JPS6130510B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 この発明は、高電位にあるサイリスタ群に一斉
にゲート電流を供給するための、トランジスタな
どの交互にオンオフ動作する１対のスイツチ素子
から成るスイツチ装置で駆動される高圧サイリス
タ装置のゲート回路に関するものである。

この種の高圧サイリスタ装置のゲート回路の従
来例を第１図に示す。第１図において、１は高電
位にあるサイリスタ（この例では代表的に直列個
数が２個の場合を示す）、２はサイリスタ１に一
斉にゲート電流を与える２次巻線３をもつパルス
トランス磁心、４はダイオードブリツジ、５はパ
ルストランス磁心２を貫通する１次導体で端子５
１，５２をもつ。６は１次導体５に交番状の１次
電流I₁を供給するためのスイツチ装置で、１対の
トランジスタ７，８、直流電源９、トランジスタ
７，８のベース駆動源１０、磁心１１および磁心
１１に巻回された中間タツプ付き１次巻線１２お
よび２次出力巻線１３から成る出力変成器１４で
構成されている。出力変成器１４の１次変線１２
の中間タツプは直流電源９の正端子に、１次、巻
線１２の両端は各々トランジスタ７，８のコレク
タに、直流電源９の負端子はトランジスタ７，８
のエミツタに接続され、また２次出力巻線１３の
両端は前記１次導体５の両端子５１，５２に接続
される。なお以下各図面を通じて同一符号は同一
または相当部分を示すものとする。

このように構成された回路のサイリスタ１への
ゲート信号伝送は次のように行なわれる。いま、
ベース駆動源１０の信号を受けてトランジスタ７
がオン、トランジスタ８がオフ状態にあると、出
力変成器１４の１次巻線１２のうち中間タツプに
より分割された１組の巻線１２ａには図中黒点を
正として直流電源９の電圧Ｅに相当する電圧が印
加される。このとき１次巻線１２の他の１組の巻
線１２ｂには、巻線１２ａに印加された電圧Ｅに
等しい電圧が黒点を正として誘起される。したが
つて出力変成器１４の１次巻線１２の両端には直
流電圧Ｅの２倍に相当する電圧2Eが発生し、こ
の電圧はオフ状態のトランジスタ・エミツタ間に
順方向電圧として印加されることになる。一方、
出力変成器１４の２次出力巻線１３の両端には１
次・２次巻線間の巻線比に応じた出力電圧が黒点
を正として誘起され、この出力電圧により１次導
体５には図中の実線矢印方向の１次電流I₁が流れ
る。ついで、ベース駆動電源１０の信号が反転し
てトランジスタ７がオフ、トランジスタ８がオン
状態になると、出力変成器１４の１次巻線１２お
よび２次出力巻線１３には上記と逆向きの電圧が
誘起され、このときオフ状態のトランジスタ７の
コレクタ・エミツタ間には上記と同様の作用によ
り直流電源９の電圧Ｅの２倍に相当する電圧2E
が順方向電圧として印加され、一方１次導体５に
は図中の点線矢印方向の１次電流I₁が流れる。こ
うして、１対のトランジスト７，８を交互にオン
オフ動作させることにより、パルストランス磁心
２を貫通する１次導体５には交番状の１次電流I₁
が供給され、これによりパルストランス磁心２の
２次巻線３には同じく交番状の２次電流I₂が誘導
される。この２次電流I₂はダイオードブリツジ４
で整流され、サイリスタ１のゲートにゲート電流
として一斉に供給される。なお、ここで略々接地
電位にある１次導体５と高電位にあるサイリスタ
１との間の電気的絶縁は１次導体５と２次巻線３
を巻回したパルストランス磁心２との間に所要耐
圧をもつ絶縁を施すことにより容易になされる。

上記回路の方式は高圧サイリスタ装置の電流変
成器形電磁点弧方式として周知のものであつて、
スイツチ装置が簡単、安価であり、点弧の同時性
と装置の堅牢で信頼性が高い利点を有するが、し
かし第１図の従来回路では１次導体５に交番状の
１次電流I₁を供給するためのスイツチ装置６には
磁心１１に巻回された中間タツプ付き１次巻線１
２および２次出力巻線１３をもつ出力変成器１４
を必要とし、この出力変成器のためにスイツチ装
置６の１対のスイツチ要素であるトランジスタ
７，８の電圧負担が過大になる欠点があつた。す
なわち、上記したように磁心１１に巻回された１
次巻線１２の中間タツプ端子により分割された各
１組の巻線１２ａおよび１２ｂ間の磁気的結合が
密であるため、オンオフ動作する１対のトランジ
スタ７，８がそれぞれオフ状態にあるときに直流
電源９の電圧Ｅの２倍に相当する電圧2Eがコレ
クタ・エミツタ間に順方向電圧として印加される
ことになり、このためトランジスタ７，８の選定
にあたつてはこの電圧に耐え得る電圧定格をもつ
高価な素子を選ぶことを余儀なくされていた。

