JPS6128533Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は油圧回路中に装着されて、該油圧回路
中の圧力を制御するリリーフ弁の改良、特にケー
シングに着脱可能に設けられるカートリツジ式の
リリーフ弁の改良に関するものである。

第１図に従来技術によるカートリツジ式のリリ
ーフ弁を示す。同図において、１はケーシング、
２は該ケーシング１内に穿設されて、油圧ポンプ
（図示せず）の吐出口と連通する高圧側油室、３
はタンク（図示せず）と連通する低圧側油室であ
る。そして、前記高圧側油室２と低圧側油室３と
の間にはリリーフ弁４が設けられている。該リリ
ーフ弁４は直動型のもので、高圧側油室２内の圧
力が設定値を越したときには、該リリーフ弁４が
開弁し、高圧側油室２内の圧油を低圧側油室３内
に流入せしめるようになつている。

リリーフ弁４はスリーブ５内にポペツト弁６、
ばね７、ばね受８等を収納したカートリツジ方式
のもので、該スリーブ５内には弁室９とばね室１
０とが形成されている。弁室９にはポペツト弁６
が摺動可能に挿嵌され、一方ばね室１０にはばね
７、ばね受８が設けられ、該ばね７はばね室１０
内に臨んだポペツト弁６のばね受部６Ａとばね受
８との間に張設されている。また、弁室９は油穴
１１を介して高圧側油室２と連通し、油穴１２を
介して低圧側油室３と連通しており、該油穴１２
の周囲には弁シート１３が形設されている。ポペ
ツト弁６の弁部６Ｂは弁室９内に配置せしめら
れ、常時はばね７の付勢力により、弁シート１３
に着座している。該ポペツト弁６の直径は弁シー
ト１３の直径より大きくなつており、このため、
弁シート１３に着座しているときに、ポペツト弁
６の弁シート１３より内側部分には低圧側油室３
の圧力が作用し、弁シート１３の外側部分には高
圧側油室２の圧力が作用している。さらに、ポペ
ツト弁６にはその軸方向に、ばね室９と低圧側油
室３とを連通させる油道１４が穿設されている。

図中、１５はスリーブ５に螺出入可能に設けた
調整ねじで、該調整ねじ１５を螺回せしめ、それ
と当接したばね受８を移動させることによつてば
ね７のばね力を調整し、リリーフ設定圧を可変な
らしめることができる。１６は前記調整ねじ１５
を固定するロツクナツトである。また、１７，１
８，１９はそれぞれスリーブ５の先端部とケーシ
ング１、スリーブ５の基端部とケーシング１およ
びばね受８とスリーブ５との間に設けたシール部
材である。

従来技術によるリリーフ弁は前述の構成を有す
るもので、ポペツト弁６にはばね７による該ポペ
ツト弁６を弁シート１３に着座する方向に付勢さ
れており、一方ポペツト弁６の弁シート１３の外
側には高圧側油室２内の圧力が該ポペツト弁６を
弁シート１３から離座させる方向に作用してい
る。そこで、ポペツト弁６は常時には弁シート１
３に着座しているが、高圧側油室２内の圧力がば
ね７のばね力による設定圧を越えると、ポペツト
弁６の弁部６Ｂは弁シート１３から離座し、油穴
１１と油穴１２とを連通させる。この結果、高圧
側油室２内の圧油は低圧側油室３内にリリーフさ
れて、高圧側油室２内の圧力が適正に保持され
る。

しかし、前述の如き従来技術によるリリーフ弁
には幾多の欠点があつた。即ち、弁シート１３は
長期間使用すると変形，破損，摩耗等を生じてポ
ペツト弁６との間に隙間が生じる。このような隙
間が発生すると、リリーフ弁４の設定圧に達する
前から高圧側油室２から低圧側油室３に多量の圧
油がリークしたり、甚しい場合には高圧側油室２
の圧力が所定値まで上昇しなくなる。従つて、こ
のような場合には、弁シート１３を交換しなけれ
ばならないのであるが、該弁シート１３はスリー
ブ５に一体的に設けられているから、スリーブ５
自体を交換しなければならない欠点があつた。ま
た、油中に含まれる異物が弁室９やばね室１０の
内部に侵入すると、ポペツト弁６の円滑な作動を
妨げる等の不都合が生じるので、リリーフ弁４を
分解して清浄しなければならない。しかし、弁室
９はばね室１０の奥にあり、油穴１１，１２の径
も小さいため、弁室９を十分に清浄することがで
きないし、また異物のかみ込みによる弁シート１
３の傷の点検も困難であるという欠点もある。

本考案は叙上の欠点を改良することを目的とす
るもので、スリーブを第１のスリーブと第２のス
リーブとに分割し、弁シートおよび弁室を第１の
スリーブに形成し、該第１のスリーブを第２のス
リーブに着脱可能に嵌合したことをその特徴とす
るものである。

