウター受けを支持する支
持体を前記ベース部材に対し揺動自由に支持した
り、或いはアウター受けを前記支持体に対し揺動
自由に支持して、変速操作時、このアウター受け
を、前記ワイヤの露出部分における往復運動に追
従して揺動させることにより、前記した問題を解
消している。

所が、以上の如くアウター受けを揺動自由に支
持すると、変速操作時、アウター受けに一端を支
持するアウター筒及び該アウター筒内を移動する
操作ワイヤの自転車フレームに対する位置が大き
く変り、その結果、操作ワイヤのアウター筒内面
に対する接触位置が変つて、この操作ワイヤのア
ウター筒に対する接触抵抗が大となり、変速操作
性が悪くなる弊害がある。又、前記アウター受を
ベース部材に対し揺動自由に支持すると、アウタ
ー受けの支持構造が複雑となり、それだけ加工、
組立作業性が悪くて、コスト高となる問題もあつ
た。

本考案は以上の点に鑑み考案したもので、操作
ワイヤのアウター筒及びアウター受けに対する接
触抵抗を常に小さくできると共に、アウター受け
の支持構造を簡素化できるようにしたのであつ
て、前記アウター受けにおける前記ワイヤの出口
側に、摩擦係数の低い滑り材料から成る案内孔を
もつ案内具を前記支持体に対し回転不能に設け、
前記アウター受けの出口から前記固定具に至る前
記ワイヤを前記案内孔内面に接触させる如く成す
と共に、この案内具に、前記アウター受けに嵌合
し、かつ該アウター受けの回転に抵抗を与える嵌
合部を設けたことを特微とするものである。

以下本考案の実施例を図面に基づいて説明す
る。

図面に示したものは、リヤデイレーラーであつ
て、その基本構造は、第１、２図に示した通り、
ベース部材１と、平行する２本のリンク部材２，
３及び可動部材４とから成るリンク機構により構
成されている。

前記ベース部材１は、自転車の静止部材５に水
平軸６を介して固定されるのであつて、その一方
側に１対の取付片が相対向して設けられ、これら
取付片に１対のピン７，８を介して前記リンク部
材２，３を枢着するのであり、また前記リンク部
材２，３の遊端に、１対のピン９，１０を介して
前記可動部材４を枢着するのである。

この可動部材４は、前記ベース部材１と似た形
状で、その一方側に取付片が相対向して設けら
れ、この取付片に前記した２本のピン９，１０を
取付けてリンク部材２，３と互に揺動可能に枢支
するのであり、他方側には前記水平軸６と同方向
に延びる横軸１１を介してプーリー１２をもつた
チエンガイド１３が一定範囲のみ回転可能に取付
けられている。

又、以上の如く構成するデイレーラーには、例
えば前記リンク部材２，３の何れか一方と、可動
部材４又はベース部材１との間にリターンスプリ
ング（図示せず）を設けて、前記チエンガイド１
３を、多段スプロケツト装置（図示せず）の軸方
向、即ちトツプ側又はロー側、通常はトツプ側に
付勢するのであり、また前記リンク部材２，３の
何れか一方、又は可動部材４の一つ（図面ではリ
ンク部材２）に、操作ワイヤＷの固定具１４を設
け、また前記ベース部材１に、ねじ孔１６ａをも
つ支持体１６を設けて、この支持体１６のねじ孔
１６ａに、前記ワイヤＷを案内するアウター筒Ｏ
のアウター受け１５を螺着し該アウター受け１５
の回転操作で位置調整可能とするのであつて、前
記ワイヤＷの牽引操作により前記リターンスプリ
ングに抗して前記リンク機構を変形させ、可動部
材４を往動させるのであり、又、前記ワイヤＷの
弛緩操作により前記リターンスプリングの復元力
で前記リンク機構を変形させ、可動部材４を復動
させるのであつて、この可動部材４の往復移動に
より前記チエンガイド１３のプーリー１２に掛設
した駆動チエンを前記多段スプロケツト装置の一
つのスプロケツトに掛換えるのである。

