JPS6127928Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は金属粉末の製造装置に関する。

金属粉末の大量生産の方法としては機械的粉砕
法、噴霧法、還元法等があるが、いずれも手数が
かかるとか、或いは複雑な装置を必要とするなど
の欠点がある。

本出願人は先に簡便に金属粉末を製造する方法
として、溶融金属に対して濡れ性の小さな表面層
を有し、２ｍ／秒以上の周速度で回転しているロ
ールの表面に溶融金属をノズルを経油して落下供
給して該溶融金属を微細な溶融金属滴に分断し凝
固させる金属粉末の製造方法であつて、該ロール
の回転中に該ロールと該ノズルとを該ロールの軸
方向に0.01mm／秒以上の速さで相対的に移動させ
る金属粉末の製造方法を提示した（特願昭57−
69600号「金属粉末の製造方法」）。本考案は上記
発明の方法に使用するに好適な金属粉末の製造装
置を提供することを目的としている。

前記特願昭57−69600号に係る発明にあつて
は、高速回転しているロール表面に溶融金属を落
下させ、その落下速度より著しく速いロール周速
度によつて溶融金属を負圧にすることによりキヤ
ビテーシヨンを発生させ、溶融金属を微細な溶融
金属滴に分断し、凝固させて金属を微細な粉末と
する。

上記のロールは表面が溶融金属を付着し難く、
かつ瞬間的に微粒子に分断して放出できるために
は溶融金属に対して所謂濡れ性の小さな、換言す
れば濡れ難い材料からなるか、或いは小なくとも
表面層は濡れ性の小さな材料からなることが必要
であり、黒鉛若しくはTiN，Si₃N₄，SiC，Al₂O₃
等のセラミツク製のもの、または表面にこれらの
層を有するものが好適である。

またロールは１個でも良く、或いは狭いロール
間隔で相対向する２個のロールでも良く、前者の
場合には溶融金属が落下方向へ回転するロール表
面に接してその遠心力の作用を効果的に受けると
共に、溶融金属滴が広い範囲に飛散しないように
するため、溶融金属をロール表面の接線方向に近
く落下させることが好ましく、そのためにはノズ
ルを経由してロールに供給するのが良い。後者の
場合にはロール間隙近くに溶融金属を供給してや
れば狭いロール間隙を通過する間に相対向して高
速回転しているロール表面の間で容易に負圧にな
つてキヤビテーシヨンを生ずると共に、両ロール
の遠心力によつて容易にかつ一層微細に分断され
放出されることになる。両ロール間隔0.3mm以下
とすればその効果は大きい。二つのロールは同径
かつ同一周速度であれば両ロール中心を結ぶ線に
直角な方向へ放出されるので金属粉末を収容する
のに便である。

前記ロールは、溶融金属を表面の一定の円周上
に連続して落下供給するようにすると、表面層は
前述したように黒鉛製またはセラミツク製であつ
て熱伝導が低くかつ脆いので、キヤビテーシヨン
によつて損傷するようになる。このようなロール
の損傷を防止するため、ロール表面の溶融金属が
落下する位置を絶えず変えるようにする。即ち、
ロールの回転中にロールとノズルとをロールの軸
方向に相対的に移動させるようにする。その移動
速度は0.01mm／秒以上であればロールの損傷を防
止することができる。この場合、ロールを移動さ
せても良いし、ノズルを移動させても良い。

本考案は前記特願昭57−69600号に係る方法の
うち、ノズルを不動とし、ロールを移動させる方
法に使用する装置に関する。

次に添付図面を参照しながら本考案に於ける溶
融金属供給ノズルとロールとの関係を説明する。

るつぼ１の中には溶融金属２が入つており、る
つぼの底の湯口からノズル３を通してその下方に
設けられたロール４に溶融金属が供給される。ロ
ール４は図示省略した駆動装置によつて高速回転
すると共に、図示省略した駆動装置によつて軸方
向に低速で移動するようにしてある。

ロール４は前記したように１個の場合の例を第
１図に、また２個のロール４ａ，４ｂの対よりな
る場合の例を第２図に示してある。いずれもａは
ロール軸に平行な縦断面図、ｂはロール軸に垂直
な縦断面図である。

溶融金属２はロール４の表面に当つて或いはロ
ール４ａ及び４ｂの間隙を通つて微細な溶融金属
滴６に分断され、凝固して微細な金属粉末７とな
つて容器８に収容される。

なお、ロールの下方に高速で回転する金属回転
体を設け、溶融金属滴を該金属回転体の表面に衝
突させるようにすると、凝固速度が速くなつて微
細組織を有する金属粉末を得ることができる。

