JPS6129977Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は水車のガイドベーンを開閉する操作機
構に関する。

ガイドベーンを有する水車には、負荷の変動等
に応じてガイドベーンを開閉する機構が備わつて
いる。

第１，２，３図にはガイドベーン操作機構を備
えたカプラン水車の平面、縦断面及び一部の斜視
外観を表わす。図面において、１はランナ、２は
主軸、３はランナ１を収納し且つ主軸２を支える
ケーシングであり、ケーシング３の渦巻室からラ
ンナ１へ向かう箇所の主軸２を中心とした同一円
周上に多数のガイドベーン４が配置してある。水
を流れを整え且つ圧力エネルギを変えるガイドベ
ーン４にはこれらを開閉させるためのガイドベー
ン操作機構が備わつている。

このガイドベーン操作機構は、各ガイドベーン
４の軸５の上部に操作レバー６を固着する一方、
ケーシング３の上部にスピードリング軸受７を介
して回転可能に支持されたスピードリング８の周
面にガイドベーン４と同数のクレビス９を設け、
各クレビス９と各操作レバー６とをターンバツク
ル１０でピン結合し、そして、外部に設置された
操作モータ１１の押棒１２を連結ボルト１３を介
して前記スピードリング８の上部に連結した構造
となつている。ガバナーの指令によつて操作モー
タ１１が作動し、その押棒１２が出入すると、連
結ボルト１３を介してスピードリング８が旋回
し、それに伴いクレビス９、ターンバツクル１
０、操作レバー６、軸５を介してガイドベーン４
は開閉する。この様子は第３図に示してある。す
べてのガイドベーン４は同時に操作されるのであ
る。

このようなガイドベーン操作機構は現在最も多
く採用されているが、この機構には以下のような
欠点がある。

全部のガイドベーン４を同時に操作するので、
大きい操作力が必要である。

ガイドベーン４の開口が狭い範囲ではわずかな
操作で多量の水が流れ、広く開口したところで
は、操作による流量変化がわずかである。

ガイドベーン４が旋回するので、この間を通つ
た水の流入角が変化するため効率が低下する。

流量を絞つた場合、ガイドベーン４間の隙間を
水が流れるため水の粘性摩擦損失が大きい。

レバー、ターンバツクル等でリンク機構を構成
しているので部品点数が多く、構造が複雑で、給
油、メンテナンス等も煩雑である。

本考案は、従来のガイドベーン操作機構におけ
る上述のような構造上及び操作性上の欠点を解決
することを目的としてなされたもので、その構成
は、水車のケーシング内に配列され回動可能とな
つているガイドベーンの各軸の端部にレバーを固
着すると共にその端部にカムフオロアを設け、同
心状で且つ互いにつながつている複数のカム溝を
有するカム板の前記カム溝に前記カムフオロアを
係合させて当該カム板を駆動回転し得るように支
持してなり、前記カム板を回転させることにより
前記カム溝によつて前記カムフオロアが移動し、
前記レバーを介して前記ガイドベーンが開閉する
ようにしたことを特徴とする。

以下、本考案の一実施例を図面に基づき説明す
る。

第４図には本考案によるガイドベーン操作機構
の一実施例を備えたカプラン水車の縦断面を示
し、第５図にはガイドベーン操作機構の斜視外観
の一部を表わす。

１は水車のランナ、２は主軸、３はケーシング
であり、４はケーシング３内の同一円周上に配置
され且つ回動可能となつている多数のガイドベー
ンである。ガイドベーン４の各軸５の上端部には
一体にレバー１４が連結し、各レバー１４の端部
上側にはカムフオロア１５が設けてある。一方、
ケーシング３の上側にカム板支承腕１６が連結
し、主軸２を囲むその上部には軸受１７を介して
カム板１８のボス１９が嵌合されている。カム板
１８の裏面にはカム溝２０が形成され、このカム
溝２０に前記カムフオロア１５が係合させられて
いる。カム溝２０は、第６，７図に示すように、
同心状となつている内側溝２０ａと外側溝２０ｂ
及びこれらをつなぐ連絡溝２０ｃとからなつてい
る。前記カム板１８の外周面に歯車２１が切つて
あり、この歯車２１には、操作モータ２２の駆動
軸に取付けられた小歯車２３が噛み合わせられて
いる。

操作モータ２２の駆動による小歯車２３の回転
によりカム板１８は旋回運動し、カムフオロア１
５の位置は回転するカム溝２０によつて規制され
る。従つて、カム溝２０の外側溝２０ｂにカムフ
オロア１５が入つている時にはガイドベーン４は
開き、内側溝２０ａにカムフオロア１５が入つて
いる時にはガイドベーン４が閉じるように、予め
カム板１８とガイドベーン４の関係を調整してお
く。

このガイドベーン操作機構によれば、ガイドベ
ーン４が全閉の状態、即ちすべてのカムフオロア
１５がカム溝２０の内側溝２０ａに入つている状
態から操作モータ２２の作動による小歯車２３の
回転によりカム板１８を旋回運動させて行くと、
カムフオロア１５は内側溝２０ａから連絡溝２０
ｃを経て外側溝２０ｂに移動し、それに伴うレバ
ー１４の回動によりガイドベーン４は開く。ガイ
ドベーン４は一枚ずつ開き、すべてのガイドベー
ン４が開いた時が全開状態となる。

本考案のガイドベーン操作機構によれば、ガイ
ドベーンは一枚ずつ開き、しかも開いたガイドベ
ーンが理想的な流入角を有すことから、流入角に
よる効率の低下は生ぜず、又流量がガイドベーン
１枚ごとに増加するので、極めて平準化された操
作が可能となる。更に又、ガイドベーンの開閉操
作に必要な力は、常に１枚のガイドベーンを操作
する力で済むことから、平均化され且つその絶対
量も従来のガイドベーン枚数分の１で済むことに
なる。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来のガイドベーン操作機構を備えた
カプラン水車の一部を破砕した平面図、第２図は
その縦断面図、第３図は第１，２図中のガイドベ
ーン操作機構の一部の外観斜視図であり、第４図
は本考案に係るガイドベーン操作機構の一実施例
を備えたカプラン水車の縦断面図、第５図は第４
図中のガイドベーン操作機構の一部の外観斜視
図、第６図はガイドベーン操作機構のカム板の裏
面図、第７図はその一部拡大図である。 図面中、４はガイドベーン、１４はレバー、１
５はカムフオロア、１８はカム板、２０はカム
溝、２１は歯車、２２は操作モータ、２３は小歯
車である。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 水車のケーシング内に配列され可動可能となつ
   ているガイドベーンの各軸の端部にレバーを固着
   すると共にその端部にカムフオロアを設け、同心
   状で且つ互いにつながつている複数のカム溝を有
   するカム板の前記カム溝に前記カムフオロアを係
   合させて当該カム板を駆動回転し得るように支持
   してなり、前記カム板を回転させることにより前
   記カム溝によつて前記カムフオロアが移動し、前
   記レバーを介して前記ガイドベーンが開閉するよ
   うにしたことを特徴とするガイドベーン操作機
   構。