又、前記アウター受け１５は、中心に前記ワイ
ヤＷの挿通孔をもち、外周にねじをもつた筒軸部
１５ａと、該筒軸部１５ａの一端に設ける椀形受
部１５ｂとから成り、前記筒軸部１５ａを前記支
持体１６のねじ孔１６ａに螺着して、前記椀形受
部１５ｂに前記アウター筒Ｏの一端を支持し、こ
のアウター筒Ｏ及び前記アウター受け１５内に挿
通する前記ワイヤＷの一端を、前記アウター受け
１５の出口から外方に突出させて前記固定具１４
に固定している。

しかして、第１〜３図に示した実施例では、前
記支持体１６を前記ベース部材１と一体に形成し
て、この支持体１６のねじ孔１６ａに螺着する前
記アウター受け１５を揺動不能とし、このアウタ
ー受け１５における前記ワイヤＷの出口側に、例
えば合成樹脂などの摩擦係数の低い滑り材料から
成る案内孔１７ａをもつた案内具１７を前記支持
体１６に対し回転不能に設け、前記アウター受け
１５の出口から前記固定具１４に至る前記ワイヤ
Ｗを前記案内孔１７ａ内面に接触させて、変速操
作時、アウター受け１５の出口から固定具１４に
至る操作ワイヤが、前記アウター受け１５の出口
端縁に接触するのを防ぐごとく成すと共に、この
案内具１７に、前記アウター受け１５に嵌合し、
かつ該アウター受け１５の回転に抵抗を与える嵌
合部１７ｂを設けたのである。

前記案内具１７は、例えば図示した如く角筒形
に形成して、前記支持体１６に対する回転を阻止
するのであつて、この案内具１７における中心孔
の一端側に前記案内孔１７ａを設け、他端に前記
アウター受け１５の筒軸部１５ａ外周に嵌合する
嵌合部１７ｂを設け、この嵌合部１７ｂを前記筒
軸部１５ａの先端外周に固定するのである。尚、
この案内具１７は、合成樹脂で形成するのである
が、摩擦係数の低い他の材料で形成してもよい。
しかし合成樹脂で形成することにより、合成樹脂
の弾性特性により前記アウター受け１５の筒軸部
１５ａを弾性的に保持できるので、アウター受け
１５の緩みを防止できる利点がある。又、前記案
内孔１７ａは、図示した如く前記アウター受け１
５の挿通孔の内径より小径で、その内面が中心に
向つて彎曲する彎曲面とするのである。又、この
案内孔１７ａは、断面形状を円形とするのである
が、その他長円形或いは角形としてもよいのであ
り、又、断面形状を還状にする他、断面略ｃ字形
或いは断面略二形に形成して、変速操作時、アウ
ター受け１５の出口から固定具１４に至る操作ワ
イヤを案内するごとく成してもよいのであつて、
前記案内孔１７ａの形状は特に限定されるもので
ない。又、前記案内具１７は、前記アウター受け
１５に固定する他、前記支持体１６或いはベース
部材１に接着剤などの固定手段により固定しても
よいし、又止め具などの取付手段により着脱自由
に取付けてもよいし、又前記支持体１６或いはベ
ース部材１と一体に形成してもよい。又、前記支
持体１６は、前記ベース部材１と一体に形成する
他、別に形成して回転不能に取付けてもよい。
尚、前記案内具１７を図示した如くアウター受け
１５の筒軸部１５ａ外周に圧入して固定する場
合、前記案内具１７とベース部材１との対接面間
に、前記案内具１７の回動を阻止する回動阻止手
段を設けるか、又は前記支持体１６に例えば断面
コ字形の廻り止め具を設けて前記案内具１７の回
転を阻止するのが好ましい。

