JPS6128844B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明はセラミツク回転体の改良に関する。

セラミツクは耐熱性、耐摩耗性、耐食性、耐薬
品性あるいは絶縁性に優れ各種用途に用いられて
いる。しかしながら金属芯体にセラミツクを直接
嵌合した回転体においては、常温での使用は可能
なものの少しでも温度が上昇すると金属軸の膨張
と回転時の応力によりセラミツクが破壊してしま
うことから、このようなセラミツク回転体の実用
はほとんどなされていなかつた。ちなみに熱膨張
率の相違の一例を示すと窒化けい素は約３×10^-6
であるのに対し鋳鉄は約11×10^-6と大きい差異が
ある。

そこで、金属芯体とセラミツクの間に金属の膨
脹を消失させる間隙を設けかつ金属芯体に空転防
止用の突起及びこの突起に対応する凹部をセラミ
ツクに設けたものが発明されている（特公昭53−
35885号公報）。しかしながら、こうして得られる
回転体は金属芯体とセラミツクが設定温度以外で
は一体化していないので、この状態では安定した
回転は得られない。また、設定温度以上ではやは
りセラミツクが破壊してしまうという難点があつ
た。更に、回転体に凹凸を設けることが必要であ
り、加工が複雑であり、特にセラミツクの加工は
困難である。前記発明では、膨脹消失間隙に燃焼
性材料を組み込んでセラミツク燃結時に燃焼性材
料を消失させて間隙を形成することが提案されて
いるが、工程が複雑になる難点があつた。

したがつて、本発明の目的は使用できる温度範
囲が広く、金属軸の熱膨張によつてもセラミツク
が破壊しないセラミツク回転体を得ることであ
る。

更に他の目的は、使用する温度範囲においてセ
ラミツクと金属軸との一定以上の接合強度を維持
でき、スリツプ等を生じないセラミツク回転体を
得ることである。

更に他の目的は、加工困難なセラミツクの加工
が少なくてよく容易に製造しうるセラミツク回転
体を得ることである。

更に本発明の他の目的は以下に述べる詳細な説
明により明らかとなる。

本発明セラミツク回転体の構成は金属芯体に弾
性を有する耐熱緩衝体を介してセラミツクを嵌合
し耐熱緩衝体として環状の金属細線の錯綜体を用
い、金属芯体と前記セラミツク体とを一体化して
なることを特徴とする。

本発明セラミツク回転体によれば、金属芯体と
セラミツク体は、使用する温度範囲において、耐
熱緩衝体を介して常に相互に密着した状態（一体
化）を維持することが出来る。

金属芯体は中空軸、中実軸を問わない。金属芯
体は回転体として好ましい機械的強度と容易な加
工性を提供する。

本発明の回転体では、金属芯体及びセラミツク
体の回転面に凹凸等を設ける必要がないので加工
が極めて容易である。

耐熱緩衝体は弾性を有するもので使用する温度
範囲でその弾性及び復元性を失なわず金属芯体の
熱膨張を吸収しうるものである。耐熱緩衝体とし
ては、金属細線の錯綜体が最も好ましい。

発明者によれば、金属細線をメリヤス編したも
のが弾力性及び熱膨張吸収の点で好ましかつた。
金属細線は、高温に耐えかつ弾力性を維持するも
のであればよく、例えばステンレスあるいはイン
コネル等が適用できる。また錯綜体とするために
線は直径0.5mm以下のものが好ましい。

セラミツクは通常環状の形態を有する。本発明
のセラミツクは芯体との嵌合部にも特に精密な加
工を要しない。金属芯体とセラミツクの嵌合は圧
入でよく、圧入後の締まり具合の状態は、金属細
線の錯綜体の厚み、金属細線の線径等により任意
に設定できる。寸法精度の粗さは耐熱緩衝体で吸
収しうる。

実施例 １ 熱間線引ローラに本発明回転体を適用した例を
図１に示す。図１において１はセラミツクローラ
であつて、セラミツクローラ内周に設けられたス
テンレス線の錯綜体２を介して金属芯体３に嵌合
している。

錯綜体は0.1mmのステンレス線をメリヤス編し
たシートを波形に成形し環状としたものである。
この線引ローラをタングステン線の熱間伸線に用
いたところ、ローラの温度が上昇してもセラミツ
クが破壊することがなかつた。また、線引時にロ
ーラに相当のトルクがかかつてもセラミツクロー
ラと金属芯がスリツプして空回りすることもなく
使用することができた。更にセラミツクは耐摩耗
性に優れており、従来の金属製ローラの数倍の寿
命を得ることができた。

実施例 ２ 図２にポンプの羽根車に本発明回転体を適用し
た例を示す。

近時セラミツクを高温流体用のポンプ等の回転
機器に用いることが試みられているが、セラミツ
クの羽根をいかにして金属軸に取り付けるかがこ
の試みの大きな課題であつた。本実施例はこの課
題を解決したものである。すなわち図２において
セラミツク羽根２１は、金属軸２３に金属線の錯
綜体２２を介して取りつけられている。本実施例
によれば高温時の金属軸の膨張は錯綜体２２によ
つて吸収されるとともに、羽根車２１はより一属
金属軸との接合が強固になる。

上記実施例の他、本発明回転体は、熱処理炉内
のボート搬送用ローラ、金属圧延用ローラあるい
は窒化けい素等を羽根としたガスタービン用羽根
およびターボチヤージヤの羽根車に適用できる。

また、本発明回転体においてはセラミツクに対
して精密な加工を必要としない。しかして、回転
体を得るにも緩衝体を介して金属芯体を挿入する
だけでよく複雑な組立工程を必要としない利点が
ある。

【図面の簡単な説明】

図１及び図２は本発明回転体の例を示す図であ
る。 １……セラミツクローラ、２，２２……錯綜
体、３……金属芯体、２１……セラミツク羽根、
２３……金属軸。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 金属芯体に、環状の金属細線の錯綜体でなる
   耐熱緩衝体を介して環状のセラミツク体を嵌合し
   前記金属芯体と前記セラミツク体とを一体化して
   なるセラミツク回転体。