次に第２図に示した２個のロールを対に配置し
た場合を例に挙げて本考案の装置を説明する。

第３図は本考案の実施例を示す正面図、第４図
は同じく平面図である。

ベツド１８の上には２個の対のロール４ａ及び
４ｂを軸支するロール支持台１０と摺動台１４と
が互に固定してベツド１８の上をロール４ａ，４
ｂの軸方向に移動可能に担持されている。摺動台
１４の上にはロール駆動用電動機１２が載置され
た電動機載置台１３及び電動機１２の回転をロー
ル４ａ，４ｂに伝動する伝動機構１１が載置さ
れ、ロール４ａ，４ｂは第２図に示した方向に高
速で回転するようになつている。伝動機構１１は
平歯車１１ａとベルト１１ｂとによつて電動機１
２の回転をロール４ａ，４ｂに伝動するようにし
てある。

ベツド１８の上にはロール移動用電動機１７及
びボールねじ１６が固定されており、ボールねじ
１６と摺動台１４とは連結杆１５によつて連結さ
れている。電動機１７の軸にはボールねじ１６の
軸１６ａが連結されていて、電動機１７によつて
摺動台１４及びロール支持台１０が一体となつて
ベツド１８の上をロール４ａ，４ｂの軸方向に低
速で移動するようになつている。

ロール４ａ，４ｂの上方にはるつぼ１があり、
その下端に設けられたノズル３がロール４ａと４
ｂとの狭い間隙の上方に位置していて、ロール４
ａ，４ｂはノズル３の鉛直下の範囲内で軸方向に
移動する。るつぼ１はその中に収容される溶融金
属を加熱するための誘導加熱用コイル１ａに囲ま
れている。ロール４ａ，４ｂの下方にはノズル３
の鉛直下に金属製回転円板９があり、図示省略し
た電動機によつて高速で回転するようになつてい
る。回転円板９は両端面の外径が外周面中央部の
外径よりも小さくなる外周形状にしてある。

るつぼ１内の溶融金属は第２図に示したように
ノズル３を経由してロール４ａ，４ｂの間隙に落
下供給され、微細な溶融金属滴に分断されてロー
ル４ａ，４ｂの下向へ放出される。この溶融金属
滴は高速で回転する金属製円板９の外周面に衝突
して急冷凝固し、金属粉末となる。金属製回転円
板９は本考案の装置には必ずしも必要なものでは
ないが、前述したように得られる金属粉末の組織
を微細組織にするのに有効である。

ロール４ａ，４ｂは回転中に軸方向に常に移動
しているので、溶融金属に接触する位置が常に移
動しており、同一円周上に連続して溶融金属が接
触することがなく、ロールの損傷が防止される。

以上２個の対のロールを使用する例について説
明したが、第１図に示した１個のロールを使用す
る場合も同様の機構によつて金属粉末が製造でき
ることは容易に理解されよう。

以上説明したような構造にしてあるので本考案
の装置を使用するときは、簡単な装置で容易に金
属粉末を製造することができ、ロールの寿命も延
長される。なお、第３図及び第４図に於いて連結
杆１５からロール支持台１０の範囲内を密閉可能
な容器中に収容し、真空或いは所望の雰囲気中で
操業することも可能である。

【図面の簡単な説明】

第１図及び第２図は本考案に於ける溶融金属供
給部分とロールとの関係を説明するための図面
で、第１図は１個のロールを使用する場合の、第
２図は２個のロールを使用する場合の概要図であ
る。いずれもａはロール軸に平行な縦断面図、ｂ
はロール軸に垂直な縦断面図である。第３図は本
考案の２個のロールを使用する場合の例を示す正
面図、第４図は同じく平面図である。 １……るつぼ、２……溶融金属、３……ノズ
ル、４，４ａ，４ｂ……ロール、６……溶融金属
滴、７……金属粉末、１０……ロール支持台、１
１……伝導機構、１２……ロール駆動用電動機、
１３……電動機載置台、１６……ボールねじ、１
７……ロール移動用電動機、１８……ベツド。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 １ 溶融金属に対して濡れ性の小さな表面層を有
   し、２ｍ／秒以上の周速度で回転しているロー
   ルの表面に溶融金属をノズルを経由して落下供
   給し、該溶融金属を微細な溶融金属滴に分断
   し、凝固させて金属粉末とする金属粉末の製造
   に使用する装置であつて、前記ノズルの下方に
   位置する前記ロールを軸支するロール支持台
   と、ロール駆動用電動機が載置された電動機載
   置台と、該ロール駆動用電動機の回転を前記ロ
   ールに伝動する伝動機構とが連設してベツド上
   に前記ロールの軸方向に一体となつて移動可能
   に担持され、該ベツド上に固定されたロール移
   動装置によつて該電動機載置台を該ベツド上で
   前記ロールの軸方向に0.01mm／秒以上の速度で
   移動させるようにしてある金属粉末の製造装
   置。 ２ ロール移動装置が回転駆動機とボールねじか
   らなるロール移動装置である実用新案登録請求
   の範囲第１項記載の金属粉末の製造装置。