本考案は以上の如く構成するもので、第１、２
図に示した状態は、チエンガイド１３が、多段ス
プロケツト装置における最小径の高速用スプロケ
ツトに対応した所謂トツプ位置にある状態であつ
て、このトツプ位置の状態から操作ワイヤＷを牽
引すると、アウター受け１５の出口から固定具１
４に至る操作ワイヤＷの長さが実質的に短かくな
るので、リンク部材２，３がピン７，８を中心に
強制的に揺動し、この揺動により可動部材４がロ
ー側（第２図矢印Ｘ方向）に往動すると共に、前
記固定具１４が可動部材４に追従して前記矢印Ｘ
方向に往動するのであり（第３図参照）、又第３
図の状態から前記ワイヤＷを緩めると、前記リタ
ーンスプリングの力で前記リンク部材２，３が揺
動し、同時に可動部材４が第３図矢印Ｙ方向に復
動すると共に、前記固定具１４が可動部材に追従
して前記矢印Ｙ方向に復動するのである。このと
き前記アウター受け１５は揺動不能に支持してい
るため、アウター筒Ｏ及び操作ワイヤＷの自転車
フレームに対する位置が変るのを防止できるので
あり、又、前記アウター受け１５の出口から固定
具１４に至る操作ワイヤＷは、前記案内具１７の
案内孔１７ａ内面と接触して動くため、前記ワイ
ヤＷが、アウター受け１５の出口端縁に接触する
のを防止できるのである。

以上の如く本考案は、支持体のねじ孔に螺着
し、回転操作で位置調整可能としたアウター受け
における操作ワイヤの出口側に、摩擦係数の低い
滑り材料から成る案内孔をもつ案内具を前記支持
体に対し回転不能に設け、前記アウター受けの出
口から前記固定具に至る前記ワイヤを前記案内孔
内面に接触させる如く成すと共に、この案内具
に、前記アウター受けに嵌合し、かつ該アウター
受けの回転に抵抗を与える嵌合部を設けたから、
変速操作時、前記アウター受けを揺動させなくと
も、該アウター受けの出口から固定具に至る操作
ワイヤを前記アウター受けの出口に接触させるこ
となく常に円滑に動かすことができるのである。
従つて、変速操作時、操作ワイヤのアウター筒内
面に対する位置を同じにでき、操作ワイヤのアウ
ター筒に対する接触抵抗を常に小さくできなが
ら、しかも操作ワイヤのアウター受けに対する接
触抵抗を小さくでき、全体として変速操作性を著
しく良好にできるのであり、又操作ワイヤのアウ
ター受けとの接触による切断をも防止できるので
あり、しかも、前記案内具を、前記アウター受け
を支持する支持体に対し回転不能にして、この案
内具に、アウター受けの回転に抵抗を与える嵌合
部を設けたから、前記アウター受けが自転車の振
動などにより緩むのを確実に防止できるのであ
り、このため、操作ワイヤとアウター筒との相対
有効長さが変るのを防ぐことができるのである。

更に、変速操作時、前記アウター受けを揺動さ
せる必要がないため、このアウター受けの支持構
造を簡素化でき、それだけ加工、組立作業能率を
向上でき、コストダウンを行なうことができるの
である。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案デイレーラーの一実施例を示す
正面図、第２図は底面図、第３図は作動状態を示
す説明図である。 １……ベース部材、２，３……リンク部材、４
……可動部材、１３……チエンガイド、１４……
固定具、１５……アウター受け、１６……支持
体、１７……案内具、１７ａ……案内孔、Ｗ……
操作ワイヤ、Ｏ……アウター筒。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. ベース部材と一対のリンク部材及びチエンガイ
   ドをもつた可動部材から成り、可動側部材の一つ
   と、前記ベース部材との一方に操作ワイヤの固定
   具を、また、他方に、ねじ孔をもつ支持体をそれ
   ぞれ設けて、この支持体のねじ孔に、前記ワイヤ
   を案内するアウター筒のアウター受けを螺着し、
   該アウター受けの回転操作で位置調整可能とした
   自転車用デイレーラーであつて、前記アウター受
   けにおける前記ワイヤの出口側に、摩擦係数の低
   い滑り材料から成る案内孔をもつ案内具を前記支
   持体に対し回転不能に設け、前記アウター受けの
   出口から前記固定具に至る前記ワイヤを前記案内
   孔内面に接触させる如く成すと共に、この案内具
   に、前記アウター受けに嵌合し、かつ該アウター
   受けの回転に抵抗を与える嵌合部を設けたことを
   特微とする自転車用デイレーラー。