この発明は、上記従来回路のもつ欠点をなくす
ためになされたもので、複数個の高圧サイリスタ
装置にそれぞれゲート信号を与える２次巻線を有
する複数のパルストランス磁心と、該各パルスト
ランス磁心を貫通すると共に互に磁気的に疎結合
となるように配置され、各一端を直流電源の一方
の端子に接続した１対の１次導体と、該直流電源
の他方の端子と上記１次導体の他端との間にそれ
ぞれ接続された主電極を有し、上記パルストラン
ス磁心に互に逆方向の磁束を発生させるように交
互にオンにされる１対のスイツチ要素とを備える
ことにより、各スイツチ要素の電圧負担を軽減す
ることができる高圧サイリスタ装置のゲート回路
を提供することを目的とする。

以下、図面にしたがつてこの発明の実施例を詳
細に説明する。

第２図はこの発明による高圧サイリスタ装置の
ゲート回路の一実施例を示す回路図で、図中の５
３は１次導体５の巻回中点であつて中間タツプ端
子として導出され、これには直流電源９の正端子
が接続される。５ａおよび５ｂは上記中間タツプ
端子５３によつて分割された１次導体５のうちの
各１組の１次導体で、この各１組の１次導体５ａ
および５ｂのパルストランス磁心２を貫通しない
側の導体は互いに重なり合わないように分散して
巻回される。また、１次導体５の両端子５１，５
２にはスイツチ装置６の１対のトランジスタ７，
８のコレクタがそれぞれ接続され、各トランジス
タ７，８のエミツタは共通に直流電源９の負端子
に接続される。

このように構成された回路において、いまベー
ス駆動源１０の信号によりトランジスタ７がオ
ン、トランジスタ８がオフ状態にあると、中間タ
ツプ端子５３と端子５１との間の１次導体５ａに
は図中の実線矢印方向の１次電流I₁が流れる。つ
いで、トランジスタ７がオフ、トランジスタ８が
オンになると、中間タツプ端子５３と端子５２と
の間の１次導体５ｂには図中の点線矢印方向の１
次電流I₁が流れる。このようにして、中間タツプ
端子５３を巻回中点として２分割された各１組の
１次導体５ａおよび５ｂのパルストランス磁心２
を貫通する部分の導体には互いに逆方向の１次電
流I₁が流れることになり、これにより第１図と同
様にパルストランス磁心２の２次巻線３には交番
状の２次電流がI₂が誘導され、これがダイオード
ブリツジ４で整流されて、サイリスタ１のゲート
にゲート電流として一斉に供給される。

上記動作中オフ状態にあるトランジスタに印加
される順方向電圧は次のようにして軽減される。
いまトランジスタ７がオン、トランジスタ８がオ
フ状態にあると、１次導体５ａには中間タツプ端
子５３側を正として直流電圧Ｅに等しい出力電圧
が発生する。ところが、この種ゲート回路では必
要な絶縁耐力（各サイリスタ素子及びこれらと大
地間の）を各パルストランス磁心２とこれを貫通
する一次導体間で確保する構造上（例えば、実公
昭48―41894号公報参照）、この一次導体ループの
持つ漏洩インダクタンスが非常に大きく（各パル
ストランス磁心２は一次導体のごく一部に結合し
ているに過ぎぬ）、中間タツプをはさんだ各一次
導体巻線間の誘起電圧は、両一次導体ループ間の
磁気的結合に粗密により大きく左右されるので、
各１組の１次導体５ａ，５ｂのパルストランス磁
心２を貫通しない側の導体が互いに磁気的な結合
が粗となるように引き離されているため、１次導
体５ｂの端子５３，５２間の誘起電圧は極めて低
い値となる。したがつて、オフ状態のトランジス
タ８のコレクタ・エミツタ間に加わる順方向電圧
は従来回路では直流電源電圧の２倍の電圧2Eま
ではね上るのに対し、この実施例では直流電源電
圧Ｅに等しいか僅かにこれを越える程度の電圧に
おさまり、トランジスタ８の電圧負担が従来回路
に比べほぼ半減される。ついで、トラ牢ジスタ７
がオフ、トランジスタ８がオンの場合も、オフ状
態のトランジスタ７について上記と全く同様にし
て電圧負担が半減される。このようにして、この
実施例によれば１対のスイツチ要素と直流電源を
中間タツプ端子付きの１次導体に直結し、かつ１
次導体のパルストランスを貫通しない側の導体を
分散して巻回することにより、高電位にある複数
個のサイリスタの各々に斉一なゲート信号を与
え、これにより点弧の同時性と回路の堅牢さと高
信頼性をもつ電流変成形電磁点弧方式のすぐれた
利点を少しも損なうことなく、しかもスイツチ装
置の１対のスイツチ要素の電圧負担を軽減するこ
とができる。