以下、本考案の実施例を第２図に基づき説明す
る。

同図において、第１図と同一構成要素について
は同一符号を付して、その説明を省略するものと
するに、本考案に係るリリーフ弁２０はカートリ
ツジの外筒を構成するスリーブを第１のスリーブ
２１と第２のスリーブ２２とに分割し、第１のス
リーブ２１を第２のスリーブ２２に螺着する構成
となつている。第１のスリーブ２１には高圧側油
室２および低圧側油室３をそれぞれ弁室２３に連
通させる油穴２４，２５が穿設されると共に油穴
２５の周囲には弁シート２６が形設され、またポ
ペツト弁６の弁部６Ｂは弁室２３内に配置してい
る。一方、第２のスリーブ２２内にはばね受８と
第１のスリーブ２１の基端部との間にばね室２７
が形成され、該ばね室２７内にはポペツト弁６の
ばね受部６Ａが臨むと共に、該ばね受部６Ａとば
ね受８との間にばね７が張設されている。

第１のスリーブ２１にはその第２のスリーブ２
２との接合部に半径方向外側に突出するフランジ
部２１Ａが形成され、該フランジ部２１Ａと第２
のスリーブ２２の先端部との間にはシールワツシ
ヤ，銅ガスケツト、またはＯリング等のシール部
材２８が挾着されている。該シール部材２８によ
り、高圧側油室２内の圧油がばね室２７内に漏出
するのを防止している。なお、第１のスリーブ２
１を第２のスリーブ２２に螺着するとき、第１の
スリーブ２１とポペツト弁６との摺動嵌合に変形
を生じさせ、該ポペツト弁６の円滑な動きを妨げ
ないように、該第１のスリーブ２１のねじ部の肉
厚を厚くし、またフランジ部２１Ａは弁シート２
６により近い方に設けることが望ましい。

本考案に係るリリーフ弁は前述の構成を有する
もので、そのリリーフ機能については前述の従来
技術によるものと変るところはない。然るに、弁
シート２６に変形、破損，摩耗等が生じた場合に
は、第１のスリーブ２１を螺回することにより第
２のスリーブ２２から分離して、新たなスリーブ
と交換すればよい。また、前述の如く、第１のス
リーブ２１と第２のスリーブ２２との分離が可能
であるから、リリーフ弁２０を清浄する場合には
第１のスリーブ２１を第２のスリーブ２２から分
離させれば、第１のスリーブ２１に形成された弁
室２３や弁シート２６等の清浄も極めて容易とな
る。

以上詳細に述べた如く、本考案に係るカートリ
ツジ式のリリーフ弁によれば、第１のスリーブを
第２のスリーブに着脱可能に嵌合し、第１のスリ
ーブに弁室および弁シートを設ける構成としたか
ら、下記各項の諸効果を奏する。

弁シートに変形，破損，摩耗が生じたときに
は第１のスリーブのみを交換すればよいから、
交換すべき部分が少くてよく経済的である。

弁シートを設けた第１のスリーブを第２のス
リーブから容易に分離することができるから弁
シート部の点検や清浄を容易に行うことができ
る。

第１のスリーブを第２のスリーブとは別体に
形成しているため、弁シート部等の加工を容易
に行うことができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来技術によるリリーフ弁のケーシン
グへの組付状態を示す縦断面図、第２図は本考案
に係るリリーフ弁の第１図と同様の縦断面図であ
る。 ２……高圧側油室、３……低圧側油室、６……
ポペツト弁、７……ばね、２０……リリーフ弁、
２１……第１のスリーブ、２２……第２のスリー
ブ、２３……弁室、２６……弁シート、２７……
ばね室、２８……シール部材。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 (1) ケーシングに着脱可能に設けられるスリーブ
   内にポペツト弁が離着座する弁シートと、前記
   ポペツト弁を前記弁シートに着座する方向に付
   勢するばねとを有し、前記ポペツト弁に作用す
   る高圧側油室の圧力が設定圧以上となつたとき
   に、前記ポペツト弁を前記弁シートから離座さ
   せて、前記高圧側油室の流体を低圧側油室に流
   出させるカートリツジ式のリリーフ弁におい
   て、前記スリーブを第１のスリーブと第２のス
   リーブで形成し、該第１のスリーブを前記第２
   のスリーブに着脱可能に嵌合し、前記第１のス
   リーブには前記高圧側油室と低圧側油室とに連
   通する弁室と弁シートとを形成し、該弁室には
   該弁シートに離着座するポペツト弁を設け、前
   記第２のスリーブにはばね室を形成し、該ばね
   室内に前記ばねを設けたことを特徴とするリリ
   ーフ弁。 (2) 前記第１のスリーブと第２のスリーブとの接
   合部にシール部材を介装したことを特徴とする
   実用新案登録請求の範囲(1)項記載のリリーフ
   弁。