第３図はこの発明による高圧サイリスタ装置の
ゲート回路の他の実施例を示す回路図で、第２図
の実施例と同じく１次導体５には中間タツプ端子
５３が導出され、１次導体５の両端子５１，５２
と中間タツプ端子５３はそれぞれ１ターンの巻数
を有する１次導体５ａ，５ｂをもつて構成されて
いる。ただし、この場合は中間タツプ端子５３で
分割された各１組の１次導体体５ａ，５ｂの構成
するループの面が互いに90゜の角度をなすように
１次導体５ａ，５ｂのパルストランス磁心を貫通
しない側の導体を分散して巻回している。このよ
うに各１次導体５ａ，５ｂを直交させて巻回する
ことにより、いまトランジスタ７がオン、トラン
ジスタ８がオフ状態にある場合には１次導体導体
５ａに図中の実線矢印方向の１次電流I₁が流れる
が、しかしこの１次電流I₁によつて発生する磁束
の１次導体５ｂと鎖交する磁束は大巾に減る。こ
のため、１次導体５ａに直流電源電圧Ｅに相当す
る電圧が発生し１次電流I₁が流れたことによる１
次導体５ｂの端子５２と５３の間の誘起電圧は小
さく、オフ状態のトランジスタ８のコレタ・エミ
ツタ間には直流電源電圧Ｅに近い電圧だけしか順
方向電圧として印加されない。ついでトランジス
タ７がオフ、トランジスタ８がオン状態となる場
合も同様である。このようにして、１次導体５ａ
と５ｂのループ面が互いに直交するように１次導
体５を巻回することにより、１対のスイツチ要素
であるトランジスタ７，８の電圧負担を従来回路
に比べ大巾に軽減できる。

第４図はこの発明による高圧サイリスタ装置の
ゲート回路のさらに他の実施例を示す回路図で、
１次導体５の両端子５１，５２と中間タツプ端子
５３との間の巻数がそれぞれ２ターンの場合を示
している。すなわち、１組の１次導体５ａと５ｃ
が端子５１，５３間の１次導体を、他の１組の１
次導体５ｂと５ｄが端子５２，５３間の１次導体
を構成し、各同一組内の１次導体５ａと５ｃ，５
ｂと５ｄのパルストランス磁心２を貫通しない側
の導体をそれぞれ互いに180の角度に分散して巻
回し、かつ１組の１次導体５ａと５ｃのループ面
と他の１組の１次導体５ｂと５ｄのループ面とが
互いに直交するようにしている。このような構成
により、いまトランジスタ７，８を交互にオンオ
フ動作させると、パルストランス磁心２を貫通す
る１次導体５のうち１組の１次導体５ａ，５ｃに
は図中の実線矢印方向の１次電流I₁が、他の１組
の１次導体５ｂ，５ｄには図中の点線矢印方向の
１次電流I₁が交互に流れ、これによりサイリスタ
１のゲートには第２，３図の実施例と同様にして
ゲート電流が供給される。このさい、中間タツプ
端子５３により分割された各１組の１次導体にお
いて、例えば１組の１次導体５ａと５ｃに流れる
１次電流I₁による他の１組の通電休止中の１次導
体５ｂと５ｄの鎖交磁束はパルストランス磁心２
を介しての結合以外は零であり、したがつて１次
導体５ｂと５ｄにはほとんど電圧が誘起されず、
このときオン状態にあるトランジスタ８には略々
直流電源電圧Ｅだけしか印加されない。

なお上記各実施例では、１対のスイツチ要素と
してトランジスタを用いたが、これをサイリスタ
などの他のスイツチ要素でおきかえることもでき
る。

以上の説明から明らかなように、この発明によ
れば交互にオンオフ動作する１対のスイツチ要素
と直流電源を、サイリスタにゲート電流を供給す
る２次巻線をもつたパルストランス磁心を貫通す
る中間タツプ付きの１次導体に直結し、かつこの
１次導体のパルストランス磁心を貫通しない側の
導体を互いに分散して巻回することにより、高電
位にあるサイリスタ群に斉一なゲート電流を供給
すると共にスイツチ要素の電圧負担の軽減をはか
つた特長をもつ高圧サイリスタ装置のゲート回路
が提供される。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来の高圧サイリスタ装置のゲート回
路を例示する回路図、第２図ないし第４図はそれ
ぞれこの発明による高圧サイリスタ装置のゲート
回路の各実施例を示す回路図である。 なお各図面を通じて同一記号または符号は同一
内容または相当部分を示し、１はサイリスタ、２
はパルストランス磁心、５は１次導体、６はスイ
ツチ装置、７，８はスイツチ要素（トランジス
タ）、９は直流電源、５１，５２は１次導体５の
両端子、５３は１次導体５の中間タツプ端子であ
る。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 複数個の高圧サイリスタ装置にそれぞれゲー
   ト信号を与える２次巻線を有する複数のパルスト
   ランス磁心と、該各パルストランス磁心を貫通す
   ると共に互いに磁気的に疎結合となるように上記
   パルストランス磁心を貫通しない導体が周方向に
   所定の間隔を保つて配置され、巻回中点が直流電
   源の一方の端子に接続された１対の１次導体と、
   該直流電源の他方の端子と上記１次導体の他端と
   の間にそれぞれ接続された主電極を有し上記パル
   ス磁心に互に逆方向の磁束を発生させるように交
   互にオンされる１対のスイツチ要素とを備えた高
   圧サイリスタ装置のゲート回路。